女神再び   作:resot

9 / 22
7話スタート、今回がかなり大事なお話となります!
前回のあらすじ

揃わないメンバー。すれ違う思い。そして、ついに篠原浩介が動くのであった….

かよちん視点です。


第7話 衝撃

真姫ちゃんとの事件の数日後。

穂乃果ちゃんに呼ばれて、私と凛ちゃんはまた穂乃果ちゃんの家に集まった。

気は進まなかったけど、そうも言ってられない。

 

しばらく考えたけど、想いは変わらない。

諦められない。

どうしても、諦められない。

真姫ちゃんの本当の思いを聞くまで。みんなの真の声を聞くまで。もし今までのが本当にみんなの声なら、

 

私はもう、何も信じられない。

 

「すいませーん。」

 

穂むらの入り口で声をかけると、すぐに穂乃果ちゃんが現れた。店はまだ開いてない。

 

「二人とも、いらっしゃい!入って入ってー!」

 

「おじゃましまーす!」

 

いつもの穂乃果ちゃんの部屋で、机を囲んだ。ことりちゃんはもう着いていて、饅頭を頬張っていた。

 

「あ、花陽ちゃんに凛ちゃん、おはよ〜」

 

「おはよーにゃ〜ことりちゃん」

 

何気ない会話だけど、まだみんな少し暗い。まだ、私たちは立ち直れていないみたい。私も座って、名物のウグイス饅頭を食べる。この味は当時のままだ。

あの時のことを思い出すだけで、なんだか泣きそうになってしまう。

 

「それで、今日はどうするの?穂乃果ちゃん?」

 

と聞くと、穂乃果ちゃんは身を乗り出してきて、

 

「うん、今日はね、二人に紹介したい人がいるんだけど・・・。」

 

「ごめんくださーい?」

 

表に誰か来たみたい。男の人の声だった。

 

「あ、来てくれた。ちょっと待っててね。」

 

穂乃果ちゃんは出て行った。

何のことかよくわからない。

 

 

しばらくすると、ドアが開いて、穂乃果ちゃんと、その後ろに男の人が立っていた。

 

 

丁寧に整った髪の毛に細身の体。

全体的にシュッとしたイメージ。

そして、切れ長の鋭く、そして怪しく光る目。

 

かなりの美男子、いや、美男性に思えた。

え、ちょっと待って。え?

 

「ええええええぇ!穂乃果ちゃん?」

 

「ちょっと、どういうことにゃ?穂乃果ちゃん?」

 

「穂乃果ちゃん、私に何で言ってくれなかったの?ずっと一緒だったのに?」

 

いや、彼氏さん?

いやいや待って!ことりちゃん泣きそうになってるし!

 

「あ、いえ、そうではなくてですね?」

 

とその男は言った。

 

「そうだよ、どうしたのみんな?そんなにびっくりすること?」

 

「あの、高坂さん?そういう言い方はやめましょうね。今、この方達の殺気を感じませんか?主に私に対する。私、死にますよ?このままだと。」

 

その人は何もわかっていない穂乃果ちゃんを制して、口を開いた。

 

「はじめまして。あなたが南ことりさん、そして小泉花陽さん。星空凛さん。そうですね?僕は篠原といいます。芸能プロダクションに一応勤めています。この度、あなたたちに協力させていただくことになりました。

どうぞ、よろしくお願いします。」

 

…えーっと?今、なんて?ゲーノー?キョーリョク?

 

呆然としたまま、名刺を受け取る。最近よく聞く事務所の名前が書いてある。

アイドル好きには、自明の事務所じゃん。

超すごいじゃん。

 

「えっと…協力って、どういうことです?」

 

「勿論、あなた方の復活、の協力です。」

 

その人は、私達に目を合わせることなく、淡々と話した。

 

「どうしてにゃー?」

 

と凛ちゃんが聞いた。そう、そこだ。

 

その人は、少し悩んで、

 

「わかりません。」

 

そう、言った。意味わからないんですが….

 

「大丈夫!この人は悪い人じゃないから!この店の常連さんなの!」

 

そう言って、穂乃果ちゃんは篠原さんが手伝うことになった経緯を話した。うん、篠原さん、優しい人じゃん。

 

イヤイヤ、信用できないって!最初かっこいいと思ったけど見てあの目!ヤンキーじゃん!絶対そうじゃん!3人で目を合わせた。うん、多分考えてること、みんな一緒だ。マフィアだ、絶対。

 

でも、穂乃果ちゃんの言ったこと、か。

ふと考えてみる。この子の周りに、悪い人はいない。

それは、穂乃果ちゃんの魅力というべきだと思う。穂乃果ちゃんの信頼した人か。

だとしたら、間違い無いのかもしれない、とは思ったのだが、その鋭い目は、やっぱり何となく悲しいような、信じ難いような、そんな感じがした。

 

この目は、一体…?

 

私達はまた机を囲んだ。まあ、一応話を聞こう。それからでも、遅くない。

篠原と名乗ったその人は立って、パソコンを手で持って見せて来た。

 

「この2日ほど、他のメンバーの皆さんについて少々調べました。勿論、合法的に、ですよ。」

 

その前置き、いる?

 

「まず、東城希さん。東城さんは有名な企業に勤められていますね。最近、仕事には来られているそうですから、職場に行けば会えるでしょう。次に、園田海末さん。ご存知の通り、名家の跡継ぎであることは違いありません。」

 

「希ちゃんには、会えるんだね!」

 

ことりちゃんは言った。

 

「そうですね、今度行ってみてください。

この2人は、コンタクトが取れている分、声はかけやすいと思います。ですが・・・他の方々はそううまくいきそうにありません。」

 

 

「どういうことです?」

 

と聞かないではいられなかった。

そう、そこだ。なんでこの人、そこまで知ってるの?

 

「まず、絢瀬絵里さん。皆さんこそ、絢瀬さんの動向には詳しいと思っていましたが、何も知らないようですね?」

 

意味がわからなかった。確かに、絵里ちゃんとそんなに連絡はとっていなかった。

 

「いいですか?彼女は今、日本にいません。」

 

「・・・え?どういうことかにゃー?」

 

「言った通りです。彼女は今、アメリカにいます。」

 

「なんで、どうしてそんなところに・・・?」

 

「そこまでは知りませんがね。ともかく、間違い無いですね。出国の記録がありますから。」

 

 

言葉が出なかった。絵里ちゃんがアメリカ?何が起こっているの?

 

「そして西木野真姫さん。小泉さんと星空さんは前にお会いして、誘いを断られた。そうですね?」

 

「はい、間違いありません。」

 

「そりゃ、そうでしょうね。こんなことがあれば。」

 

篠原さんは、パソコンを机の上に置いた。そこには一枚の記事が出ていた。

 

<手術中に患者死亡、医師のミスか?>

昨日、××市の総合病院で、手術中に男性患者が死亡する事故が発生した。

手術内容はいたって単純なもので、患者の死亡事故か起きたのは5年ぶり。

病院側は、手術に立ち合った西木野真姫医師(26)が術中にミスをしたことが原因であると説明した。>

 

「なん、ですか、これは・・・」

 

穂乃果ちゃんの声は震えていた。

私も、凛ちゃんも、何も言えなかった。

ミス?真姫ちゃんが?

 

「真相はわかりかねますがね。

これがその原因であることは間違いないでしょうね。」

 

私達の間には暗い空気が流れていた。みなショックを隠せない。そんなことがあったなんて。あの時の真姫ちゃんの顔を思い出した。言葉を思い出した。そんな辛い状況にあるなんて、思いもしなかった。あの涙。

 

そっか、そういうことか。

 

私は、高校生の時からみんな変わらないと思い込んでいた。

 

違う。苦しんでる仲間がいた。気がつけない自分がいた。

思い切り、怒った自分がいた。

夢を否定された友達に、思い切り怒った私。

 

なんてことを、してしまったのか。

大切な友達に。

 

「それと、ここで、このタイミングでこれを言うのはすごく気がひけるのですけれど。」

 

ショックの抑えられない私達に、次の篠原さんの冷淡な言葉はパニックを起こすには十分だった。

 

「最後に、矢澤にこさん。彼女には、最近人っ子一人会えていません。」

 

彼はパソコンを持ち上げて、続けた。

 

「彼女は、3ヶ月前から失踪しています。要するに、行方不明なんですよ。」

 

ーーーーーーーーーー

 

あれから2日が経った。

私は、ひどい熱を出した。

穂むらの店番を休まなけれなならないほどの、ひどいひどい熱だった。体がだるくて、何もしたくない。原因は明らかだった。体が、精神が、疲れていた。

 

あれから、ことりちゃんや凛ちゃん、花陽ちゃんと連絡をとっていない。

3日後、熱はなんとか引いた。

 

みんな、ショックをうけている。

あの時、パニックになった私たちに、篠原さんは声をかけて、なんとか帰らせてくれた。

 

「はぁ…」

 

私は、夜道を散歩した。熱は下がっていても、体は重い。

その日も、夏らしい、ジメジメした夜だった。汗が服に張り付いた。

 

川にかかる橋まで来た。

生暖かい風が強く吹いている。

橋の中腹に来て、川を眺めていた。

 

ほんとに、思いつきだった。

こんなにみんなが、辛い状況にあるなんて考えもしなかった。事情があるなんて、思いもしなかった。

 

ただただ、辛かった。

また、みんなに迷惑をかけてしまったのだ。

まだ、自分は子供だったのだ。大人になって、文字通り戦うみんなをまた見ることなく、自分勝手に振る舞った。

 

「僕は、あなたたちに復活してほしい。それが請け負った仕事ですから。ただ、このような事情がある以上、決めるのはあなたたちです。答えが出たら、教えてください。」

 

そう言って、篠原さんは帰っていった。

 

「無理です・・・もう。」

 

それが、答えだった。

やりたくない。もういいや。

 

涙が溢れて来た。

 

「何で、泣いているの?」

 

その時だった。

 

後ろから声がした。

振り返ると、そこには何度もテレビで見た顔ある顔があった。サングラスに帽子を被っていても、そのスター性は隠せていない。驚いた。なぜ?

 

なんでこんなところに、天下のスーパーアイドルが?

 

「綺羅・・・ツバサさん?」

 

 

 

 

友達の秘密を知った時。

それが一番怖くて、そして、試される時なのだろう。




ちなみにですが、篠原さんの姿見のモデルは
『三月のライオン』の滑川さんをイケメンにしたイメージでやってます。
気になる方は検索してイメージして見てください。目つきはアニメデレマスのPさんイメージです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。