女神再び   作:resot

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第5.5話 大人になるってことは

 

走る、走る。

大親友の手を引いて、ひたすらに走っていた。

途中道ゆく通行人が一斉にこっちを振り返るけど、一切凛は構わなかった。

デパートの前を、公園の前を、犬の散歩をしているお年寄りの脇を、高校時代と変わらぬスピードで爆走する。

そんな凛の心の中にあるのは、ちょっぴりの不安だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛は高校三年生の時に、恐ろしい努力で花陽と同じ大学に行くだけの学力を手にした。

 

 

なぜそうまでして花陽と同じ学校に行ったのか。

簡単な話だった。

 

 

凛には、夢がなかった。

 

 

それに気がついたのは、高校三年生になったある春の日、進路希望調査表なるものを渡された時だった。

 

 

『進路調査表配るからな、書けよー。』

 

『えー、めんどくさーい!』

 

『えーじゃない。いいか、そんなに時間はかからないはずだぞ。』

 

 

 

そんな感じに回ってきた紙。

凛はあんまり話を聞いてなくて、何が回ってきたのかと少し焦った。

 

 

『ねえねえ、凛ちゃんは何を書くの?』

 

『わ、私?』

 

 

突然隣の席の子に声をかけられて、もっと焦った。

慌てて机の上の紙を見て、凛はとりあえず事態を把握。

 

 

ああ、うん。進路希望チョウサね!

 

 

ウンウン、と頷いて、

 

 

『私はねー・・・...』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ以上言葉は続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

『かよちん!真姫ちゃーん!』

 

『知らないわよ・・・凛、まだ進路決めてなかったの?』

 

『ごめんね、気がつけなくて・・・。』

 

『なんで花陽が謝ってるのよ・・・。』

 

 

 

 

 

結局親友たちに泣きついて見るけれども、一向に浮かばない。

ちなみに花陽と真姫はソッコーで書いて出していたので、ほんとのほんとに凛だけだった。

 

 

『凛ちゃん何がやりたいの?』

 

『えっと・・・えー・・・。』

 

『何もないの?』

 

『うー・・・。』

 

『・・・でも、私たちが何か言えることじゃないわ。ゆっくり考えた方がいい。』

 

『真姫ちゃんのハクジョーもの!』

 

『で、でも凛ちゃんがやっぱり考えた方がいいと思う、かな。私も。あ、でも相談はしていいからね!』

 

『じゃ、私たちは後輩のとこ行ってくるから。凛も早く来なさいね。』

 

 

そう言って真姫と花陽は教室を出て行った。

はあ、と凛はため息をつく。

 

 

 

(私、このままじゃダメだな・・・。)

 

 

真っ白な進路希望調査票を目の前に、凛は本気で凹んだ。

また白い紙と向かい合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局放課後が終わっても書き終わらなくて、凛はどうしていいかわからなくなった。

こみ上げる涙を必死にこらえる。

 

 

何で何にもないんだろう。

何にも浮かばないんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんなに大事なことをいっぱい教えてもらったのに。私だって、μ’sの一員だったのに。

真姫や花陽だけじゃない。

先に卒業した先輩たちもみんな、それぞれにやりたいことを見つけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分だけ思いつかない。

それだけのことが、酷く辛かった。

 

それは、凛にとっては、あなただけがμ’sで何も手に入れてません、と宣告されているようなものだったから。

 

 

 

(どうしよう・・・。)

 

 

 

ピリリ…!

 

 

「うにゃっ!?」

 

 

そんな後ろ向きに考え込んでいたものだから、突然鳴った携帯電話に、不意をつかれた。

 

ポケットから携帯を取り出し、画面を慌てて確認する。

 

 

(ほ、穂乃果ちゃん?)

 

 

画面に映る高坂穂乃果の文字。

何事だろうか。

慌てて電話に出る。

 

 

「もしもーし。」

 

『あ、凛ちゃん?もしもーし!

ちょっと今いい?』

 

「あ、うん。どうしたのかにゃー?」

 

『うん、実はね。今日学校でお菓子作ったの!

せっかくだからみんなで食べようと思ってね、それで今から高校行こっかなって。

いい?』

 

「あ、うん、大丈夫、だ・・・よ・・・。」

 

 

電話の向こうの声。

いつもの穂乃果の声だった。

でも、その内容を受け止められなかった。

 

前に会ったのはほんのちょっと前なのに。

なのに、穂乃果が卒業した先の学校でお菓子を作ってるっていうそれだけのことが、凛の心を締めた。

 

やっぱり穂乃果は輝いていた。

自分のやりたいことを、見つけていた。

 

涙が溢れてくる。

誰もいない教室で、凛のすすり泣くような声だけが響いた。

ポタポタと落ちる涙の雫が、紙を濡らしていく。

 

 

『り、凛ちゃん?どしたの?』

 

 

穂乃果は自分のやりたいことを叶えるために、お菓子の学校に行って。

海未は家で稽古に励んで。

ことりはデザイナーになるために留学して。

絵里は一流大学に通って。

にこはバイトを必死にやってて。

希はもうインターンに通っていた。

 

花陽も真姫も夢に向かって勉強しているのに。

 

 

『穂乃果ちゃん…』」

 

 

必死に声にした。

そうしないと、壊れてしまいそうだった。

 

 

『わだしだけっ!何にもないの!

みんな頑張ってるのに!

わだしには、何にもない!』

 

 

こんなこと彼女に言っても無駄だってわかってる。答えなんか彼女に求めたって、あるわけがない。

 

 

『どうじよう、ほのかちゃん!』

 

『・・・えっと、凛ちゃん?凛ちゃん、何のことかわかんないけど、先生になるんじゃないの?』

 

『えっ・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚いてしまった。一気に涙が引いていった。

穂乃果は凛に何事もなくそう言ったのだ。

酷く普通の声だった。

え?なにそれ?というように、いつものトーンの穂乃果の声に、凛は面食らう。

 

 

『凛ちゃん、てっきり花陽ちゃんと一緒に先生になると思ってたんだけど。』

 

『え?』

 

『だって、花陽ちゃんが先生になるって言った時、凛ちゃん私もー!って言ってたじゃん。』

 

 

・・・あー、確かに言った。それは間違いない、確か穂乃果の卒業の時に、みんなでパーティーした時だ。

でも別にそれは、花陽の応援のために場に流されて言っただけで。

そんなに深い意味はなかった。

 

 

『ぴったりだと思ったよ!私!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(我ながら、くだらない夢の始まりだったにゃー・・・)

 

 

 

 

走りながら凛はなんとなくその時のことを思い出していた。

結局、友達と同じ大学に行くためだった。

同じ夢を叶えるためだった。

でも、死ぬ気で勉強した。

 

 

 

 

大学には、無事に受かった。

 

 

 

 

 

その後も真姫や花陽にも散々助けてもらって、凛はここまで来たのだ。

 

 

 

 

 

だから、この職業に対する思い入れが強かったのは間違いない。

でも、凛はこういう風に教師になったからだろうか。割と早い段階で気がついていた。

 

 

 

結局、自分のやりたいことは別にあるんだって。

 

 

勿論、今の仕事は大好きだ。子供達も大好きだ。

でも、あの頃の楽しさややりがいを超える出来事なんて、仕事をしていてありはしなかった。

 

 

凛自身の、本当にやりたかったこと。

 

 

 

結局凛が作り上げた夢は、だれかに決められた夢だった。

 

 

だからだ。本当にやりたいことは?

凛にはわかっていた。

わかっていたけど、知らなかったことにしていた。

 

 

不可能だって思ったから。

だって無理じゃないか。

アイドルだった頃がいくら忘れられないからって、そう簡単になれるものではない。

まして、凛は一人でアイドルなんてまっぴらごめんだった。

9人でなければ意味がない。

 

凛は、そう思っていたから、その「やりたいこと」を、割と早い段階で諦めたのだった。

 

 

 

でも、その凛の背中を押してくれたのは、また穂乃果だった。

穂乃果メールを見て、凛は即決で参加の意思を示した。

 

 

(また、あの日々を取り戻したい。)

 

 

たったそれだけの想いだった。

 

 

意外だったのは、花陽があっさりと乗ってきたことだった。

でも、花陽が参加すると言ったから、凛には確信がある。

 

 

(やりたくない子なんか、いるわけないよね。)

 

 

 

そのために、真姫に会いに行く。花陽はハアハア言いながら手を引かれている。私の大切な友達。

 

 

これはやっと見つけたチャンスだった。

 

 

正直に言おう、花陽に依存していたのだ。

彼女の夢に凛はのっていただけだった。

 

 

これが、最後のチャンスなんだ。

 

 

でも、大親友は真姫も同じ。

 

 

 

 

 

(真姫ちゃんと、ちゃんと話しをしなくちゃ。)

 

 

 

 

 

花陽と一緒の職場で働けると聞いた時、凛は喜びで飛び上がったのを覚えている。

 

小さい頃からずっと一緒。運動が苦手、人前も苦手。でも、とっても可愛い、アイドル好きの女の子。

凛の背中を押してくれる、大切な友人だった。

ずっと一緒にいたい。

だから、この手を離さない。

 

それは真姫だって同じだ。

真姫だって、離れ離れになったけど、前まではよく会っていた。

ツンデレな真姫はなかなか自分のことを話さない。

自分の本心を語らない。

 

2人で、真姫に会って、その心を聞きたい。それだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

10分ほどで、大きな病院の前に着いた。

真っ白な白塗りの建物にたくさんの窓。

玄関からはひっきりなしに人が出入りしている。

 

 

真姫の頭がいいのはずっと知っていた。でも、本当にお医者さんになるなんて。

 

 

「す、すごい大きいね?」

 

 

まだ少し息が上がっている花陽が言った。

凛も息を整えながら、建物を見上げる。

すっかり額や背中には汗が滲んでしまっていた。

 

 

「ほんと、すごいにゃぁ・・・。」

 

 

(って、見とれてる場合じゃないよね。)

 

 

「かよちん、行こ。」

 

「う、うん。」

 

 

自動ドアをくぐり、正面の受付へ。

中身も綺麗で、本当に立派な病院だ。

 

入った途端、涼しい空気が肌を包む。

一気に汗が引いて行く。同時に、病院のあの匂いが鼻をくすぐった。

 

クシュん、と花陽がくしゃみをする。

辺りを見回すが、真姫らしき人はいなかった。

 

広いロビーには、お医者さんから呼ばれるのを待っているのか、お客さんが座り込んでいる。

 

その間を縫うように、白衣を着たお医者さんや看護婦さんが、行き来していた。

 

 

「すみません、こちらに西木野先生は・・・」

 

 

花陽が喋っている間もキョロキョロしてしまう。

何というか、圧倒されていた。

 

 

「凛ちゃん、ロビーにいてって。行こ?」

 

「うん、わかった。」

 

 

 

「凛、花陽。」

 

 

青い椅子に座りながら、涼しい冷気に少しだけ待っていると、後ろから名前を呼ばれた。

 

振り向くと、そこには久しぶりに見る真姫の姿があった。

 

 

「久しぶりね。」

 

 

高校生の時も、とても美人だったけど、真姫は大人になってまた更に美人になった。

スタイルも抜群にいい。

白衣がこんなに似合う女の子はそういないだろうな、と凛は思った。

 

 

「時間あるの、外でない?」

 

 

ただ、その顔だけが美人に似合わない歪んだ顔で。私たちはうんとしか言うことができなかった。

 

 

[newpage]

 

真姫に連れられて外に出て、ベンチに3人で座った。こんな風に3人でいるのも久しぶりだった。

ただ、和気あいあいとはしてなかった。

 

肌にまとわりつく暑さも、今ならそれほど気にならない。

変な緊張感が、私たちの間に流れていた。

 

 

(イヤイヤ、今は目的を果たさなきゃ。)

 

 

今は真姫に本当のことを聞くために来たのだ、と凛は気を引き締める。ちゃんと話さなきゃいけない。綺麗な横顔に向かって、話しかけた。

 

 

「真姫ちゃん、あのね・・・」

 

「言わなくてもわかるわ。穂乃果のメールね?」

 

 

真姫は凛が話しかけているのを待っていたかのように、言葉を遮った。

目線は前にやったまま。

太ももの上で組んだ手も、変わらなかった。

 

 

「そうだよ、何で来ないの?私たちはそれを聞くために来たの!」

 

 

予想外に、花陽がストレートに言葉をぶつけていった。

 

花陽が大きな声を出すとき。それはアイドルの話と本当に真剣な時だけだ。

身を乗り出す花陽に対して、真姫はやはり表情を崩さなかった。

 

 

「何でむしろあなたたちは簡単にアイドルできるの?」

 

「・・・え?」

 

 

ーーー突然、とても冷たい声が、耳から頭に入ってきた。

 

 

 

頭がすうっと冷えた気がした。

暑さが遠ざかって行く。

 

あまりにも冷たい声が、頭に残像のように残った。

とても、真姫が今言った言葉だと信じられなかった。

 

そんな彼女の声を、二人は初めて聞いた。

 

 

「もうあんなに楽しい思いはできないわ。それがわからない?」

 

「・・・えっと、どういうこと?」

 

「わからないのね。いい?スクールアイドルっていうのは当時、流行ってはいたけどそんなに数は多くなかった。

あんなに注目をすぐに浴びることができたのも、そもそもラブライブに優勝できたのだって、全体のアイドルの数が少なかったからよ。

今は状況が違う。

何人、何組のアイドルが今いると思ってるの?私たちが今もう一度活動しても、人気は得られないと思う。

それで、何が楽しいの?」

 

 

ーーーーそれで、何が楽しいの?

 

 

凛は体が、ブルリと震えるのがわかった。

 

真姫は相変わらず、どこか遠くを見つめている。

 

信じられなかった。

 

 

(そんな、そんな言葉を出す様な人?)

 

 

嘘、だよね?

 

 

「真姫、ちゃん?何言ってるの?」

 

 

しかし、その思いとは裏腹に、真姫は言葉を繋ぐ。

 

 

「だから、もうやる意味がないって言ってるのよ。そもそも、2人も仕事してるでしょ。今更何を言ってるのかって感……」

 

「やめてよ。」

 

 

また、冷たい声がした。

紛れもなく、今まで黙って聞いていた花陽の声だった。

 

 

「何言ってるの?真姫ちゃん。何でそんなことが言えるの?冗談でもやめてよ。」

 

「冗談なわけないでしょ。本気よ、本気。みんな夢を見すぎなのよ。」

 

 

その時、かよちんの体が動いた。

止める間もなかった。

 

 

「待っ……!」

 

 

 

ドシンッ

 

 

 

花陽が真姫に掴みかかる。

そのまま2人はベンチから転がり落ちる。

 

 

その瞬間、凛の頭は真っ白になった。

 

何か、とんでもない方向に話が進んでいる。

それなのに、止められない。

 

金縛りにあったみたいに、身体が動かなかった。

 

 

「いい加減にしてください!何がおかしいの?どうしてやる意味がないって言えるの?穂乃果ちゃんのメール見たんだよね?

今度は純粋に、新しいスタートを切りたいって。みんなを笑顔にしたいって、そう書いてあったでしょ!?

あの頃、真姫ちゃんだってほんとに楽しかったはず。

だけどそれは人気なんて関係ない!あのメンバーみんなで悩んで、いろんな壁を超えて、互いを理解し合ったから楽しかったんだよ?

何でそれを否定するようなこと言うの!?」

 

「その楽しさの背後には何があったのよ!」

 

 

真姫ちゃんが大きな声で叫んだ。

周りの視線が集まる。声が出ない。

手が、体が、心が、震える。

 

何か、大切なものを私は失おうとしている。

それがわかるのに、私の身体は動かなかった。

 

 

強い声で、真姫は言葉を続ける。

 

 

「私たちには目標があったじゃない。スクールアイドルとして人気になって、高校を救う。そんな具体的な目標があったから頑張れた。どんな壁も協力して乗り越えようと思えた。

でももう今の私たちに何があるのよ!?人気が関係ない?嘘つかないで!人気になることにこだわってたのは、あなたたちでしょ!?」

 

 

花陽は何も言わなかった。背中を凛の方に向けていた。

 

その身体は、震えていた。

 

真姫は花陽を振り払って、

ゆっくりと立ち上がった。

 

 

「花陽、凛。私達は大人になった。必死に頑張ってそれぞれが夢を叶えた。その中で辛いこともいっぱいあった。

全部自分のために乗り越えてきた。その原動力に高校の思い出があったことは否定しないわ。でもそれは思い出。

もう戻れはしない。私たちは高校生じゃない。それが大人になるってことなのよ。」

 

「真姫ちゃ・・・。」

 

 

そのまま、真姫は病院に戻って行った。

凛が呼び止める暇もなかった。

 

その時、ふと真姫の目から涙がこぼれるのを、凛は見た。それでわかった。

 

 

(あぁ、真姫ちゃん、何かあったんだな)

 

 

言わなくてもわかった。それは、本当に信頼している子だからわかったことだった。

けれど、呼び止められなかった。

そんな勇気は、とっくに消えていた。

 

あの真姫の顔を見た後に、凛はそれを聞けなかった。

あの冷たい声を聞いた後に、あの光景を見た後に、凛は体を動かせなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欲しかった。

ただあの日々が、戻ってきてほしい。

たったそれだけのことが欲しかった。

 

 

 

 

でも凛はその時初めて、軽率にそれを思ったことを知った。

 

 

 

 

 

傲慢で身勝手な、自分勝手な気持ちだったと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽は穂乃果の家に戻る帰り道、ずっと泣いていた。そんな花陽を慰めながら、凛は歩いていた。

 

涙を必死にこらえながら。

真姫なら絶対にわかってくれると思っていた。

話せばわかると思っていた。

本当の声を聞きたいなんて言いながら、凛は真姫の答えをわかっているつもりになっていた。

 

 

「なんで、かな。」

 

 

さっきの真姫の涙を思い浮かべて、でもどうしたらいいのかわからなくて。

 

昔ならあの時、真姫ちゃんに何があったのか聞けたのかな。

 

 

 

ーーー私も、大人になって何か変わっちゃったのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人になるということに明確な基準があるのなら、みんな苦労はしない。

子供も子供で、必死に大人になることについて考えていることを、忘れてはいけない。

 

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