七夕から出来ました。
目を開くときらきらと輝く小川が流れていた。
裸の足をゆっくりと浸した。
冷たい。
足を引き戻してまた入れる。
次はつま先だけじゃなくて、川底まで。
静かに、ゆっくりと流れる水の冷たさを感じる。
両足をつく。僅か踝に届くほどの浅さ。
片足に体重を乗せてもう片方の足で水を遊ぶ。
ゆったりとした重みが加わる。
少し、川の中を歩いてみる。
病的なほど白い足に水がまとわりついて、そしてまた離れる。
その感覚がどこか可笑しくて、川の中を走り出す。
ふと立ち止まってあたりを見渡す。
川の中に光る岩が所々ある。
つま先で突いてみる。
凛とした音が鳴って波紋が広がる。
光る岩を辿って川上に進んでいく。
誰かに呼ばれたような気がして振り返る。
でも誰もいなくて、誰もいないことにどことなく空虚さを感じた。
私の隣にはいつも誰かがいたはずで、なのに今は誰もいない。
私の手を握っていてくれたはずの誰かが。
薄紫色のスカートが水に濡れるのも気にせずに体が川の中に沈む。
目から溢れるように涙が溢れ出す。
どれだけ綺麗な場所に居たって、一人ぼっちは寂しいんだって。悲しいんだって。
後ろから来た温もりに冷やされた体が包まれる。
手を引かれて体を起こす。
懐かしい声。懐かしい温もり。懐かし手。
凛とした音が響き渡る。
END.
Thank you very much for reading my literary work.
549
おまけのおまけに彦星です。
凛とした音が鳴って、目を開く。
左手にあった温もりはいつの間にかなくなっていて。
慌てて名前を呼んだ。
ふと音が切れて、静けさが広がった。
小川が緩やかに流れていた。
音はどこから鳴っていただろうか。
川下から鳴っていたような気がして、川に沿って下り出す。
川の中で彼女が服が濡れることも気にせずに座っていた。
肩がわずかに揺れていて、泣いているようだった。
川の中に入る。ズボンの裾が僅かに濡れた。
冷えて冷たくなった彼女の体を抱きしめる。
こんなに冷えて、寒かっただろうに。
一人でこんなだだっ広い中にいたなんて、心細かっただろうに。
それにしても、綺麗なところだな。
二人でいるからこんなに綺麗なのかもしれないな。
隣に愛しくてたまらない彼女がいるから、僕の目には綺麗に写るかもしれないな。
小川が綺麗だと、真っ赤になった目でこちらを見ていう彼女の方が綺麗だと、その血の気のない、それでも美しい唇を塞ぎたくなった。
静かに重なる。
凛とした音が響き渡っている。
END.
Thank you very much for reading my literary work.