もう少しで原作1巻が終わりそうです。
早くあのシーンを書きたい・・・・。
それでは本編をお楽しみください。
「必要ない」
その声は、怒りでも、憎しみでも、悲しみでもない。
全ての色を失った、虚ろな声。
ほんの数秒だけ、周囲の空気が凍てつくような感覚にルクスとレイは襲われた。
「よく言われるよ。機竜開発の技術力も、校内戦での成績も、王女として誇らしいものだとか、素晴らしい成果だとか、そのことで王都に呼び出される度に、わたしはうんざりしていた」
それを聞いた二人は、
「「どういう・・・・・・、ことですか?」」
「その前にわたしの問いに答えてくれ。ルクス、レイ。
王女とは、なんなんだ」
たった一言の、簡単な疑問。
だが、それに対する答えを、二人は返すことができなかった。
「クーデターを起こしたわたしの父、アティスマータ伯は、その時に受けた傷により新王国の王座に座ることなく死んでしまった。
だが、その名前だけが残り、わたしの叔母である、ラフィ女王が国を継いだ。
そしてわたしは、亡き英傑の忘れ形見として、新王国の王女という座に就いた。
わたしはただ、「王女」というなの、ただのにんぎょうにすぎないんだ」
「「そんなことは・・・・・・・」」
「だが、国民はありがたがって、私という偶像を称えるんだよ。
面白いだろ?笑える話だ。
旧帝国が散々圧政を敷いてきたからな。
代わりとして、私に王女らしい、立派な人格者であることを強要するんだ。
それができなければ責め立てる。
お前には責任がある、逃げるな、使命を果たせと、訳のわからない事を言ってくる」
「・・・・・・・・・・・・・・」
レイは下を向き、ルクスはリーシャを見ていた。
リーシャは立ち上がり、ベランダに出て、ルクス達の方に振り返った。
月明かりに照らし出されたリーシャの顔を見たルクスとレイは恐怖を覚えた。
普段のリーシャからでは、想像できない表情をしていた。
その表情を言葉で表すならば、
―――絶望―――
そして、リーシャはその表情のまま話し出した。
「なぁ、教えてくれよ。ルクス・アーカディア、レイ。
私に正しい王女の在り方というものを、帝国を滅ぼされた王子のルクス、帝国兵でもあったレイ。
そのお前達が教えてくれ」
「・・・・・・・僕には答え――――」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
二人は答えられなかった。
「私に押された烙印を、覚えているか?二人とも?」
リーシャが光無き瞳をルクスとレイに向けて、乾いた笑みを浮かべて言う。
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
「国民の大半は父を賞賛した。帝国を滅ぼした歴史に残る英雄なのだと、父はクーデターが起きる何年も前から、帝国と対立していた。その方針に異を唱えていた。当然、帝国側の人間から恨みを買った。
その息女が誘拐されるなど、珍しくないほどに――」
「・・・・・まさかっ!」
「・・・・・・・・・・」
ルクスがその想像に至ったとき、リーシャはふっと笑った。
「そう、わたしは旧帝国に捕らえられていたんだ。
五年前のあの時にな。
わたしは父に見捨てられ、この烙印を押された」
「「・・・・・・・・・」」
「実際、父は英雄だったんだろうな。あの旧帝国を倒すために、父は全ての力を注いでクーデターを計画していたはずだ。
わたしひとりの命なんかで、全てを台無しにするわけにはいかなかったんだろう。
私は父に見捨てられ、伯爵令嬢でもなんでもなくなった、わたしは牢屋で自害することを考えたが、怖くてそれすらもできなかった」
涙を流しながら、語ったリーシャ。
「だがそんな私を助けてくれた者がいた。
奴は名をゼロと言った。」
(‼・・・・やっぱりあの時の牢屋にいた女の子がリーシャ様だったんだ!)
「私はゼロに殺してくれと頼んだが、奴は怒り、私に生きろと言って鎖を壊し何処かに行ってしまった。
わたしは嬉しかった、こんなわたしに生きろと言ってくれる者がいてくれる事に」
(それってレイのことなんじゃ・・・)
ルクスはレイの方をチラッと見た。
レイはぶつぶつと何か、考えことをしながら呟いていた。
「レ、レイ?どうかした?」
「ん?あぁ、いやなんでもない」
「・・・・・、お前たち‼わたしの話を聞いているのか‼」
「「は、はい!ちゃんと聞いてます!」
何時の間にか、普段のリーシャに戻っていた。
「この時代では、
全てに
わたしが強くなることが、ある意味、国のためになる」
「確かにそうですけど・・・・・」
「ルクス、レイ。わたしはな、自分が何者なのかを知りたいんだ」
「わたしは誰にも負けない最強の
異論はないな、ルクス、レイ?」
「異論って・・・・・、もう決めてるんじゃないんですか?」
「出来る女は決断も速いんだよ」
リーシャは得意気に笑う。
「「あはは・・・」」
「まずは学園内の小隊対抗戦。それに勝利した後―――
次の戦いに臨む。各国代表との、校外対抗戦だ」
「「校外対抗戦?」」
聞き慣れない言葉に、ルクスとレイが首を傾げると、
「なんだ、知らないのか?色んな所で雑用をしていた割には世界情勢を知らないんだな?よし、良いだろう!
わたしが直々に教えてやろう!現在、この新王国では、いつ起こるかもしれない、三つの危機があるんだ」
一つ目の危機は、クーデター後に潜伏している、旧帝国軍の反乱軍。
二つ目の危機は、
三つ目の危機は、
「新王国が誕生したとはいえ、旧帝国の残党がまだまだ残っている。
帝国を支持していた
協力する組織を得て、今なお―――武力による政権の奪還を狙っているんだ」
実際、旧帝国の反乱軍は、現在の新王国の正規軍より、その数は多いとも噂されている。
ただ、ここ数年間、その姿を見せていないだけで。
「・・・・・・」
「そんなこと、させはしない。新王国に牙をむくなら、誰であろうと僕が敵を全員殺す」
レイの方から何か聞こえたルクスは、
「レイ、何か言った?」
「ん?なにも言ってないよ?」
「おい、話の続きをしていいか?」
「「お願いします」」
リーシャは咳払いをして、
「次に―――、
分かってることは、
だが、それには多くの危険が伴う上に、
「そして―――、三つ目が各国との縄張り争いだ」
何処の国の領地か曖昧な場所の
そこでひとつの協定が結ばれ、各国での「
「じゃ、じゃあそれまでに僕たちは」
「あぁ、わたしは対抗戦までに最強の部隊を揃えたいんだ。
そのために、わざわざ、お前達を学園に入れ、「
リーシャは頬を膨らませている。
「いや、その・・・・・。気持ちはよく分かりますが、僕はその、防御しかうまくないし―――」
「攻撃の練習をしろ!」
リーシャに指をさされて、怒られるルクス。
「だいたい、あれだけの攻撃を避けられるんだから、攻撃の経験さえ積めば、お前はわたしの見込み通り、「
顔を赤くしているリーシャを見てレイは、
「僕はじゃあ、リーシャ様が改造したあの機竜を扱えるようなればいいですよね、リーシャ様?」
「う、うむ。そうだな」
「それじゃあ、僕は今からそこら辺で機竜を使って、訓練してきます」
レイは、足早に部屋を出た。
「と、とりあえず、ルクス。お前の課題はそれだ。
わたしの護衛として、特別に「
「えぇっ!」
「攻撃はできないが、やられない
まぁ、要するに、わたしの盾として活躍してほしい」
「それはちょっと、酷いんじゃないですか?」
色んな意味で酷い。
「―――それより、お前が持っているもう一本の
「こ、これはちょっと・・・・・」
ふいに目を光らせるリーシャを見て、ルクスは慌てて、
「どうかしたか、ルクス?」
「これは一応・・・・・。僕が厳重に管理しなさいと女王陛下に言われておりますので・・・・」
「なんだよー、ケチー。見せてくれたって良いじゃないか」
不満げに、リーシャは口を尖らせる。
「そうゆうことなら、後で女王陛下に許可を貰っておこう、それまでお前がしっかり責任を持って、その剣を守っておけ」
「分かりました・・・・・」
「どうした?具合でも悪いのか。疲れているなら横になった方が――」
「いえ、大丈夫です」
「ならいいんだが・・・・・、じゃあまた明日な、ルクス」
リーシャは、ルクス達の部屋を出た。
「・・・・・・・・はぁ」
そうして、ルクスはベッドに寝て、考え事をしたのち眠った。
一方その頃、レイは中庭に一人で星空を見上げていた。
(・・・・・・、今のままじゃ僕は誰も守れない。強くならないといけないんだ。この国にいる人々と、
そして、レイは訓練を開始した。
―――――――――――――――――――――――――
太陽が昇りはじめた頃、レイは訓練を終了した。
「はぁ・・・はぁ・・・もう朝か、今日はこのくらいでいいかな。また、明日も練習しない―――」
ゴオォォオオオォォン‼
「な、なんだぁ!?」
突然、一番街区の時計塔から、大きな鐘の音聞こえてきた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
訓練をしたレイは、リーシャが改造した機竜を扱えるようになったのか!?
それではまた次のepisodeで。
次回、「episode19 黒き竜と青き竜 前編」
「お前はルクス達の敵だ。だから・・・ここで死ね」