半蔵学院に転入したのは、落ちこぼれの疾風流でした 作:ニンジャスレイヤー暁希
奴らは、常に待ち構えている
年4~5回。
何度も学生を苦しめ、特定の基準までに満たないと血の色の通告がきたり、学生の英気を回復する長期休業をも蝕む悪魔の補講...
そう...片仮名で言うならば『テスト』である...
忍科であるからと言っても、それは例外ではない。
もちろん。半蔵学院にもちゃんとある。
赤点をとってしまった者には、2カ月間毎日修行の後に真夜中の12時まで補講を受けるという
『誅監絞詐』(ちゅうかんこうさ)
だいぶ前に知っていることだろうが、この俺、暁希は勉強が大の苦手である。
よって、この試験を乗り切るにはほかの人とは比べ物にならないほど必死に勉強をしなくてはならないのだ...
霧夜「...という訳で。1週間後に『誅監絞詐』が待っている。しっかり勉強して、赤点を取ることなどないように!いいな!特に暁希と葛城」
俺、葛城「はーい...」
放課後下宿にて...
俺「お願いします!」
葛城「します!」
俺と葛城は斑鳩に頭を下げて勉強を教えてもらうとしていた...
斑鳩「お願いします。と言われてもですよ。勉強も教えるのはいいのですが、2人まとめて教えるとなると、私の方が疎かになってしまいます」
俺「そこを何とか!!」
葛城「こいつはどうでもいいですが、アタイだけでもお願いします!」
俺「葛城!抜け駆けは許さんぞ!!」
葛城「でもよ、斑鳩はアタイに勉強を教えることによって自分も勉強が出来るっていうメリットがあるんだぜ」
葛城にしては、頭脳プレーであった。
賞賛出来るものだった
俺「おのれ...」
飛鳥「暁希くん、教えてあげようか?」
俺「出来るのか!?」
飛鳥「あまり得意な方じゃないけど...苦手ではないからね」
俺「ありがとうございます!!!」
飛鳥に土下座して、頼み込んだ
飛鳥「ちょ、土下座なんて!?」
俺「飛鳥先生!この私めに手解きをお願いします」
飛鳥「えっと...まず...私の部屋でやろっか...」
俺「オネシャース!!」
俺は飛鳥の部屋に移動して勉強を教えてもらうことに...
俺「し、失礼します」
飛鳥「来たねー。まず何からやりたい?」
忍の学校と言っても『古典、数学、物理、生物、日本史』と普通の科目があり、『忍術、武器学』と言った特別な科目があるのだ。
俺「もう全部同じくらいなんで...順番にお願いします...」
飛鳥「そ、そっか...じゃあ手早く古典からはじめちゃおうね」
飛鳥先生が必死に教えてくれようとしているのは伝わる。でも、それについて行けるほど俺の脳みそは大きく無かった。
飛鳥「...どう?わかった?」
俺「なるほど、わからん」
飛鳥「そっかぁ...教え方が悪いのかな〜?」
俺「そんなことは絶対ない!」
俺は立ち上がってそう怒鳴った。
なんで自分でもムキになっているのかは分からなかった。
俺「ごめん、俺がまだ自分の中で勉強に対して熱意が湧いてこないんだ。でもそれは飛鳥のせいじゃないし、俺自身の心が弱いからなんだ」
飛鳥「どうしたの?そんな急に?」
俺「ご、ごめん。なんでもない。続けて」
飛鳥「うん...それじゃあ、もう1回やるよ」
俺は必死に食らいついて勉強をした。
分からないと思ったところは全部質問した。
馬鹿なら、馬鹿なりに必死に勉強しようって。
それくらい頑張らないと、ハリケンジャーは遠い道のりだ
俺「それで、この敬語の向きは...薬師仏へ...と?」
飛鳥「そうそう!できたね!」
俺「よっしゃぁぁ!」
飛鳥「じゃあ次の科目は...数学で」
俺「お願いします!」
別室、葛城と斑鳩
葛城「なぁ、斑鳩。忍びってさ」
斑鳩「どうしましたか??」
葛城「忍って、忍の社会でたら絶対数学とか使わないよな?」
斑鳩「屁理屈をこかないでください。潜入や諜報などの任務の際に一般の人間に紛れるのですよ。普通の教養は身につけておくべきです」
葛城「でもよぉ...」
葛城は斑鳩の胸をチラと見た
葛城「教えてもらいたいのは勉強だけじゃないんだよなぁ?」
怪しげな手つきで葛城は斑鳩へと迫った
斑鳩「これは『誅監絞詐』の補講行き確定ですね。私が行くわけではないので教えなくても良いのですけど」
葛城「あ、斑鳩さん!冗談じゃないですか」
斑鳩「冗談言ってる暇があるなら、ペンを動かして下さい」
葛城「あい...」
一方の雲雀の部屋
雲雀「柳生ちゃん。ひばりは勉強1人でもできるよ?」
柳生「そうはいかない、もしも赤点をとってしまったら行けない。雲雀はオレが守るからな」
雲雀「でも、ひばりは柳生ちゃんより勉強できる...よ?」
柳生「それはいけない。オレが雲雀を守れなくなる」
『雲雀を守るため』という名目でちゃっかり勉強を教えて貰っている柳生ちゃんでした...
飛鳥、暁希ルーム
飛鳥「わかった?」
俺「あぁ、少しはね」
飛鳥「ふぁあ...もうこんな時間だね」
もう時計の針は12時を回っていた
俺「そうだな...今日はもう、終わりにしよう。明日からもよろしく」
飛鳥「うん。おやすみ」
俺「おやすみ」
俺が出ていってから間もなく、飛鳥の部屋の明かりは消えた
俺「もっとやらなきゃ...」
わかったことは、一つ。
俺は本当に勉強が出来ないってこと。
なんとか分かってる雰囲気を出してはいたが、全然分からなかった...っていうのが本音だ
俺は部屋に戻るなり、飛鳥に教えて貰った場所をもう1度やり直した。
そして、あっという間に日が昇ってきた
チュンチュン...
俺「朝か...寝れなかったな...」
俺は洗面台に向かった
斑鳩「おはようございます」
俺「おはよ...」
斑鳩「寝不足ですか?」
俺「ちょっとかな...」
ホントは一睡もしていません。ごめんなさい
斑鳩「今日も過酷な修行もあるのですから、ちゃんと睡眠をとるのも重要なことですよ」
俺「おう、そうだな...」
それでもなお、ボケーッとしていた。
飛鳥「みんな、おはようございます!」
葛城「お、朝の一揉みいただきま...あれ?」
飛鳥は葛城のセクハラ攻撃をひらりとかわした
飛鳥「いつまでもやられてばかりじゃないんだからね!」
葛城「ちぇえ!」
俺「...クーzzz」
飛鳥「暁希くん?」
俺「あ!あ、飛鳥か。驚かせんなよ...」
飛鳥「立ったまま寝てた?」
俺「チゲぇよ...えっと...あれだ...イメージトレーニング!瞑想して、集中力を高めてたんだよ」
寝てました。ごめんなさい
飛鳥「すっごいやる気だね!」
俺「だろ?」
斑鳩「もう行きますよ」
また、今日も学校へ向かった。
霧夜「今日は、2人1組で行う組手とする。そうだな...学年ごとに2人組を組むように!」
飛鳥「暁希くんだね!」
俺「クーzzz...」
飛鳥「寝てるよね?」
俺「寝てない寝てない!戦闘前にイメージを固めておこうって思ってたとこ!」
飛鳥「そっか、じゃあ始めようか!『忍転身』!」
俺「し、『忍転身』...」
飛鳥「やっちゃうよー!」
俺「ど、どこからでもかかってこいやー...」
飛鳥「たぁぁぁ!」
普段の俺なら絶対に避けられる...はずだった
俺「くっ....」
飛鳥「あれ?」
俺「イテテテテテ...」
飛鳥「大丈夫?」
俺も「いい蹴りだったな...前の組手より、強くなってるぞ」
飛鳥「本当!?やったー!!」
俺「さぁ、本番行くからな!」
俺も今の一撃で目が覚めた。
その日の修行はなんとか乗り切ることができた。
俺「終わった...」
斑鳩「やっぱり寝不足はいけませんね」
俺「あぁ、もう少し早く寝ることにするよ...」
飛鳥「終わる時間遅かった?もっと早く切り上げる?」
俺「いや、あれぐらいでいいよ。もちろん、飛鳥に支障がでなければだけど」
俺なりに気遣ったつもりだった
飛鳥「私は大丈夫、ほら、今日も元気だったし!」
俺「じゃあ、今日もお願いします」
飛鳥「一緒に頑張ろうね!」
下宿へ着いてから、先に風呂に入るのは女子組
そして、全員あがったのを見計らって俺も風呂に入ることとなった
そして自分の部屋に入るなり横になって寝てしまった
それから2時間くらい経ってから、斑鳩と飛鳥が起こしにきた
斑鳩「暁希さん!?」
飛鳥「暁希くん!!」
俺「斑鳩...飛鳥?」
俺は自分の部屋で寝たはず...
そう思っていた
斑鳩「お風呂に入りに行った気配がないものですから、部屋まできたところ倒れている暁希さんを発見したものですから」
飛鳥「ごめんね、遅い時間まで勉強教えちゃったばっかりに...無理させちゃって」
俺「だから、飛鳥は悪くねぇって。俺が自分で勉強してたら夢中になりすぎて...ってだけ」
飛鳥「でも...」
俺「でももヘチマもねぇよ。ったく...風呂行ってくるから、先始めててくれ」
飛鳥「大丈夫なの?」
俺「あぁ、バッチリ回復した!」
俺は気分が良くなっていた。
睡眠を取らないって言うのはここまで体に来るものだったとは。ちゃんと覚えとこ。
風呂をあがり、飛鳥の部屋に入った
俺「おっじゃまー。じゃあ飛鳥先生!今日もお願いしますぜ」
飛鳥「う、うん...今日は11時までにしようか」
俺「なんで?」
飛鳥「また遅くなっちゃうと心配だから」
俺「平気だって、今日はちゃんと寝るし」
飛鳥「うん...」
俺「だから、12時まで、よろしく!」
飛鳥「わかったよ...」
飛鳥は昨日よりも発展した内容を教えてくれた
俺「なるほどなるほど、じゃあここも同じく?」
飛鳥「そうそう!」
俺「分かる!分かるぞ!」
飛鳥「もう12時になったよ。ちゃんと寝てね」
俺「ありがとう。今日はちゃんと寝るとしよう」
そう言って自室に入った
俺「今日は秘密兵器...コイツがあるから」
俺は冷蔵庫からエナジードリンクを取り出してグビッと飲んだ
味はイマイチだったものの、エナジードリンク効果覿面!
その夜は全く眠くならずに勉強に集中できた...
翌朝...
エナジードリンクってば恐ろしいな。そう思った。
俺「おはよ」
飛鳥「ちゃんと寝た...?」
俺「寝たよ、今日は体が冴えてる」
飛鳥「なら、良かった...」
こうして、俺の新たな生活のサイクルができた
試験前日の夜。
飛鳥「すっごいよ!もう完璧!」
俺「今日まで本当ありがとな」
飛鳥「ううん、暁希くんの頑張りだよ」
俺「じゃあ、今日はもう寝るわ」
飛鳥「うん!おやすみ」
流石に前日はちゃんと寝よう。そう思っていた...しかし、体に染み付いた生活のサイクルは適応され、なかなか寝付くことが出来なかった
俺「眠れん...エナジードリンクを補給せねば...」
だが、エナジードリンクを丁度切らしていた。
仕方がないから買いに行こうと部屋を出たその時、
飛鳥「どこいくの?」
飛鳥が部屋の前で座り込んでいた
俺「あ、飛鳥!?」
飛鳥「昨日も、一昨日も、本当はずっと寝てないでしょ!気づいてないって思った?」
俺「い、いやその...」
飛鳥「とにかく、今日は絶対寝てもらうからね!」
俺「...エ?」
そう言って飛鳥は俺の部屋に入ってきた
枕と布団やらを持参して。
飛鳥「ちゃんと暁希くんが寝るように見張りながら寝るんだからね!」
俺「あ、その...それはまずくないか?」
飛鳥「どこが!?暁希くんが寝ない方がよっぽどまずいよ!」
俺「あ...はい」
飛鳥は俺の部屋に布団を敷き、寝始めた
飛鳥「おやすみ」
俺「あの、飛鳥サン?」
飛鳥「おやすみ!」
俺「ア、ハイ」
飛鳥の剣幕に押され、そのまま寝る体勢に入った。
いくらなんでも同い年の女子がいる中で寝ようなんて、男にとっては厳しいという面もある...
俺も緊張はしていたが、普通に寝た振りをしていた。
その考えと同じくして、飛鳥も暁希に対して背を向けているが、顔は真っ赤だった
(お、お、男の人と一緒に寝た事なんて...じっちゃんとかお父さんしかないのに...)
...
静かな時間は少しずつ過ぎていく
...
どれくらいの時間が経ったかは分からないが、2人にも眠気が到来してきた。
隣り合わせの布団で。意識は少しづつ遠くなっていった...
そして、朝がやってきた...
俺も飛鳥もいつもの時間になっても起きてこないことを心配した、斑鳩達が部屋に入ってきた。
すると、そこには。布団は二2つ並んでいたが、片一方の布団に2人が寝ていた。
斑鳩「あ、あ、飛鳥さん!?暁希さん!?あなた方何を!?」
葛城「うわぁ...これは...」
柳生「雲雀は見てはいけない。悪影響を及ぼすからな」
雲雀「どうしたの?柳生ちゃん!?ひばりも見たい!」
俺「ん...?おはよう...?どうし...!?」
俺は気がついた。
寝た時は背を向けていたハズの飛鳥が俺の布団の中に入っていて、前にいたのだ。
俺「あ、あ、あ、飛鳥ァァァ!!」
飛鳥「暁希くん...?どうしたの?」
俺「なんで、俺の布団に入ってるんだ!」
飛鳥「あれ?なんで?」
斑鳩「暁希さん、見損ないましたよ!あなたがそんなハレンチな人だったなんて!」
葛城「アタイの飛鳥が...」
柳生「オレもいつか雲雀と...」
何か絶対勘違いしている!
俺は何もしていない!
俺「俺は無実なんだ!信じてくれ!」
飛鳥「み、み、み、みんな!これは違うの!!」
飛鳥もようやく状況が飲み込めたようで、慌て始めた
俺「そ、そう!飛鳥が勝手に俺の部屋に入ってきて、布団並べて!」
飛鳥「だ、だって、暁希くんがちゃんと寝ないから!」
俺「ばっか野郎!だからと言って男の部屋で寝始める女がいるか!」
飛鳥「部屋で見張ってないと、寝てるかとか分からないよ!」
斑鳩「この件に関しては、学校から帰ってきてから改めて聞きます。ですから、早く着替えて準備なさい!!」
俺、飛鳥「は、はい!!」
その日の試験は無事、全員合格できたものの、
俺と飛鳥への問答は翌日の朝まで続いた...