半蔵学院に転入したのは、落ちこぼれの疾風流でした 作:ニンジャスレイヤー暁希
そんな中、霧夜先生に俺と飛鳥は呼び出された。
霧夜「お前達。今週末に試験がある」
俺「ま、またですか!?...今はちゃんと勉強してるから、いいですけど...」
飛鳥「私も...ですか?」
霧夜「あぁそうだ。だが、試験と言っても学校で行った筆記試験とはまた別の試験だ」
飛鳥「忍の試験ですか!?」
俺だけ少々飲み込めていなかった
霧夜「検定...と言ったところだな。お前達に如何程の実力があるか、試すのだ」
俺「検定...?」
霧夜「この試験に合格すると、お前達には忍としての段位が与えられる」
飛鳥「忍には全部で五十段があって、高校入学レベルの私達はまだ一段。斑鳩さんとかつ姉は八段、柳生ちゃんは七段なんだよ!」
俺「田舎育ちの忍には難しい話だな」
霧夜「今回の試験だが、飛鳥は半蔵様が執り行って頂けるそうだ」
飛鳥「じっちゃんが!?」
霧夜「あぁそうだ。それで、暁希は無限斎様が執り行って下さる」
俺「無限斎様ってそんなスゲー人だったのか...」
驚いた。無限斎様はいつもおぼろさんのことを溺愛している老人だと思っていたのだが...
実は凄い人だったのか...
霧夜「馬鹿たれ。無限斎様は善忍の養成学校でもトップクラスのレベルを誇る忍風館の名誉館長にして、もと忍の最高段位『カグラ』だぞ!」
よくわからないが、とにかく凄いらしい
霧夜「出発は明後日、早いうちに支度を済ませるように」
俺、飛鳥「はい!」
俺は下宿に戻ってから、支度を始めていた。
そこに斑鳩がやって来た。
斑鳩「どうしました?そんな夜逃げの準備でもするみたいに荷物をまとめて...」
俺「俺と飛鳥は昇段試験を受けることになったんだ」
斑鳩「昇段ですか?頑張って下さい!応援していますよ!」
俺「ありがとう」
里に帰るのは2カ月振りかな?
今は6月に入り、気温もグングン上がってきたところだ。
俺「よし、これで準備よし、と。これで明日は慌てなくて済むな」
隣の部屋では飛鳥も支度していた。
俺「どんな試験だろうな」
飛鳥「分からないね、でも私と暁希くんなら合格できるよ!だって、毎日頑張って修行してるんだもん!」
俺「そうだな」
前までの俺とは違う。
俺には...知恵や技があり、自信もある。
そして、同じ歩幅で歩んでいる新しい仲間もいる。
天才と呼ばれた仲間の背中だけを追いかけて卑屈になっていた、あの頃から変われたところを無限斎様に見せたい。
そう思った。
そして、出発の日
皆が見送りに来てくれた。
斑鳩「お気を付けて」
雲雀「2人とも頑張ってね!」
柳生「オレに追いつけるようにな」
葛城「飛鳥のおっぱいが恋しくなるけど、その間は斑鳩ので我慢しておこう」
斑鳩「どういう意味ですか!?」
葛城「そういう意味だよ」
葛城のセクハラっぷりは相変わらずであったが、みんなに励ましの言葉も貰った
俺「飛鳥も故郷に帰ってから試験だよな」
飛鳥「うん。暁希くんも頑張ってね!」
俺「じゃあな」
そう言って俺も飛鳥も自分の故郷へと1度帰った
東京のお土産も持ったし、無限斎様喜ぶぞ〜...
それに、この...『ハリケンジャイロ』もちゃんと付けて来たし
俺は腕につけたハリケンジャイロを見つめていた
俺は里までは電車を使い、山の奥の方へと向かい、そして俺は故郷である里へと着いた。
たった少しの間離れていただけなのに、ずっと昔のことのように思い出された
俺は里を1人で回った
ジャカンジャの襲撃以来、人がいなくなったものの立ち直って来ている。
東京ほど便利ではないが、その分人と人との繋がりがあっていい場所だと思う。
すると、見慣れた女の人が俺を見つけるなり駆け足で寄ってきた
おぼろ「暁希〜!おかえり!また大きなった?」
俺「おぼろさん。お久しぶり」
おぼろさんは俺を育ててくれた恩人でもあり、忍風館始まって以来の天才で、ハリケンジャーのサポートをしていたらしい。
俺「もう、とっくにおぼろさんよりは大きいですよ」
おぼろ「息子に独り立ちされた気分やわぁ」
俺「俺たちは3人一緒に育てられましたからね」
おぼろ「せやなぁ、アンタらがそんな大人になったんなら私も老けてまうのも当たり前やな」
俺「そんなことないですよ、おぼろさんはまだまだ若いじゃ無いですか」
おぼろ「口も上手くなって、どや?調子は」
俺「もう、最高ですよ」
おぼろ「そうかそうか。変わりないようでな〜」
すると、おぼろの後ろからちょこっと顔を出している男の子がいた。
おぼろ「ほら、愁里。暁希兄ちゃんやで〜」
日向 愁里(ひなた しゅうり)7歳。
おぼろさんの実の息子にして、日向無限斎様の孫息子である。
俺「愁里くん、久しぶり」
愁里「...」
おぼろ「ちょっと恥ずかしがってるみたいやな〜」
俺「愁里くん、これ」
お土産として持ってきた『雷門あられ』を愁里に手渡した
おぼろ「ええもん貰ったなぁ、ありがとうは?」
愁里「ありがとう」
おぼろさん似で少し関西弁混じりの言葉だった
手渡した時、おぼろさんは俺の左腕に付いていた『ハリケンジャイロ』を見てこう言った。
おぼろ「暁希、アンタもええもん貰ったなぁ。腕に付いてるの。大事にするんやで。絶対に無くしたり壊したりしたらあかん。それがいつか暁希の役に立つ日が来るはずや」
俺「無限斎様も書面にて同じことを書いていたけど、やっぱり何か大事なものなのですか?」
おぼろ「いつか分かる時がくる。それまでは自分の体の一部や思うて、大切にせえ」
おぼろさんも無限斎様も、大切と言っているのだが、このアイテムが何なのかは全く理解出来ずにいた
おぼろ「あ、お父ちゃんが暁希におーたら呼んでくれ言うとったで」
俺「はい。行ってみます」
おぼろ「お父ちゃんはいつもの場所におるで」
俺「分かってます!失礼します」
おぼろ「頑張りよ!」
俺「ありがとうございます!」
そう言って俺は無限斎様のいる『疾風流忍術研究室』へ向かった...
おぼろ「でもおかしいな。お父ちゃんの話では明後日って聞いてたんやけど...ま、ええか」
~飛鳥編~
飛鳥は船に乗り離れた故郷を目指した。
どんな試験なのか。ちゃんと合格できるか。
不安を募らせるも、故郷へと戻り自分の大好きな祖父に会えることも楽しみにしていた。
飛鳥「強くなったところ、ちゃんとじっちゃんにみせるんだ」
じっちゃんの名を冠した『半蔵学院』で、1年と少しの間にどれだけ成長したのか。
それを見せつけるいいチャンスでもあった。
そして、その日の夜に故郷へと到着した飛鳥はすぐさま自分の家へ足を運んだ
飛鳥「ただいま!お父さん!お母さん!じっちゃん!」
ちなみに半蔵は母方の祖父なのだが、母方の祖母は数年前から行方不明となっていて、今でもどこにいるのかはわかっていない。
半蔵「おぉ、飛鳥よ。おかえり。長旅お疲れじゃの」
飛鳥「じっちゃん!」
半蔵「試験を受ける準備はどうじゃ?」
飛鳥「え、えと...頑張る!」
半蔵「せっかく帰ってきたのじゃから、今日はゆっくりやすむがよい」
飛鳥「うん!ありがとう。じっちゃん!」
半蔵「ほれ、大好物の太巻きじゃよ」
飛鳥「やった!じっちゃんの太巻き大好き!」
飛鳥は半蔵の作った太巻きを食べ始めた。
半蔵「ところで、学校はどうじゃ?」
飛鳥「楽しいよ!」
半蔵「そうかそうか。そりゃ良かった」
飛鳥「前に話た2人の先輩も優しいし、2人後輩が入ってきて...同い年の子も転入してきたの!」
半蔵「ふむふむ、楽しそうで何よりじゃ。それから、飛鳥よ。試験の話なのじゃが、暫く考えた結果、延期することにしたぞい」
飛鳥「え?じゃあまた私帰るの!?」
半蔵「ちょっくらワシが修行を付けてからでも構わなかろう」
飛鳥「じっちゃんが!?嬉しい!」
半蔵「うむ、もう学校にも話は通してある」
飛鳥「飛鳥頑張ります!」
半蔵「良い心がけじゃ。それじゃ、明日から本当に修行するからの。準備を怠らないように!」
飛鳥「はーい!」
飛鳥は祖父に修行を付けてもらえると言われ、嬉しくなっていた。
その頃、東京では
葛城「あちぃ...」
葛城は暑さにやられ、下着姿で下宿の談話室のソファーに腰をかけていた。
斑鳩「これくらいで音を上げていては、本当の夏はもっともっと暑いのですから」
まだエアコンは寮母の権限により、付けることを禁止されているのだ。
雲雀「2人がいないとちょっと寂しいね」
柳生「安心しろ。雲雀にはオレがいる」
斑鳩「昇段試験に無事合格して戻ってきてくだされば良いのですが」
葛城「なーに、心配してんだよ。アタイらの後輩だぜ?何も言わなくても合格して戻ってくるさ」
斑鳩「ですよね」
雲雀「ひばりもそう思う!」
柳生「オレは雲雀を信じる」
(信じるのは雲雀じゃないだろ...)
その場にいた先輩2人は声を出さずにおもった
寮母「はい、夕食できたよ」
葛城「待ってました!」
寮母は食卓に皿を並べ始めた
寮母「今日は暑いから、冷やし中華だよ」
葛城「まさに天の恵みだぜ!」
斑鳩「ありがとうございます」
雲雀「美味しそう...」
寮母「いっぱいあるから、たんとお食べ」
こっちでも楽しい夕食の時間が始まっていたのだが...
暁希の方はと言うと...
俺「無限斎様、ほんとに何も用意していなかったのでさか?」
研究室へ向かったものの、夕食の準備をすらしていなかったとい言われ、急遽釣りをしながら無限斎様と話をしていた
無限斎「すまん、明後日来るものだと思っとったから...」
俺「霧夜先生からは今日と言われて来たのですよ」
無限斎「すまんのぉ」
俺「でも、むしろこっちの方が帰ってきたって感じがしますもん」
無限斎「相変わらずじゃの」
俺「いえ、変わりましたよ」
無限斎「そうか...それでこそ疾風流の担い手じゃ」
俺「無限斎様はどうして俺を半蔵学院に?」
無限斎「我々の忍風館はもう、昔ほどは盛んに授業ができる場所ではなくなってしまってな。皐月と剛毅を外に出したのも、そのためじゃ」
皐月(さつき)、剛毅(ごうき)
俺の幼馴染である2人。剛毅とは同い年の弟子、皐月は2個下の妹弟子だ
俺「2人は、今どこに?」
無限斎「皐月は時々顔を見せに来てくれるのじゃが、剛毅は今どこで何をしているのやら...」
俺「昔からそうでしたよね。俺と剛毅は向こう見ずで、無鉄砲に何事にも突っ込んで行って...」
無限斎「それを後ろから皐月が頭を使って安全について行って」
俺「それで、最後に痛い目に会うのは俺だけでしたから」
思い出話も笑い話になってしまう
無限斎「お主らの無鉄砲さには手を焼いたわい」
俺「反省してます...」
無限斎「何を今更なことじゃよ。子供はあれくらい元気なのが丁度良いわい。それに比べて、愁里は少し大人しすぎるもんじゃよ」
俺「そうでしたね」
無限斎「その『ハリケンジャイロ』、似合っておるぞい」
俺「本当にこれが大切なものなのですか?」
無限斎「大切じゃよ。お主らをきっと目標まで導いてくれるはずじゃ」
俺「目標まで...」
俺は小さい頃に皐月と剛毅と話していた事を思い出す
俺『俺、絶対にハリケンジャーになりたい!』
剛毅『お前じゃ無理だ。ハリケンジャーになれるのは、天才のこの俺だ』
皐月「2人ともずるい!皐月だってなりたい!!」
俺『じゃあ、誰がなれるか勝負しようぜ!』
剛毅『落ちこぼれの下級忍者から勝負をふっかけるとはな』
俺『落ちこぼれだって、努力を続ければいつか...天才を超えることだってできるよ!』
皐月『皐月も剛毅よりもっと強くなる!』
剛毅『面白い。俺は自分のやり方で強くなって、ハリケンジャーになる!』
俺『俺も俺にしかなれないサイキョーの忍者になる!』
お互いにハリケンジャーになりたい語り合ったあの時間を...
俺「ハリケンジャー...」
無限斎「まだハリケンジャーになりたいと言っておったのか、あれは都市伝説じゃよ」
俺「本当は知ってるくせに...」ボソッ
俺は本当に小さい声で呟いた
無限斎「何か言ったかの?」
俺「いえ、何でもないです」
無限斎「耳も少し遠くなってきたのぅ...」
俺「体をご自愛ください...」
無限斎「まだまだ若いもんに心配される程ではないわ」
無限斎様は笑いながら、そう言った。
俺「だいぶ釣れましたね」
話している間に大量と言えるほどの魚が釣れた
無限斎「戻って、塩焼きにでもするか」
俺「はい、そうしましょう」
俺と無限斎様は研究室に戻って晩飯の用意を始めた
無限斎「そうそう。お主の昇段試験の試験の内容じゃが...実践形式で行うものとする」
俺「実践形式...ですか?」
飛鳥の方でも同じ説明を受けていた
半蔵「簡単な試験じゃよ。敵の忍からの追撃を避けながら都会を走り、時間内に目標のポイントまで巻物を運ぶ。それだけじゃ」
飛鳥「都会...って、一般人もいるのに!?」
半蔵「そうじゃ。一般人にも気づかれてはいかんぞ。忍は忍ばなくてはならぬ」
飛鳥「私にできるかな...」
飛鳥と同じ試験内容を受ける暁希は、剛毅と皐月の段位の話も聞いていた
無限斎「あ、そうそう。剛毅と皐月じゃがな」
俺「2人がどうかしましたか?」
無限斎「剛毅は十五段に合格したと、ついこの忍の協会から連絡が入ってな。皐月も自分で知らせに来るのじゃが、六段と言っておったわ」
俺「剛毅が上忍だって...?」
無限斎「左様。お主も2人に続いて試験を受けるが良い」
俺「分かりました!」
それから、3日後。
俺と飛鳥はそれぞれ別の場所で試験を受けた
目的は巻物を時間内にとあるビルの屋上に停泊しているヘリコプターまで持っていき、それに乗って帰還すること
俺「くっ...!」
敵の忍はどこまでも追いかけて来る
俺は手裏剣を投げて間合いを取りつつ逃げ続けた
だが、手裏剣をかわした敵の1人が襲いかかってきた
俺「ウワッ!?」
敵の忍は刀を振り下ろし、切りつけた
敵1「これは...!?」
だがしかし、敵の刀は俺本体を斬ることは出来なかった
俺「忍法!『抜け身の術』!!」
俺は来ていたジャケットを脱いでそれを斬らせたのだった
俺「よし!!もう少し...!」
敵もそう簡単に逃がしてはくれないようで。
俺は目的地へあえて行かず、敵を引っつけたまま逃げ続けた
そして、時間が来てしまってヘリコプターが離陸し始めた
俺はそのタイミングでビルへ向かい始めた
敵も引っ付いては来るが、流石に体力が落ちているようだ
体力と機動力には自信があるのが、俺の持ち味だった
俺はヘリコプターが完全に離陸し、上昇し始めたタイミングで屋上に着いた
敵2「お前は不合格だ!」
俺「そうかな〜?まだ、ヘリコプターはどこへも行ってないって!」
俺は高く上がったヘリコプターにジャンプをした
俺「空忍法『飛翔雀』!!」
疾風流の空忍を鍛えた者が身につけられる高難度の忍法を使い、ヘリコプターに乗り込んだ
これは、子供の頃に覚えた唯一の忍法だった
当時は空忍法使いの期待の星とか言われたが、才能がないと思われるや、見放されていった。
それでも、俺の数少ない取得の一つとしては充分だった
そして俺は無事里まで帰還し、中忍に昇格することが出来た。