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クリスマス、幼い少女はツリーへの飾り付けをしていた。
【――首相は、『ゆゆしき事態である』として、自衛隊に対して防衛出動を下しました。現在、航空自衛隊 第1航空団、第3航空団、海上自衛隊 第4護衛隊群が――】
少女は、両親の見ているテレビを見る。そこには、撃墜される灰色のC-2輸送機と、見た事の無い戦闘機――
カメラのフラッシュが焚かれる中、長い黒髪の女性が壇上に上がる。
「皆様に集まって頂き、ありがとうございます。私は、当艦隊の司令を務めます、祥鳳と申します」
ここは日本海軍の航空母艦〈龍驤〉の艦内だった。
ルポライター・陸奥は立ち上がり、質問する。
「この艦隊の派遣の目的は?」
「伊豆諸島防衛のためです」
「それは、深海棲艦との戦いを想定して、という事でしょうか?」
「〈通路〉を超えてやってくる、いかなる敵、という事です」
「それは――」
しかし、陸奥の言葉は別の記者によってかき消された。
「この時期の艦隊の派遣は、国連への常任理事国入りへの示威行動と言われていますが?」
陸奥は、やりきれない思いだった。
そして、〈龍驤〉と併走していた客船へ記者は乗り移り、離れていく。
「やれやれ、やっと引き上げてくれましたか。これで少しは――」
鳥海が呟く。その隣で、陸奥は小さく笑った。
「あ! これは失礼しました!」
鳥海は、陸奥へ敬礼する。
「いいのよ。無理言って乗せてもらっているんだから」
「いえいえ。我が艦隊の仕事を知ってもらう、良い機会ですから」
「そうね。そうさせてもらうわ」
フェアリィ鎮守府 第1作戦会議室――
「従来の攻撃方法としては、戦略偵察隊の確認した深海棲艦基地に対し、これを強襲、空爆をもって牽制するのが基本戦略でした。しかし、深海棲艦は全く違う方向から我が軍を奇襲、結果として一進一退の攻防が長期化しているのが現状です」
真っ暗な会議室で、飛龍がプロジェクターを使って説明した。次に、霧島が立ち上がる。
「ご説明しましょう。現在、空技廠で開発中の、空挺兵力計画。深海棲艦の主要基地の一つ、ミッドウェーを空爆で破壊した後、これを投入、占領します。初期構成としましては、各部隊で余っている余剰人員を収集して編成します。つきましては――」
そんな中で、長門と川内がひそひそと話す。
「地球へ?」
「そう。新しいエンジンの燃焼テストのためにな。地球側には連絡済みだから、いきなり撃たれたりはしまい」
「こんな時期ですか?」
特偵戦 整備区画にて、震電偵のエンジンが換装される。
雪風はぼんやりとそれを見る。震電偵のコクピットでは、千歳がノートパソコンで作業していた。