マツモトは今日も妄想タイム
「助けて……マツモトっ……」
白銀の髪を風にたなびかせながら1人の女性が崖の上に磔になっている。
地面に打ち付けられた杭が彼女の体重と強風によって揺れている。このままでは彼女は崖の下に落下し、魚介類の餌になるだろう。
「彼女は一体誰だ。」そう思う頭の隅で「助けなくては。」という使命感が考える間もなく俺の身体を動かす。
彼女の方へ走る。距離は30mといったところか。俺の50m走の記録は7秒。よって、秒速約7m。したがって、彼女の元へ行くには後4秒弱。
風が強まる。
あと3秒、間に合え。
杭の揺れが大きくなる。
あと2秒、もうすぐ手が届く。
杭が彼女とともに崖の下の方へ傾いていく。
あと1秒、時間の流れが遅く感じる。
ゆっくりゆっくりと彼女は崖下の荒れ狂う海原に近づいて行く。
あと1歩、その時、足下の石に足を取られた。
さらに遅く流れる時間。しかし体勢は傾き地面は近づく。
胸部に感じた衝撃とともに、彼女が崖下へと落ちていった……
「はうっ……はぁぁぁ……」
汗だくになって目が覚めた。背中が汗で濡れ、何とも言えぬ不快感がある。
それにしてもさっきの声は何だ、久しぶりの夢を見たせいで変な声が出てしまった。
もしナカヤがいたら面倒だっただろうな。
「やっはろーーー。男に掘られた夢の感想は!?」
ベッドの横からナカヤが顔を出して言った。
「はっ、何故俺の部屋にお前がっ」
もしこれが漫画だったら俺の目が飛び出ていただろう。つまり驚いた。
「俺は掘られていない。見知らぬ女性を助けようとしていただけだ」
「ほんとー? でも「はうっ」って言ってたぞマツモト。何なら掘ってやろうか?」
その時笑いながら言うナカヤが悪魔に見えたのは秘密だ。
「止めてくれ。お前が言うと洒落にならん。」
こうしてまた1日が始まった。
そしてその3時間後、時刻は12時30分、俺とナカヤは近所の市民プールにいた。
何故こうなった……俺は今日、宿題を終わらせようと計画していた筈だった。
「何故だ……」
「うっひょーい! 見ろマツモト! 胸が、胸がたくさんあるぞ!!」
そう叫びながらビキニを着た女性たちの方へ走っていくナカヤを見ていると宿題のことなど馬鹿らしく思えてきた。
どうせ来たんだ。美女の胸と尻を堪能せねば市民プールにも失礼というものだ。
「ふっ」
俺はあくまでも落ち着いて、歩き出した。
胸と尻が待つ、楽園へと。
4時間半後、心行くまでプールを、堪能した俺とナカヤは閉館時間となった市民プールを後にした。
時刻は6時、辺りは少しづつ暗く、静かになってゆく。
「楽しかったな、マツモト……」
「ああ、久々に元気になったよ……」
「それは良かった! 無理矢理にでも連れて来た甲斐があったぜ!」
「ナカヤ……」
「ん? 何だ? マツモト」
「……有難う……」
「ぶはっ。この真夏に雪でも降るんじゃねえのか」
そういって、俺たちの唇は近づいていく。
ゆっくりと、しかし確実に。
それは冷たく、微かに甘かった。
そして口を開け、それを口の中に。
「……」
「……」
やはりガリガリくんは安くて、美味しい。
第2話 終
どうもサンマ王国です。
「マツモト 灼熱の31日」 第2話、眠気と戦いながら何とか今日中に書き終える事が出来ました。
今日中に書く意味は、ありません(笑)
内容がスカスカになってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
これからも応援よろしくお願いいたします。
最後に、「マツモト 灼熱の31日」を読んで頂き、本当に有難うございました。
たくさんのコメントお待ちしています。