最弱無敗の神装機竜と機竜喰いの道化師   作:クステラ

20 / 20
クステラです。
オリジナル幻神獣(アビス)を出したのはいいけど、どういう展開にするかで悩んでいて、間が空いてしまいました。
申し訳ございません。
また、間が空くかもしれませんが、気長に待っていてください。

それでは、本編をどうぞ

(誤字、脱字がありましたらご報告下さい。
それと今回は長くなるので、「前編」と「後編」に分けました。本当に申し訳ございませんm(__)m)


「episode19 黒き竜と青き竜 前編」

ゴオォォオオォン!ゴオォォオオォン!

 

「この音は一体・・・・!?」

 

時間を告げる音では無いのは確かだ。

しかし、レイは嫌な予感がして、

 

「一旦、部屋に戻るか」

 

レイは中庭を後にした。

部屋に戻ると、ルクスの他にリーシャ、クルルシファー、フィルフィ、三和音(トライアド)の三人、それにアイリまでもが、ルクスとレイの部屋に集まっていた。

 

「うおっ!?み、みみみ皆さんこんなところに集まってど、どうかした―――」

 

「おお、レイ。丁度良いところに来たな。それでは皆、急いで格納庫に向か――」

 

どこかに向かおうとしているリーシャを引き留め、

 

「あ、あのー、リーシャ様?この鐘の音は一体なんですか?」

 

「ん?あぁ、これはな敵の襲来を告げる鐘の音だ。急げ、レイ、お前も一緒に行くぞ」

 

「っ!分かりました・・・、すぐに準備します」

 

レイは壁に立て掛けてあった機攻殻剣(ソード・デバイス)を腰に差し、行こうとするが、

 

(・・・・・・・一応持っていくか)

 

そう言うとレイは()()()()()()()機攻殻剣(ソード・デバイス)を持ち、道化師の仮面を被り、リーシャ達と共に格納庫に向かった。

城塞都市クロスフィード、第四機竜格納庫。

ルクス達は、装衣を着用していた。

ルクス達の前にライグリィ教官が立ち、

 

「よし、全員揃ったな。では、諸君らに現在、どういう状況か説明する」

 

警鐘の理由は幻神獣(アビス)の出現。

機竜使い(ドラグナイト)の報告では、大型の固体、一体らしい。

城塞都市から遺跡(ルイン)の間には、三つの砦があるものの、既に砦が二つ突破され、事態は急を要するとの話。

 

「現在の第三の砦に常駐(じょうちゅう)している警備部隊の機竜使い(ドラグナイト)数名が、幻神獣(アビス)の討伐に向かっている。

しかし、敵は大型であるため突破され、城塞都市にまで被害が及ぶ可能性がある。

我々も迎撃部隊を編成し、戦闘に備える。

各自、準備整え待機していろ」

 

いつにもなく真剣な声音でライグリィ教官がそう告げ、話は終わった。

既に、王都にも救援要請をしているとの説明もあったが、

 

「王都に救援要請なんて無意味な事なのに・・・・・」

 

「「え・・・・?」」

 

格納庫の壁際に佇んでいたクルルシファーの呟きに疑問を感じたレイは、

 

無意味ってどういうことですか?クルルシファーさん?」

 

「王都からの応援なんて、期待できるものでは無いということよ」

 

「おいおい、クルルシファー。ストレートに言い過ぎだぞ」

 

ふいにやって来た三和音(トライアド)のうちの一人、シャリスが苦笑いしながらそう言った。

 

「・・・・・まぁ、事実だから仕方無いんだがな」

 

「どうして王都からの応援が期待が出来ないんですか?」

 

「なんだ知らないのか、二人とも?わたしは、てっきりこの国の軍事情勢について、知っていると思ってたんだが」

 

「要するにー、人手が足りないんだよ」

 

傍にいたティルファーがそう補足する。

 

「yes、ここが普通の都市ではないことは、ルクスさん達もご存じのはずですが?」

 

ノクトも言葉を添えるとシャリス達、「騎士団(シヴァレス)」の三人はゆっくりと扉の方へ、歩いていく。

 

「三人とも、どこへ行くんですか?」

 

ルクスの問いにシャリスが答えた。

 

「我々は、騎士団(シヴァレス)だからね。

有事の際には率先して出張らないといけないのさ。

まぁ、騎士団(シヴァレス)に所属すれば、確かに厚遇が受けられるが、そのほとんどは危険を伴う任務なのだがね」

 

シャリスの言葉に補足をするようにノクトが、

 

「yes、それに今は軍の機竜使い(ドラグナイト)のほとんどが出払っているため、幻神獣(アビス)に対抗出来る戦力が少ないのです。

なので私たちが行くしかないのです」

 

そして、格納庫から三人は出ていってしまった。

おそらく、演習場で機竜を纏い、幻神獣(アビス)の討伐に向かうのだろう。

 

「ルクス、レイ。それじゃあ、行ってくるぞ」

 

ルクスとレイに話しかけてきたのは、装衣を身に纏ったリーシャだった。

大型の幻神獣(アビス)の襲来。

緊迫した状況のにもかかわらず、リーシャの表情にはどこか余裕があった。

 

「お気をつけて、リーシャ様」

 

「気をつけて」

 

「わたしは全然平気だぞ。わたしは神装機竜を使えるからな、簡単には負けないさ。

しかし・・・・・、お前たちと一緒に行けなくて残念だよ。

わたしが立てた戦術で、大型の幻神獣(アビス)などあっという間に倒してやるというのに」

 

昨日、落ち込んでいたことなど無かったように、リーシャは二人に笑顔を見せる。

格納庫から、「騎士団(シヴァレス)」のメンバーはいなくなり、残ったのは、クルルシファー、フィルフィ、ルクス、レイの四人だけである。

どうやら、神装竜を使えるフィルフィは城塞都市の防衛のために残るようだが、他の機竜使い(ドラグナイト)は全員、幻神獣(アビス)討伐のために出撃していた。

 

「ねぇ、ルクス」

 

「どうしたの、レイ?」

 

「ちょっと用事があるから少し席を外す」

 

「分かった」

 

「すぐに戻ってくるから」

 

レイは格納庫から出てある場所に向かった。

 

一人になったルクスは辺りを見回すと、壁に寄り掛かるようにして立っていたクルルシファーの姿があった。

 

「クルルシファーさんは、討伐しに行かないんですか?」

 

「わたしのような他の国からの留学生には、学園(アカデミー)の校則で独自の戦闘基準が定められているのよ」

 

クルルシファーは表情を変えず、語り続ける。

 

幻神獣(アビス)との直接戦闘には、わたしが関わる理由はないのよ。協力するのは自由なのだけど、わたしが手伝えば、わたしの国からは何を言われるか分かったものじゃないから、そうするつもりはないわ」

 

クルルシファーは北の大国、ユミルからの留学生。

機竜の技術と知識を学ぶことが目的なら、他国の危機に率先してして戦い、命を失うことなどもってのほか、ということなのだろう。

つまり、「騎士団(シヴァレス)」の一員で、尚且つ神装機竜が使えるクルルシファーが討伐に向かわないとなると、リーシャ率いる「騎士団(シヴァレス)」が危険になるということだ。

 

「・・・・・・・」

 

ルクスが下を向き、黙っていると、

 

「気にすることは無いわ」

 

「えっ?・・・・・」

 

「私たちは、今は戦うべき人間ではない。

そういう状況が起きても仕方ないことなのよ。

それに、あなたは「騎士団(シヴァレス)」に入隊してない一般生徒。

今の状況で戦えない自分のことを、気にする必要は無いと思うわ」

 

クルルシファーとの会話が終わったのと同時に、格納庫の扉が開きレイが戻ってきた。

 

「ただいま、ルクス」

 

「あぁ、おかえりなさい」

 

「ところで、どこに行ってきたの?」

 

「自室だよ。コレが無いと、()()()機攻殻剣(ソード・デバイス)は起動しないからね」

 

そう言うとレイは袋を取りだした。

袋の中には、特殊な形をした機攻殻剣(ソード・デバイス)を起動するために必要なメモリーチップが数枚入っていた。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

「こいつが―――討伐対象の幻神獣(アビス)か?」

 

目標から少し離れた場所から「騎士団(シヴァレス)」のメンバー数十名は、幻神獣(アビス)の姿を確認する。

足などは無く、体内が透けて中に赤黒い球体――核と呼ばれる物が見える、ゼリーのような見た目の生物だった。

知性を持たないと言われている、スライム型。

しかしその幻神獣(アビス)は情報通り、城ひとつを飲み込めるほどの巨体だった。

リーシャは、どうやってこの幻神獣(アビス)を倒すかを考え、

 

「よし、機竜息砲(キャノン)を使って奴を倒すぞ」

 

笑みを浮かべ、部隊長を任されたリーシャはスライム型の幻神獣(アビス)に向けて機竜息砲(キャノン)を撃とうとするが突然、

 

―――キイィィイイィィィイイ

 

どこからか、奇妙な笛の音が辺りに響いた。

 

(なんだ、この音は?一体どこから―――)

 

リーズシャルテがそう思ったとき、スライム型の幻神獣(アビス)に異変が起き始めた。

 

突然、スライム型の幻神獣(アビス)が動かなくなると、下から半透明の身体がゆっくりと白くなっていった。

そして、完全に白くなったスライム型の幻神獣(アビス)はそれから動かなくなった。

それを見たリーシャは、

 

「動かない今なら奴に近づいても大丈夫だろう。

全員、主砲にエネルギーを最大充填しろ。

幻神獣(アビス)に一斉射撃をして、確実に倒すぞ」

 

リーシャは早速、行動しようとするがノクトが竜声で話しかけて来た。

 

「yes、リーズシャルテ様、あまり幻神獣(アビス)に近づくのは、危険かと」

 

「なに近づいても大丈夫だろう。現にあの幻神獣(アビス)はあの姿になってから動いていないからな、倒すなら今しかない、分かったか?」

 

「・・・・・yes、分かりました」

 

エネルギーを最大充填した装甲機竜(ドラグライド)幻神獣(アビス)の周りを取り囲み、

 

(これなら確実に倒せるだろう。私たちの勝ちだ!)

 

十数機の装甲機竜(ドラグライド)から放たれた砲撃は、全て幻神獣(アビス)に命中した。

が、しかし。

突如、幻神獣(アビス)の身体が茶色くなり、所々に突起物が発生し、そこから無数の光弾が「騎士団(シヴァレス)」のメンバーに向かって、放たれた。

 

部隊長であるリーシャは急ぎ、

 

「全員、障壁を展開しろ!機竜咆哮(ハウリングロア)も使――!」

 

リーシャの叫びは、無数の光弾によって掻き消された。

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「あれ?」

 

「なんだこれ?」

 

二人は当てもなく格納庫を歩いていると、外にフィルフィがいることに気づき二人は外に出た。

 

「フィーちゃん、こんなところで何してるの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

フィルフィからの返事はない。

まるでレイの声が聞こえていないかのようにずっと空を見つめていた。

 

「ねぇ、フィ――」

 

「音が、聞こえた」

 

「えっ?」

 

空を見つめたまま、フィルフィはぽつりと呟いた。

 

「音なんて聞こえないよ?」

 

レイがそう問い返すと、

 

「「騎士団(シヴァレス)」の皆が、いる方角から、聞こえてくる・・・・・・」

 

「・・・・・!?」

 

ルクスは、フィルフィから呟かれた一言によってある考えに至った。

 

「ま、まさか!?」

 

ドオォォオオォォン‼

 

ふいに、地鳴りのような振動で、格納庫が揺れた。

 

「嫌な予感がする、様子を見に行こう、レイ」

 

「あぁ、分かった」

 

「ルーちゃん、レーちゃん、気をつけて」

 

急いで演習場に向かったルクスとレイを、フィルフィは声だけで見送って、

 

「「騎士団(シヴァレス)」の皆を助けてあげて、わたしの代わりに――」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

大型の幻神獣(アビス)と交戦していた「騎士団(シヴァレス)」の部隊は、全滅しかけていた。

幻神獣(アビス)から放たれた光弾により、装甲機竜(ドラグライド)は全機、半壊。

何人かの「騎士団(シヴァレス)」のメンバーは怪我を負っていた。

 

「くッ!まだ、動ける「騎士団(シヴァレス)」のメンバーは、他のメンバーを連れて一旦、下がれ‼」

 

「りょ、了解!」

 

勝利を確信していた攻撃の失敗。

幻神獣(アビス)の攻撃により、撤退も考えなければならない程の損害を出してしまったリーシャは呻いていた。

 

「わたしのせいで、作戦の続行不可能になってしまった…一体どうすれば・・・・・・」

 

リーシャは次の作戦を考え始めたが、

 

「お前が幻神獣(アビス)に対して、油断をしていたからこんな大惨事を招いたんだぞ。リーズシャルテよ」

 

「・・・・・・っ!?誰だ!?」

 

ふいに竜声を通じて、どこからか――男の声が聞こえてきた。

リーシャは辺りを見回すと、

灰色の機竜を纏った男が近くにいることを確認した。

騎士団(シヴァレス)」のメンバーでは無いことは確かだ。

男は竜声でリーシャに、

 

「やはり、お前は新王国の王女などという器ではない。帝国の所有物なのだよ」

 

「・・・ッ!貴様、なぜその事を知っている!」

 

男のからの一言によりリーシャは完全に男の方に意識が集中してしまった。

すると突然、

 

「くぅ――!」

 

男がリーシャに向けて、機竜息砲(キャノン)を放ち、リーシャはそれを避けようとするが間に合わず、機竜ごとリーシャは地面に落下した。

 

「う・・・・くぅ!一体何のつもりだ!?王都から配備された、警備部隊ではないのか・・・・・!?」

 

地面に落ちたリーシャは、上空に佇んでいる機竜使い(ドラグナイト)の男を睨んで、そう叫ぶ。

しかし、男は落ち着いた様子で、

 

「それは間違いでございます」

 

嘲るようにそう言い切った。

 

「わたしがやって来たのは、()()からでごさいますよ。

リーズシャルテ王女殿下。

()()()()()()()()()()()()()()()、ベルベット・バルトが、わたしの名です」

 

「・・・・・ッ!?」

 

竜声を介して、告げられた事実にリーシャは驚いた。

クーデターによって、旧帝国が滅びた後。

帝国側に辛うじて生き残っていた機竜使い(ドラグナイト)たちは、一度戦犯として牢に入れられた。

しかし、新王国に忠誠を誓い新王国の機竜使い(ドラグナイト)として、再び士官になっていたのだが――。

「帝都から来た」、という一言を聞いて、リーシャは男の正体を察する。

 

「新王国を裏切ったのか?わざわざ遺跡(ルイン)から、幻神獣(アビス)まで連れてきて――」

 

「裏切った?人聞きの悪いことは、言わないでいただきたい。

正道に立ち返ったのですよ。

力を得てね」

 

勝ち誇ったかのような男の声が、竜声を介して、聞こえてくる。

 

機竜息砲(キャノン)一発でわたしに勝てると思ってるのか?

お前こそ油断してると足元をすくわれるぞ、ベルベット」

 

ベルベットからの攻撃を受けてなお、リーシャは冷静にそう告げた。

それを聞いたベルベット余裕の表情をしていた。

 

「わたしはあなたのように戦場で油断なんかいたしませんよ。

こうしてここにあなたをおびきだしたのも、勝算あってのことですから。

まぁ・・・・・ひとつ想定外の事態が起きているのですが」

 

そう言うとベルベットは、ゆっくり動いている大型の幻神獣(アビス)に指を指した。

 

「あれは本来、笛によって大量の幻神獣(アビス)を生み出すためにあったのですが、あんなものになってしまいましたよ。

まぁ、このまま奴が新王国に向かえば、新王国も為す術なく滅びるでしょうがねぇ」

 

「――――そんなこと、させてたまるか!

――目覚めろ、開闢(かいびゃく)の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ《ティアマト》!」

 

リーシャは、破損した《キメラティック・ワイバーン》の接続を解除して、神装機竜《ティアマト》を纏った。

 

しかし、

 

「リーズシャルテ様、危険です!撤退してください!」

 

そこには、他の「騎士団(シヴァレス)」のメンバーを砦に送って戻ってきた、三和音(トライアド)の三人の姿があった。

 

「なッ!お前たち、なぜ戻ってきた!」

 

「リーズシャルテ様のことだから、一人で幻神獣(アビス)と交戦すると思い連れ戻しに来たのです」

 

「そうですよー!ここは一旦、砦に戻りましょうよー!」

 

「yes、せめてリーズシャルテ様だけでも、砦に戻ってください。

姫であるあなたが、ここでやられるわけにはいきません。

新王国の人々のためにも」

 

だが、リーシャは、

 

「・・・・・わたしが生き延びるのも王女としての責任―――そういうことか?」

 

リーシャの声が竜声を通じて返ってくる。

 

「・・・・・わたしはやはり、王女になんて向いてないのかもしれないな」

 

「「「えっ?」」」

 

「わたしはな――――辛いんだよ。

誰かの犠牲により生き残って、誰かの死を英雄と称え、残った市民に演説のひとつでもして、拍手を浴びるなんてさ」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「だからさ、わたしは戦うよ。

それがわたしに出来る、王女としての役目なんだ」

 

言い切ると同時にリーシャは、

 

三和音(トライアド)の三人に告ぐ。

シャリス、ティルファーはわたしの援護をしてくれ。

でも、くれぐれも無理はするなよ。

ノクト、お前は一度、城塞都市に戻り学園にこの事を伝えて指示を仰げ」

 

「yes、了解致しました、リーズシャルテ様」

 

返事の直後、ノクトはクロスフィードに向けて滑走した。

同時に、シャリスとティルファーは武装を構えた。

 

「さぁ、行くぞ、ベルベット!」

 

機攻殻剣(ソード・デバイス)を振るい、リーシャは付属武装を召喚する。

 

「口の減らない王女様だな」

 

警備部隊長のベルベットは幻神獣(アビス)に命令をしようと、再び笛を吹いた。

しかし、その行為が仇となった。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「以上が、わたしが遠距離から視認し、わたしがノクトさんからの竜声を介して聞いた、現在の戦況よ」

 

神装機竜《ファフニール》の速度を以てクルルシファーが持ち帰った事実に待機中の生徒たちは、静まり返っていた。

 

「分かった、協力感謝する。クルルシファー」

 

幻神獣(アビス)を連れてきたのが、警備部隊長にして旧帝国の意思を継ぐ反乱軍の男。

そして、その幻神獣(アビス)の攻撃により、現状での城塞都市の最大戦力、「騎士団(シヴァレス)」が壊滅寸前であること。

 

「ねぇ、ルクス」

 

「・・・・言わなくても分かってるよ。行こう、レイ」

 

ルクスとレイは、格納庫の外に向かおうするが、扉の前に思い詰めた表情のアイリが立っていた。

 

「どこへ行くつもりですか?兄さん、レイさん」

 

覚悟を決めた顔つきのルクスと仮面を外したレイにアイリは尋ねる。

 

「「リーシャ様を助けに行く」」

 

「行ってはダメです!」

 

そうきっぱりと、アイリは告げる。

 

「今の兄さんたちには、出来ることなんてないんです。

だから、ここでおとなしく―――」

 

レイは、アイリの言葉を遮り、

 

「確かに、アイリの言うとおり、今の僕たちに出来ることなんて無いのかもしれない」

 

「それじゃあ―――」

 

「だけど、ただここで、リーシャ様たちの帰りを待つわけにもいかないんだ。

新王国には大切な人たちが大勢いるし、僕たちには大事な目的がある。

どちらも守るためには、この国に危害を及ぼそうとする敵を全て倒さないといけない。分かってくれる?アイリ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「大丈夫、僕たちは必ずここに帰ってくるから、アイリを一人にはさせないから。ね、ルクス?」

 

「レイの言うとおりだよ。

僕たちはアイリを一人にはさせない。約束するよ」

 

アイリは二人の言葉を聞き、静かにうつむいた。

 

「兄さんの機竜の出力調整は既に済んでます。

レイさんの機竜も一応、使えますが、不明な点がいくつもありましたので、あまり解析できませんでした。

兄さんは十分、レイさんは五分位が限界と思われます」

 

「ありがとう、アイリ」

 

「五分かぁ。まぁ、なんとかなるでしょ。ありがとう、アイリ」

 

「くれぐれも無理はしないでください。

二人とも。それと、レイさん、()()チップだけは使わないでくださいね」

 

真剣な顔でアイリはレイにそう告げる。

 

「・・・・・分かった。あれだけは使わないようにするよ」

 

レイは頷き、アイリはほっと安堵のため息をついた。

その間にルクスは、扉の外にいた、クルルシファーに話しかけていた。

 

「クルルシファーさん、お願いがあります」

 

「・・・・・何かしら」

 

「クルルシファーさんの《ファフニール》を起動させてください。僕の援護ではなく、リーシャ様を救うために。もちろん、対価は払います。

僕は「黒き英雄」と「機竜喰いの道化師」の正体を知っています。どうです?《ファフニール》を起動してくれますか?」

 

「・・・・・分かったわ」

 

クルルシファーは、ルクスの提示した条件を了解して頷いた。

 

「では、行きましょう」

 

「ええ、行きましょうか」

 

二人は、同時に機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜こうとした瞬間、二人の後ろからレイが走ってきた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・、ち、ちょっと待ってよ、二人とも、置いてくなんて酷いよ」

 

 

レイは呼吸を整えて、改めて三人で機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜き払った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「くっ・・・・・!」

 

「これは・・・・・なかなか!」

 

「さすがにこれを全部避けるのはきっついなー!」

 

リーシャたちは、地上にいる幻神獣(アビス)から放たれた光弾を必死に避けていた。

ベルベットも一緒になって。

 

「や、やめろ!なぜ、奴等と一緒にわたしを攻撃する!?幻神獣(アビス)!笛の力によってわたしはお前の動きを支配しているはず!敵は奴等だ!奴等だけを攻撃し――ぐぁ!」

 

幻神獣(アビス)がなぜ、ベルベットも一緒に攻撃しているかというと、ベルベットが笛を吹いた途端、幻神獣(アビス)は笛の音に反応して、ベルベットの方を向いた。

そして、突起物から、光弾を一斉に放った。

 

「はぁ・・・、はぁ・・・!守りに徹しているだけじゃ

、いつまで経っても幻神獣(アビス)を倒せない!・・・・・仕方ない、こうなったら、 「空挺要塞(レギオン)」、「天声(スプレッシャー)」、「七つの竜頭(セブンズヘッズ)」を全て使って、幻神獣(アビス)を倒す!」

 

リーシャは《ティアマト》の三大武装を発動させた。

合計十六機の「空挺要塞(レギオン)」で幻神獣(アビス)の突起物を切り落とし、「天声(スプレッシャー)」で動きを封じ、「七つの竜頭《セブンズヘッズ」の最大砲撃で攻撃した。

 

「ど、どうだ!さすがの幻神獣(アビス)も、この攻撃には耐えられまい。なんせ《ティアマト》の三大武装を全て使ったんだ、さすが倒せたは・・・ず・・」

 

しかし、幻神獣(アビス)は健在していた。

《ティアマト》からの攻撃を全て耐えて。

それどころか、幻神獣(アビス)の見た目が変わっていた。

先程まで棘の生えた球体みたいな見た目だったのが、完全に人型となっていた。

体色は赤黒い色となり、身体中は無数の棘で覆われ、背中には翼が生え、右腕には七つの竜頭(セブンズヘッズ)に似た巨砲が付いていた。

 

そして、幻神獣(アビス)はゆっくりと空を見上げ、

 

「グギャァァァアァァ!!」

 

空気が震えるほどの咆哮をあげ、その場にいた機竜使い(ドラグナイト)全員が耳を塞いだ。

 

「くぅ・・・・・!」

 

「み、耳がっ・・・・!」

 

「こ、これ以上は・・・・!」

 

耳を塞いでいるリーシャたちは、幻神獣(アビス)から離れようとしたが、

突然、機竜ごとリーシャたちは落下し、地面に叩きつけられた。

 

「こ、これは、《ティアマト》の「天声(スプレッシャー)」・・・!なぜ、幻神獣(アビス)が使って―――ぐぅ!」

 

リーシャは起き上がろうとするが、重くのしかかってくる重力によりそれは不可能だった。

幻神獣(アビス)は地面に倒れている()()

、右腕に付いている巨砲を向け、エネルギーを溜め始めた。

 

「くッ!ここまで・・・・なのか、ルクス、レイ・・・・!」

 

「最後に、学園(アカデミー)のみんなに会いたかったな・・・・」

 

「あはは、もう・・・・、みんなに会えないのかなぁ・・・・・」」

 

三人は諦め、涙を流した。

突然、竜声から聞き覚えのある声がした。

 

「「今・・・、助けます!」」

 

突然、幻神獣(アビス)の頭部が攻撃を受け、

リーシャたちは、重力から解放された。

上空を見ると、機竜を纏ったルクスとレイが降りてきていた。

 

「ご無事ですか、三人とも!?」

 

「大丈夫ですか、三人とも!?」

 

ルクスとレイの姿を見た三人は、

 

「ル、ルクス、レイ!!」

 

「ルクスくん、レイくん!!」

 

「ルクっち、レイっち!!」

 

三人は、ルクスとレイに近づいた。

 

「うぅ、ルクス、レイ。わたしはもう・・・・・、ダメかと思ったぞ・・・・・、ぐす」

 

「ルクスくん、レイくん・・・・・。ぐす、助かったよ、ありがとう」

 

「ルクっちー!レイっちー!来てくれるって、信じてたよー!」

 

三人の顔は、涙で顔がくしゃくしゃになっていた。

そんな三人を見た、ルクスとレイは、

 

「もう大丈夫ですよ。リーシャ様、シャリス先輩、ティルファー」

 

「ところで、何があったんですか、リーシャ様?あの幻神獣(アビス)の姿は一体?」

 

「それは、わたしから話そう」

 

涙を拭ったリーシャは、ルクスとレイにノクトがいなくなった後の出来事を話をした。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
オリジナル展開でしたが、いかがだったでしょうか?
原作にはない、展開を書くのも面白いものです。

それでは、また次回


強大な力を有する幻神獣(アビス)にルクスとレイは勝てるのか!?

そして、解放される倶利伽羅(クリカラ)の新たなる姿と力!


次回 「episode20 黒き竜と青き竜 後編」


(ちなみに今回のオリジナル幻神獣(アビス)はあるウルトラ怪獣をモチーフにしています。分かった人は、感想に書いてください。答え合わせは次回のepisodeの最後にします。
・・・そもそも、これを読んでいる人が特撮ものに興味があるのかすら謎)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。