「あれが深海棲艦?」
「嘘でしょ……」
時雨と朝潮が呟く。そこへ烈風改がやってくる。そして、2機は接触した。
彗星と烈風改がぶつかり、爆発する。
「アマギー! 無人機の様子が――」
次の瞬間、日向と最上は彗星と共に火達磨となった。
日向の彗星を撃墜した烈風改は、別の烈風改に撃墜される。
アマギー艦内――
「こいつだ」
木曾が言い、天龍が四式自動小銃を構える。その銃口の先には、朧。
そして、銃声が鳴り響いた。3発の7.7mm弾の薬莢が床を転がる。
「次、F5ブロックだ」
木曾と天龍は去っていく。
アマギー艦橋では、長門が羽黒に尋ねていた。
「震電偵の様子は?」
「特に変化はありません。艦内の残存コピーを捜索中です」
「丹陽は、まだ戦っている……そして、千歳の出した『深海棲艦の大侵攻』に、間違いが無いとしたら……」
長門はコンソールを叩いた。羽黒はびくっとする。
「今すぐ川内に電話! 大至急だ!」
そして、川内に電話が掛かった。
「丹陽を、ですか!?」
〔いいか? 深海棲艦の一番の狙いは、丹陽と雪風だ!〕
「…………!?」
〔奴らがみすみす地球へ逃すとは思えない。彼女達を出さなければ、私達は深海棲艦からの攻撃を受け続ける!〕
「……分かり、ました」
【AMAGY, ALL CLEAR.】
【R-3, ENGAGE.】
震電偵を載せたパレットが動き始める。憲兵達は何も出来ず、逃げ出すだけだった。
パレット転回、尾部を憲兵達に向ける。そして、震電偵はエンジンを始動した。
川内は、雪風のいる部屋へやってきた。ドアを開けると、ベッドに腰掛けた雪風が、一瞬川内を見上げた。
「丹陽を……出す」
そう言うと、雪風は立ち上がった。
「平気で、立つんだな。分かってる? お前と丹陽を狙っているんだ、有りっ丈の深海棲艦が。それでも、行くと言うの?」
雪風は何も言わない。
「そんな中に出ていって、一体どうなるって言うんだ!」
川内は机の上にあった物に八つ当たりをする。そして、雪風の肩を掴んだ。
「英雄にでもなったつもりか!?」
「……行かせてください、川内さん」
その言葉を聞き、川内は力を抜いた。
「……そう言うだろうと、思ったよ」
雪風と川内は格納庫へ向かう。そこでは、震電偵が整備を受けていた。
整備と武装搭載が完了し、雪風は震電偵に乗り込んだ。
整備員達が野次を送り、雪風は軽く敬礼をする。そして、震電偵はエレベーターで上がっていった。
二式大型飛行艇の20mm旋回機銃が唸る中、生き延びた深海棲艦戦闘機が空対空ロケット弾を発射し、零式輸送機が炎上する。
〔アマギー! キャリア1が被弾した!〕
零式輸送機が火達磨になって落ちていく。
〔キャリア1、ダウン!〕
〔『三勇士システム』を緊急停止!〕
しかし、零式輸送機から3機の戦闘機――震電無――が射出された。
そうか……結局、私は何も分かっていなかったんだね。
あの時も、妖精の声を聞いていたのか。機体に宿った、戦うために生まれた妖精の声を。
雪風、私はいつもこう言って送り出してきた。だから、今回も……
アマギー艦橋に動揺が走る。
「弾頭、起爆タイマー作動!」
愛宕が柄に無く緊迫した声で言う。
「『三勇士』がやられたら、こっちまで吹っ飛ぶわね」
「ヒェー!?」
加賀の言葉に、比叡が悲鳴を上げる。
「防護ゲートが開いてるわ!」
雷の言葉に、比叡が反応する。
「戦闘中よ! 何をやっているの!?」
そこへ、鹿島と愛宕が報告する。
「『三勇士システム』、停止コマンドを受け付けません!」
「外部コントロールで飛んでいる模様!」
比叡の顔が真っ青になる。
「外部? 自律飛行では無いの?」
加賀が言う。すると、コンソールを弄っていた鬼怒がある事に気付いた。
「フライトデッキです! デッキの艦載機が中から防護ゲートを!」
震電偵がエンジンを始動する。
「行こう、丹陽」
雪風がスロットルレバーを押す。そして、震電偵はアマギーから飛び立った。
扶桑は、飛んでいった震電偵を見る。
「あれは霧島の……長門、まさか貴女!?」
「そうだ。最強の切り札を切らずに、死にたくはないからな」
長門の言葉に、扶桑は首を傾げる。
「最強の……?」
「複合生命体……」
千歳が、呟くように言う。
「機械と艦娘が複雑に融合した、新しい生命体です。ちょうど、彼女らのように……」
「艦娘と機械……そんな事が?」
長門が言う。
「出来なければ全滅するのみ……最も、基礎にあるのは、ごく普遍的なものだと思うがな」
川内がアマギー艦橋に辿り着く。そして、羽黒からヘッドセットを借りた。
だから、今度も――
「必ず、必ず帰ってくるんだ!」
震電偵のコクピットで、雪風は頷く。そして――