戦闘艦娘雪風   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

14 / 26
02

「仮に?」

 陸奥が聞き返す。

「仮にって――」

「ですから、陸奥さんの本を――」

「なるほど。よく出来たファンタジーとして私の本が売れた、と言う訳ね」

 そう言う陸奥に対し、メモを取っていた青葉が言い返す。

「そういう見方もあるんですよ。ところで、東映から映画化の話が来てるって、本当ですか?」

 すると、陸奥は腕時計をちらりと見た。

「ごめんなさい、もう時間なの」

「一体どちらに?」

「また取材なの。南の方へ」

 

 

 

 特偵戦ブリーフィングルームの扉がノックされた。

「入ります」

 本を読んでいた川内は、声だけで誰か分かった。

「千歳か? 何か用?」

「川内さんがお呼びに」

「私が? 私が呼んだのは雪風だけど――」

「ええ、『カウンセリング中』の雪風を。こちらも、スケジュールに沿って行動しているので、こういうのは困るんですが」

 すると、川内は読んでいた本を机に投げ出し、プロジェクターの電源を入れた。

「出動命令さ。文句があるなら長門さんに言ってくれ」

 千歳は黙る。

「空中空母アカギーが、いかれちまったんだ。突然、全てのシステムがこちらの指示を聞かなくなった。事の発端は、接近してきた深海棲艦機に対し、アカギー飛行隊が緊急発進、撃墜した所からだ。その後、帰投しようとした飛行隊を、全て撃ち落とした」

「深海棲艦ですか?」

 雪風が初めて口を開いた。

「まだ分からない、ってのが現状だ。そこで、空技廠のシステムエンジニアが調査に行くそうだ」

 川内は雪風にクリップボードを手渡す。

「つまりお前は、そいつの運転手って事だ。まあ、そんな訳で、悪く思うな、千歳」

 そう言われ、千歳は敬礼して部屋を出ていった。

 

 

 

 そして、川内と雪風はエレベーターに乗り、機体整備区画へ向かった。

「報告のあった戦線基地だけどな、とっくに全滅していた。つまり、初めて深海棲艦と会話した事になるのかもね」

 雪風は黙っていた。

 

 やがて、整備区画に着いた。川内は震電偵を指差しながら説明する。

「空中とはいえ、相手は空母だ。一応、機体各所にワイヤ射出拘束装置を着けた。あと――」

 しかし、雪風は震電偵のコクピットへ向かった。

「あ! 雪か――」

 川内の制止を無視し、雪風はコクピットにいた女性を睨んだ。

「何をしてるんですか?」

 女性は顔を上げた。

「えっと――」

「降りてください!」

「す、すみません!」

 女性は慌てて震電偵のコクピットから降りた。

「おい雪風! 相手は上官だよ!? すまない、明石。こいつはこの震電偵のパイロットの雪風。こっちは空技廠エンジニアの明石だ」

 川内がそう紹介した。明石は雪風に手を差し出した。

「よろしく」

 しかし、雪風は無視した。明石は肩をすくめる。そこで、川内が明石に話し掛けた。

「怪我は?」

「大丈夫ですよ。やっぱり、慣れない事はすべきではありませんね。エンジニアがテストフライトなんて」

「雪風、この人は震電偵や丹陽を開発した人だ」

「開発しただなんて。射撃管制装置や自律思考回路の基礎部分に携わっただけですよ。私1人ではない」

 初めて雪風が明石を見た。

「丹陽を――?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。