真剣で九鬼家長男に恋しなさい!   作:愛すべからざる光

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※紋が英雄と皇を呼ぶときは分けます。

英雄……「兄上」
紋白……「皇兄様」

※誤字脱字があれば報告お願いします。


第三話 川神学園では 1

~ 川神学園 昼 ~

 

現在は授業も終わりお昼の時間であり、お弁当を食べながら休んでいる生徒がほとんどだが、2-S組に転入してきた「武士道プラン」のメンバー、(みなもと)義経(よしつね)武蔵坊(むさしぼう)弁慶(べんけい)那須与一(なすのよいち)の面々を見ようと2-Sに見に来る生徒が大勢いる。

 

だが、教室のドアの前に番人のように赤毛の眼帯をした美女が睨みつけながら一般生徒を通さずにいたのだ。一部の者は通っていたみたいだ。それなので混乱なく収まっていた。

 

そんな中、話題となっていた人物達、義経、弁慶、与一は教室の中で一息して休んでいた。

 

「やっぱり皆、義経達に会いに来てくれてるんだな」

 

長い黒髪を白いリボンで一つに垂れ流し、腰に刀を携え、見た目から“和”を感じる存在。彼女が源義経。

 

義経は嬉しいそうな表情で弁慶や与一に言うが、二人は疲れた表情を浮かべていた。

 

「主は疲れていないのかい?」

 

黒い癖っ毛のある髪をした女性、見た感じが“けだる”そうな雰囲気が漂わせている。彼女が武蔵野弁慶。彼女の手持ちには|錫杖≪しゃくじょう≫とひょうたんを持っている。ひょうたんの中身は、川神水という場で酔える水が入っているのでお酒ではない。

 

壁に錫杖を置き、机に座りながら川神水を飲んでいた。

 

「けっ! めんどくせぇ」

 

鼠色の髪をした男性が机に脚を乗っけながら、だるそうにしていた。彼が那須与一。

 

那須与一と言えば、弓が主体の偉人だが、彼も弓を得意とし、だるそうにしているが腕前は超一級品で天下五弓のひとりに数えられている。

 

「まだお昼休み始まったばかりだよ、放課後まで頑張ろう」

 

黒髪を後で一つにし、ひなげしの(かんざし)をしている女性が義経達を励ましていた。絵に描いたような文学少女を思わせるその子は、武士道プランのもう一人の子でもある。彼女は葉桜(はざくら)清楚(せいそ)という美少女。

 

三人より年上の彼女は三人の事が気になり、昼休みに2~Sに来ていたのだ。つまり転入してきた武士道プラン組が揃ってしまったこともあり、他の生徒達もこぞって2-Sに押し掛けたのだ。

 

 

「なんじゃこりゃ!」

 

突然、与一がi○○○neを弄りながら騒ぎ出し。勿論、近くにいた義経、弁慶、清楚は驚き、近場にいたS組生徒も何事かと驚いていた。

 

「どうしたんだ与一?」

 

「あんたがそんな大声出すのなんて珍しいね」

 

「どうしたの与一くん?」

 

当然、何事かと三人は与一に聞く。何時もは中二病全開の与一だが、珍しく声を張り上げたのだから気になるのだ。

 

「これを見ろ!」

 

i○○oneの画面を三者に見せた。その画面にはニュースが乗っていた。

 

「何々、現時刻、高速で銃撃戦+カーチェイス!」

 

「えっと、映画のような迫力!」

 

「メイドが空中を舞い、銃を乱射! 超!エキサイティン!! 何だいこれ?」

 

義経、清楚、弁慶が画面に書いてある記事を読みながら眉をひそめた。

 

「その記事もそうだが、もっと下を見てみろ!」

 

与一の言葉に従い、スクロールして下の方を見て見れば、三人共驚愕した表情を浮かべた。そして次に大声を出していた。

 

「「「追われる乗車中の人物は九鬼皇!!!」」」

 

驚きを隠せないでいる三人に対して与一が詳細を話していく。

 

「高速に入った瞬間に始まったようだな。兄貴も俺と同様に特異点であり、命を狙われる身か……」

 

片手で片目を押さえて天井に顔を向け、何かを思っている与一。

 

「……って、お前ら何処に行こうとしてるんだッ!」

 

「お前ら一体何してんだッ!」

 

与一は、ふと、目の前の三人が事が気になって天井から目の前を見てみると三人が窓を開けて飛び出そうとしていたので止めにかかり、もうひとり与一と一緒になって止めてくれる人が居た。

 

「与一、あずみさん、止めないでくれ!」

 

「そうそう、私達は皇を助けにいかなくちゃ」

 

「皇くんが危険なことなってるんだよ、助けにいかなくちゃ!」

 

三人がメイドに対して必死に言うがメイドは聞く耳持たず、三人を引っ張り無理矢理教室の中に引き入れ、開けられていた窓を閉め、鍵をかけた。

 

あずみ……忍足(おしたり)あずみといい。明らかに十代ではないがいる、九鬼財閥のメイド長をしている人。メイド長というだけあり、日常の事はすべて人並み以上でき、戦闘面でも元傭兵なだけあり相当の実力者である。

 

「お前らが行っても意味ねぇだろうが! それに向こうは車に乗ってるんだぞ! 追いつけるかこのド阿呆がぁ!」

 

「(英雄の奴が居ないから口調が素に戻ってやがる)」

 

あずみと呼ばれた女性は三人の行動に相当お怒りで説教をしていた。だが、あずみの言葉も三人には耳には入っておらず三人とも心配そうな表情を浮かべて落ち込んでいた。

 

「……助けに行きたいのはお前らだけじゃない」

 

周りにいる人に聞こえるか聞こえないかぐらいの声であずみは言った。少し離れた所にいた与一には聞こえなかったみたいだが、目の前に居た三人にはハッキリと聞こえていた。

 

「じゃあ、あずみさんも「何事だ、廊下まで声が聞こえていたぞ!」英雄君……」

 

2-Sの教室の扉が勢いよく開き、入ってきた人物がいた。

 

英雄……九鬼(くき)英雄(ひでお)という。世界に名を知られている九鬼財閥の御曹司。銀色の髪をオールバックで纏めており、金色のスーツを纏い、普通の人とは違う何かを持っている。カリスマ性というものを感じる存在だ。そして額に×が記されているのが特徴的である。

 

「事情を説明しろ、あずみ」

 

「はい! 与一様がネットでこのようなニュースを見せて騒ぎに」

 

先程と違って英雄の前ではとても綺麗な笑顔を浮かべているあずみはそのニュースを英雄に見せた。

 

「なんだと!! こうしてはいられない、今すぐにでも助けに行かねば!」

 

記事を見た英雄は大声を出し、驚きながらも行動しようとした。教室から出ようと扉を開けて出ていこうとするがその行動もあずみが止めにかかっていた。

 

「落ち着いてください英雄様! 今行ってもあの御方の足手纏いになるだけです」

 

「では、どうすればいいのだ!」

 

興奮しているせいなのか何時もの様に冷静ではいられない英雄を落ち着かせようとするあずみ。

 

「どうしたのですか、兄上」

 

「おぉ! 紋よ、良い所にきた! これを見よ!」

 

英雄が騒いでいる最中に教室に入ってくる人が居た。

 

紋……彼女は九鬼英雄の妹で九鬼紋白(もんしろ)という。九鬼家の末娘である。九鬼家の者である証、額に×を刻んでおり、銀色の長髪であり、顔のサイドにある髪を後で纏めて後の髪はそのまま垂れ流しているスタイルでいる。服装も川神学園の学生服ではなく、着物を着ている。

 

英雄から渡された記事を紋白は見て、驚きながらも素早く行動に移した。

 

「皇兄様が……こうしてはいられない。ヒューム、クラウ爺、今すぐ参るぞ!」

 

ヒューム……ヒューム・ヘルシングという。紋の後ろには執事服を着た老人がいる彼がヒュームであろう。彼の体から出る雰囲気、オーラは尋常ではない。強者の雰囲気を醸し出していた。

 

そしてもう一人、ヒュームの横に並んでいる人物が居た。

 

クラウ……クラウディオ・ネエロという。銀色美髯の老紳士だ。隣に居るヒュームよりか威圧感は無い者の身のこなし、何より隙が無いのが彼が強者であるという証だろう。

 

「今から行ったとしても、皇様にとって邪魔になるでしょう」

 

「ヒュームの言う通りですぞ。心配せずとも大丈夫でしょう」

 

ヒュームは現実的なことを言い、クラウディオは心配をしているようには思えなかった発言をした。英雄、紋、義経達のように慌てることなく状況を認識していた。

 

「現在掴んでいる情報ですと、皇様を含め従者が六名付いているそうです。ヒュームと同じ“零位"も乗っているそうです」

 

「零位」と聞いて、各々反応をする。ヒュームは眉が少し動き、クラウディオも何事も無いように喋っているがヒュームと同様に眉が動いていた。あずみ、義経、弁慶、清楚の四人も「零位」と聞いた瞬間に口元を引きつらせながら納得していた。与一に関しては教室の隅で体育座りして震えていた。そして興奮していた英雄、紋白の二人は頷きながら何かを悟った。

 

「そうか、それなら問題あるまい」

 

「兄上の言う通りです。相手が気の毒ですね」

 

先程とは打って変わって落ち着いていた二人。窓の外を見ながら黙祷をする二人に介入してくる人物がいた。

 

「ちょ、ちょっと待て、何故にさっきまであんなに騒いでいた英雄と紋様が、急に落ち着いてんだ?」

 

「鋭いツッコミありがとうございます。流石はツッコミ担当の準ですね、そうだと思いませんかユキ?」

 

「だよね、さんきゅー、ハゲー」

 

準……井上(いのうえ)準と(じゅん)という。一言で表すならハゲである。

 

冬馬……(あおい)冬馬(とうま)という。準の次に喋っている男性は眼鏡を掛けているイケメンである。

 

榊原……榊原(さかきばら)小雪(こゆき)という。白色の長髪に赤い瞳のアルビノの少女である。

 

「冬馬、準、榊原か、兄者のすぐ傍に零位が居れば問題なかろうと判断したのだ」

 

「うむ、皇兄様の懐刀の彼女が居れば問題ない」

 

英雄も紋白も頷きながら自分に言い聞かせていた。

 

「ナルナルが居れば皇に傷付けられないもんねー」

 

「ナルバレックさんが居れば安心ですね」

 

「皇様至上主義だからな」

 

三人の口から思いも寄らない人物の名前が出てきたのに九鬼英雄をはじめとしたメンバーが驚いていた。九鬼関係者達は零位の事を勿論していた。だが、彼らは関係者ではないのに知っていたのだ。勿論ヒュームが零位である事も知っているが、もう一人居るのをこの学園の人には教えていないのだ。

 

「榊原さん達は皇くんの従者であるナルバレックさんを知っているのか?」

 

義経が葵達に聞く。

 

「はい、皇さんが時々川神に来た時に遊んでいましたよ」

 

「他の従者はそこそこしか知らないがな。そして俺は毎度ナルバレックの奴に関節外されたし」

 

「皇はね、僕のことを大事にしてくれてるんだよー、ナルナルには無理矢理鍛錬させられてるけど」

 

三人の発言に各々驚いているが一番驚いているのは年長者であるヒューム、クラウディオ、あずみの三人であった。

 

「(馬鹿な!? ナルバレックの奴が人に教えるだと……)」

 

「(これは意外です。彼女はそんな性格では無いのですがね)」

 

「(あ、アイツが皇以外に興味を持つだとッ!?)」

 

よくナルバレックのことを理解している面々は彼女の行動に疑問を持たずにいられなかった。皇一筋であり、皇の言う事は聞いても英雄や紋白であっても冷たく当たる彼女が目の前にいる白髪の女の子に鍛錬をしている事実について。

 

「おい、白髪の赤子よ、一つ聞いていいか」

 

「ん、なに?」

 

ヒュームが小雪に聞く。

 

「奴は……ナルバレックの奴は何か言っていたか」

 

「うん~、何かな~、トーマ何か言っていた?」

 

「そうですね……「良き才能を持っているな」とか言っていたような気がしますが」

 

小雪が答えられずに冬馬に聞いてみると、又しても予想外の答えが返って来た。これには関係者全員が驚いている。彼女は人を褒める事などしないものだと思っていた認識が覆ってしまったのだ。

 

「榊原さんは凄いのだな」

 

「あのナルバレックに褒められるなんて何者だい?」

 

「あの人って人を褒めるんだ……」

 

「マジかよ(榊原小雪、彼女も特異点なのかよ、こんな所に同じ境遇の奴がいるとはな)」

 

義経、弁慶、清楚、与一もそれぞれ感想を述べた。

 

「そうか、ではもうひとッ!」

 

ヒューム、クラウディオ、あずみ、そしてもう一人反応してるものがこの教室にいた。この四人以外にも学園全体で反応している者もいるようだ。

 

「銃声が近くなっている」

 

「えぇ、やはりここに来るみたいですね」

 

「英雄様達は教室に居てください」

 

三人と赤髪の眼帯をしている女性が校庭へと出て行った。それに遅れて義経や弁慶や清楚も外に出ようとするが英雄に止められていた。

 

「あずみが待っていろと言ったのだ、待っていろ」

 

「でも英雄!」

 

「行きたい気持ちは分かるが我慢してくれ義経」

 

「紋白……」

 

教室の窓から外を眺めながら英雄は校庭に出て行った自分の従者達を見ていた。

 

 

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