震電無が、一〇〇式司令部偵察機と共に飛んでいる。飛行試験を兼ね、R-3 丹陽が姿を消した北方海域への偵察飛行を行っていた。
川内は一〇〇式司令部偵察機の中央席に座り、震電無に異変が無いか見ていた。パイロットの高雄が、川内に北方海域に近付いた事を知らせる。
「まもなく試験エリアです」
「……ああ」
川内は、どこか上の空だった。
榛名があったかいスープを持ってきた。
「特別なスープです。あったかいですよ」
榛名はスープをサイドテーブルに置き、雪風を起こす。そしてあーんさせた。
雪風は飲み込む。
「このスープは一体?」
「コンソメスープです」
「どこか……蟹のような風味が……」
「海が近いからですよ」
そこへ、妙高がやってきた。相変わらず無表情だった。
「残念ながら、あなたの相棒を救えませんでした」
そしてスープを見る。
「あなたのために、彼女の払った犠牲は大きい」
しゃがみ、雪風の肩に手を置いた。
「彼女の死を、無駄にしてはいけません」
そして、雪風は地上へ連れて行かれた。妙高は続ける
「どうにも分からないのは、どうしてこんな分かりづらい仕組みにしたのか。直接であれば、より分かり合えるのに」
雪風は、久々の日光に目を細める。そして気付いた。そこにあったのは、二式艦上偵察機だった。
「大丈夫、整備が終わればあなたは基地に帰れますよ。ただ、高度なトラップに手を焼いていて、あなたの協力がどうしても必要なのです」
そう言って、妙高は笑った。ロボットのような笑い方だった。
雪風は二式艦上偵察機に登る。
「さて、そろそろ解除方法を教えてくれませんかね?」
妙高が言う。雪風は、二式艦上偵察機のコクピットを覗き込む。そして言った。
「川内さんが、電話一本で雪風の無事を信じた? 嘘です!」
「解除方法を教えろ!」
痺れを切らした妙高が、九四式自動拳銃を雪風に向けた。
雪風は二式艦上偵察機から飛び降り、妙高に体当たりする。そのまま妙高を押し倒し、手首を握り潰そうと力を込める。が、雪風の指は妙高の左手首に埋まる。まるで、粘土を押しているようだった。
雪風は驚く。そして、妙高が手にしていた九四式自動拳銃を奪い、撃った。
雪風は九四式自動拳銃を構える。妙高は、首を撃たれて即死だった。雪風は立ち上がり、榛名に九四式自動拳銃を向ける。が、すぐに下ろした。榛名は俯き、妙高の死体を見ている。
そして気付いた。世界が崩壊し始めている。妙高の傷口からも、空からも世界が崩れ始めていた。
雪風は二式艦上偵察機に飛び乗り、エンジンを始動させる。機体から降りてプロペラを回し、また乗る。
ふと、雪風は榛名を見た。が、榛名も足元から崩れ始めていた。雪風は滴を払い、キャノピーを閉め、スロットルレバーを押した。
二式艦上偵察機は徐々に加速、そして世界の途切れ目で離陸した。
強い衝撃、機体が揺れる。やがて、二式艦上偵察機の揺れが止まった。ふと見渡せば、ここは既知の空間だった。
雪風はシートにもたれ掛かる。が、すぐ後ろに彩雲がいた。雪風は驚く。そして――
「おい、震電無が加速している!」
川内が驚く。高雄は計器を操作するも、無意味だった。
「駄目です! データリンク遮断されました!」
そして震電無は一〇〇式司令部偵察機から離れていった。
二式艦上偵察機が海に浮かんでいる。雪風は負傷し、二式艦上偵察機は燃えていた。上空を彩雲が旋回している。
「いいの……です。丹陽と一緒……」
雪風は呟く。
彩雲が急降下、その主翼には4発のロケット弾がある。
が、爆ぜたのは彩雲だった。雪風は驚く。見れば、震電無がやってきていた。
二式艦上偵察機が沈む。雪風はそのままいた。が、妖精が現れ、雪風の体を海面へと引っ張りあげた。
信頼した愛機を失い、心身共に傷付いた雪風。上層部では新たな無人機開発計画が進む中、雪風は1人の女性軍医・千歳と出会う。
信頼するものを失った雪風のもとに今、新たな翼・震電偵が舞い降りる。
戦闘艦娘雪風 Operation.2 9月30日公開。
深海棲艦は、もうそこにいる。