夢の中にて。   作:超高機動俺

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騙して悪いが、今回はあの熊のお話だ!


オリオン アルテミス

「じゃ、いってくるね~」

「おう」

 

やぁ、どうも。皆大好きオリべえです。ん?何故アルテミスが俺から離れて何処かに言ったのかって?どうやら女子会ってのがあるらしい。連れて行って欲しいなーとか言ってたらそのままロープで縛られちゃった。ていうかこの状況マスターに見られたらマズイっしょ。だって天井からぬいぐるみが吊られてるんだもの。何処ぞのホラー映画も真っ青だよ。・・・まぁ吊られてるの熊なんだけど。あ、鍵閉められた。

 

「どーしよっかなー」

 

暇だなーとロープをブンブン揺らして色々と考えるオリオンだったが、そんなぬいぐるみに悲劇が起こる。

プチンと、何かが切れる音がした。

 

「なぁ!?」

 

そのまま揺れの勢いのままに、熊が空を飛ぶ。

 

あぁ、星座になった時見たいだぁとか思いながら。

 

向かった先は、壁だった。

 

「ちょまっ・・・!ぷぎゅっ」

 

頭を強くぶつけた。よかった、どうやらこの綿の詰まった頭で壁自体は守られたようだ。

 

だが彼の意識はそのまま何処かへ飛んでいった。

 

 

「んー・・・?」

 

気づくとそこはさっきまでの、カルデアの私室ではなかった。身体を縛るロープも今は無い。

 

「もしかして、レイシフトでもしたのか?いやいや、そんなはず無いだろ、多分」

 

仕方ないので、森の中を一人で歩いていくことにした。

 

 

「へ~え・・・まったく、ここ何処なんだ?」

 

ぬいぐるみはぼやいた。歩き疲れて木陰に座り込む。その姿は誰かが置き忘れたぬいぐるみのよう。

 

 

「はぁ・・・残念です」

 

ある夜の街、彼女はうな垂れながら道を行く。

 

「せっかく噂の歩くくまさんぬいぐるみが手に入ると思ったのですが・・・」

 

どうやらお目当ての物が手に入らなかった様子。そのまま彼女は、彼女が仕えるマスターの元へと帰っていく、はずだった。

 

「・・・?なんでしょう、あれ・・・」

 

何かが光っていた。それを拾い、眺めてみる。

 

「何か棒のような・・・きゃっ!?」

 

光は突如、彼女を呑みこみそのまま消えたのだった。

 

 

「ん?なんだ?」

 

座っていたら目の前が光りだした。

 

「おぉ!?もしかしてマスターが助けに来てくれたのか!いやーありがたい・・・ね?」

 

出てきたのは期待通りのマスター、ではなく、ライダースーツに身を包んだ一人の女性。凛々しくも美しいその姿に、色男(オリオン)が反応しないはずも無く。

 

「お姉さんお茶しなーい!!??」

 

無条件に、条件反射で彼女の谷間にフライハイ。この思い、届けぇ!!

 

「・・・」

 

右手で空中キャッチ。あぁ、思いは届きませんでした。しかもこのお姉さん、見た目は違えどなんだかあいつに似ているような・・・いや似てるわ、服の開き具合そっくりだわ。

 

「あの~、人違い・・・みたいだったので・・・この手離していただけるとありがたいんですけど・・・あ、痛い痛い!中身出ちゃうから離して!」

 

危険を感じたオリオンは逃げ出そうともがく、が彼女はそんな話を聞きやしなかった。なんせ彼女の手には『喋る!歩く!くまさん人形』があるのだから。握る力は強くなり、目は血走る。

 

「見つけました・・・!しかも今度は喋るくまさん・・・。良い品です!」

「タスケテー!!」

 

 

「酷い目にあった・・・」

「すいません・・・。まさか意思を持つぬいぐるみがいたとは・・・」

 

頭はくらくらするし、毛並みはもうボロボロだが問題はないです。

 

「しかし、ここは何処でしょう?見たことの無い場所ですが・・・」

「俺もだ。ここら一体俺ら以外だーれも居やしない。まるで特異点だな」

 

そんな二人に、はたまた突如として現れる黒い影。

 

「またか!女の子だといいなー!オリべぇ、いきまーす!」

「これは・・・!くまさん、止まって!」

 

影に突っ込むオリオン。見事に胸元をがっしり掴んだ!

だがそれは硬い胸板で、温かみも包容力もかけらも感じない板だった。不思議に思い、顔を確認する。もしかしたらまな板な美女かもしれないしね?

 

「え?何この牛頭」

「ミノタウロウスです、逃げ・・・!」

「ぷぎゃっ!!」

「くまさん!」

「助けどぅわぁぁぁぁぁ!!」

 

オリオンはミノタウロスに摘まれて、そのまま空に飛ばされた。

あれ、今日の俺、空飛びすぎじゃね?熊って空飛べたっけ?

 

「くまさん、逃げますので我慢してください!」

「ぶぇっ」

 

空中で彼女にキャッチされ、そのままその場を離れる。うん、デカイ。

 

 

「で、なんだあれ?」

「ミノタウロス、異族の一人ですが・・・知らないのですか?」

 

あの場所から少し離れ、二人は話していた。

 

「ミノタウロスなぁ・・・。俺の見たことのあるミノタウロスとは違うんだよなぁ・・・」

「そうなんですか?」

「うん。アステリオスって言ってな、常に肩に女神様を乗っけてるんだがこれがまた数奇な運命でなぁ。俺の・・・長くなるから止めとくわ」

「え、そこまで言って話さないのですか。とても気になるんですけど」

「いやだって、もう来てるし」

「え?」

「南に200mほど連れて行ってくれない?そこまで行けばあいつ倒せるからよ」

 

そういってオリオンはうまく彼女の肩に飛び乗った。

 

「わかりましたけど・・・」

「ところでお姉さん、お名前聞いてなかったな。俺はオリオン、お姉さんは?」

「アルテミス。月の女神の弓のキラーズです」

「・・・ほー」

「どうかしましたか?」

「いやな、俺はつくづくアルテミスから離れられないんだなーと。おー怖い怖い」

「??私はあなたを見たことありませんが・・・」

「まぁ気にしないでくれ。さてアルテミス、何か俺でも使えそうな武器持ってない?」

「そのサイズの武器はさすがに・・・あ」

 

アルテミスはポケットを探り出す。出てきたのはオリオンがいつの間にか無くしていた棍棒。

 

「あ、俺の!」

「オリオンさんの物でしたか。ではこれを」

 

二人は森の中を駆けぬけながら、奴を倒すための算段を彼女に伝える。

 

「いいかアルテミス。チャンスは一回、脳天に直撃させろよ?」

「わかりました。しかしオリオンさん、一体離れて何を・・・」

「お前が直撃させやすい様に動くの。頼むよー」

 

 

奴はもう既に彼女を捉えていた。そして彼女も、奴を捉えた。奴は真っ直ぐに、木々をなぎ倒しながら進んでくる。対して彼女は静かにその時を待つ。

 

「・・・そこっ!」

 

木々の間に見えた、脳天へのラインを矢でなぞる。矢は真っ直ぐに敵へと飛んでいた。しかしそれは簡単にいくはずも無い。圧倒的な力の差。いとも容易く、奴の武器で弾かれた。

 

「やはり戦闘力の違いが・・・」

「外したか。じゃ、行ってくるわ」

 

ぴょーんと、オリオンは、何度目だか分からない飛翔。

 

「えぇ!?」

 

彼女が驚くのも当たり前だ。だって熊の人形が、自分の足で、凄いスピードで飛んでいったのだから。

 

「やったれぇ!!」

 

返してもらった棍棒でぶん殴る。その威力はスピードと相まって最強の力となっていた。さすがにミノタウロスとはいえ、さらに人形とはいえ一人の英霊の一撃、無傷で追われるはずも無いのは当然。バランスを崩し、膝をついた。

 

「今です!」

 

その時間は僅か一時の物。だが彼女の矢が届くには十分な時間。力の差、それは一つの行動で覆すことが出来る物。いくらミノタウロスが強大な敵とは言え、今のそれは動かぬ的。矢は脳天を貫いたのだった。

 

「やった・・・!って、この力・・・?」

 

彼女にスキルが宿った瞬間だった。ミノタウロスを倒したことで新たなスキルを手に入れたのだ。

 

 

 

「おー、ようやったな。お疲れさん」

「・・・オリオンさん、どうして光っているのですか?」

 

戻ってきたその熊は、光に包まれていた。その光は英霊がその役目を終えるときに現れる物。つまりは退去の印。

 

「いやー、なんか俺帰ることになったみたいだわ」

「帰る場所があるんですか?この森の妖精なんだと・・・」

「俺妖精さんに見えてたの!?」

「だってたくさん飛んでましたし。光ってるとより妖精らしいので」

 

そういやそうだな、と納得。

 

「まぁ最後だ。なんかいろいろあったけども、ありがとな」

「待ってください。最後にお願いが一つ」

 

神妙な顔、彼は立ち止まる。

 

「私に、教えてください。私の持ち主の事、アルテミスの事を」

「え、うん。もしかして気になる?やめとけよー、ガッカリするだけだぞ?」

 

だってアタランテとかいうアイツの信者、真実を直に見せられてショック受けてたし。滅茶苦茶可哀想だったぞ。

 

「はい、教えてください」

「・・・ほんとーにいいんだな?」

「あ、恋愛の話はちょっと・・・」

「そうか!なら話せる事ほとんど無いな!じゃ!」

「待ちなさい!!我慢しますから言ってください!」

「そうかー。まぁ結論から言うとアルテミスって神様は頭お花畑なんだ」

 

その答えを聞いた彼女の目はきょとんとしていた。まぁ、そうなるわな。

 

「んで俺の事をダーリンとか言って、事ある事に投げようとするの」

 

あ、今度は口が開いた。こりゃ相当ショック受けてるなぁ・・・。

 

「こんな時に言えるのはこのくらいかね」

「・・・」

「まぁ、そのなんだ。傷は深いぞ、がっかりしろ」

 

そんな言葉を残し、オリオンは消えていった。

 

 

「はっ!?」

 

気がつくと私はマスターの膝で寝ていた。どうやら居なくなった私を探すために街を回っていると、倒れているのを発見し、介抱していたようだ。

 

「マスター・・・すいません、こんな夜中にここまでしていただいて・・・」

「大丈夫、気にしてないよ。アルテミスが無事で良かった」

 

私はいつまでも膝を借りているのも悪いと思い、体を起こした。

・・・夢を見ていたのだろうか。さっきの森は何処にも無く、オリオンと名乗る熊のぬいぐるみも何処にも無い。しかし確かに、あの時のスキルはこの胸の中に刻まれている。

 

「マスター、少しだけ、私が見ていた夢を聞いていただけますか?」

「構わないよ、話してご覧?」

「では・・・」

 

彼女は自らの主にこの話を全て伝えた。それは、あの夢を数奇な夢とだけ決め付け、自分の中に収めているのが何となく惜しかったからなのだろう。そして彼女はこう話し、終わらせた。

 

「熊って、空を飛ぶものなのでしょうか?」

 

 

 

「へぶしっ・・・!はっ!?」

 

やぁどうも、返ってきたオリべぇです。状況を説明しますと、吊るされてます。えぇ、未だに。

 

「あ、ダーリン起きたー?」

「なんで降ろしてくれないの?」

 

そしていつのまにかこの人帰ってました。どうせなら空中じゃなくてベッドで目覚めたかったなー!

 

「いや、寝てるのを邪魔するのは、ねー?」

「まず人を吊るすのはどうかと疑ってくれ」

 

ごめんねーとロープを外す。・・・なんか召喚されてからロープの扱いが上手くなったような気がする。

すると部屋に付けられたベルが鳴る。

 

「あ、はいはーい」

 

扉を開けるとそこに居たのは俺達を召喚したご本人。

 

「ん?ガウェイン倒しに行くから手伝って?いいよー!」

 

まぁ、アルテミス。お前の持ち主はこんな奴だけど、優しいところもあるもんだ。多分そこはお前も、似ているんだろうな。

 

「ダーリン!行くよー!」

「おう」

 

PS 今度会うときは一緒にお茶しましょう

 

今日の熊は、アルテミスの手でより一層飛んだらしい。




かなり更新が遅れました。すいません。いやーなかなか話を考えるのは難しいものですな。すまないさんは難しいです。はい。
次回は何を書こうかなーと思っている次第ですので決まってません。もしよろしければ案を下さい。
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