現在、林沖に案内されてリムジンに乗り移動中。
「最近はヘリや飛行機や戦闘機とか空で移動できる乗り物しか乗っていなかったから、久しぶりの自動車だね」
「私や皇様は川神市に移動するぐらい数分で出来ますが、この五人が足手纏いになっているから動けないんだがな」
皇が車に乗りながらニコニコして話を振る。ナルバレックは少々イラつきながら話す。
そんなナルバレックに。
「まあまあ、川神院は逃げないんだからいいでしょう」
「皇様が言うなら聞きましょう」
イラついていたナルバレックを
だが、彼以外はナルバレックの言葉に対して意見を言う。
「わっちだって、ナルバレックとなんか一緒に乗りたくないぜ」
「同じく」
「私も皇様が居なかったら、貴方となんか居たくありません」
「うむ、私も例え上司だろうが居たくないね」
五人のうち四人がナルバレックに文句を言った。本人を見ながら嫌そうな顔をしながらナルバレック本人を見る。
「良い度胸だな、小娘共」
四人の視線を受けつつ、手をボキボキ鳴らしながら怒っているナルバレック。
「こらこら、
視線と視線がぶつかりあっている中心に割り込んで止める睨み合いを止める皇。
彼は交互に視線をぶつけて目で黙らせた。多少殺気を混ぜて。
「わ、分かったぞ(皇様のお仕置きなんてヤダぜ)」
史進と呼ばれた女の子も皆と同様にメイド服を着込んでおり、茶色の髪を二つで大きなリボンで結んで、林沖と比べたら落ち着きが全くなく荒々しい雰囲気を纏っている。
「分かった(皇様の睨みで、アタシの下半身きゅんきゅんになってるよ……もうちょっと睨んでくれないかな……?)」
楊志と呼ばれた女の子も皆と同様にメイド服を着込んでおり、水色の髪を後ろで一つにして、とても落ち着いた雰囲気を纏っているが、皇に睨まれてからは、息を荒くして瞳をうるうるさせて、頬を赤く染めていた。
「自重します。楊志、何やら血流が乱れ、息も荒いですが大丈夫ですか?(私まで怒られるなんて計算違いです)」
シオンと呼ばれた女の子も同様にメイド服を着込んでおり、目は紫苑、同色の長髪を一本の三つ編みに束ねて、一目見て思うことが冷たそうイメージがあるが、仲間を心配する優しい少女でもある。
シオンは楊志のようすが変わったことに気が付き、軽く手を動かし、糸のような物を楊志の体に取り付け、体の中の状況を判断し、的確に楊志に言う。これが彼女の技の一つでもある。
シオン……フルネーム、シオン・エルトナム・アトラシア。
「うむ、皇様に言われたら聞くしかあるまい(まだ私は体験したことないが人によってお仕置きの後の反応が違うような気がしたが……)」
リズと呼ばれた女性も同様にメイド服を着込んでいるが胸に銀製の胸当てと独特の衣装をまとっている。銀髪の長い髪を後ろで纏め、男性にも見えてしまうほど中世的である。
リズ……フルネーム、リーズバイフェ・ストリンドヴァリ。
皆の行動を面白そうに見ていて傍観していた。
「あの、あまり車の中では騒がないでください」
車の運転をしている林沖がバックミラーで後ろに乗っている人の行動を見ていたのだが、林沖から見て、暴れそう雰囲気を出していたので警戒していたようだ。
「ごめんね、リン、もうやらないから大丈夫だよ」
皇が止めたのでもう暴れそうになる空気にはならないと思うが。
「それより林沖。後ろにいる車は何台だ」
「ざっと五十台程度かと」
「林沖それは間違っています。正確には五十六台です」
ナルバレック、林沖、シオンの順に言いだした。
「やっぱり空港から付けて来ていた連中か」
「そうだね」
史進、楊志も言う。
「さてと……」
リズが車内の中で立ち、自分の座っていた席に手をかけた。
「ココが今回用意してくれたのは」
席の下に見渡す限り銃がぎっしり入っていた。
ブレン軽機関銃、LSAT軽機関銃、トンプソンM1A1、ウージー、AUG SMG、FA-MAS F1、SVDドラグノフ、バレットM99、その他諸々……
「貴様らはそのおもちゃを使いながら戦うがいい、私は外に出て殲滅してくる。皇様は車内でくつろいでいてください」
「うん、無茶しないでね」
「はい、では」
メイド服のスカートの下から黒鍵を数本装備して車のドアを開けて後ろにいる黒い車に飛び掛っていた。現在もなお高速で百キロ以上出しながら走行中。
「じゃあ、私とシオンは右をやるから、史進と楊志は左を任せる」
「真後ろの方は零番がやってくれるでしょう(ナルバレックなら私達がいなくても一人でやってしまいそうですが……)」
リズとシオンはそれそれ右の窓と上にあるサンルーフ窓を開けて構えた。
「わっちはこんな豆鉄砲より棒で戦いたいぜ」
「なら走行中の中を自由に移動できるの?」
「無理だじぇ」
「なら今回は銃で我慢」
史進と楊志もそれぞれ窓から銃を出して構えた。
「というか、今回も
「はい。皇様が車に乗るとカーチェイスになるから色々必要でしょ、ということです」
酷いな、と一言。
「じゃあ、殲滅開始で」
「「「「了解!」」」」
そういうと各自応戦し始め、盛大な銃声と爆音が響き渡った。
五人のメイドが後ろから追ってくる集団と戦闘に入ってから皇は林沖の隣、助手席に移動していた。林沖と皇はサイドミラーで後の状況を確認しながら話していた。
「ナルも凄いな、一般車が巻き込まれない様に排除している」
「そうですね、追っての車を爆破しても一般車の居ない方に弾き飛ばしていますね(百キロ以上出している中であれほどの動きができるなんてありえない)」
走行中の車に飛び移りながら次々と無力化していくナルバレックの動きに感心している二人。車を爆破させても蹴りで一般車がいない方に蹴り飛ばしているので、被害は追っている方の連中だけだ。
「他のメンバーも上手く撃退しているみたいだね」
「運転手狙い、タイヤ狙い、エンジン破壊、ナルバレック様には及びませんがそれでも数を減らしていますね(後からどんどん車が数を増やしている……)」
他の面々もナルバレックには及ばないが撃退している。自分には合わないスタイルで戦っているにも関わらず上手くやっているのは、彼女達の腕が確かであるという証拠だろう。
「流石は私直属の従者ですね、誇りに思いますよ。リンもですからね」
「あ、ありがとうございます」
車の後方では銃撃戦が行なわれているのに前方の方でイチャイチャな雰囲気が出ているという場違いな状況に。
「(もしかしたらこのまま川神学園に着きそうですね)」
皇の内心ではこれから過ごす場所で迷惑をかけてしまうかもしれないという心配をしていた。