女神再び   作:resot

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前回のあらすじ
打ちひしがれる穂乃果の前に、突然現れた綺羅ツバサさん。果たして何を語るでしょうか。

穂乃果視点です。


第8話 ライバル

「久しぶりね、穂乃果さん。」

 

そう言った現役のスーパーアイドルのツバサさんは昔とあまりかわらないように思えた。慌てて涙を拭った。

 

「一体、どうしてこんなところへ?」

 

「ごめんなさいね。穂乃果さんの家へ伺ったのだけれど、雪穂ちゃんしかいなくって。散歩に出かけてるって聞いて、探してたの。」

 

「そうだったんですか。ってえ?私に何か用事が?」

 

A-RISEは今をときめくトップアイドル。つまり芸能人。一般人の私に用があるとは思えなかった。てっきり、たまたまかと思った。

ツバサさんはにっこりと笑って、

 

「μ's、復活させるんでしょ?」

 

と言った。

 

「どうして、それを知っているんですか?」

 

まだ他の誰にも言っていないはずだった。

いや、もう語ることは多分ないけど。

 

「篠原浩介。彼のマネジメント力は業界でも神がかってると評判よ。そんな人が、裏で何か動いていると知ったら、誰だって調べたくなるわ。」

 

「あの人、そんなにすごいんですか?」

 

「知らないの?最近出て来たSohhiってグループ。あれは彼のマネジメントの力よ。」

 

その名前。確か新人注目アイドルとして最近よく見る。

 

「まあ、何だか人付き合いは苦手みたいだけどね。ともかく、彼が絡んでいるなら今回の噂は現実ものだと思って。一度、挨拶したかったの。昔のライバルとしてね。」

 

でも、それは無理だ。今さっき出した答えだった。

 

「あーでも、ちょっと、止めようかなーって思ってます。」

 

できるだけ明るく言ったつもりだった。

 

「え?どうして。何かあった?」

 

「いやー、ちょっと色々ありまして。はは、ははは」

 

私は顔を下に向けて、必死に顔を作った。人にあんなこと言えないから。しばらくツバサさんは黙っていた。

私も顔を上げなかった。時間が流れていく。

突然、すうっと、息を吸う音が聞こえた。

 

 

「♪たのしいね

こんなゆめえがおで

喜び歌おうよそれが

はじまりのあいず」

 

ツバサさんは突然歌い出した。

ぶわっとあの時の記憶が蘇る。

何年前の歌だろう。ああ、10年前だ。

はっきりと、あの景色を思い出した。

 

「♪いっぽずつ、きみから

いっぽずつ、ぼくから

どこかへ、いきたい、こころのステーップ」

 

その曲を忘れるはずがなかった。

顔を上げると、笑顔で歌うツバサさんの顔。

染み通ってくる歌声。

 

「さあ、一緒に。」

 

ツバサさんは、そう言った。

忘れもしない、SUNNY DAY SONG。

それは、スクールアイドルみんなで作り、歌った曲。ツバサさんとも一緒に歌った曲だった。

 

「♪受け止めて

あげるここで

さいしょはすこし

ためらっても

受け止める

ばしょがあるって

もっともっとしってほしくなるよ

なるよ!」

 

私もつられて歌った。

受け止める場所がある。それを知ってほしい。

それは、当時と全く違う意味で、私に向かってくるみたいだった。

 

受け止める場所?今の私を受け止めてくれる場所…。

 

「「「「「「「「穂乃果!」」」」」」」」

 

当時は昼だった。今は夜なのに、まるで太陽の光に当たっているかのように体が熱くなる。

 

「♪SUNNY DAY SONG

SUNNY DAY SONG

高く飛びあがれ

どんな、壁も、乗り越えられる

気がするよ

SUNNY DAY SONG

SUNNY DAY SONG

口ずさむときは

明日への期待がふくらんでいい気持ちー!」

 

歌い終わると、ツバサさんはにっこりとして、

 

「ほら、笑えるじゃない。」

 

と言った。

 

私は笑っていた。久しぶりに歌った。下手くそだった。それでも、すごく楽しかった。

 

「私ね、あのライブが忘れられないの。私達は第1回のラブライブで優勝した。2回目はあなたたちに敗れた。忘れもしないわ、あの悔しさと達成感。

それからも続けて、人気も出た。たくさん、たくさんライブをした。プロになっても同じよ。

それでも、あんなに楽しかったライブは今までにないの。あんなに、みんなを楽しませられたって思えたライブは今までにないの。何度も挑戦した。でも、あの頃のあなたたちすら、私達は超えられていないの。

だから、この歌は宝物。

私達にまだまだ頑張れって言ってくれる曲。」

 

「そんなことないですよ、今の皆さんはあの頃の私達なんかより、歌も踊りもうまいし、人気もあります。」

 

「そうじゃない。そんなのじゃないの。私達が手に入れているものは、当時のあなたたちの感覚とは全く違う。

 

ねえ、穂乃果さん?何があったのかはわからない。すごく大変なんだと思う。

でも、私はあなたたちにもう一度ステージに立ってほしい。あのステージを見せてほしい。私達にとっての、ライバルにまたなってほしい。

あなたは、何度も立ち上がったはずよ。遠いようで、私たちはとても近くから見ていた。

仲間に何が起きても、信頼して、自分の気持ちを訴え続けたはず。」

 

昔の私なら、どうしただろう。

そうだよ。そうだ。どうして無理だ、なんて思ったんだろう。

 

まだだよ。みんなにまだ、伝えきれていない。昔の私は、こんなところで諦めなかったはずだ。悩んで、苦しんで、それでも先に進もうとしたはずだ。

 

「待ってるわ。それじゃあ、また、会いましょ?」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

そう言って、ツバサさんは帰って行った。

私も走った。体の重さは、いつのまにか消えていた。

 

大丈夫。まだ、きっと間に合う。まだ、伝えられる。まだ、みんなから聞きたいことがある!

 

家に戻ると、私はすぐに3人に連絡した。

 

ツバサさんに会ったこと。言われたこと。それでも、やめたくないこと。

そして、篠原さんにも連絡した。

 

会って数週間。彼のことを、私は何も知らない。

なのに、彼の言葉を思い出す。

 

「答えが、ほしい。」

 

その意味は未だわからないし、聞いてもはぐらかされた。

でも、彼は信じていい。断言していい。

 

彼の目は、絶対に信頼できる人間の目だ。

 

そして、最早彼にしか頼れない。

 

 

 

ピロリン♪

篠原さんからのメールだった。

 

「1ヶ月自分に時間をください。」

 

そして、篠原さんは動き出す。一歩目で止まった足。

私たちの新しい歩みが、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

ライバルは最高の存在だ。

それは、相手の弱みにつけこまず、純粋に高め合おうとする、正しいライバルに限るのだけれど。




ついに天才が動きます。
他のメンバーはどこで何をしているのか。

歌の描写はどんどん入ってきます!好きなので。よければ頭の中で流しながらご覧くださいw
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