失敗作だけど白い特等みたいになれたらいいなー IF 作:九十九夜
この作品は下品です。大切なので二回言いました。
それでもよろしければどうぞお読みください。
かのウルクを治める半神半人の王ギルガメッシュはその玉体を黄金の鎧で包み、朋友であるエルキドゥとともに神々の所有する森に足を踏み込んでいた。
「ふん、何が幾重にも張られた強固な結界か。ただの粘土版とそう変わらんではないか。」
勿論それは番人フンババを倒し、木材を得るため・・・ではなく。
「ニャー(ギルが投げた結界崩しの宝物のせいだと思うよ。それ)」
ギルガメッシュの肩に乗せられた緑の長毛の美猫。もといエルキドゥが猫になって帰ってきたのが始まりである。
最初はギルガメッシュも周囲も、そしてエルキドゥ本人さえもがどんなへまを踏んだらそんな姿になるのかと笑い話にするくらいで済んでいた。が、しばらくして問題が発覚する。
ある日のこと。流石に猫と人間とでは意思の疎通が難しいので人の姿を取ってくれとある巫女が進言した。
確かにそれもそうだと思いエルキドゥがいつものように麗人の姿を取ろうとした・・・のだが。
「ナウ?(あれ?おかしいな)」
「どうかしたのか?友よ。」
「ニャー(形を変えられない)」
なんとエルキドゥの姿が猫に固定されたまま変容することが出来なくなってしまっていたのだ。
どころか日に日にエルキドゥはその所作が人間のものから徐々に元の獣だった頃へと移行しつつある。
流石に不味いと思ったギルガメッシュはエルキドゥに何があったのか子細を聞き出した。
「ニャー。ニャニャー。(確かあの日はフンババに会いに行って・・・ああ、見たことのない獣に泉に放り投げられたんだ。)」
それからねー親切な女の子に会ってーご飯貰ったんだよーとくああと欠伸をしながら日向ぼっこをする友を尻目にギルガメッシュはがばりと立ち上がって控えていた重臣に言い放った。
「これより我は国を離れる。故に後のことは任せたぞ。何、ほんの数日で戻る。」
行くぞ、エルキドゥ。と尚も日向ぼっこを続ける友を自身の肩に乗せると宝物庫から取り出した黄金の玉座に乗って森を目指し、今に至る。
「さて、エルキドゥよ。お前がそのよくわからん獣に会ったのは此処か?」
「ナウ。ニャニャ。(そう。それよりもギル。後ろ後ろ。)」
「なんだ」
ギルガメッシュが後ろを振り返るとそこには大きな濡れた鼻にその横に生え揃った髭。そして大きなネコ科特有の裂けた口があった。
既に至近距離に謎の獣・・・ヴァジュラが待機していたのだ。
ギルガメッシュが武器を打ち出すのよりも早く獣が動いた。
「きさっお゛えっ」
動いたというのも正確ではないのかもしれない。
なんせこの獣。その場で軽く、あくまでも軽く息を吐いただけである。
ただしその息は前の食事からかなり時間を空けていたため殺人級の臭さではあった。
その臭さにたまらずギルガメッシュも胃の内容物を嘔吐しかけたが寸でで踏みとどまった。
寸でで我慢できた我偉いっと涙目でえずきつつもギルガメッシュが内心で自分を褒め称えると・・・更なる絶望が文字通り降りかかってきた。
「げ、ゲボオオオっ」
なんとあろうことか目の前の獣が先に嘔吐した。
それもそのままの体勢で。
結果その吐瀉物はそっくりそのまま目のまえのギルガメッシュに降り注がれる。
声にならない絶叫を上げてギルガメッシュは気絶した。
「にゃー?(おーい。ギル。大丈夫?ギル、ギルったら。)」
端で見ているだけだったエルキドゥがなるべく吐瀉物を避けるようにしてギルガメッシュに近寄る。
残念ながら返答は返ってこない。
「ニャニャー?(君も大丈夫?拾い食いでもしたの?)」
そんなエルキドゥの言葉に獣は低く唸るように答えた。
「ギャウウウ・・・ヴォエ(すんません。自分この見回りが初任務なもんで・・・緊張しちまって・・・すまねえ兄さん方。今洗い場まで案内するんで。)」
そこで案内された泉は以前エルキドゥが落ちた泉であった。
そこに少々乱暴ではあるがギルガメッシュを投げ入れると数分後、まだ吐瀉物濡れで完全ではないものの恐らく金色らしき猫が水面に浮かんできた。
(親切心だったんだ・・・あれ。)
確かにネコ科動物らしき彼らが浴びても姿は変わらないのだろうし、泉そのものは恐ろしいほど澄んでいる。
そこを鑑みても絶好の洗い場なのだろう。
恐らくエルキドゥを落とした時だって彼らには悪意も敵意もなかったのだ。
単に汚れていたから綺麗にしようとしてくれただけだったのだろう。
「ギャオオ・・・(後は姐さんがなんとかしてくれると思うんで・・・)」
呼んできます。と言って獣はその場を離れた。
その数分後、到着した少女はエルキドゥを見つけるとその顔を輝かせた。
「あら。また遊びに来てくれたの?お友達も一緒って聞いたけど・・・え゛っ」
吐瀉物にまみれた金と茶色が大体3:7くらいのまだらの猫を見て少女が固まった。
「え?え?どうしたのこのこ?廃棄物処理場から拾ってきたの?それとも一回胃に入って排泄された感じ?」
酷い言われようだが当たらずも遠からずのためエルキドゥはただ一言ナウと鳴くに留めた。
これが、後の世でかなり改変されて脚色もされているものの正真正銘の彼らと彼女の出会いである。