後日、震電偵は出発した。護衛として、4機の彗星がついてくる。やがて、フェアリィ鎮守府防空識別圏を抜け、彗星達は離れていった。
〔Good luck, Recon-3.〕
「Thanks, Gulf team.」
川内はそう言い、離れていく彗星を見送る。そして、正面を見た。
「雪風、この戦争が終わったらどうすんの?」
「考えた事もありませんね。川内さんは?」
「地元に帰って、農家でも継ごうかな。そうだ、1回私の地元に来てみてよ。田んぼしか無いけど」
「そこでブーメランでも飛ばすんですか?」
「悪くないね」
「そう言えば、またブーメランを作っているんですか?」
「ああ見えて、結構深いからね。以前、完璧なブーメランを作ったんだけど――」
「壊れましたか?」
「壊した。可変フラップに超高速LSIの、『考えるブーメラン』だったけど、投げたら私の頬に切り傷を付けた。完璧というのも、考えものだよ」
そして、2人は黙った。やがて、〈超空間通路〉が見えてきた。
「突入針路、クリア。吸気温度」
「20℃」
「油圧」
「200」
その時、川内は気付いた。
「3時方向に敵機! たこ焼き型 3! 〈通路〉に向かっている! 哨戒の連中は何をしてたんだ!? 雪風、撃墜しろ!」
「ここからじゃ無理です! このまま突っ込みます!」
「……飛んだ手土産付きになってしまった」
「主翼放電索」
「今200ミリボルテージ、上昇中!」
「ゲート視認、突入!」
空対空索敵電探を装備した、天山が何かを見つけた。
〔3機? エコーじゃないの?〕
〔間違い無い。警戒空域に向かっている! 撃退しろ、アオタカ1、2!〕
〔ラジャー、アオタカ1〕
〔2〕
2機の九六式艦上戦闘機は増槽を捨てて旋回する。
〔シロワシより〈龍驤〉、報告と異なり、フェアリィ海軍機の機数は3、警戒空域接近のため、アオタカが迎撃に向かう〕
〔〈龍驤〉CATCC、了解〕
そして、九六式艦上戦闘機は目標を捉えた。アオタカ1こと、古鷹が警告する。
「フェアリィ海軍機に告ぐ。こちらは国連軍所属の日本海軍である。貴機は事前通告のフライトエリアを逸脱しようとしている」
次の瞬間、2機の九六式艦上戦闘機は木っ端微塵に吹き飛んだ。
〔総員、対空戦闘よぉーい!〕
〔アオタカ、ソウリュウ隊は直ちに発進、不明機迎撃に向かえ。総員、対空戦闘用意〕
〈龍驤〉から、九六式艦上戦闘機が緊急発進する。
そして、震電偵が〈通路〉を抜けた。直後、震電偵は2機の九六式艦上戦闘機に囲まれる。
〔フェアリィ海軍機に告ぐ。直ちに武装解除し、我が方へ帰順せよ。こちらは国連軍所属の日本海軍である〕
「私達を囲んでいる場合か!? 深海棲艦の餌食になるぞ!」
川内は叫ぶ。が、聞く耳を持つ者はいなかった。
〔Disarm and follor me. I say again. Fariy Navy, this is Japan Navy, belong United Nations. You have been intersepted! Disarm and follor me.〕