戦闘艦娘雪風   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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 川内がずかずかと特偵戦指令センターに入ってきた。途中で書類を携えた翔鶴とぶつかったが、構う事無くオペレーター・羽黒のいる所へ行き、コンソールを叩いた。

「ひっ!」

 羽黒が縮み上がった。

「行方不明とはどういう事だ!?」

 川内が怒鳴る。

「ほ、北方海域付近で消息を断ちました……」

「無線で呼び出せ!」

「もう、4回も……」

「もう一度だ!」

「は、はい!」

 

 川内は大湊警備府に電話する。

「航空救難を要請する! 何、詳細な位置を教えろ? とにかく上げてくれ! 時間が経てば見つけられるものも見つけられなくなってしまう! ……もういい!」

 川内が乱暴に受話器を置き、羽黒がびくっと震える。

「今すぐ全隊員を集めろ! 航空救難を出せないなら、こっちで上げてやる!」

「な、長門さんの許可が無いと、出来ません……」

「っ!? お前……!」

 川内が羽黒に掴み掛かろうとし、踏みとどまった。しかし、羽黒は泣き出しそうになる。

 

 

 

 しばらくして、ディスプレイに新たな表示が出た。6番機 ヴィッカースが帰投を宣言したのだ。

「ヴィッカースに帰投は許可してないぞ!?」

「もう燃料が……」

「整備班に連絡、ヴィッカースへ迅速に燃料を補給し、再び上げろ!」

「でも、ヴィッカースは定期点検が……」

「じゃあ鎮守府の照明を全部点けろ! それなら遠くからでも分かるはずだ!」

 そう言って、川内は頭を抱え、呟いた。

「諦められるか……」

「気は済んだか?」

「救難隊を、出させてくれ」

「それ以上言ったら、軍法会議に掛けるぞ」

「私が飛ばす! 空いてる機なら、いくらでも――」

 そこで、長門は川内を強く睨んだ。

「今すぐ謹慎するか?」

「くっ……」

 それには、川内も黙るしか無かった。長門は踵を返し、口を開いた。

「報告書を提出しろ。あと、熱いコーヒーでも飲んだらどうだ?」

 

 

 

 雪風は流動食を吐き出した。床に飛び散る。むせる雪風の頭を、看護師の榛名がそっと撫でる。

「大丈夫ですよ。泣きたい? この榛名にお任せですよ」

 雪風は榛名に膝枕される。そこへ、妙高がやってきた。

「あなた達の事なら、所属鎮守府に『不時着したが無事』と伝えておきました。『よろしく頼む』だそうです」

 雪風はゆっくり口を動かす。

「……それだけ、ですか?」

「ええ、それだけです」

 そして、妙高は床に飛び散った流動食を見てこう言った。

「戦線基地なので、満足な用意は出来ませんが」

 妙高はゆっくり扉を閉め、去り際に一言。

「おいしい食事を用意します」

 雪風は、榛名の隆起物に包まれて眠った。

 

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