運命よ、そこをどけ。   作:明鏡止水

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避けられない現実

 

 

 雄英高校体育大会、ヒーロー科は必須参加の種目ではあるが私たちその他の科は基本自由参加のサバイバル競技、この体育大会の主役である競技に勿論私は参加することにした。

 

 申請があり多少手続きに手間がかかったが私は晴れて挑戦権、もといスタートラインに立つ権利を得ることが出来た、申請すればだれにでも取れるのだけどね。

 

 私も何も対策しないでこの体育大会を獲れるとは思っていない、そこまで傲慢じゃないし己惚れることなんて恐れ多いことだ、器用貧乏な私の力なら対策をされる前に一矢報いることが出来るのではないかという微かな希望を確固たるものにして挑まなければならない。

 

 まずは、私のアドバンテージ、個性まぁ超能力というカテゴライズなんだけれども…が知られていないことだ、つまり未知のものとの戦いができる故にはったりや言葉での戦略が練りやすくもある、幸いというか不幸というか虚仮脅しは私の得意分野だ。

 

 冷静な自己分析をしていて鑑みると哀しい、使える能力ならともかくいらない能力にまできっちり平等に潜在能力が割り振られるのだから性質が悪い。

 

 例えば共感覚、生半可化に強いのも本当に困る、音楽の先生の演奏を聴くだけでトウモロコシを粉にしたやつを彷彿とさせる味がする(多分先生の演奏があんまり上手くないのだろう)、しかしこれなんかまだ良いほうで男子がとりあえず弾いためちゃくちゃな演奏に至っては口の中に泥をねじ込まれたような味が広がるわ、世界は茶色に染まるわ、変なにおいはするわと散々な目にあった、以来鑑賞教室やプロの演奏でしか使わなくなった、今回は使うことはないだろう。

 

 閑話休題、そしてもう一つの利点といえば、私はヒーロー科や出場するであろう普通科の生徒の個性を知っていることだ。これは一番大きく働く作用かもしれない、対策は非常に練りやすいからね。

 

 ヒーロー科の戦闘訓練の映像は一般公開されていないものの先生に頼めば見せてくれる、らしい。逆にそれがなかったら私の計画は終わりだった、実際職員室に行っても担任は取り合ってくれなかった。相澤先生が「勝つために合理的だな、いいよ見せてあげる」と快く見せてくれたので助かった。

 

 流石は雄英高校ヒーロー科、良い個性のバーゲンセールかよ。より取り見取りでうらやましいなぁ、例外もあるけれど。

 

 私が気を付けなければいけないのは…案の定ほとんど全員だ。

 

 爆豪君、あんなの手のつけようがない、卑劣だけど今のところ思いつくのは念動力で爆豪君の爆豪君を握りつぶすことしか思い浮かばない…男子全員に有効な技だからいざとなったら使うかもしれない、使うことになったらゴメンね男子の皆。

 

 

 緑谷君の個性は超パワー、リスクも大きいみたいだけれどあんなのもろに食らったら軽く逝く、かなりの頭脳派らしいから私の能力の穴をついてくることも考えられる。その時は潰そう。

 

 

 麗日ちゃん、は比較的私に分がありそうだけれど条件を果たせば即詰みってところが脅威だね、見たところ指先には触れないほうがよさそうだ。

 

 飯田君、とにかく速い、目で追えるから大丈夫かなと思ってはいるけれど何か隠していそうだ、動き回られたら太刀打ちできないかな。その時は潰そう。

 

 

 轟君は、うん、無理。あんなのチートだよ。当たらないことをひたすら祈る。その時は潰そう。

 

 

 切島君、鉄哲君も私の持ち札では対応できないなぁ。その時は潰そう。でも個性は硬化、そこまで硬化されていたらお手上げだ、ある意味一番厳しい戦いになるかもしれない。

 

 

 八百万ちゃん…うらやましい、じゃなくて。何かを創り出す個性か。精神干渉でどこまで動揺してくれるかが鍵になりそう、身体能力では私が上だ。

 

 常闇君、全方位中距離防御が可能なんて近付けないでしょう、出来れば当たりたくないし勝てる気がしない。その時は潰そう。

 

 

 上鳴君の電撃から身を守る方法は…なくもない、制御はできないみたいだからスタミナ勝負になりそう、負けるのは私だろうけど。その時は潰そう。

 

 

 障子君、砂藤君に殴られたらほぼ確実に死ぬ、その時は潰そう。

 

 

 塩崎ちゃん、もつかまれたら即詰みかぁ、当たりたくはないな。

 

 と、エトセトラ、エトセトラ。

 

 結論は男子、潰す。

 

 女子は辱めを受けさせよう、テレビの前で一生記録されることとなるが、女同士そこら辺は善処しましょう。

 

 まったくヒーローがすることじゃないなぁ…私目指していないからいいか。

 

 けどまぁ、私が勝つまでにいったい何個のゴールデンボールが潰れるのか…優秀な遺伝子をこの世に残せなくなるのに手を貸すなんて人類として非常に残念だ。

 

 私の念動力で潰せるのかは分かんないけどね。

 

 

 

 さてさてさーて、私が持っている能力の中で使えるものは、念動力、発火能力(発火したためしがない)、精神干渉、瞬間移動、空中浮揚、残留思念感応、未来予想、くらいかな。

 

 一番使い勝手がいいのは念動力、半径30メートル以内であれば30キロまで動かすことが出来る、しかし効果持続時間は1秒につきインターバルは5秒。

 

 だから、念動力を5秒使えば25秒のインターバルを要する、ちなみに使うとめちゃくちゃ疲れる、常に全力疾走をしている感じ。しかも呼吸が出来ない、限界値は約45秒しかも一日でだ。限界を超えて使うと能力は3分の1以下となり体への負担も倍以上、使いどころを誤らなければ割かし便利な能力だけれど、やっぱり念動力が一番軸になるし頼りになる、自己管理には気をつけなくちゃ…軽く死ねる。

 

 次に発火能力といいつつも発火したことのないこの能力、私は恒温維持と呼んでいる、最大42度、黄リンすらも発火させることができない。

 

 本気を出せば70度くらいまで出せそうだけどそれに伴って私の体温も変化するので却下、ちなみに有効範囲は私に触れているもの、お風呂とか一瞬で沸くからめっちゃ便利。

 

 けれども温度の範囲は36,6℃~頑張って42℃。(42℃くらいになると気分が超絶悪くなるからそれ以上は無理だった)

 

 高くするのはもちろんのこと低くすることも出来ない。

 

 35.5℃だと低体温 自律神経失調症で排泄機能低下や、アレルギー体質など新陳代謝が不活発。遺伝子の誤作動が多くガン体質といえるらしいからしたくないし、34℃では生死の境をさまようらしい、リスク高すぎだろ。

 

 余談ではあるけれど、海難救助で救出後、生命回復ができるかを判断する体温で、自分で自分の体を自由に動かす事ができない体温だそうだ。

 

 そして33℃、死の入り口、山で遭難し、幻覚が出てくる体温。そこまで使わない。

 

 何はともあれ冬には便利だしその気になれば体温計をごまかして学校をサボれる優秀な能力だと自負している、小学校から中学校にかけて無遅刻無欠席と最多早退の三冠を獲得した人は私を除いて他にいないと自負している。時と場合によりけりだけどすごく使える、体育大会で使うことがあることを祈っている。

 

 

 精神干渉は…ま、殴りかかるときのフェイントや逆に干渉される時を逆手にとって攻撃の先読みが出来る…よくよく考えたら一対一で周りに人が多くなければ最高の能力なのかもしれない。

 

 多少の頭痛やその他のリスクを考えても一対一では無双できる可能性が出てきた、これはしっかりとした見極めをしなければ。

 

 これが最初に発現した、表面上に浮きあがった私の能力だ。

 

 その当時私は受かりに浮かれ自分の思いのままにこの能力を使い、悪用しようと考えていたが私の精神干渉ではそこまで及ばなかった。

 

 受け取る側、つまり相手の考えを読んだりする事は出来たけれどもその逆は人間相手には一切合切使えなかった、公園のハトや動物園の動物程度ならできたけれど畜生を従えても空しいだけだ。

 

 ただ一度だけ、その当時気になっていた男の子、田中 良助君に「時尾 花架琉が命じる、私を好きになりなさい!」と精神干渉で干渉できたのだけれど、人間相手にはそれが最初で最後だった。

 

 

 まぁ拳で戦おうとすることなんて15年間生きてきてなかったし、まさか暴力を他人に振るうとは思わなかったし、何はともあれこのシチュエーションにおいてはかけがえのないものだ、念動力に次ぐ2本目の柱になってくれそうだ。

 

 瞬間移動……については簡単な話自分しか移動できない、する必要があまりないといったほうが正しいかな?移動するまでに3秒止まらないといけないくせに移動距離は半径2,5メートル、立ち幅跳びかよ。安全装置がついているのかどうかは知らないけれど転移先が物体とかぶっていた時には発動しない、もし出来たら暗殺とか(さすがにしない)簡単だったのだろうけれど出来ないことを望んでも仕方ない。

 

 瞬間に移動できるものは(テレポートではなくアポートになるのかな?)私よりも軽いもので尚且つ1つの物体につき一回まで。ちなみに所有物しか効果は発揮しないのだけれど境界線はまだよくわからない。

 

 宿題忘れたときに使うくらい、それでも一個のものにつき一回というのはどういうことだ?あほだろ。

 

 何たるゴミ能力…と日常生活だけしていたら思っていただろうけれど、相澤先生に確認したところ個性で作り出したものなら得物持っていてもオッケーとのことだったので今私の部屋には無数の鉄パイプがある、鉄じゃなくてアルミニウム合金か、結構堅くて軽いので絶対使おう。

 

 鉄パイプをもってヒーロー科へ挑む普通科の生徒だなんてただのやばい奴だろうけれど気にしない気にしない。

 

 そして空中浮揚、浮くことが出来てそこそこの速度での移動はできるけれどめちゃくちゃ、えげつないくらい酔う、できれば使いたくない。

 

 普通に走ったほうが早い、人生で使ったことあるの両手で数えられるくらいだし、うまく扱える自信もない、使い続けたら多少は慣れそうだけれど慣れるまでに積み重なるであろう苦痛の数々を考えると気が引ける、何かに目覚めちゃいそうで怖いし。

 

 残留思念感応なんてものは見せてくれるものなんて私自身選べない、どうでもいいものが分かるか知りたいことがわかるか、知りたくもないのに重要なことがわかるかの三択で、基本脅しにしか使えない。

 

 精神干渉と組み合わせれば口喧嘩では無敗を誇る、逆上された場合どうしようもないのが苦しいところだ。

 

 最後に未来予想、肉弾戦ではこの能力が私の勝敗を左右するだろう、柱を立てる上で一番重要な基礎の部分だ、その日の調子によって見えるものの確実性や正確さ、自制できるかどうかも関わってくる、後は体力次第でもあるし、目がすごく疲れるし頭にたくさん糖分を回さないと頭痛が激しい、常時発動となれば毛細血管切れまくりで鼻とか目とかから流血する、一回限界まで使用したことがあるけどそこまで行くと格段に視力が落ちる、3日間くらい真っ赤な世界が待っているし、最悪失明しかねないのも怖いところだ。

 

 とまぁ使える手札はこのくらい、鬼札が欲しいところだけれど…理論上は用意できている、が実用なんてしたこともない。

 

 痛いのもつかれるのも慣れてはいるのだけれどそれは平気という意味ではなくて、慣れればなれるほど大事なものが抜けていってしまうようでとても怖い、それにきちんと痛いし生まれたての小鹿よりもひどく震えるくらいに衰弱することもあるし、先に防衛本能が働いていつ使えなくなるのかもわからない、机上の理論なんてあてにならない。

 

 けれども、勝つための必要十分条件は鬼札の準備、鬼が出るか蛇が出るか、どうなるのかもわからない。

 

 けれどもやるしかないのだ。

 

 運命なんて人間の意志にかかわらず、身にめぐって来る吉凶禍福。めぐり合わせのたぐいのものだ、人間の意思にかかわらずってところは気に食わないけれどおおよそ的は得ている、それもまたイラつかせるものだけれど。

 

 ちりも積もれば山となり、ゴミも積もれば山となる、使えるものはすべて使っていくという私のスタイル、だから、私は前に進む。

 

 絶対に成功させてやる、見せつけてやる、あのエリートたちに、私という存在を…それはさておき名は体を表すというし先に名前を考えよう、必殺技に相当するものだし技名がないのもかわいそうだ。

 

 そうだなぁ、絶対領域(エンペラーゾーン)とでも名付けようか。

 

  頭が、脳が発火したような熱さを伴う。

 

 脊髄に熱した鉄の棒を入れられたかのような呼吸ができなくなる痛みと暑さが全身を覆っていた。

 




 現在部屋にある凶器

アルミニウム合金パイプ×40
スリングショットorゴム弾×30
鉄扇×4
十手×5
傘×10
ビニール袋に石を入れたやつ×10

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