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誰かの声が聞こえた気がして、おれは目を開けた。真っ暗で何も見えない。
その途端、おれの中に何か別のものが濁流のように流れ込んで来る感覚があった。それは総じて地獄だった。熱かったこと、そして誰かを助けようとして、その誰かが死んでいったことを覚えている。
流れ込んできた記憶はそこまでだった。
しかし今だ頭痛は続いている。まるでおれの根本のところが書き換えられてるようで気持ち悪い。一瞬、赤い荒野を幻視した。だが本当に一瞬でそれがなんであるかを知ることはできなかった。
いまだに続く頭痛にうめいていると、周りで誰かが起き上がる気配があった。なぜ気づけたのか、自分でもわからない。でもなぜかわかった。数は自分含めて四人。正確には違うと思うけど見立てではそれくらいだった。それぞれ、周りに人が居るのに気付いたのか、口々に声を出し始めた。
「誰かいるの・・・?」
「居るで~というかなんやろねここ?」
妙に声が頭に響いて、さらにうめくはめになった。隣にいた人がそれに気づいたのか声をかけてきた。
「・・・痛いの?」
微かに見えるシルエットからとても小さな少女だとわかった。それに答えなくちゃならない気がして、でも心配させたくないとも思って、手を振ってなんでもないことを示しながら、
「だ、大丈夫。ありがとう、心配してくれて」
見えるかはわからないけど一応笑って、答えた。それから立ち上がる。遥か頭上にある蝋燭がかすかに壁を照らしていたので、とりあえず壁へと触れる。壁というより岩肌に近い気がする。まるで洞窟だ。ここはいったいどこなのだろうか?洞窟だとしても蝋燭があることから手が加わっているのはわかる。
「・・・ど、どうしようか?」
なんというか情けない話だけど、この状況でどうするべきなのかがわからない。誰かにこの後の方針を決めてもらいたいのだけど、生憎と意思表示してくれる人はいなかった。
と思っていたのだが、おれの問いかけに先ほどの小さな少女が答えてくれた。というか方針を示してくれた。
「……蝋燭をたどってみたら……?」
「あ、なるほど」
たしかにそうだ。もしかしたらこれを灯した人に出会えるかもしれない。そうと決まれば行動してみよう。
「じゃあ、おれは蝋燭をたどって行くけど。他の人は?」
「あ、えっと、い、いきます……」
「…ぁぃ」
「ユメもいこうかな〜」
方針は決まった。この後は野となれ山となれ、だ。
縛り内容、同期ユメ、シホル、チビちゃん。
救済措置、チビちゃん。
チビちゃんの名前を募集します。