真剣で九鬼家長男に恋しなさい!   作:愛すべからざる光

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第四話 川神学園では 2

~ 2-F side ~

 

 

昼になってご飯の時間になってすぐにとある一角に複数人数が集結していた。

 

「では、義経達に会いに行くぞ!」

 

頭にバンダナ巻いた男性が声を張り上げて言う。彼の名は、風間(かざま)翔一(しょういち)という。あだ名はキャップと呼ばれている。風間ファミリーというチームのリーダーでもある。頭にバンダナを巻いているのが非常に特徴的であるが顔立ちも整っており、イケメンの部類に入るだろう。

 

「へいへい、じゃあ行きますか」

 

席から立ち、翔一に言葉を返すのは、直江(なおえ)大和(やまと)という少年だ。彼も風間ファミリーの一員である。風間ファミリー内では軍師的役割を担っており、軍師というだけあって頭も相当良いので本当なら2-Sに行けるのだが、あえて2-Fにいる。

 

「なぁなぁ、早く行こうぜ!」

 

大和と同じで席を立ち言う人物がいる。彼の名は島津(しまづ)岳人(がくと)という。彼も風間ファミリーに所属している。ファミリー内では力仕事担当である為体つきは良いものの女子に好かれずに嘆いている。逆に情に厚く優しいところもあるので男子からは好かれている。

 

「そうだね。昼休みも短いしね」

 

大和と岳人達と一緒に席を立つ人物がいた。彼の名前は師岡(もろおか)卓也(たくや)という。彼も風間ファミリーの一員である。岳人とは違い力や大和のように頭が言い訳ではないが、ネットや機会に関してはファミリーで一番使える。そして何よりアニメやゲームが好きである。

 

「あれ、キャップ達も義経達に会いにいくの?」

 

「自分達も行こうとしていたんだ!」

 

「私は二人の御守りなんだけど」

 

翔一達とは同じタイミングで教室を出ようとした三人の女性がいた。

 

一人目は、川神(かわかみ)一子(かずこ)という女性だ。彼女も風間ファミリーの一員であり元気娘である。ワン子というあだ名で皆から呼ばれており、F組の癒し役である。

 

二人目は、クリスティアーネ・フリードリヒという女性だ。彼女も風間ファミリーの一員であり、途中でファミリーに入った存在でもある。クリスと呼ばれている。金色の長髪を二つに結び、外国人であるというのが人目で分かる。お金持ちのお嬢様である。

 

三人目は、椎名(しいな)(みやこ)という女性だ。彼女も風間ファミリーの一員であり、弓の名手でもあるそんな彼女の実力は天下五弓に数えられる。見た目は水色の髪の無口そうな美少女だ。

 

2-Fにいる風間ファミリーメンバーは挙って2-Sに向かって行った。

 

 

~ 2-F sideEnd ~

 

 

 

 

 

大和達が向かっていると2-Sから帰ってくる生徒達が大勢いるので事情を聞いてみると、「怖い番犬に威嚇された」とか「軍人に追い返された」という話を聞き、風間ファミリーの面々はその人物に覚えがあった。

 

「確実にマル(・・)ね」

 

マル(・・)さんに違いない」

 

「やっぱりね」

 

女性人が人物の名前を言いながら納得しており、男性人も同じ意見みたいだ。

 

そして2-Sの近場まで来てみると、教室の扉の前に赤髪の軍服を着た人物が仁王立ちしていた。川神学園の制服ではないため、非常に印象に残る彼女のことを風間ファミリーの面々は知っていた。

 

「検問だ。ここは通れないと知りなさい」

 

赤髪の軍人……名前は、マルギッテ・エーベルバッハという。彼女はドイツ軍特殊部隊“狩猟部隊”に所属するプロの軍人。直属の上司であるフランクの命を受け、フランクの娘であるクリスの護衛兼世話係りとして川神学院にいるのだ。フランクという人物はクリスの父親である。

 

マルギッテは大和達の前に立ちはだかった。

 

「別に揉める気はないぜ? 挨拶してお友達になりたいんだ」

 

「黙れゲス、お前達のような野次馬が多くて2-Sの平穏が乱されると知りなさい」

 

岳人が最初に声を掛けたが、容易く撃退されてしまう。手と膝を着いて落ち込んでいる岳人を他所に大和は一言。

 

「なるほどやっぱり予想通りだったか」

 

「貴様もそこで膝を着いている男と同じか、直江大和」

 

大和の言葉にマルギッテも反応して問う。

 

「ガクトが言ったことは本当だよマルさん」

 

「あ、お嬢様も来てらしたのですか」

 

クリスとマルギッテはとても仲が良く、唯一マルギッテもクリスに対しては人が変わったように甘くなってしまうのだ。

 

「マルさん、通してくれ」

 

「……」

 

つまりクリスに頼まれてしまったらマルギッテは通してしまう可能性がある。大和はそれを狙っていた為、クリスを全面的に出していたのだ。

 

「すみませんお嬢様、現在通すわけにはいきません」

 

頭を下げて謝罪するマルギッテを見て、風間ファミリーの面々は驚かずにいられなかった。まさか、あのマルギッテがクリスの頼みを断るとは誰が思ったか予想外過ぎて思考が追いついていない面々。

 

「おいおい、マジかよ!」

 

「うそー、なんでなんで?」

 

翔一や一子がマルギッテに詰め寄り理由を問うが。

 

「治安が乱れる、ただそれだけだ。放課後ならいいと私は判断しよう」

 

「うむ、マルさんがそういうならしょうがない」

 

放課後ならいいと聞いてクリスは納得して、自分達のクラスに帰ろうとした。一子や翔一もケチりながら戻っていく、その後にもしょうがないと大和、ガクト、モロが続いていた。

 

「じぃーーー」

 

「な、なんですか椎名京、言いたい事があるなら言いなさい」

 

ファミリーメンバーが帰っていく中、京だけはマルギッテをじぃーっと見ていた。その視線に耐え切れずに問いただすマルギッテ。

 

今回(・・)()を貰ったの?」

 

「ちょ、そ、な、なんで貴女が知っているのです!?」

 

「さっき教室を出た時に見えたの。マルが(・・)かの写真を見て、デレデレしていたのを」

 

「クッ、流石は弓兵と褒めておきましょう。それと、断固デレてなどいません。撤回しなさい」

 

「頬を染めて言われても説得力無いよ」

 

「クッ(まさかこんな小娘に弄ばれるとは不覚)」

 

今現在、廊下にはこの二人以外にも人がいるものの二人以外には会話は聞こえていないみたいだ。ファミリーメンバーも教室に入っていったのでいない状態だ。

 

「何が目的だ。ことと次第によっては……」

 

「へぇ~、いいんだね。マルギッテが()の写真を見てニヤニヤしていたって学校中に流しちゃうんよ」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

京がマルギッテを見ながら口元を押さえながら笑っていた。明らかに挑発しているにも関わらずマルギッテは動けなかった。

 

「……椎名京、貴方は九鬼皇を知っているのですか?」

 

「うん、私を救ってくれたヒーローでもあり、好きな人でもある」

 

「す、す、好きな人!」

 

京は携帯の待ち受けをマルギッテに見せた。待ち受けには肩を寄り添いあって写真に向かってポーズを取っている京と皇が写っていた。その写真を見てマルギッテは驚きを隠せずにさらに京が堂々と、好きな人発言をした為に顔を真っ赤にさせて驚いていた。

 

「あれ? マルギッテも好きなんじゃないの?」

 

「……まだ自分でも分からないんだ。彼のことが何時も頭から離れないんだ、彼の事を思うたびに胸が高鳴る、戦場でも味わった事の無い高揚感に、彼が手を握ってくれた手の温もりを今でも思い出せる程だ。彼が私を守る為に強く抱き寄せたときだって、この場が戦場であることも忘れて、彼の胸板に顔を押し当てて、彼の体温を感じていた暖かった、やはり私には彼が必要なのか、だが、彼が私を必要としなかったらどうする……」

 

マルギッテは一人ブツブツ言いながら地面を見ていた。

 

「そ、そう(これは不味いんじゃないかな?)」

 

そんなマルギッテの状態を見て、京は内心で、ヤバイと判断していた。

 

「そうです! 今度彼と会ったら話してみましょう、彼なら解決してくれるはず」

 

「うん、頑張ってね(皇のことだから、すぐに堕としそうだなといかもう堕ちてる?)」

 

開き直ったマルギッテに対して口元を引きつらせながら京は返答した。

 

「貴女にだけ教えますが、葵冬馬が皇のメールアドレスを教えてくれるというのが今回の報酬でした」

 

「アドレス? 携帯番号は?」

 

「それはもう知っていましたから必要ありません」

 

マルギッテの言葉に疑問が沸いた京は聞いた。

 

「なんで電話しないの?」

 

「……かしい」

 

京の言葉にマルギッテは頬を赤くして下を向いて小さく何かを言っているようだが、京には聞こえていなかったらしい。

 

「聞こえなかった」

 

「……恥ずかしいんです!」

 

「えぇ(何この軍人、可愛いんですけど!)」

 

声を張り上げて言うマルギッテに驚きもしたが、それを上回るぐらい、凛々しくしていたマルギッテが小動物みたいにモジモジしているのが胸にグッと来たのであった。

 

「皇の声を聞いたら、頭の中が真っ白になってしまって会話できなくなってしまうかもしれないので、安全策ということでメールでやり取りするつもりでした」

 

「なるほどなるほど(うん、この軍人さん、物凄い可愛い!)」

 

先程まで来る生徒を威圧して追い返していた軍人とは思えないぐらい女の子になっている。

 

「でも皇の周りってガード固いよ? モモ(・・)先輩級がゴロゴロしてるし」

 

「同じ九鬼でも別系統の従者部隊であり、皇だけに仕え、皇に命を捧げている直属の部隊ですか、そしてもう一つの部隊が存在します。京はご存知ですか?」

 

「え、そんな部隊が存在するの?」

 

皇のことに関して話す二人であったがマルギッテが言う従者部隊以外の部隊を京は知らなかったようだ。

 

「はい、表舞台には決して出てきませんが裏で動いている部隊“懲罰(ちょうばつ)部隊”といいます」

 

「それも人外クラスなの?」

 

「その通りです。一人は海岸から剣を振った衝撃波だけで、海上を航行する軍艦を簡単に沈められる程の力を持ちます」

 

「……無理ゲー」

 

マルギッテの言葉を聞いて京は思った。

 

「懲罰部隊だけで国一つ落とせるような気がする」

 

「いえ、軽く五ヶ国はいけるでしょう、従者部隊を加えると……地球の半分は落ちるでしょう」

 

信じ難い事を言うマルギッテであったが何故だか、二人揃って素直に頷いている。どこか思う所があるのだろう。

 

川神(かわかみ)百代(ももよ)ですら可愛く見えてしまいますね」

 

「なんだ、呼んだか?」

 

マルギッテが一息しながら言うと2-F側の反対から一人の女性が歩いてきた。

 

「モモ先輩」

 

モモ……川神百代という。彼女も風間ファミリーの一員であり唯一の三年生である。黒い髪を腰までたらして顔も整っているので美少女というべきだろう。昔から武家の鍛錬場所として名高い川神院の跡取り娘。川神院の中でもトップクラスの彼女は武を志す者から尊敬の念を込めて“武神(ぶしん)”と呼ばれている。

 

「なんだなんだ面白そうな話をしてるじゃないか、私も混ぜろ」

 

京の肩に手を置いて二人の話に混ざってくる百代。

 

「そういえばモモ先輩は九鬼皇って知ってる?」

 

京の口から出てきた言葉に百代は笑みを浮かべて答えた。“皇”という言葉に反応したのか否か。

 

「あぁ、揚羽(あげは)さんのお兄さんだろう、ほれ」

 

ポケットから携帯を取りだし、操作し始めてすぐに携帯を京とマルギッテの方に向けてある写真を見せた。

 

揚羽……九鬼揚羽という。この場にはいないが、九鬼英雄、九鬼紋白、二人の姉であり、九鬼皇の二つ下の妹でもある。銀色の長髪を後ろにたなびかせ、額には九鬼家の証である×が刻まれている。英雄や紋白と違い、彼女は百代と同じで“武”の方が飛びぬけており百代と同様に拳を武器に戦う。今はもう九鬼家軍事部門統括しているため引退しているが常人では相手にならない強さを今でも誇っている。

 

「去年に揚羽さんと皇さんと一緒に海に行った時の写真だ」

 

写真には綺麗な浜辺で真ん中に皇が立ち両サイドに揚羽と百代が腕を絡めて抱きついている写真が映っていた。二人から抱きつかれている皇は笑いながら二人の行動を受け入れて大人の対応をしているが、揚羽と百代は頬を赤く染めて恥ずかしそうにしているのを抱きついている皇に悟られないようにしていた。

 

「モモ先輩、これ恥ずかしがってますよね?」

 

京が百代に単刀直入に聞いてみた。

 

「いやな、大胆過ぎたかなと思ってな」

 

頬を掻きながら戸惑う百代。

 

「ふ、まだまだ甘いな」

 

「(いやいやマルの方が甘いと思うけど……)」

 

マルギッテが言った言葉に内心で的確にツッコミをいれる京。

 

マルギッテは話すだけで恥ずかしい、百代は抱きついて恥ずかしい、二人ともどっこいどっこいのところだろう。

 

三人で話していると2-Sの教室の扉が開き中からヒューム、クラウディオ、あずみの三人が出て来て何処かへ走って行った。三人に声をかける暇もなく彼らの背中を見ていた三人の内、二人は異変に気付いた。

 

「マル気付いているか?」

 

「えぇ、彼らが向かって行ったのも間違いなく校庭の方でしょう」

 

百代とマルギッテは何かを感じたようだ。京は二人の発言で異変が起きていることに気付く。

 

「京は教室に戻っていろ」

 

「教室の中から出てはいけませんよ」

 

百代とマルギッテは三人が走って行った方向に同じく走って行った。京には一言言っておき。

 

京も二人の言うことを聞いて2-Fに戻って行った。多少の心配もあったが百代とマルギッテの二人だから大丈夫だろうと自分自身に言い聞かせた。

 




今日の一言……マルギッテは可愛いのだ!!
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