あの話を聞かされたのは美月が小学生に入学する前の話だった。
急に母さんが神妙な面持ちを見せながら俺と卯月を自室に呼んだ。一言目から俺と卯月は困惑したのを今でも覚えている。
(美月の髪色と肌に違和感を感じたことない?)
よく分からない質問だった。俺も卯月も困惑はしたが、今更気にする事はなかった。これまで一緒にしてたし可愛い妹だったから、それでも母さんから聞いた言葉に俺は驚愕していた。
「美月はね……病気なの」
先天性白皮症、世間ではアルビノと呼ばれるものだった。
先天的なメラニンの欠如、欠乏で遺伝子変異が原因と言われ治療法は見つかってないと言われている。
それでも関係無かった。俺達にとって美月は可愛い妹だから、それに苛める輩がいれば俺は全力で守ると母さん誓ったが、それでも美月へと目は冷たかった。
目立つ白い肌に髪色はクラスのイジメのターゲットとされる。それでも美月は必死に耐えた。分かって貰おうと必死に声を上げるが誰も耳にしなかった。
そんな美月の横には親友の紗希がずっと昔からいた。
彼女の助けもあり、美月は中学も楽しそうに生活している。紗希に感謝しないといけないな。
「ちゃーん? お兄ちゃーん? 早く帰ろー」
回想から美月の声で戻される。どうやら自然と足が止まっていたようだった。袋を肩に掛けて手を振る二人の妹の元まで走った。
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家に帰ってからはスーパーで買った物を片付け終えて別々の行動を取った。卯月はスーパーのチラシを見て、美月は自室に戻り勉強をした。
特にやることもなく取り残された俺も自室に戻りベッドに飛び込む。
これから楽しみな高校生活は楽しみ過ぎて早く明日が待ち遠し感じだった。しかし、何もしないと時間が過ぎるのが遅いためになんとなく勉強机に向かい、配られた教科書を眺めていいると扉からノック音がする。
「どーしたー!」
「お兄ちゃん、今入ってもいい?」
「おう、いいぞー!」
胸に数学のノートを抱いた美月が入ってくる。
「分からない所でもあるのか?」
「うん、ここなんだけど……」
見せて貰ったノートのページは端からまで綺麗に使われており、ニガテ克服のために必死に勉強しているのが分かる。
「教科書あるか?」
「あ、持ってくるよ」
その間に美月が解いている問題を見つめる。内容は連立方程式だった。確かにこれは美月にとっては難解だなと思い、ノートを取り出し同じ問題を書き移す。
「お待たせ、持ってきたよ」
「おう、サンキュー」
久々に見た連立方程式の公式を確認すべくページをめくり、一つ一つ美月に教えていく。
「試しに問題を作るからそれ解いてみな。終わったら俺か卯月に見せればいいよ」
「うん、ありがと。近くに先生がいるとホントに助かる」
「いつでも聞いていいからな、割と中学の問題って高校でも出るって言うらしいから俺も復習がてら出来るでありがたいよ。今日は数学か?」
「うーん、取り敢えず得意なのは後回しって言い方悪いけどそうしてニガテな数学と科学を復習していこうかなって」
「そうか、復習に囚われずこれからの授業も頑張れ、俺も卯月も応援してるからな、一緒に通おうな」
俺は頭を優しく撫でると美月は微笑みながら元気な声を出す。
「私、絶対に合格するから待っててね一年間」
「あぁ、待ってるよ。早く美月の制服姿見たいからな」
「まっかせといて、ありがとお兄ちゃん」
「おう、頑張れよ」
美月は軽い足取りで俺の部屋を出ていく。さてとやることねぇなと思い机に伏せて目を閉じると俺はいつの間にか眠ってしまった。