小説内はがっつり夏ですがww
続きです、どうぞ!
燦々と照りつける太陽が、肌を焼いていくのが自分にもわかる。鍬を握る手も、大分慣れた手つきになってきた。
この3ヶ月で、かなり肌も焼けた。
思えば、生まれてから、肌が焼けたのは初めてのような気がした。
矢澤にこは、今群馬にいて、農業をやっています、などと言ったら、みんなどう思うのだろう。真姫は、お似合いね、なんて皮肉を言うだろう。凛は、にこちゃんすごいにゃ〜なんて褒めてくれるだろう。穂乃果は、私も手伝うーなんて言い出すだろう。
絵里は・・・絵里なら、今の私をなんて言うのだろう。
あまり考えたくない人達の名前が、頭をよぎる。
今の私は、親戚の親戚くらいの知らない(知らなかった)人の家にいて、その家の農業を手伝っている。
ここの人はみんな優しい。
お年寄りばかりだけど、お喋りして、働いて、毎日が楽しいことばかり。ご飯も美味しいし、別に生活に不自由はない。なのにーー。なぜ、こんなにも胸が苦しいのだろうか。
きっかけは、祖父の死であった。
葬式の後、多額の借金が未返済で残っていたことが、家族に知らされたのだ。そのうちのいくつかは、かなりやばい貸し主だったようだ。何してたのか、聞かされなかった。
というわけで、私たち子供は危険だから、とここに名前を隠して放り込まれた。
勿論反対した。
私も手伝う、と。まだ学生のこころやここあ、虎太郎はどうなるのか、と。でも、その安全を守るため。と言われては、私に為すすべは無かった。一人大人になっていた娘なのに、私は無力だった。
ただ、、今親も、安心できるところに身を守られながら、お金を少しずつ貯めているようだ。たまに連絡も取れている。生活の場が離れても、もともと忙しい親だったのだし、思っていたより深刻なことにはならなかった。それが唯一の救いだった。
「おねえちゃーん、ご飯だってー!」
「はーい、今行くわー。」
返事をして、鍬を持って、家に向かって歩き出す。
3人は、私なんかよりよっぽど辛いはずだ。それに、大丈夫。全て終わったら、また元に戻れる。その日が来たら、きっとこの胸のつかえもとれるはずだ。
ふと、家の前の道の左側に目がいった。森から出てくる道から、3人が顔を出した。
衝撃だった。
希、そして真姫。希は、こっちを見て、
「にこっちーこっち来てー!」と手を振った。
希には話したのだ。
というより、こんな話ができるのは、私にとっては希だけ。その時、希は真剣に話を聞いて、
「私も力になる。」
と言ってくれた。
それから、ちょくちょくここに顔を出してくれる。忙しいだろうし、いいと言っても来る。それは嬉しい。ただ、余計な事も言ってくる。
もう一度、アイドルをやろう。
それは私にとって、納得のいかないことだった。
私は、卒業の後も、ずっとμ'sが続くと思っていた。後輩たちは、きっと続けてくれると信じていた。それは、叶わなかった。でも、私達はそれで納得して、最高の終わり方をして、大切な思い出を手に入れた。
みんなで、納得した。それをもう一度なんて、理解できなかった。言い出した穂乃果も、ついていったであろうみんなも。希も。
だったら、あの時の私は何だったのか。私は、何のために納得したのか。
真姫は、学生の頃からすると、随分背が伸びた。すらっとした足に、前会ったときと同じ赤く短い髪の毛。そして、希はいつものラフな紫の格好だった。
そして、その二人の前に立って、ようやく、その後ろの大男を認識した。
180センチほどだろうか。そのキツネみたいな切れ長の目が何となく不気味な印象を与えるその人。真っ黒なスーツに身を固めたその人に、私は警戒した。お金のことではないか?絶対裏世界の人じゃん。
「真姫、一体どうやってここがわかったの。それと、この人は誰?」
「そんなの、希に連れて来てもらったに決まってるでしょ。ほんと、勝手なことばっかり・・・事情は全部聞いたわ。」
ばれた。顔が熱くなるのがわかる。できるだけ平静を保とうとした。気づかれていないだろうか。
「で、この人は・・・」
「お久しぶりですねぇ、にこさん?」
男が、馴れ馴れしく話しかけてきた。
「・・・え?あの、どこかでお会いしたかしら?」
「あららー、そうすか?」
「ちょっと、篠原さん?にこっち知ってるん?」
「何よそれ、聞いてないわよ?」
「だって言ってないですからねー?それなら、名前言いますか?お久しぶりです、スーパーアイドルの矢澤にこさん?篠原浩介と申します。」
それは、中学3年生の頃。
私は、クラスのアイドルだった。
男子たちからの人気も熱くて、かわいいとちやほやされた。それが嬉しかった。そこに、私が本当にアイドルになりたいと思った原点がある。
だが、その中に一人、私なんかに気も止めない奴がいた。そいつは、いつも私をゴミを見るみたいな目で見ていた。話をしても、相手にされなかった。
「何を考えたらスーパーアイドルーなんてこんなとこで言えるんですか?」
とかも言われたのもよく覚えている。丁寧な言葉遣いから飛び出す皮肉。クラスの一番後ろの席を引き、誰よりも遅く学校に来て誰とも喋らず、誰よりも早く帰る。友達のいないぼっちやろう。だから話しかけてやったのに。
「帰れ、チビ。もっとアイドルらしい振る舞い身につけてから出直して来てください。」
それが、篠原浩介だった。
そいつが、目の前にいる。
「・・・何よ、なんであんたがここに、二人といんのよ!」
「その声、相変わらず変わってないですねぇ、ちょっと煽れば敵対心むき出し。人の話なんて聞かないその感じ。僕だって、来たくないですよ、あなたのとこなんかね。中学の頃は、本気で二度と会いたくないと思ってましたし。ただね。今は事情がある。話を聞いてもらえますね?」
「事情って、何!?真姫、希、あんた何かされたんじゃ・・・」
「手伝ってもらってるらしいんや、にこっち。」
希が言った。
「そう、希の言う通り。この人は、私達がもう一度アイドルをやろうとしているのを、手伝ってくれてる。やり方は無茶苦茶だけどね。」
「なんで?!なんでそんなこと・・・」
「いいから、話を聞いて!」
真姫にそう怒鳴られて、私は黙ってしまった。
「お姉ちゃん?遅くない・・・
あれ?希さん?真姫さんまで!久しぶり・・・」
「こころ。ちょっと先に食べてて。」
私は覚悟を決めて、
「いいわ。」
そう言った。
「にこさん?あなた、なぜそう頑なに再起を拒むんです?少なくとも中学の時のあなたを見ていれば、真っ先に飛んでくるはずだと思ったのですが。」
「こんな状況でどうしろっていうの?それに、希から全部聞いたんでしょう?私は納得できない。」
「にこっち、だから穂乃果ちゃん言うてたやろ?あのμ'sは一度けじめをつけた。それでいい。新しく、μ'sを作る。そういうことやろ?」
「それはこじつけじゃない!何が変わったっていうの?」
「目的よ、それは。希の言う通り、あの頃の私達はおわり。そして、応援してくれるみんなのために私達はもう一度やってみないかって言ってるのよ。学校を救う名分はもうない。なにかを救うためとか、自分たちがやりきるためとか、そんなんじゃない。ただ、みんなを笑顔にする、そう言うアイドルになりたいの。」
「だめなのよ、それじゃ。それじゃあ、あの終わりはなんだったの?あの時、μ'sが続いて欲しいと願って、それから納得した私はなんだったの?」
「話はわかりました。」
篠原は言った。
「あのですね、あなたたちμ'sがどうも不幸を呼び寄せる人しかいないのはわかりました。何なんすか、疫病神なんねすか?ただ、にこさんの場合は簡単だ。まず既存の借金。親御さんたちに自己破産というものを教えておきました。一番最初に思いつくと思うんですがね…。詳しくは面倒なんで省きますが、これでいわゆる闇金以外の借金はパァです。そんで、闇金、みたいなものの方は・・・」
「私が出す。」
真姫は言った。
「私は、何が何でも、もう一度アイドルがやりたい。だから、そのためにできることはしたい。」
「真姫・・・なんで、そんな、あんたに頼るわけにはいかないわ!」
「それしか手がない。私には当てがある。それに、仲間は助けるのが当然でしょ?いい?私はもう後悔したくないの。少し前の私は、自分で一人で背負いこんでた。でも、それじゃだめなの。余計に後ろを向き続けることになる。」
「僕がなんとかするって言ったんですがねえ。」
「バカじゃないの?あなたに任せて、ロクな手を使うはず無いもの。だから、にこちゃん。お願い、応じて。このままじゃ、私と同じ。きっと取り返しのつかないことになる。私なら大丈夫だから。」
「そんな・・・そんなこと、できるわけない!」
なぜ、私はこんな怒鳴っているのだろう。
なんで、強がっているのだろう。
「大丈夫ですよーそういうわけですし、とりあえず圧力かけといたんで。そっち方面に知り合いがいて助かりましたよ。お金さえ返せば、もうまた追われることもありません。これだけは絶対に保証しましょう。」
「篠原、あんた何を・・・」
「まあ、気にしないでくださいね。
とにかく、これで問題は解決です。」
「にこっち、だから、またやろ?」
「嫌よ。まだ問題は解決されてないわ。」
それだけは譲るわけにはいかない。
解決してくれるという言葉は嬉しく思う。またこころたちは普通の生活に戻れる。それだけでありがたい。涙が出そうになる。でも、話は終わっていない。
μ'sが戻ることに、反対するわけにはいかない。
篠原は、はぁ、とため息をついた。
「ほんとに、戻りたくないんです?」
「当然、よ、・・・」
篠原と目があった。
真っ黒な瞳は、あの頃と全然変わってない。
ーーーそう言えば、今まで目を合わせていなかったような気がする。
「・・・これだからあなたは嫌いなんですがね・・・」
篠原は呟いて、
「ちゃんと言いたいこと、言っておいた方がいいですよ。東条さん?それと、こそこそ見てるのも卑怯では?」
篠原は後ろの方に向かって、叫んだ。
木陰から出てきたのは絵里だった。
「絵里、ち・・・」
「絵里・・・」
「全く、電車からついて来て。森の木に隠れながらこの距離ついてくるって、イソップ童話の世界ですよ、全く。そんで、誰も気づかないし。」
私は何も言えなかった。
絵里は目に涙を一杯溜めていた。
そして、こちらに向かって歩いてくる。
「絵里ち、違うんよ、これは・・・」
絵里は突然、希の口をふさいだ。
そして、パチンッ。それは、初めて見る、絵里のビンタだった。
そして、私には空いた手で思い切り胸のシャツを掴んできた。
「何よ・・・ほんっとに。馬鹿にするのも大概にしてよ。何が役目よ。何が借金よ。全然知らなかったわ。私は、何も知らなかったのよ!」
「違う、違うんよ、絵里ち。これは・・・」
「何が違うの。」
「絵里ちに話したら、きっと絵里ちは止まらない。何とかしようと無茶をする。それに、私は知ってた。絵里ちが夢を追いたがってることを。だから、言えなかった。」
「それが余計なお世話だって言ってるのよ!」
その気迫溢れる声は、聞いたことの無いものだった。
「何よ、ほんとに。私は二人とずっと一緒にいたのに。夢?そうよ、夢だったわ。だから何なのよ。大事なものがどっちかなんて、考えなくてもわかるわよ。私は生徒会長だったのよ?頭良かったのよ?止まらない?そうよ、止まらないわ。絶対に私は無茶もしてた。でもそれはただの無茶じゃない!希もにこも横にいてくれる。きっと私が無茶したら止めてくれる。だから私は無茶してたのよ!
私は、アメリカに行った。そして、後悔した。きちんと二人や、みんなに話をしなかったこと。確かに、高校の時なら言わなくてもわかったかもしれない。でも、私たちはそれぞれの道を進んで、もうそんなことできないようになっちゃったのよ。思い出は残っていても、もう私たちはあんなに単純じゃないの!
言わなきゃ、伝わらないのよ・・・。だから、伝えて。希。あなたのそれは本当に役目?一人で背負いこむ癖は何にも変わってない。にこ、本当にやりたくないの?私にはそうは思えない。忘れられるの・・・?」
絵里は泣いていた。
私は、何がしたいのか。
その問いかけが、私にのしかかって行く。
「うちは!」
「希・・・?」
「うちは、やりたい。役目とか、そういうのも色々と考えた。でも、私は戻りたいってちゃんと思ってる。絵里ちに話をしなかったことを、ほんとは後悔してた。でも、絵里ちだって話してくれなかったやない!」
絵里は、
「やっと聞けた。本音を、やっと。希、ちゃんと言わせて。ごめんね・・・」
希は、それに答えるように駆け寄って行って、
「ごめんなさい・・・」
そう言った。私の答えは、でも。
「私は、やっぱりやりたくない。」
それは、変わらない答えだった。
いや、そのはずだ。
私が、やりたいはずがない。
なんども諦めかけたアイドルへの道を繋いでくれたμ’sは、もう終わった。
そして、あの美しい思い出のまま、私の心に残り続ける。
それで、いい。
それでいいはずなんだ。
「いい加減にしろよ、おい。」
ーーーその声が、私の全身を震えさせた。
その迫力のある声は、篠原のものだった。
「ちょっと、あんた一体何を・・・」
制止する真姫を振り切って、篠原は見下ろしてきた。
「忘れられんのか?なぁ。何でじゃあおめえは泣いてんだ?別に本音なら構わねえよ。本音じゃねえだろ?ほんとめんどくさい。だるい。お前だけじゃねえ。お前らだよ。負けていいんだよ。折れていいんだよ。信念なんて、折れていいんだ。新しい信念があればな。何をも貫ける信念さえあれば、いくらでもそんなの、取り替えがきく。人生ってのはそういうもんだ。お前ら、何ビビってんだ?」
そして、篠原は一枚の写真を突きつけてきた。それは、懐かしい写真。海に行った後に、みんなで写真機で撮った一枚。
まだ、高校生になったばかりの頃。中学までのような人気者になれなかった私。ひとりぼっちになって、三年生になって、このまま終わるんだと思ってた私。
「あ・・・」
そんな時、変な子たちが現れた。
「ああ・・・あ・・」
アイドルをやろうとしていた後輩。
最初は目の敵にした。うまくいかなかった自分に対してのあてつけのように思えた。
でも、いつものように部室の戸を開けたら、そこから大きな、広い世界が待っていた。そして、隣に絵里と希。大切な友達ができた。
「あ・・・あああ・・・」
何度も、何度も一つ一つの思い出を思い出してここまできた。忘れることは、できなかった。
「あああああぁぁぁ!」
私は大きな声をあげて泣いていた。側に絵里と希が来た。
温かい何かが、心を満たして行く。
なあんだ、と思ってしまった。
私は、多分忘れられなかったのだろう。
自分に問いかける。
また歩いていいのだろうか。信念を破っていいのだろうか。溢れる涙が、きっとその答えを語っている気がした。
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「ちょっと、あなたたち、どれだけ泣いてるのよ。もうこんな時間じゃない。」
「ほんとですよ、にこさんなんてずーっと泣いてて大変でちたねー大丈夫でしたー?」
「うるっさいわね、篠原、あんたやるっていうの?」
「それに、西木野さんもあの時ずーっと泣いてましたけど。」
「あら、真姫もそんな感じだったの?」
「ちょ、あんた、またそんな事。絵里も、そんなからかわないで。」
駅を出ると、もうすっかり暗くなっていた。街の明かりが眩しい。私は、そんな会話をしているにこっちたちを見ながら、
「まあまあ、とにかく穂乃果ちゃんとこいかん?」
と提案した。
「神社にいますよ。」
携帯を閉じて、篠原さんは、そう言った。
「よくわかんないですけど、神社で待ってるーですって。」
私たちは、歩いて神田明神に向かった。
それは、あの時、穂乃果ちゃんと会った場所。あの時は、またこんな時が来るなんて思いもしなかった。ただ、穂乃果ちゃんの言葉を聞いて、何と言って良いかわからなくて、その後すぐにメールが来た。
私は、わかった気になっていた。
全部、知っていると思って。
でも、それは大きな間違いだった。
わかってくれていると思っていた。
でも、言わなきゃ伝わらないんだと知った。それが、大人になったっていうことなんだろうか。
前を歩く、大きな男の人の背中を眺める。
全然知らない人のはずだ。
今日初めて会った人だ。
でも、間違いなく、私たちの恩人だ。
あの時の篠原さんの剣幕を思い出す。この人は、私たちよりずっと大人なんだろう。
神社の階段を上ると、そこにはみんなの姿があった。
「希ちゃん、にこちゃん、真姫ちゃんに篠原さん!」
「みんな、本当にごめんね?
ほら、にこっちも。」
「ご、ごめんなさい・・・」
まず深々と頭を下げた。
「いいんだよ、ほんと!」
「っていうか、真姫ちゃん?また私たちに断りなく行動して?」
「かよちんの言う通りだにゃー?またお仕置きが必要だね?」
「わ、悪かったわよ!お好み焼きでいいでしょ?」
「二人とも、冗談はやめなさい。」
花陽ちゃんに凛ちゃん。海末ちゃんはちゃんと戻って来たんだね。
「海末ちゃん、厳しいよー。」
ことりちゃんは相変わらずだね。
「私、アイドルやるわ。やるからには、スーパーアイドル目指して頑張るわよ!」
「おお、さすが部長!」
「頼りなさ過ぎるわ、今だと。もう部長でもなんでもないじゃない!」
「頑張ってください、スーパーアイドル!」
「真姫、篠原・・・?あんたたち、それ以上は許さないわよ?」
にこっちは戻った。
色々変わった思いもある。でも、私は、やっぱり最後がお似合い。
誰かの後ろについて、みんなを支えるのが私の仕事。
<笑ってよ悲しいなら
吹き飛ばそうよ>
絵里ちが突然歌い出した。
みんなびっくりして絵里ちを見る。
<笑えたら変わる景色
晴れ間がのぞく>
にこっちの声も重なった。
みんなクスクス笑って、
<不安でも幸せへと
繋がる道が見えてきたよな青空>
そうやって、みんなが歌い出した。
当時のあの頃よりも、音程はバラバラ。タイミングもバラバラ。声も小さい。
<時々雨が降るけど水が無くちゃ大変乾いちゃダメだよみなの夢の木よ育て>
だから歌った。
下手だね、と絵里ちが目で伝えてきた
余計なお世話や、と返した
こうやって、目と目を合わせて伝えていれば。当たり前のことに気がつくのに時間がかかりすぎたのだ。
篠原さんは会った時と変わらない、相変わらず能面みたいな顔でこちらを眺めていた。おかしな人だと思っていたけど、彼なしに私たちがまたここに集まることはなかった。
だから、私たちは伝えた。
精一杯のありがとうを、目を使って。
篠原さんは、頷いて、そこに座り込んだ。
表情は、変わらなかった。
<さあ大好きだばんざーい
負けない勇気
私たちは今を楽しもう
大好きだばんざーい
頑張れるから 昨日に手を振って
ほら 前向いて>
私たちの下手くそな歌声は、誰にも届いていないだろう。それでも、これから伝えていける。目の前の大切な仲間さえいてくれたら。
今日は、9月1日。季節が変わる。
あの時こうなら、こうだったら。
そんな後悔もするだろう。でも、結局こうなった。変えられない過去。だからここで、頑張る。ここから、頑張る。大切な人達と。そうやって、生きていけるか。それが、大人ってものなんだろうか。
続く
μ'sメンバー集結!
でももうちょっと、いや、まだまだ続きます!
よかったらまた見ていってください!