姫華3兄妹の日常   作:月夜(白夜)

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下校

 クラスで行わられている自己紹介。初対面の人の顔を一人一人見れるのは貴重か時間ではあるが正直あんまり得意ではない。

「次は姫華卯月さん」

「はい」

 順番が回り席を立った時に廊下から風が吹き込み長い金髪が大きく靡いたせいで隣にいた男子生徒の顔を掠めてしまった。

「あぁ、ごめんなさい」

 顔を覗きむように謝ると向こうは顔を赤く染めて曖昧な返事をする。まぁ、いいかな。そのまま教壇へと登り半開する。

「姫華 卯月です。趣味は料理です。よろしくお願いします」

 頭を下げて歓喜する気持ちを沈めたいが心からこう思った……。奇跡だ……! 最後の言葉を噛まずに喋れた事に! これは香月に自慢できるが、その前に教壇から早く戻らないとね。

 頭を上げて行きよりも早足で自分の席に座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 自己紹介の後は簡潔な先生の話を聞いてその日は終わりとなった。中身の入ってない軽い鞄を肩に掛けると誠也が肩を組んでくる。

「よーし帰ろうではないか親友よ」

「はいはい、卯月の所に行くぞ」

 そのまんまの形で廊下に出ると一際目立つ生徒がいる。まぁ卯月なんだけどね……。そのまんま近づくと横から出てきたチャラ男が卯月を壁に追い込ませて手を付いて、金髪に触れる。その瞬間に俺は怒りが沸き上がる。

「あの野郎……何してんだ?」

「お、落ち着け香月。殺気が溢れてるお前ならここから呼ぶだけで卯月ちゃん飛んで来るだろ」

「そうだけどあれは別だ。人の妹に勝手にしかも何卯月の髪に触れてんだよ」

 徐々に近づくと拳を強く握り締めて肩が小刻みに揺れているのが分かる。卯月が不安と恐怖に戦っている証拠だった。俺はチャラ男と卯月の間に無理矢理割り込む。

「帰るぞ卯月」

「か……香月!」

 俺の顔を見て胸に顔を押し当てる。まぁ構わんのだが場所を少し考えて欲しい。当然回りの生徒の小さなガヤが聞こえる。

「あれ、男装少女か?」

「いや、でも制服見ろよ。俺らと同じだぜ」

「待て待て、あんな男いるわけないだろ。身ぐるみ剥がして調べないとな」

 あー、鳥肌が止まらない。ていうか男装少女なんていないだろ普通によ、回りの反応にイライラする。この場から離れないとストレスが過剰に溜まる予感しかしないために卯月の手を引いて誠也の所に戻ろうとしたときだった。

「おいおい、なに人の邪魔してんだよ?」

 今度はチャラ男が俺の肩を掴み振り向かせる。

「ああ? 邪魔はテメーだろうが今から帰るっていうのに人様の妹に鼻の下伸ばしながら勝手に触れてんじゃねぇよ。家の妹様はチャラ男属性は嫌いでねそれが分かったら早く黒髪にでも染め直せ。似合わないんだよ」

「テメェこそ金髪チャラ男じゃねぇかよ!」

「これは地毛だ! 行くぞ卯月」

「う、うん」

 半ば強引に手を引っ張りいつの間にか集まってたギャラリーの間を通り過ぎていき誠也を連れて学校を出る。

 若干のイラつきが余り地面に転がる小石を蹴飛ばす。

「ま、まぁイラつく理由は分かるが落ち着けよ」

「はぁ、なぁ誠也。俺何でお前と同じ制服着てるのに性別疑われないといけないのか理解に苦しむ」

「まぁしょうがないよ。卯月ちゃんと美月ちゃんの兄なら美顔間違いなしだからさ」

「顔を似ていると思われるのは嬉しいが性別を疑わられるのが腑に落ちない」

「でも同性から見ても香月の顔は嫉妬するよ?」

「卯月までやめてくれよ」

「ごめんね」

 三人仲良く他愛ない話をしていると家に到着する。誠也は一つ区が違うためここで別れとなった。

 玄関に入ると既に美月の革靴が並べられていた。扉の開閉音に気づいたのかリビングからとたとたと軽い足音が聞こえる。

「おかえりお兄ちゃん、お姉ちゃん」

 扉を開けて頭だけを覗かせる妹の可愛さについつい頬が緩んでしまう。

「ただいま美月」

 俺と卯月は被るように返事をしてリビングへと入る。

「クラスどうだった?」

「びっくりよ、香月と別クラスだよ」

「ほえー、初めてじゃん」

「美月は紗希とはどうなんだ?」

 紗希とは誠也の妹であり、美月とは大の親友の仲で幼少期から一緒にいる時間が多かったために双方の家族写真によく写っていた。

「勿論おんなじー、まぁ多分学校がそうしてくれてると思うんだけどね」

 少し目を伏せて美月はあまり好きではない地毛の銀髪を指で撫でる。その横顔は明るくはなかった。そう、美月だけが姫華家で唯一銀髪だった。

「美月……」

「いいのお兄ちゃん。もう中3だからみんな知ってることだし、それよりお姉ちゃんいつもの頂戴!」

「おお、俺も希望」

「しょうがないねぇ、ちょっと待ってて」

「「イエーイ」」

 美月と両手でハイタッチをして定位置の椅子に座って待つこと数分、キッチンから香るのはコーヒーの香りと紅茶だった。

「はい、いつもの」

 俺はミルクティー、卯月はブラックコーヒー、美月はカフェオレが目の前にある。学校から帰ったらまず卯月が炒れてくれる紅茶、コーヒーを飲むことが俺達の日常だ。

 四月となれば陽気な日射しが部屋の中を照らし、ホットを飲むには少し暑いがアイスよりかは飲める時期まではホットで飲み続ける。息を吹き掛けて啜る。

「ふはぁ……旨い」

「ねぇ、お姉ちゃんの淹れるカフェオレって店のレベル越えてるよ」

「ありがとうでも落ち着いてるところアレなんだけどー……。今晩の食材は冷蔵庫にのこってなーい」

「まじか、なら買いに行きましょうかね」

「よーし、なら私も行く!」

「なら飲み終わったら行こうか」

 そうと決まれば飲み物を飲むスピードも上がっていく。因みに生活費やら色んな経済面の事は親の仕送りで賄っているんたが毎回量が多過ぎて困る位だった。コップを手早く片付けて金庫からお金を取り出してスーパーに出かける準備をした。

 制服からジーパンとシャツに薄いベストを羽織り下の階に降りると二人は既に靴を履いて待っていた。

「美月日焼け止めは塗ったか?」

「バッチリ!」

「そし、まだ慌てる時間じゃないしゆっくり行こうか?」

「「おーう」」

 妹二人の返事を聞いて家の鍵をツーロックしたことを確認して近所のスーパーを目指した。

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