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『いったい何が、何が、何が起こっているんだ――――い!?冷気で大事なところが何も見えないぜ、コンチクショウ!!!』
『なんらかの方法で轟の個性が消されているな……全くどんな方法を使っているんだか。ったくどんだけ掻き回せば気が済むんだ……?』
生成される中規模的な氷結を恒温維持で打ち消しながら、私は冷や汗が頬を伝うのを感じていた、私は身に余る力の数々を超能力だと揶揄したけれども本質は轟くんの言っていた通り個性。
この能力にも気付きはしていなかったけれど穴はあった、先ず第一に効力の範囲というより使える箇所の問題。
恒温維持を発動させるためには少なくとも手に氷結を当てないといけない、爆豪くんと割と似ている手から個性を発動させるタイプのものだった、いつもお風呂を沸かすときに一瞬だけ体温を上げて右手を湯船につけていたから考えもしなかったけれど実戦で使ってみて思いの外発動させるだけでもやりづらいものだったとわかる。
まぁもっとも轟くんの相手以外にこの個性を使う必要性は全く感じないけれども。
低温を恒温状態に戻す事は出来るけれども高温を恒温に戻す事は出来ない、全くもって不便なものだ。いや不便じゃない、結構助けてもらったじゃないか、おかげで家の電気代はだいぶ浮いていたし……。
私のものだったら馬鹿にしてもいい、いくら馬鹿にされても構わないけれど人のものは馬鹿にしてはいけない、望まず取られ私に強制的に渡されたものなのだから使っている以上私に文句を言う資格はない。
今までの行いと言動、思考に罪悪感を感じるけれども、いまはその謝罪や後ろめたさに浸っている余裕はない、今はどうしても手が離せないことがあるのだから。
轟くんが選んだのは長距離戦、つまり個性を放ち続けるという事ではなくて中・近距離戦だった、初めのうちは分からなかったけれども実際に対峙して、ここまで追い詰められてようやく理解できた、実戦慣れはしていたつもりだけど私のは轟くんと違って付け焼刃に過ぎない。
もっと大きな流れを読む力に長けている轟くんの読みを私は拾いきれなかった、だからいつの間にか優勢に立っている私が劣勢に追い込まれているだなんて思いもしなかったし、決して油断していたわけでも高をくくっていたわけでもないのに気が付けば逆に追い込まれているのは私だった。
寒い空気、冷気は下にたまりやすい。
私は恒温維持を使って完璧に消すのではなくて、轟くんのだす氷が個体から気体に変わる瀬戸際まで温度変化をさせている、規模にもよるけれどさっきのように完全に体を取り囲まれている状況ならば10秒程度、今の攻撃……緑谷くんとの戦いで攻めていた氷よりも2回りほど小さい氷であれば触れるところ2秒かからずに融解は出来る。
どちらかといえば轟くんの出す氷はドライアイスに近いのかもしれない、昇華するから液体で水浸しになるわけではないし寧ろ今少し周りが見えづらいくらいなのだから。
見えづらいといっても気化するほんの何秒か出るだけですぐ消えてしまうのだけれど、どうしてもそのタイミングで攻撃をしたりしてこなかったりするので非常に厄介。
その視界の悪さを逆手にとられ現状攻められている、未来観測で何とか氷の出どころはわかる、多分轟くんも私の恒温維持が両の掌で触れることで発動するという事を知ってはいないと思うけれど、氷を生成し私がそれに気を取られている隙を見て轟くんのヒットアンドラン、接近戦は現状苦手ではないけれどもこうもガンガン蹴られたり殴られたりすると身体へのダメ―ジは大きい、轟くんは轟くんで温度が低下した体を温めようと動き回るし、私が守りに徹する時間が長い。
氷を生成した場所と轟くんが別の方向から攻めてくることが多くなった、掌で氷を消さなければならないという縛りを受けている私はどうしても受けに、後手に回ってしまっている。
かといって氷結を避けてしまうとだんだんと私が動ける範囲が限定されてしまう、現に既に全く関係ないところに現れた氷を無視していたらいつの間にか動けるスペースが物凄く小さくなってしまっていた。
しかし、それでもこの氷の量だ、最大規模が瀬呂くんの時の大氷結だったとしてもそれはあくまで後先考えなかった話、少なくともこの状況で大氷結を出さないというのは、出さないではなく出せないという事なのだろう、私だってジワジワ形勢を傾けられたものの相当量の氷を相殺した。
動けるか動けないかの問題で言うならば少なくとも後者、なら攻撃がやんだ今のうちに私はどうにかせめて互角に持ち込む程度にはしないといけない、このままじわりじわり行くのは不味い。
相手に攻撃されないように後ずさりしながら距離をとっていたようなものだ、距離は変わらず相変わらず互角には見えるけれども、気づけば退路がなくコーナーに追い込まれている、気持ちでも流れでも知らず知らずのうちに圧されている。
無意識に守りに入ってしまった、それは多分、恒温維持が思いのほか相性抜群で一気に勝勢まで持ち込んだと思っていたから、そして誤算だったのは私が轟くんの右側、つまりお母さんの個性の方はもう使えないと、使わせないと言ったはずなのにそれでも信念を曲げずに、より強い意志で私に向かってきたことだ。
考えろ、考えろ。
この少しの間で轟くんがなぜ攻撃を止めてしまったのかを想像力、直観力、平凡な頭脳を駆使して考えろ。
そもそも轟くんが攻撃を止めた理由はなんだ?作戦を練っている最中なのか、それとも間を与えて私の心を揺さぶる作戦なのか、はたまた凍てついた体半分が動かなくなってしまったのか。
仮に作戦を練っていたとする、この場面で一番有効なのは使っていない側……すなわち左側の個性を使い私を取り囲んでいる氷の檻諸共超高温で熱してしまえば一瞬で決着がつく、しかしこれだけは確実にない。
もし私が轟くんで家庭事情も何も背景になく一番を獲りに行くのであれば真っ先にそうしていた、しかし彼は断じて、絶対にそんなことはしないし考えすらも過らないだろう。
次に間を取って私を揺さぶる作戦だけど、これだけ長ければ揺さぶりというより私の心はだいぶ落ち着いている、この間がなければ土俵際に立たされていることにも気付けなかったし、こうやって万全とは言えないけれども今できる最大限で最善の状況に自分を持ってくることが出来なかった。
轟くん流に言えばこれは悪手、しかしそんなことにも気付かない轟くんではない。
となると答えは自ずと見えてくる、自身の個性に苛まれているというのが私が出した答えの中で最も近いのではないのか?
客観的に自分を分析するとここにきて知らない個性、それと前回、前々回の戦いを見たとしても私の個性というものは一切合切見当がつきもしないだろう、いやこの場合見当がつく方がおかしい。
いくつもある個性の数々、それを架け合わせ出来た派生形の力も含めれば私が体育祭で使った個性は片手では数えきれない、轟くんのように2つもっているだけでも相当珍しい(大抵は混ざったり片方の親の個性しか発現しなかったり)のに私みたいにこうも多く持っているのは常識的に考えてありえないだろう。
そして、見当がつかないという事は手を出しにくいという事に直結する。
おそらく警戒されているのは飯田くんと芦戸さんの時に使った時を駆ける、と表現していいのか時を止めると表現していいのかいまだにわかってない私が絶対領域……エンペラーゾーンと名付けた最大の鬼札。
しかしもうすでに2回切ってしまいあとは轟くんに1回爆豪くんに1回使うのが精いっぱい、それも極わずかな間だけの接近戦の合間を、隙を作る一瞬のような時間しか使えない。
体感で解る、限界突破すれば相当ヤバいことになると本能が、第六感が、女の勘ってやつが警報をガンガン鳴らしている。
おそらく一番の原因は試しに使ってみたときに周りには人がおらずその効力を試せなかったこと、それ故に飯田くんとの戦いのときには本当に無駄遣いしてしまったためにもう残りは、使用できる時間は少なく、体の方に……いや、体だけでなく精神の方にも大きなフィードバックが還ってくることは予想済みだ。
しかしそれは轟くんには伝わっていない、確かに容易に使えないことや何らかの条件があることは見抜かれていると思うけれどもそれでも警戒せざるを得ないから、鬼札として使えるのだと思う。
最強のカードを出すのが最善の選択とは限らない、これは私の恒温維持がそうであったように、テレポートがそうであったように、一見して然程使えるようなものではなく、寧ろ使いどころを見つけるのが難しいものの方が案外役に立ったり効率が良かったり、効果が抜群だったりする。
そして、今、それなりの時間は経過しているものの轟くんは攻めてくる気配が全くと言っていいほどない、氷であたりを覆われていて私の行動範囲は著しく限定されてはいるものの氷を出す速さも伸びてくる速度も量も格段に落ちている。
私の未来予測(精神干渉は接触時間が短かったため効力が切れた)は視界に映るものの先の映像しか映せない、けれども今の轟くんの速度であれば反射神経で対応できるはず、この先は全くもって見通せない、予想も予測も出来たものではない。
文字通り私は命を削って戦っている、勝つためにはそれなりのリスクを伴う能力を使わざるをえないし種と仕掛けが分からないだけで割れてしまえば私が築き上げた何もかもが崩れ去ってしまうほど弱く儚くまるで泡のようなものだ。
自慢ではないけれど素の私の耐久力は障子紙並だ、転んでこけただけでも救急車に運んでもらえる自信がある、ましてこうやって体を激しく動かしながら殴り合いをしているのだから普通に考えれば死んでもおかしくはない。
まぁそんな揶揄的な表現はさておき……時間制限の問題だ、轟くんの確実に仕留めるために絶対領域を使うのならばこれ以上の長期戦は好ましくない、冷気が体力をだんだん奪いリカバリーガールや信者たちの個性で治してもらった古傷が痛み始めている。
恒温維持は便利な能力ではあるけれどもこれを使っている間は他の能力は一切使えないし氷を無効化するためには(量にもよるけれども)時間がかかる、あれだけの猛攻をした頭脳明晰、冷静沈着、文武両道の轟くんが見逃すはずがない。
次の攻防で、やり取りでこの戦いに終止符を打たなければ私の負け。
今までに感じたことは無い敗北感がすぐそこまで迫っている、流石はエンデヴァーの息子さんといったところか。
過程なんか関係ない、大事なのは結果だけ。
ここまでの成果に満足しそうな自分にそう言い聞かせた、まだ折れるな、手も足もまだ動く、それだけで十分だ。
勝負は轟くんの姿を見つけ制空権に入る前の私から見て左側が上がった瞬間。
その一瞬をものにするために私は絶対領域をいつでも使える準備をする。
背筋に氷が通ったような悪寒が走り、生命力が損なわれている確かな実感と身体をめぐる血液が血管を食い破ろうと暴れて脳をかきむしる。
体が言うことを聞かずにふらついた、でも倒れるわけにはいかない、倒れてはならない。
考えることはいかにして轟くんにとどめを刺すか、それだけで構わない。
激痛とめまいでどうにかなってしまいそうな中、私は思考の檻から放り出されないように必死でしがみ付いた。
5
全身が悲鳴を上げている、もう動くなと、左側を使って温めろと身体が熱を求めていた。
身体が悲鳴を上げている、限界を超えるなと、ここから先は進むなと警報を最大限にならして体の自由を奪ってゆく。
もうろくに動かない右手を見つめて目下の氷の檻を、中を見下ろす。
最後の力を絞って造ったこの檻は確実に相手の動きを限定するために作った、角度は30度ほどではあるが滑りやすく滑らかに作ったため登りにくい、しかし、いや……そうじゃなくて本当は自分に踏み切るために作ったようなもの。
目を閉じて、ひと時だけ体を休める、体温が下がっているせいか少しだけ眠い。
雄英体育祭1年の部準決勝の相手は飯田、芦戸を破った時尾 花架琉という普通科の女子、赤い髪と決意を秘めた眼が印象的な奴だ。
本当に不思議なやつだ、不敵にも宣戦布告をしたり最初から、障害物競走から俺たちヒーロー科にも唯一負けず劣らず寧ろ一歩先を進む勢いで必死で駆けている印象を受けていた、緑谷に言われて訳の分からなくなった俺に発破をかけてきて、俺が欲しかった言葉を投げつけて、そんでもって今は全力をかけて俺を倒そうとしている。
「口も目も鼻も耳もまだ動く、勿論やれるよ」
その言葉は、絶体絶命な状況にも関わらず絶対的な自信を帯びてもいないのに重く重く響いていた。
「私に勝ちたいんだったら、場外に弾き出すか殺すつもりで来ないと」
その自暴自棄の覚悟をした目を、俺は知っている、憎悪に満ちた酷く悲しい目だ。一つの事しか見えてないその目を見たとき、一つの言葉が蘇った。
「時尾 花架琉。雄英高校普通科1年、何の変哲もない超人社会に埋没した器用貧乏な超能力者、かな」
その言葉は酷く儚く、今にも消えそうで、自分自身を確認するようにも受け取れた。
「半分の力しか使わないで勝つ?やれるものならやってみろ」
超能力といっていたが、それは個性だろ?お前にも俺の氷を消せる量には限度があるはずだ、確かに今はあらがう術はねぇ。けど俺が右側でお前のそれを上回ればいいだけの事だ、半分の力で勝つ、その言葉は曲げねぇ、
だから時尾……全力でかかってこい!
いろいろ言った後に無意識にそう叫んでしまっていた、奇しくもあの時に緑谷と同じ言葉、そして『なりたい自分になってもいいんだよ』とやさしくお母さんに言われた言葉が蘇る。
自分の事ながら笑えてしまう、自虐的な笑いが、自分をどこかで冷静に判断している自分が唇を酷く歪ませているのわかった。
自分のことだから自分が何を考えているのか、自分がいまどのような心情なのかも把握は出来る、だからこそ笑えてしまう。
自分の憎しみはこんなにも、あいつの言う通り……子供じみていてくだらなかったのか、何年も抱えていたこの思いはたった一日で覆ってしまうほどに軽いものだったのか。
違う、それ以上に大事な何かを得ることが出来た。
全否定するんじゃなかったのか?
それよりも、大事なことを教えてもらった。
俺の、自分の力だって受け入れるのか?
それはまだ、わかんねぇ。
―轟くんの思いはそれだけで救われるの?それで全部清算できるの?君のことを何も知らない奴に少し手を差し伸べられたからって……その程度で揺らぐ君の十数年は一体何だったのかなぁ?
意味がないとは言わない、答えは出ていないし、何が正解なのかもわかんねぇ、でも今気付かせてもらえたからこそ変えれるものだってある、俺がそうであったように。
無茶苦茶して、壊されてようやくわかるものだってあるはずだ、それこそ自分だけで抱え込まないで土足で上がられてからようやく解決することだってあるはずだ。
この体育祭には目的がある、野望と言い換えてもいいのかもしれない、懸念もある、戸惑いもある、あいつを全否定したい気持ちも決して消えたわけではない、けれども今は、俺にその資格があるのかどうかは分からないが……それでも俺はある一つの感情に突き動かされた。
今まで見えてなかったもんが見え始めてようやくわかった、まだ償わなければならないことだってあるし俺一人が納得してそれ終わりで済ませていい話でもない、だけど目の前にいる女の子を……俺は、助けたいと、思ってしまった。
助ける?どうやって?自分のケツもろくに拭けない俺が何をするんだ?
……確かにそうだ、けどあのままあの道を進ませてしまってはダメだ。
さっきまで自分も同じだったくせによく言えるな。
同じだったからこそ、そこから先に行かせちゃいけないって思っている。
出来るのか?
やってみせる。
どうやって?
この戦いを、俺の勝ちで終われせればいいだけだ。
結局、俺が勝ちたいだけじゃねぇか、助けるなんて立派な理由を見つけてよ。
それもある、時尾に勝ちたい、でもそれ以上に…………
少しだけ、落ちていたようだ、右側が重い、この調子だと出せる氷の速度と量は限られる。
時尾は俺の氷結を消せる、多分温度操作よるものだ、だから俺が直接触って凍らせに行けば溶かさざるを得ない、そこを狙って体温を多少戻して一撃に全部を込める。
いや、それじゃあダメだ、俺の力でどうにかする。
幸いなことに少しだけ寝てた……意識が落ちたこともあって体温は多少は上昇している、そのまま狙いに行ける可能性もなくはない。
これは賭けだ、全くもって割に合わない危険な勝負。
俺の復讐や親父への復讐なんて二の次でいい、俺はあいつの言う通りになんてならないしあいつの玩具でもなんでもねぇ。
もう右側を使うのは限界だ、氷の出も遅いし量も大したことは無い、長い経験の積み重ねで直感的にそれはわかる、でもだからってどうした、それは今までの事で今は違う。
右側が悲鳴を上げても、限界で少しおかしくなろうが関係ねぇ、緑谷だってあんな大けがしてやっと俺が抱えて来たもんぶち壊したんだ、同じことをやろうとするんならそれ相応のリスクは覚悟の上だ。
時尾の体がグラついた、俺もあいつも限界は近い、このまま籠城すれば確実に勝てるだろうが、俺はそんなこと望んではいないし、時尾も時間が経てば体力も回復し何かほかに策があるのかもしれない。
体は思うように動きはしない、だから氷の檻を一歩一歩踏みしめて時尾のもとに向かった、体はグラつき意識は朦朧としているのかとすら思ったが時尾の眼は一層激しく意志の炎で燃え上がっていて業火のような激しさに焼き焦がされるんじゃないかと錯覚したほどだった。
雌雄、相まみえる。
俺は思わず自分がやろうとしていることがあまりにも矛盾していることを思い出して自嘲的な笑いが出てしまった、あの日に見た憧れと、優しさが鮮明に思い出せる、何時か忘れていたあの感覚、あの気持ちを。
なれるかな、俺も。
一回だけでいい、この一回だけで構わない、だからお母さん、力を貸してくれ。
6
『なりたい自分に、なっていいのよ』
その言葉が、かえってあの子に重い十字架を背負わせてしまったのではないかと思う。
私とあの人の間に生まれた子供たちは全部№1に勝つために身ごもった子供たちで、あの子はあの人の希望であり野望であり全てだった。
とりわけ優しくするわけでもない、ただただ№1を超えるためだけに育てられたあの子は5つの時から訓練という名前の暴力を受けながらもそれでも挫けずに頑張っていたというのに、私は日に日にあの人に似てくるあの子の左側が憎くて仕方なかった。
そして遂に、私はあの子に煮え湯を衝動的に浴びせてしまっていて、後悔と怒りと悲しみと申し訳なさと、とにかくあの子へやってしまったことの罪悪感が頭の中を暴れまわって、気がついたときには精神病院の一室にいた。
私は治療の一環としてTVやラジオなどの情報を遮断している、やはりあの人のことを思い出さないようにも情報を遮断しているようだ、あの人は良くも悪くも有名だから常に発作を起こす可能性があるとのことらしい。
だから偶然か必然か、たまたま耳に入ってきたラジオの音声に私は思わず魂を抜き取られたかのように聞き入ってしまった。
『いよいよ最っ終局面!このまま勝利をつかみ取り決勝戦への切符を手に入れる、のは時尾 花架琉か!?それとも轟 焦凍か!?目をかっぽじって見届けろぉぉぉおおおおお!!!!!』
雄英体育祭といえば近代オリンピックに代わって行われている催し物だ、そしてあの子は今準決勝を戦っている。
頑張っているんだ、聞いてはいたけどそれでも……
私は訳が分からなくなって、色々な思いが消えては浮かびを繰り返してまるで子供のように泣きじゃくってしまった。
頑張って、焦凍、あなたなら大丈夫。
誰にもとらわれることなく、なりたい自分になりなさい。
精一杯の声援を届かないと分かっていながら、そうすることしか私には出来なかった。
暫く更新できないかもしれませんがこの作品はキッチリと終わらせます。
ここまで続けれたのもたくさんの方々が読んでくれて評価してくれたおかげです、もうそろそろ終わりに近づきましたが最後までお付き合いください。