これでひとまずの完結という感じです
もしもイアソンがカルデアに召喚されたらという感じですので、解釈違い等あるかと思われますがお楽しみいただければ幸いです
カルデアのマスター、イアソン視点が入り混じっています
イレギュラーだった
「........?召喚してるはずなんだけどな.....」
カルデアの召喚室、人理焼却という滅亡を防ぎ、時々現れる微弱な特異点候補を穴を塞ぐ様に修復する
そんな毎日でも、何か出会いがあるんじゃないかと
また別な英雄に出会えるんじゃないかと
そう思って通っては召喚を繰り返していた
「サーヴァントの反応ではあるんだけど....」
いつも通り、今のカルデアを歩いていたら大体分かるサーヴァントの魔力反応
だけど、何かがおかしかった
「微弱.....弱すぎる、一般人みたいな....でも、うぅん?」
召喚時の光が消え、サーヴァントが現れる
そこにはーーーーーーーーーーーーーーーーーー
また、縁の路が出来ていた
有り得るはずのない、召喚ルート
そもそも本来の俺は
『カリスマ以外英雄性のない』男だった筈だ
こうやって英霊になれたのすら奇跡でしかない
「..............................」
サーヴァントは、英霊の一片でしかない
100があるとしたら
その分の50や10でしかないのだ
そしてサーヴァント、使い魔の名の通り
現界した者が幾らマスターに影響されようとも
次に別のマスターに召喚された時受け継がれるものは、変われるものは
万が一があろうとも
『少しだ』
英雄とは、どれも苦難に身を投じた
それ故に、苦悩を持つ事は珍しくない
苦難を払い、苦悩を無くそうとする事は人の摂理であり
人の最終目標である
「...............」
まぁ、そんな小難しい事を俺が考えていたかどうかはどうでも良い事だ
単純に言えば、そんな馬鹿みたいに低い可能性に
そんな阿呆みたいに変わらない結論に
少しでも歪みを入れたくなっただけだ
ーーーーーーーーーーーふわりと重力に引かれ落ちる、金色の髪
煽る様に、馬鹿を見る様に、恨んでいる様に、呆れているかの様に見てくる翡翠色の眼
少し彼と自分を仰ぐ風は、彼の緩い服装を揺らし
年相応よりかは多少はある筋肉質な腕は不満そうに組まれていた
「イア.....ソン?」
「様を付けろ馬鹿マスターめ、全くお前ごときが呼び捨てなど出来るとでも思ってたのか?いいか、俺はお前に与するために来たんじゃあない、むしろお前を俺の仲間にしてやろうと思ってな、お前の真価を見に来たんだ」
ああそうだ、このサーヴァントはこういう奴だ
なんでここまで傲慢になっているのか良く分からないしあんまりにも大きすぎる根拠のない自信はどこから来ているんだろう
「い、いや」
「いやもくそもあるか、ペラペラ喋ってる暇があるんだったら部屋を紹介しろ、まさかこの薄暗い部屋に置いてく気じゃないだろうな」
...........はぁ、面倒な事になった
「と、とりあえず、そのー....」
「ふん、なんで来れたか、と、なんでそんなに弱いんだ、だろう?頭の悪いお前に1から説明してやる」
彼はとても丁寧に主観たっぷりで自分の過去を語ってくれた
まぁそれでも、彼の話し方は上手というか心を惹きつけるというか
つい楽しそうに聞いている自分がいた
分かる事といえば、彼は英雄的な活躍をしたことは少なく
あのヘラクレスさえ惚れ込ませたカリスマ以外特殊な点はないということ
あとヘラクレスを本当に本当に尊敬し、友情を持っていた事
メディアさんがトラウマ、というか本気で怖がっている事
そんな所だろうか
「...........そんな過去だったんですね.....」
「おいおい同情か?よせよせ、お前の安っぽい同情なんて要らないぞ」
「いや、その.....貴方は、英雄じゃないって言うけど、その理想は.....とても、英雄的だと思います」
「..........は、当たり前の事を言うなよ」
「ああ、まぁ、はい.....」
時計の音がかちかちと鳴る
お互い話す様な事もないというか
1度は戦った敵同士で
どうしても、話しかけづらかった
そんな事を考えていたら、彼はぽつりと漏らした
「お前は、俺と似ている」
「はい?」
つい、口に出してしまった
根拠もなく、ただ感じた事を
だが、だが
俺の過去を語っている間に、興味深そうに聞いているこいつは
まるで、まだ歪まなかった俺の様で
「...............なぁに、ただの独り言だ」
「あ....はい.....」
彼は、少しだけボタンを掛け違えただけの人間だった
心を惹きつける言葉は、嘘も偽りもなかった
その理想は、ただ尊敬されたいという欲もあったが、確かに真の平和と幸福を願っていた
ただ、少しだけ歪んだ一部分が、荒波に押しつぶされて歪みを大きくしてしまった
今更その歪みを直す事は出来ないだろう
なら......
「......イアソン.....」
「ん?おい、言われたことも学べない馬鹿なのかお前は、本当に良く生き残れたものだな」
やっぱりこのサーヴァントムカつく
だけど........
「........一緒に、これからは冒険してもらいますよ、俺のサーヴァント」
「..................は、サーヴァントだと?確かに形式上はそうかもしれんが....」
「じゃあ....これからよろしくお願いしますよ、船長」
「........................っは、ははははは!そう言われたら仕方がない!ああいいとも!お前の手駒を上手く使って!俺とお前を精々守ると良いさ!」
多分、逃げたり隠れたりするだろう
彼はそういう「人間」だ
人間は英雄とは違う
結局は、弱い存在なのだ
だから、共に手を握り歩む
その旅が終わりを告げるまで
俺
僕は船員で、彼は船長なのだから
〜後日談〜
「ぎゃああああああああああああ!!!!」
「はぁ、今日も良くやるもんだねぇ」
イアソンを召喚して以来、メディアに追い詰められている姿をよく見る
大体側にはヘクトールが緊急救助員として見守っている
ちなみにヘラクレスが少しだけ楽しそうに笑ってその様子を見ているのを時々見る
アタランテがメディアに代わってイアソンを撃ち抜こうとする所も見た事があった
そういう事があると大体僕の部屋に転がり込んでは隠れて震えるのだ
怪我をしている事が多々あるので治療していると、彼はたまに頰を緩ませ笑っている
何故だろうと思い聞いて見たこともあったが、彼はそんな事は無いと言ってまた気難しそうな顔をする
これは、僕個人の憶測だが
彼は多分、この状況を楽しんでいるのだと思う
昔の仲間と、昔の様に騒げる今を
ボタンを掛け違え、海に沈む事すら許されなかった英雄のなりそこないは
今ここで、少しだけ人間らしく笑っているのかもしれない
多分
「くそったれ!またメディアに凍らされる所だった!開けろ馬鹿マスター!!」
流石に、ほとんど毎日自分の部屋じゃなく僕の部屋に隠れるのはやめてほしいが