桜セイバーをあの漫画に放り込んでみた(仮)   作:諭吉

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幕末の復讐者

1868年慶応4年。

王政復古の大号令により政権は徳川から天皇へと返上されたものの、幕府の力はまだまだ絶大なものであった。

薩摩藩の西郷隆盛は相良歳三ら薩摩藩士500人あまりを集いて江戸で強盗や放火などを行い、旧幕府側を挑発する行動を起こした。

旧幕府側が薩摩を攻撃するように仕向けるためである。

この挑発に乗ってしまった旧幕府側は西郷の思惑通り江戸の薩摩藩を襲撃。

これを機に1868年1月。鳥羽伏見の戦いが始まった。

鳥羽伏見の戦い、上野の彰義隊の戦い、会津戦争、

1869年6月の新撰組鬼の副長土方が戦死したことで知られる箱館戦争までの一連の戦いを「戊辰戦争」と呼ぶ。1868年が干支(えと)で戊辰(つちのえたつ)の年にあたるので、この呼称がつけられている。

この戦いは官軍側の勝利で情勢はほぼ内定、元号は明治へと変わり新しい時代が始まったのである。

 

その戊辰戦争の最後。とある戦場であの男は生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーその男は修羅だ。

 

 

幕末という地獄が生んだ悪しき焔の権化とは彼のことを指すだろう。

内に秘めた狂気と兇気。尋常ならざる人外の化け物。

あれはもはや人間ではない。

あんなモノは鬼をも超えた修羅としか言えない。

味方である者達も男の狂気に心底恐怖に震えた。

なんて恐ろしいほど強い男だ。

沖田・・・・・・いや抜刀斎をも超えるのではないか?

こんな怪物がいて良いのか?

 

おぞましいほどの人間を斬り、斬り、さらに斬りつづけ、斬り殺してきた亡者どもの怨念を、恐怖、絶望、負の感情すべからく染みこんだ妖刀を高笑いしながら振るう。

群がる幕府の侍どもを一人、十人、百人一方的に蹂躙し惨殺していく。

戦いとすら呼べない虐殺劇。首を跳ね飛ばし、顔を串刺しにし、胴を真っ二つにし、

兵どもを数人まとめて男の秘剣を用いて焼き殺す。

血しぶきを浴びながら嗤う。笑みが止められない。

男は疲れない。むしろ剣気がさらに増し高まっていくのを実感していた。

もっと獲物を食わせろ。

もっと敵を殺させろ。

戦いの愉悦に浸らせろ。

男が振るう刃の前にはどんな猛者であろうとただただ無力。

逃げ惑い、命乞いをするものも現れたが男は何の感慨もなく無慈悲に切り裂くのみだった。

いや。

何の感慨もないというのも違うか。

男の中は一人一人人を殺すたびに湧き上がってくる感情があった。

 

楽しい!!

楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい!!

楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい!!!!

幕末とは本当に楽しい時代だ!!!!

 

素晴らしい時代に生まれたことに男は歓喜する。

面白いとおもわないか?

この自分の力だけで全てを蹂躙する喜び。全てを支配し手に入れていく喜び。

自分が最強であると実感するこの喜び。

 

尊王、倒幕、攘夷、開国。

たいそうな理由をつけたところで詰まるところ一つの真実に突き当たる。

 

ーー力こそすべて。

この世は所詮弱肉強食。

力のある者だけが生き、何もできない弱者はただ無様に死ぬだけだ。

簡単なことだろう?

この理に従うのならば

最強であるこの俺こそが天下の覇権を握るのにふさわしい。

 

男の名は志々雄真実。

 

この世のすべての悪の頂点に立つ魔王。

すべてを支配する最強の覇者だ。

 

戦いの最中彼は心の底から思いっきり笑い声をあげ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場にいた有象無象の雑魚を何百人殺しただろう。

いつのまにか敵を一人残さず皆殺しにしていた。

屍はどれも恐ろしいものを見たような恐怖に引きつった顔をしていた。

その屍の一つに腰かけて志々雄はふうっと一つ息を吐き出す。

 

(本当いい時代だぜ。この時代はなァ)

 

心地いい戦いの余韻が彼を浸らせ酔わせていた。

だがまだまだ満足できない。

男の中にある尋常ならざる功名心と支配欲。かの抜刀斎の後継者として影の人斬りになったのはある野望のためだ。

日本を支配する。

乱世に生まれた男なら当然抱く野望だ。

自分の実力を維新志士の幹部に知らしめさせてきた。坂本龍馬暗殺を初めとした弱みも握ってきた。もはやこの男の存在は無視ができるようなものではない。

倒幕、攘夷なんてのは序の口だ。本当の戦いはまだ先にある。

国盗りこそが真の戦いであるのだ。

 

「よくやった!! これで我らの勝利がまた近づいた!! 新しい時代が近づいたのだ!!」

 

「のっぶ」

 

志々雄の戦いに腰を抜かしていた上官共が媚びた笑顔を浮かべて彼に近づいてくる。

別にこんな奴らどうでもいい。

志々雄にとってこいつらは獣同然の豚にも等しい存在であり気にもとめるまでもない雑魚だ。

豚がブーブー言っているのをいちいち気にするまでもない。

いや一つおかしい戦国大名のような変な二頭身みたいなのが何体かいるような。

志々雄は考えることをやめた。

無数の屍の山を背後に懐から煙管を出して紫煙を吐き出す。

 

(この国を盗るのは幕府でも志士でもない。この俺が頂点に立つにふさわしい)

 

今の世にいるもので最強は誰か?

沖田総司?斉藤一?緋村抜刀斎?いや違う。最強なのはこの俺!!

その辺に転がっていた死体に向かって徐ろに手に持った新井赤空の殺人奇剣『無限刃』を振るう。

なんということか。

その死体は恐ろしい妖術をかけられたかのように瞬く間に炎に包まれて一瞬で灰へと変わってしまった。

その様子を見ていた上官はひぃいっと腰を砕き失禁してしまっている。

刀を一振りし、刃についた血潮を飛ばして志々雄は楽しげに嗤う。

 

--そうだ。

この力の前にはどんな奴でも敵ではない。

 

 

刀に血を、脂を染みこませ更なる強さを身につけたという己の力の過信。

その油断が彼に隙を生んだ。

 

「ごっ!?」

 

気にも止めていなかった上官の男がいつの間にか手に刀を持ち志々雄の背後から斬りかかってきたのだ。

不意に放たれた斬撃は頭蓋骨にまで届いた。

志々雄の視界が血に染まり立っていることもできない。その場に倒れ伏してしまう。

志々雄の動きが鈍った。その瞬間周りにいた他の仲間であるはずの攘夷志士からも全身に刀を突き刺す、突き刺す、さらに突き刺す。

ずぶりずぶりとした音を立てながら志々雄を刺す男たちの顔には余裕などない。

もしかしたらこの化け物は立ち上がって自分達を殺してしまうかもしれない。

この程度でこいつが死ぬなんてあり得ない。

こいつはここで確実に殺さなくてはいけない。

新しい時代を作り上げるためにはこいつはいてはいけないのだ。

 

「まだだ。まだ生きているかもしれない。油をかけて火をつけろ」

 

「のっぶ」

 

志々雄の身体に念入りに油をかけ火をつけるとゴウっと音を立てながら炎が立ち上がった。

灼熱地獄というのがあるのならこのような光景なのだろう。

あっという間に志々雄の身体が火に包まれる

 

一体なぜ?どうしてこんな事を?

許さない。

味方であるはずの者からこんな仕打ちを受けた疑問や悲嘆。憎悪。

常人なら普通そう考えるのだろう。

そんな事わざわざ考えるまでもねぇ。

志々雄に浮かんだのはそんな程度ちっぽけなことではない。

この炎は教えてくれる。

真の強さとは何か。

力とは何か。

高みとは何か。

 

(ふ、ふはは。ふはははははは・・・・・・フハハハハハ!!!!)

 

炎の中から真っ黒の身体で出てきた志々雄は狂ったように笑い続ける。

時代が自分を選んだ。

だってそうだろう?錦の御旗を天は直に今俺の手に渡して来やがったんだから。

日本の天下を盗る?

もうそんなちっぽけなものじゃ俺は収まらない。

この俺の器はもっと大きなものを求めている。

 

「そうだ・・・・・・これが力だ」

 

右手に無限刃を、左手に黄金に染まる杯を持ち志々雄は嗤う。

幕末の復讐者はさらに燃える焔をその身に宿して嗤い続ける。

 

男は止まらない。

この世のすべてを地獄へと変える動乱を誰にも止めさせない。

時代を作り上げるのはこの志々雄真実だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




CCOに聖杯渡しちゃった。

あと一つ皆様に質問があります。
菊一文字則宗って2本以上あるの?
刀にはあまり詳しくなくて・・・・・・
知っている人がいたらちょっと教えてほしいです。

作中で坂本龍馬暗殺の件を入れましたが原作には一切そのような話はありません。
この話の中だけの設定です。あしからず。

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