01
フェアリィ海軍の戦闘爆撃機・彗星と深海棲艦戦闘機が空中戦を始めた。
フェアリィ海軍 防衛航空軍団所属の日向が、愛機のスロットルレバーを押す。爆撃照準器内に敵機を捉え、操縦桿の引き金を引いた。
機首の7.7mm機銃が唸り、敵戦闘機が火を吹いた。
「やったよ!」
後席ナビゲーターの最上が言う。日向は無線で僚機を呼び、母艦へ帰投する。
「こちらズイウン01、アカギー、帰投する」
彗星達は編隊を組み、母艦へ向かう。巨大空中空母アカギーは、同型艦のアマギーと共に、フェアリィ鎮守府防空識別圏外縁を飛び続ける空飛ぶ空母だ。空母に巨大な主翼を生やしたような設計で、緊急時には着水も出来るという。
「彗星もいいが、やっぱり瑞雲の方がいいな」
「空戦や爆撃能力は落ちるよ?」
「それでも、いざという時には着水出来る。それは心強い」
「着水してどうするんだい?」
そんな会話をしながら、最上はアカギーに連絡を取る。が、
「おかしい、返事が無い」
「通信科の連中が寝ているだけだろう。アカギー、こちらズイウン01、6時方向よりアプローチ中、聞こえているか?」
その時、前方で爆発があった。ズイウン02が犠牲になる。
「なっ……!?」
日向が絶句する。最上が双眼鏡でアカギーを観察しながら叫んだ。
「自衛用の12.7cm高角砲がこっちを向いている!」
「アカギー、お待ちかねのボーキサイトの帰還だというのに!」
日向はスロットルレバーを押す。彗星は加速し、同時に降下する。
「最上、このままアカギーに接近する!」
「どうしてだい!?」
「亭主の顔を見せてやるのさ!」
彗星はアカギーの左舷から近付く。主翼を左右に振り、友軍機であると知らせる。
「危ない!」
しかし、アカギーの25mm連装機銃が銃撃をする。彗星は危うく射程外へ。
「この距離だ、双眼鏡でも見えるはずなのに! 味方と知りつつ攻撃してるんだ! 7.7mmで目を覚まさせてやる!」
「近接防御兵器! 回避!」
最上が叫ぶ。アカギーの12cm多連装対空ロケット砲から無数のロケット弾が発射され、彗星に向かう。
「……駄目だ!」
かわしきれず、彗星は数発のロケット弾を喰らう。
「脱出しよう!」
「待て、最上。機体が安定していない!」
日向は必死に操縦桿とラダーペダルを動かし、機体を水平にする。
「今だ!」
2人はキャノピーを開け、彗星から飛び降りた。機体から充分離れた所で、背負っていたパラシュートを開く。
日向はアカギーを睨む。今も平然と飛ぶアカギーへ向け、日向は中指を立てた。