全校生徒の前での自己紹介も終わり、皇は従者部隊の面々と一緒に自分が務める保健室にいる。
保健室を生徒達が気楽に休める空間にする為にリフォームの最中であり、今後の従者部隊の方針も決めている。
「学園にいる間は護衛いらないのでは?」
「「「ダメです」」」
「はい」
学園内では暗殺や襲撃など行われないだろうと思っている皇の言葉を無視し、ナルバレック、林沖、シオンは強く彼に言う。
どんな時でも皇の従者は、彼の事を一番に思い、自分の命を投げ出す覚悟を持っている面々も存在しており、皇自身はその考えを治させようとしているが従者の面々は考え直すつもりがないので、そのまま継続させている。
「英雄様、紋白様、クローン組の護衛の為に多くの従者部隊が現在川神市にいます。私たち皇様専属従者部隊は現在こちらに向かっていますのであまり戦力がいません。ですが、私達だけでも十分に対処できると思います」
「万が一もございます。皇様に何か御座いましたら我々が発狂してしまいます」
「シオンや林沖の言うことはもっともです」
シオン、林沖、ナルバレックにダメ押しに強く言われ、皇は素直にその言葉を受け入れ、これから学園に通う時は数人の護衛を付けるようにし、学園外にも護衛を何人か付けるようにしようと皇は方針を決めた。
「ん? かなりの人数が此方に来ていますが誰でしょうか?」
粗方、保健室の改装が終わって一息しようかと考えていた皇に従者部隊の面々の中で林沖が保健室に近づいてくる人がいると報告する。
「この気配……久しぶりですねナルさん」
「はい、前と変わっていないようですね(鍛錬しとけと言っておいたのにな、あのハゲはちゃんと聞いていたのか)」
「皇様、ナルバレック、一体誰なんですか?」
皇とナルバレックは林沖が感じ取った気配の人物を知っている口ぶりで話をしているので、シオンが誰なのか聞こうとするが、皇やナルバレックが答える前に保健室の扉が勢いよく開いた。
「皇ぃぃ~!!」
扉が開いたと同時に勢いよく皇に飛びつく人物がいた。シオンや林沖は飛びつく人物を警戒し、皇に近づかせないように行動しようとするが、二人の前にナルバレックが立ち、行動させずにいた。ナルバレックは飛びつく人物を知っているので警戒などはしていないのだ。
「おやおや、髪が長くなりましね小雪」
「うん! 僕ね、皇にいっぱい話したいことあるんだ。ねぇ、聞いて聞いて」
皇の胸元に抱きつき顔を擦りつけ甘える小雪を優しく抱き止めながら頭を撫でて上げている皇。撫でられている小雪は、もっともっと、と頭を動かしながら甘える。シオンと林沖は移動中の車内で聞いていた子なのだと判断した。
「それより今は授業中だと思うんだけど?」
今は授業中なので教室で勉強している筈なのだが、何故小雪がいるのか疑問に思った。その疑問に答えたのは小雪ではなかった。
「宇佐美先生が自習にして下さり「校内にいるならいいぞ」という許可を貰ったので此処にいるんですよ」
「冬馬くんか、久しぶりだね。なるほどね、巨人さんならあり得るね」
保健室の扉から入ってきた人物は皇と親しそうに話しかけてきた。皇自身も彼の事を知っており、小雪のことで色々と接点がある。
「わ、若、俺此処に来たくないんだけど」
「おい、ハゲ! ちょっと話がある来い!」
「ちょ、俺に触れるな、俺は何もやってないぞ!」
冬馬の後ろに居た人物、井上準も皇とは小雪関係で接点がある。保健室に現れて一秒もしない内にナルバレックに背後に回られ、強制的に連行されて行った。毎度毎度、ナルバレックにボコボコにされている準は彼女のことを嫌っている。
「準くん、ご愁傷様」
「ナルナル、準には本気で当たるもんね」
「八つ当たりですね」
皇も小雪も冬馬も見慣れた光景が見れたので笑みを浮かべていた。久しぶりの再会に酔いしれてると、さらに保健室に入ってくる人物達が居た。入ってきた人達は全員皇のことを知っている人物だった。
「兄上!」
「皇」
「兄貴」
まず皇のことを見つけて近寄ってきた人物は武士道プランメンバーであった。葉桜清楚は彼らよりも年上なのでこの場にはいない。
義経、弁慶、与一の三人は皇に近づくとすぐに体を確認した。小雪が抱きついている事など無視して、義経と弁慶は彼の体を念入りに触っていた。
「な、何で体中触るのかな?」
「だって、襲撃受けて怪我とかしてないか心配で」
「主と一緒で」
義経は涙目で彼の腕を触っていて本当に心配していたのが伺える。弁慶も皇の肩や腕を触っていたが途中からニヤニヤしながら色々な所を触っている。
「ありがとう、大丈夫だよ。従者の皆が守ってくれたから怪我一つないよ」
二人の不安を取り除こうと二人の頭を撫でながら落ち着かせた。二人共、素直に撫でる行為を受け入れ、涙目であった義経も徐々に笑顔になっていき、弁慶は気持ちよさそうに糸目で行為を受け入れていた。
「だから言ったじゃん~、ナルナルがいるから大丈夫だって」
「でも榊原さん、万が一があるだろうし」
「主は心配性だね(でも私も気が気じゃなかったから人のことは言えないね)」
「兄貴のことだから心配なかったけど、義経や清楚や姉「黙りな」……はい」
小雪は皇の近くには常にナルバレックがいるのを知っているから心配はしていなかったようだ。
義経は心配しすぎて皇のことしか考えていなかったようだ。何よりも義経は彼が傷つくのを物凄い嫌い、過去に自分自身の失敗で義経自身が怪我をしそうになってしまった時も皇がそれを庇い、掠り傷程度の怪我を負ってしまった時に泣きながら皇に謝ってきた経緯がある。義経自身もそのことをずっと根に持っている為に人一倍、皇のことを心配してしまっているのだ。そのせいか義経は皇に依存している。
弁慶も目の前で何もできないまま主である義経を泣かしてしまった為に責任を感じており、内心ではもう二度と主を泣かせはしないと心の中で誓っていた。そして何よりも自分達のことを大切に思っていてくれる皇を守ってみせると同じく誓っており、彼女も皇に依存気味である。
与一も義経の過去の件に関わっていないものの義経のことを大切に思っている。遠くからでも義経を守ってみせると与一は小さい頃から誓っていおり、めんどくさそうな態度をしているがやる時にはちゃんとやる男である。そして例えクローンであっても一人の人間として、一人の那須与一としてくれて見てくれた皇のことを兄貴と呼び、信頼し、尊敬している。
この場にはいないが義経達より年上の葉桜清楚は義経や弁慶以上に皇に依存している。彼女が初めて見た人、初めて声を聞いた人、初めて声をかけた人、初めて口にした名前、彼女の初めては全て皇が関わっていて、彼女の中で皇は酸素と一緒で、人が生きる為に必要な物であり、彼女はそれが皇になっているレベルの依存度だ。皇が九鬼極東本部にいる時は従者並に彼の近くにいる時間が長く、彼の仕事の手伝い、食事、お風呂まで一緒の時もあり、心の底から彼に依存している。皇も彼女の異常さを分かっているが、可愛い妹だと思いながら行為を受け入れ、可愛がっている。
「私もそんなに心配しませんでしたが、無事で何よりです」
「さっきぶりですね、マルギッテさん。来てくれたんですね嬉しいです」
「そ、そうですか、それより私と同じ年齢なんですから、さん付けしなくてもいいです」
小雪達や義経達との久しぶりの再会に嬉しそうにしながらマルギッテに笑顔で言葉をかけた皇であったが、本人のマルギッテにとって彼の笑顔を間近で見てしまって怯んでしまい、何時もの自分のペースに戻せないでいた。だが、マルギッテはずっと言えずにいたことを伝えられ、何よりも皇と出会ってから同じ年齢であるにも関わらず自分に“さん”付けしていることに違和感を感じ、やっとこの機会に言える事が出来たのだ。
「では、“マルギッテ”」
「はい、それでいいです。これからはそれでお願いします」
「苦労をかけるかもしれないけど、これからもよろしくねマルギッテ」
二人の雰囲気が出来上がってしまい、除け者にされている小雪、義経、弁慶などがマルギッテのことを、じぃーーっ、と見つめている。何時もの硬い表情が目立つマルギッテであるが、今はまるで恋する乙女のように初々しい反応を皇に見せているのが誰の目から見ても明らかであり――
「先程も話しましたけど、私の時間が取れるかが分からないのでメールや電話でデートの日程を決めましょう。いいですか?」
「はい、何時でも連絡してくれて結構です。どんな時でも貴方の電話なら出ますので」
「そんな大げさですよ。それよりドイツに居た時に私があげた服装で来てくださいね」
「あ、アレですか。私もあの服装なら大丈夫です。こちらにも持ってきているので何も問題はないです」
「気に入って貰えて何よりです」
照れていながらも皇との会話を続けるマルギッテは、ここでやっと小雪達の視線に気付いた。
「な、なんですか!?」
頬に熱が溜まっているのを取り除こうと頭を振りながら三人に話すが、一向に熱が取れずにいる。
「ねぇ、マルマル、デートって何かな?」
「マルギッテさん、義経にも詳しく教えてくれないか?」
「さっそく手を出すなんて早いじゃないかね、マル」
三人ともマルギッテに詰め寄り問いただす。流石のマルギッテも逃げ道がなく、半強制的に三人に囲まれ問われるのであった。
その微笑ましい様子を傍らで笑顔で眺めている皇に林沖やシオンが話し掛けてきた。
「皇様、彼女らは?」
「武士道プランメンバーやマルギッテのことは知っているね?」
「はい。私はマルギッテさんとは何度か手合わせをしたことがありますので」
「“猟犬”ですね。義経達とも何度か話したことはあります」
皇の問いに林沖とシオンは答えた。
林沖は欧州に居た時に皇の護衛でマルギッテと会っている。マルギッテが何度も皇との戦いを望んでいたので林沖が「私を倒してからにしろ」ということでマルギッテと戦っている経験がある。数回の手合わせし、全て林沖の勝利であった。
シオンは同じく欧州に居た時にマルギッテと出会っている。話したことは一度もないがマルギッテの異名の“猟犬”というのは覚えていた。
「小雪、冬馬くん、準くんは私が学生時代に出会って交流が会った子達だよ。でも小雪は私が小さい頃から知っている子でもあるよ」
林沖もシオンも皇と話をしている時に出て来たことがある名前であったのを思い出し、それが彼らなのだと確信した。言っていた特徴が一致しているからだ。
「兄者ッ!」
「おやおや、そんなに急いでどうしたのですか、英雄?」
息を切らしながら保健室に入ってきたのは、皇の弟の九鬼英雄であった。英雄の後ろからあずみが付いて来ていた。
「兄者の事が心配で急いで来たのですぞ」
「ははは、それは心配をかけましたね。でも私の実力や従者部隊の実力も知っているでしょ?」
「ですが」
心配している英雄に近づき、安心させるように英雄の頭に手を置きながら言う。
「心配しなくてもピンピンしていますよ。それより背が伸びてますね、男らしくなって格好良いですよ英雄」
「兄者」
久しぶりの兄の言葉と雰囲気に呑まれ英雄はそれに浸りながら懐かしんでいた。何時振りの再開であろうかと。
「さてと、立ってるのも疲れるし椅子を用意するから座ってくれ、林沖、紅茶を全員分お願い出来るかい?」
「承知致しました」
備え付けで色々と物を置いてある中からティーカップを用意する林沖、シオンもナルバレックも皇に指示される前にお菓子やテーブルなどを用意している。皇が動く前に全てを終わらせているこれが皇専属の従者では当たり前のことになっている。主人の手となり、脚となり、全てにおいて主が優先である。
久しぶりに会った面々との会話を楽しみながら授業の終わりの時間までたくさん会話を楽しんだ。
小雪も英雄も義経達も話したい事がたくさんあって話が途切れることがなく、皇はそんな面々を見ながら笑顔を常に浮かべて崩す事はなかった。
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自習の時間も終わりS組メンバーは教室に戻って行き、最後の授業を受けているようだ。
今は従者の三人しかいない保健室では、バルトメロイから送られてきた内政関連の資料のデータに目を通しながら、他の従者の現在の状況を林沖から報告を受けていた。
「世界中に散らばっている従者部隊諜報部の
林沖の報告を聞きながら皇は思った。
自分の元には優秀な人材が集まっているな、と。
皇が学生時代から今にかけて世界中を見てきて、そして人材の確保を怠ることは決してなかった。人種、性別問わず全ての人を受け入れることを誓っている皇にとって人の内心まで見抜くのは容易であった。時には九鬼という名声だけで寄ってきた人も居たが、皇が追い払う前に従者部隊の誰かが勝手に追い払っていた経験がある。
「ラストナンバーズ並びに番外組もこちらに来るという報告を受けています、が……」
「……? 林沖どうしました?」
スラスラと報告をしていた林沖の言葉が止まったのが気になり、彼女の表情を見てみると、なんとも言いにくそうな表情を浮かべているのがすぐに分かり、皇はなんとなくだが、林沖の表情の意味が分かっていた。
「なるほど、彼らのことですからね。何時来るか分からないんですよね」
「はい。彼らが何時来るか分かりません」
「別にいいですよ。彼らには自由行動を許していますし、それにそういう拘束ごとは嫌いな人達ですからね」
皇以外の面々は呆れて言葉も出なかった。
ラストナンバーズ、番外組も個性が強い面々が揃っているのを皇は知っている。
学生時代からの知り合いの者、自分自身で戦って勝った者、従者が戦って勝った者、いずれも強者、超人と言える面々が揃っている。そしてその全てを従えている皇はその中でも最強の位置にいる。定期的に皇に挑んでいる者もいるが彼に膝を着かせることは愚か、顔色一つ変えさせることができないでいる。
「全く困ったものdッッ――」
ナルバレックが溜め息をつきながら言葉を述べようとした瞬間である。彼女は咄嗟に黒鍵を抜き、何もない保健室の部屋の一辺に向かい戦闘態勢をとる。遅れながらも林沖もシオンもナルバレックと同様に武器を構えた。
「あら、流石は皇の従者の零番なだけはあるわね」
「私は皇に会いに来たんだ、お前も、お前らも邪魔だぞ」
何もなかった部屋の一辺の空間に突如として気配も無く、二人の人が現れ、それぞれ言葉を述べた。
一人は、黒色のドレスに赤色の装飾がされている服を纏った少女。
もう一人は、隻眼で毛皮のコートの中に黒の革の装束を着ており、鍔広の帽子を被っている少女。
「――レイチェル=アルカード、オティヌス、何故貴様らが此処に……」
戦闘態勢を解くことなく、言葉を二人に投げるナルバレック。
「皇に会いに来たのよ、悪い?」
「私もさっき言っただろう」
ナルバレックの言葉に対して当たり前のように答えるレイチェルとオティヌス、二人揃って遊びに来た雰囲気で皇のことを見ながら述べた。
「ナルさん、林沖、シオン、武器を収めてください」
椅子に座っていた皇は自分を守るように構えていた三人に声をかけ、構えを解かせつつ、来てくれた二人の為に席を立ち紅茶を用意してあげた。
「さぁ、どうぞ、紅茶を飲みながら話しましょう、レイチェル、オティヌス」
「ありがとう、皇。ヴァルケンハインが作ってくれたケーキがあるの、一緒に食べましょう。勿論、貴女もよ」
「私もバームクーヘンを貰ってきたから食べよう、勿論、お前もな」
手持ちに何も持っていなかった筈のレイチェルとオティヌスの二人の手には何時の間にか箱が現れていた。箱の中身は見ていないがとても甘く、美味しいそうな匂いがしている。
「ありがとうございます。林沖お願いします」
はい、と返事をして林沖は素早くケーキとバームクーヘンを食べやすいサイズに切り分け、三人に配り終え、すぐに皇の後ろに戻っていく。
二人が持ってきてくれたケーキとバームクーヘンを味わいながら紅茶を飲み、話を切り出す。
「ヴァルケンハインさんにお礼を言っておいて下さい」
「えぇ、分かったわ」
美味しく笑みを浮かべながらレイチェルにお礼を言いながら、レイチェルの隣で静かに食べているオティヌスに目を向けると一口一口頬を撫でながら美味しそうに食べている。見ているだけでどれだけ彼女が甘いもの好きなのかが分かる。
「さてと、で、今日は一体どうしたんですか?」
紅茶を飲み、カップを置いて話しかける皇。そんな皇に対して二人も皇のことを見て話しだした。
「今日も襲撃にあったのでしょう?」
「はい、やっぱり従者の数が少ないと何時も襲われますね」
「皇一人でも大丈夫だろ?」
「まぁ、怪我はしないと思いますよ」
今日あった事情を彼女らは当然のように知っていた。
「それでこれを持ってきたのよ」
レイチェルが書類の束を皇に渡した。
皇はその紙に書いてあることを見た後に驚きを隠せなかった。
「これは、本当ですか?」
「えぇ、その書類には貴方のことをよく思っていない組織の名前と人物の名前。貴方の管理である欧州でテロをしようとしている者の名前が書いてあるわ。信じるか信じないかは貴方次第よ」
レイチェルの言った事は確かであり、書類の束にはびっしりと名前が書いてあり、欧州だけではなく世界中の裏の組織などの名前が書いてあった。
「皇、その書類を見せてくれ」
オティヌスがペンを取り出し、皇から渡された書類に目を通しながら名前をペンで塗りつぶしながら見ていく。一通り目を通し、ペンで名前を潰したところで皇に書類を返し言った。
「ペンで潰した人の名前は、さっきまで私が潰してきた人だから」
さらっと凄い事を言ったオティヌスは紅茶を飲みながら何もなかったようにしている。
「半分以上の名前がないんですが?」
「だから潰してきた」
テーブルに肘をつきながら少しだけだらけていたオティヌス。
「うん、二人共ありがとうございます」
「気にしなくてよ、貴方は私の同盟相手ですもの」
「私はお前の物だ。好きに使っていいんだぞ」
レイチェルは表情変えることなく返答し、オティヌスも表情を変えることなく物凄い大胆な言葉を述べた。
「ふふ、私は帰らせてもらうわね」
「ありがとうねレイチェル。この借りは返すよ」
「そう、それは楽しみね。それと真祖の姫姉妹がこっちに来るみたいよ、特にアルクェイドは早く来るみたいよ」
席を立ち微笑みながら一瞬で消えていったレイチェル。
彼女が最後に言った言葉に従者の三人がピクッと反応していた。
「私にも借りが出来ただろ?」
「えぇ、お願いがあるなら何でも言ってくださいね」
「ふ~ん、じゃ――」
――子作りしましょう?
オティヌスの一瞬固まる皇であったが、それ以上に自分の後ろから一般人なら失神する量の殺気が出ているのが気になってしょうがなかった。
ここで答えを間違えるとこの部屋だけでは無く、学園自体に被害が及ぶ危険性があるので慎重に答えた。
「……保留で」
「そう、まぁいいわ。いつかお願いね」
皇に誤魔化されて怒るどころか、逆に嬉しそうにしているオティヌスは皇に近づいて彼の膝に乗り、真正面から彼に抱きついて首に手を回し、少し動くだけで唇と唇が触れ合うぐらいの距離に接近していた。皇の後ろにいる三人もその行動にブチキレそうになったものの皇が手で制しつつ、オティヌスが口を開いた。
「貴方の中にいるマルグリット・ブルイユは元気?」
「はい、マリィは今は私の中で寝ていますが元気ですよ」
「そう、あの子が元気じゃないなんて想像できないけどね」
「それは確かに」
すぐ近くにいる二人は微笑みながら語り始めた。
「私の野望を打ち砕いた皇とマリィは敵であったけど、今はとても大切な人よ。だから絶対に死なないでね。でないと――」
オティヌスの最後の言葉は目の前にいる皇にしか聞こえていなかった。そして皇が言葉を発する前にオティヌスが皇の口を塞いでいた。触れるだけのキスの後にもう一度キスをする皇が素直に受け入れたことにオティヌスはとても幸せそうであった。
「今度は一緒に何処かに出掛けましょう」
「えぇ、是非」
「ありがとう、じゃあまたね」
オティヌスもレイチェルと同じように一瞬で消えて言った。
二人が消えた後に皇はもう一度書類に目を通してため息を漏らした。
「ナルさん、これを欧州にいるオズワルド爺とナルさんに、あと懲罰部隊の美哉にも連絡をお願いします」
背後にいるナルバレックに指示をする皇であるが返事がないのに気付き振り返ると不機嫌そうな表情を浮かべている三人がいた。目の前で敬愛している主がキスをしていたら怒るに決まっている。
「あ、え、えっと、怒ってます?」
「「「はい」」」
「あははは」
三人とも怒っていてどうしようか考えながら、ここで一つ策を使った。
「キスします?」
「「「します!」」」
可愛い従者の為に一肌脱ぐ皇であったが予想以上に三人とイチャイチャしてしまい、書類の報告が遅れてしまったのは反省点だったと思いながら放課後に来るであろう。妹と弟と知り合いの面々を待っているのであった。
大変お待たせいたしました。
マジ恋の方をやっと更新できました。
就活の方も一段落したので、小説を書くのに集中できる時間が増えると思うので、他の作品もじゃんじゃん書いていくつもりです。
※名前が分かっている人物だけです。
従者部隊
零位:ナルバレック
1位:バルトメロイ・ローレライ
3位:黒神めだか
5位:四楓院夜一
8位:十六夜咲夜
9位:グレイフィア・ルキフグス
11位:シオン・エルトナム・アトラシア
12位:織斑千冬
14位:神裂火織
21位:ミカサ・アッカーマン
28位:楊志
30位:リーズバイフェ・ストリンドヴァリ
31位:斑鳩
34位:詠
37位:黒神くじら
45位:小鳥遊十花
56位:セラフィム
60位:史進
90位:楠木 南月
118位:ハルカ・ミナト
190位:黒神真黒
256位:篁唯依
987位:香月夕呼
ラストナンバーズ
990位:比古清十郎
991位:蒼崎橙子
992位:セルベリア・ブレス
993位:蒼崎青子
994位:ローラ=スチュアート
995位:呂布 奉先(一騎当千)
996位:マティルダ・サントメール(灼眼のシャナ)
997位:大道寺
998位:湊斗光
999位:篠ノ之束
番外組
1000位:《真祖の姫君》アルクェイド・ブリュンスタッド
1001位:《悪平等》安心院なじみ
1002位:《妖怪の賢者》八雲紫
1003位:《輪廻転生》マルグリット・ブルイユ
1006位:《不死に囚われた魔術師》レディリー=タングルロード
1007位:《怪異殺し》キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
1009位:《第2の精霊》四糸乃
1010位:《第3の精霊》時崎狂三
1012位:《第5の精霊》八舞耶倶矢・八舞夕弦
1013位:《第6の精霊》誘宵美九
1017位:《冥界のネクロマンサー》ユークリウッド・ヘルサイズ
1018位:《サラスヴァティー・メルトアウト》メルトリリス
1019位:《ブリュンヒルデ・ロマンシア》パッションリップ
1020位:《月の女王》BB
???:《全人類の欲》殺生院キアラ
懲罰部隊
No.01:美哉
???:フミ・ヒメノ
同盟
《アルカード家の現当主》レイチェル=アルカード
《魔神》オティヌス