今回はオケアノスと冠位時間神殿を元ネタにしております
ネタバレが多々あると思われますので、ご注意ください
ーーーーー確か、あの変な魔術師はこう言ってた
『これから邪魔なサーヴァントを引き連れたマスターが来る、お前はそれを止めろ』
『あとは、お前の側近に話してある』と
我ながら、馬鹿だった
阿呆だった
【第三特異点】
【封鎖終局四海】
【オケアノス】
「なぁメディア、本当だろうな?」
まだ、その時は懐疑心があった
ずっと、ずっと持っていれば良かったと、今なら思う
「ええ、本当です、『契約の箱』に神霊を捧げれば....貴方は、今度こそ真の英雄に、王になるのです」
「っは、どうにも信用できないが.....まぁいい、今度の私に嘘はない」
「今度こそ
『君を信用してみせよう、メディア』
勝ち目は充分にあった
エウリュアレ....神霊であるあれを奪い取り、契約の箱を見つける
それだけの簡単な試練
メディアも居た
ヘクトールとかいう槍兵も居た
そして何より、何より、何よりも
こんな簡単で単純な試練には大袈裟なぐらいの仲間が
友がいた
ヘラクレス、彼が居れば、勝てる
その後は、色々あった
予想外が3つもあったんだ
1、カルデアのマスターとやらは
『希望を背負いこまされたただの人間』
2、そのただの人間は、予想以上に『弱くはなかった』
ああ、ここまでは良い
俺の自惚れだ
だがそれだってしょうがないだろう?ヘラクレスが居たんだ
大英雄が、あんなカスみたいな人間に
あんな、『自分の英雄性だけで仲間を集めた』人間なんかに
負けるはずが
なかったんだ
「おい、おいおいおいおい!!!なんでだ!!!なんでお前らカスみたいな連中がそこに居る!!!!ヘラクレスが負けたってのか!!!嘘だろう!!!なんでだ!!!お前ら....屑で!!!ただのちっぽけな光に釣られた蟲が!!!ただのっ!!自分のカリスマだけで保ったような男が!!!!!俺のような真の英雄が勝つはずの英雄談が!!!!!!何故だ!!!!!」
嫌な事を自覚してしまったが
真に、カリスマだけで保っていたのは
俺だったんだろう
「クソッ!くそったれくそったれ!!!早く叩き潰せ!引きちぎれ!燃やせ!お前が弟を魚の餌にした時みたいに!!グライアを燃やした時のように!!!」
なんて愚かで
なんて可哀想な人間
神様の妄言に釣られ
周りの甘言に釣られ
ただの人間には重すぎる希望を背負った
ただ自分らしくあろうとばかりに突き進んで
『荒波に飲まれた』
ただの人間
それは、俺だった
「.......っおい!なんっだそのザマはメディア!早く終わらせろと言っただろう!だからお前は愚図なんだ!俺の指示がなきゃあ何も出来ないくせに!俺の指示はしっかりとこなしたくせに!」
奴等は、もう眼前に来ていた
負ける、そんなのは嫌だった
「俺は.....っただ!望みを叶えようと!」
そんな悲痛な妄言は
メディアに遮られた
思い出したくもないが、どうやらあいつは裏切り者で
あいつが言った『俺の作る最高の理想郷』とは
『俺以外全部滅んだ世界だったらしい』
「何故だ!!何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故なんだ!!!俺に王の資格が無いだと!!!俺に理想郷を望む心は意味が無いだと!!!なんでだ!!!本来いるべき王座を奪われ!!!屑王の望みを必死の思いで叶え!!!!追い出され!!!!!頭の狂った魔女から命からがら逃げて!!!死んで!!!!ようやく!ようやく手に入れた理想郷へのチャンス!」
「俺に!何故!誰もが幸福で!平和で!笑い合い!争う事のない理想郷を創る資格が無いなど!誰が.....誰が決められる!」
「俺は.......ただ!!!」
嫌な感触が、身体に伝わった
「え..........?」
聖杯、聖なる杯の名の通り
それは魔力を大量に含めた入れ物
願いが叶う願望機でもあり、本来英霊として呼び出せる事のない者達の一片をサーヴァントとして現界させることが出来る
メディアは、微笑んでいた
復讐の完遂に喜んでいたのか
それとも、別の何かだったのか
そんな事を考えているうちに
身体が書き換わっていった
「ぐぁ、ゔぅ、たす、たすけっ、いやだ、いやだ、しにたくない、こんなところで、おれは、ただ、りそうきょうをーーーーーーーーー」
そうして、俺はオケアノスから逃げた
座に戻り、ただただそこで篭っていた
だが、だが
あの時、一筋の縁が
召喚するための道を創っていた
間違いだった様に思うし
名誉挽回のチャンスだとも考えた
【冠位時間神殿】
【◼️◼️◼️◼️】
縁に釣られると、そこは魔神柱と呼ばれる.....ああ、特大の敵がうじゃうじゃいた
いや、地面すら魔神柱というぐらいに
正直勝ち目もくそもなかった
あの中心道を突っ走るマスターを守るために消耗戦をしかけなきゃあならない
馬鹿だ、馬鹿の集まりかあのマスターの周りは
だが、俺の側にはヘラクレスやヘクトールにメディアが居た
.............少しだけ、勝ち目は出た
「ああ!本当に本当に!」
「『なんて馬鹿をしたんでしょう』ですか船長、もう両手じゃ足りないぐらい聞いてますよっと!」
「イアソン様、少し避けてください!」
ごろごろと船上を転がりながら叫ぶ
ああ本当に何度死にかければいいんだろうか
俺は本来自分の陣地で指示を出してゆっくりしている方が性に合うんだ
「うわぁ!危ないじゃあないかヘクトール!メディア!」
「そもそも役に立たないんだから戦前に立たないでくださいよ船長」
「ああイアソン様、お怪我はありませんか?」
「っち!早くヘラクレスの方に行け!」
当たり前の事を言うと、こいつらは阿呆みたいに動きを止めずに口を開けた
俺が正論を言った事がそんなに驚きかと叫びたかったが
それはやめておいた
「はい?」
「えっ?」
「なんでそんな馬鹿みたいな顔をしてる!分かってるだろう!
『1を10より100を1000!いや110だっていい!』
とにかくヘラクレスを援護しろ!どうせ消耗戦でアルゴー号も早々保たん!」
「...........はは」
「.....ええ、イアソン様はああいうお方です」
「早くしろって言ってるだろ!非常に残念で面倒なことに俺は操舵だけはヘラクレスよりも上手な自信がある!」
「はいはい!ご朗報をお待ちしててくださいよ!」
「............チッ、さっきも言っただろう」
「これは消耗戦でーーーー」
次の瞬間、俺の眼前にあの忌々しくて目にするのも醜い魔神柱が向かって来ていた
「ーーーー俺とアルゴー号は、残念な事にすぐに沈むんだよ.....」
ああ、何度目の死の覚悟だろう
1度目はコルキスでの試練の時
2度目はメディアが弟を海に放り投げた時
3度目はイオルコスから逃げ出した時
4度目はグライアが燃えた時.........
「そして、そのどれもは私が助けたんですよ」
パキン、と魔神柱が凍り、割れる音がする
魔神柱が膨れ、破裂する音が聞こえる
魔神柱が燃え、面白いぐらいに叫ぶ声が聞こえる
「.........メディア!!!魔女ぉ!!!!ホンモノォ!!!!!」
「なんですかその反応!私もあの娘も同じくメディアです!!」
メディア、メディアだ
ああいやだ、やっぱりどこでもこいつは来るらしい
「先ほどの指示は的確でした、貴方にしては珍しくね」
「うるっさいなぁ!分かってるならヘラクレスの方に行け!」
「あらやだ、哀れにも敵の眼前で飛ぶ羽虫みたいな囮が居なくてはダメでしょう?」
「ああもう!ああまったくもう!」
ああ、まったく
「さぁ!さっさと帆を動かしなさい!止まない風は無くてよ!」
「分かってるよくそったれ!あいつの所に召喚されたら文句言ってやる!!!」
全く、俺の元には英雄が集うらしい
どんなに憎んでいても、つい人を助ける様な
英雄が
そしてあのマスターも
古今東西の英雄を集める素質がある
だがあいつは俺とは違う
仲間を信じ、自分を信じる強さがある
多分、あのくそったれ魔神柱もどうにかしてしまう事だろう
はぁ、まったく
生前にあいつが居たなら絶対に仲間にしていたというのに