翌日、朝。こんな早くから学校にいるというのも不思議なものだ。校門の前から見える光景は、何度見ても高校の時と何も変わらない。
とりあえず、集合場所の体育館に向かう。
寒空の中でも、中庭の木は葉っぱをつけている。
あの樹の下で、しょっちゅうパン食べてたなぁ。
きっと今でも、誰かが購買で買ったパン持って、友達とあそこで食べてるんだろう。
生い茂る大きな木。それを眺めて、それから、目を閉じた。
<ちょっと、パンばっか食べていると太りますよ?>
海未ちゃんの声がした。
クスリ、と笑ってしまって、でもなんだか嬉しかった。
「ずっと、見ててくれたんだね…。」
この学校を見守ってくれた樹に一礼して、私は先へ向かった。
私たちの卒業式が懐かしい。
あの日は、ことりちゃんと海末ちゃんと写真をとって、凛ちゃんたちに泣きつかれ、私たちも大号泣した。
それくらい、この学校が大好きだった。
ーーー学校を守れて、本当によかった。
この学校の救世主と、現理事長さんに言われた時、それを実感した。
私たちだけじゃない。μ'sって、他の人に、ものにとっても、ちゃんとあるものだったんだなって。
なんて説明したらいいのかわからないけど、そんな風に感じた。
なーんて感慨に浸りながら歩いて行くと、すぐに集合場所の体育館に到着する。扉には誰もいなかった。
「あ、穂乃果ちゃん、おはよー!」
後ろから、ことりちゃんがやってきた。
「おはよう!一番だったみたい。」
「ええー穂乃果ちゃんが?びっくりだよ〜」
「そんなことないよ?もう、私を何だと思ってるの?」
くすくすと笑うことりちゃん。
すると、中から何やら話し声がした。一人や二人じゃない気がする。
………?
あれ、一番じゃなかったみたい。
でも、なんか人多くないかな?
疑問に思いながら、ドアを開けた。
「おはよー!穂乃果、久しぶりね!」
「おはよー!」
「おはよー!」
体育館一杯に広がる声。私たちは、目を疑った。
だって、なんで?
「ひ、ヒデコちゃんにフミコちゃんにミカちゃん・・・!それにみんなまで?」
間違いなかった。成人式以来の子もいる。
同級生が大集合していた。
「ど、どうしたの?」
「いやー、またμ'sここでライブやるって聞いて!
篠原さんって人に連絡受けたから、来ちゃった!
居ても立っても居られないじゃない。みんなに声をかけたら、あっという間だったわ。」
「私たちも手伝うよ!」
「仕事休んで来たんだから!」
「みんな・・・」
私は感動した。でも・・・
「みんな、本当に嬉しい。ありがとね。
でも、私たち、自分たちの手でやるって決めたの。」
「私たち、ちゃんと自分たちで作り上げて、報告したいの。」
そう、それが私たちの思いだった。
何としても、私たちの手で作り上げて、みんなを笑顔にしたい。私たちの手で、μ'sは復活させたい。
だから、みんなの助けは借りられない。
「そんなの、聞いてるわ。」
でも、みんなの視線は温かかった。
「でもね。私たちは別よ。覚えてない?あなたたちアイドルで学校を救おうとした。
・・・私たちはね、そんなことできなかった。廃校になっても、仕方ないかなって。
だってさ、それは高校生の私たちにとっては、余りにも大きい案件だったんだよ。
なんとかしたかったけど、何もする勇気がなかった。そんな時に、スクールアイドル、μ'sが誕生した。私たちには、何もできない。
だから、せめて応援しようってみんなで話し合った。
結局、ちょっとの手伝いしかできなかったけどさ。立派にみんなは役目を果たしてくれた。学校を守ってくれた。
だからさ、まだ、私たちは恩返し、しきれてないの。
お願い、私たちにも手伝わせて欲しい。」
みんなの目が伝えてくる。
私たちは、何かしたのだろうか。学校を守ることは、そんなに困難なことだったのだろうか。
「あと、篠原さんから伝言よ。」
ヒデコちゃんが何か渡してくる。それは、一枚のカードだった。
開いてみると、中に字が書いてある。
無機質な、丁寧な字だった。
「あなたたちが創り上げようとしてる。それだけでいいんです。それに、差し伸べられる手は、間違いなく、μ'sが『創った』ものなんですよ。だから、それでいいんです。あなたたちだけで、創るのは、無理なんですよ。周りを見てください。
きっと、手伝ってくれる人はいるんです。見えてないだけなんですよ。」
ヒデコちゃんは近づいて来て、
「自分たちで決めたキャッチコピー覚えてない?」
忘れるはずもない。
そうだった。さっき考えていたことだった。
みんなの中にも、μ'sはある。
たしかに、私たちが決めた、私たちだけのライブ。
私たちが創り上げるライブ。
それをしたかった。
でも、いろんな人が私たちに関わってくれた。
希ちゃんの会社の社長さん。雪穂。お母さんにお父さん。
あの時声をかけてくれたツバサさん。
神田明神の方たち。
そして、篠原さん。
私たちが創り上げる中で、差し伸べられる手。
それは、きっと手を伸ばしてもいいものだった。
ーーーだって、それがμ'sなんだ。
「さあ、働くわよ!」
みんなで叶える物語。だね。
涙を拭って、叫んだ。
「みんなー!ファイトだよ!」
そして、本番の日となる。
目がさめる。いや、目が覚めた。何の原因もなく。
目覚まし時計でもなく。あれ?
慌てて、時計に目をやる。今日は、ライブ当日。だから、昨日の夜は寝坊したらまずいと早めに布団に入って、でも緊張で寝られなくて、それで…
「や、やっちゃったーーーーーー!」
穂むらに、叫び声がこだました。
この3人、絶対出したくてw
このような形で出演していただきました。w
これからも関わっていただきましょう!