Chap.6
7、城1、リ風霊三月精藍文椛妖橙幽霖阿慧魔若会魅三妖怪たち
上階
リ「メディスンが暴れ始めたみたいだね。おぞましい姿になって、それでも君のために……泣ける話だよ、本当に。こんなことしても無意味だって、君だってわかっているんだろう、幽香」
風「あの子のしたいようにさせてあげただけよ。私が拾ったからには最後まで私が責任を持つ……途中から陰でこそこそ動いていた、あなたもね、リグル」
リ「他人をまるでゴキブリみたいに言うのはやめてくれないかな。僕は君の部下だけど、所有物じゃない。飾りや置物じゃないんだ、僕は僕なりに考えて行動する」
風「城の包囲網にわざと穴を開けておいたのもあなたなりの考えなのかしら。招かれざる客はもう結構なのに」
リ「湖からメディスンが魔力を吸い上げたところで何の意味もない。全ては魅魔様の計画の内だ。どうして、最後の最後に抵抗するんだい?幽香」
風「私は理想郷に絶望していたけれど、希望そのものは捨て切れていなかったみたいね」
リ「……は?」
風「あなたに分かる筈もないわ。リグル・ナイトバグ」
ドドォン……!(城上部で衝撃音)
賭博場
魅「上で風見幽香が暴れているな。君は逃げないのかい?鬼さん」
萃「逃げるっつっても行く当てがないもんでね。まあ、やばくなったら適当にトンズラこくさ。ところであんた、腹ん中に悪趣味な物入れてるな」
魅「魔理沙のことか?今は私の預かりだが、やがては巣立ち、私の元に帰ってくる。かつての巣を失った君たちにとっては耳障りだったかな」
萃「私らがいなくても妖怪の山が勝手に存続しているなら訳ないさ。呑んだくれの鬼は勤勉な連中の鼻に付くだろうしな」
魅「まあ、せいぜい理想郷の未来に期待することだな。あればの話だが」
萃「おいおい、鬼に未来の話をするなんざ、笑わせくれるな」
上階
ドガシャン!(家具や装飾が砕け散る)
リ「くうっ……!毒でなら多少君の動きも鈍らせられると思ったけど、絶対量が全然足りなかったね……」
風「量を増やしても質を上げても無駄よ。何か弁解はあるかしら、虫けら」
リ「やっぱり長く連れ添ってきた相手に突き放されるのは辛いね、考え直さない?幽香」
風「そのニヒルな言い回しも聞き飽きたわ。お役目ご苦労様。一応、扱いは殉職にしてあげるわ」
霊「二階級特進は無し!!!」
風「博麗霊夢!!!」
リ「うわっ!」
ゴロゴロゴロ……(霊夢が突っ込み皆が転がる)
風「この羽虫が……悪霊だけでなく巫女も城内に通すとは、やってくれたわね」
霊「何か勘違いしているんじゃないかしら、幽香、私たちはそいつに招かれた覚えなんてないわよ」
風「……そう、ではどうやって包囲網を抜けたって言うのかしら。私の1000の配下を全員手玉に取ったって訳じゃあるまいし」
霊「それは今から教えてあげる。しっかり目に焼き付けなさい。見えればね」
スゥ……(消える霊夢)
リ「消えた……!?」
風「私の城で好き勝手してくれて……全員まとめて花の肥料にしてやるわ」
リ「気配も……音も無い……まさか最初から幻覚……?」
風「術式が発動した気配は無かった……巫女が透明化術式を使えばそれでわかる……つまりこれは固有の能力によるもの……それも複数の掛け合わせ……考えられるのは、最初から巫女だけではなかった……鼠は何匹も居たってことね!」
シュバッ!(何もない所に一瞬で手を伸ばす幽香)……ガシッ!(そこから何かを掴む)
ルナ「きゃあっ!」
サニー「ルナあ!」
スター「サニー!だめよ!」
風「妖精なら死んでも復活して記憶を失うだけね……まずは目玉を抉ろうかしら、それとも耳を剥ぐ?」
ルナ「ひっ!……ひっ!」
サニー「ルナあ!待ってろ今行く!」
スター「サニー!!!」
霊「ごめん、でもありがとう、あんたたちのお陰で頭上が取れた!!」
風「……ぁっ……」
ゴディン!(打撲音)
リ「あの幽香がのけ反っている……?」
霊「脳震盪よ、でも長くない、玄武の甲羅はやはり硬いわね」
サニー「ルナっ!」
スター「大丈夫!?」
ルナ「サニ~、スタ~、すっごい怖かったよ~……」
霊「サニー、ルナ、スター。あんたたちはもう逃げなさい。みんなをここまで連れて来てくれてありがとう。今度はドジを踏まないように、安全なところまで逃げて」
サニー「霊夢……!」
霊「あんた、仲間思いなのね。……そしてこっそり逃げようとしてるゴキブリさん?」
リ「まったく、だから僕はそんな害虫じゃないと言って……でもゴキブリみたくしぶとく生き残ってみせるさ。じゃあね、幽香のことはよろしく」
スター「追わないんですか?」
霊「私の敵はあいつじゃないから」
ルナ「み、みんな、風見が……!」
霊「くっ!」
ブイーン!……(結界音)ドオン!(ゲンコツ音)
霊「結界がっ……軋むっ……!」
サニー「2人とも!逃げるぞ!私たちは私たちにできることをするんだ!」
ルナ「お、おう!」
スター「ええそうね!行きましょう!」
風「やってくれたわね、博麗霊夢。私に燃やされてから少しは成長したのかしら?」
霊「幽香、私たちが争っても無駄よ。共闘しましょう。山のダムが壊されたら魅魔の計画が決定的になる。不味い状況ではあるけれど、まだ間に合うわ!」
風「……大天狗の組織を壊滅させるために何もかも利用してきたけれど、全てオジャンね。台無しにしてくれたのは誰かしら。私の復讐は利用されただけ……?悪霊にも、巫女にもいてやられたのは私だって言うの……?そんなの認めないわ。……断じて認めない」
霊「あなたも復讐したかったの?この理想郷に……?」
風「マリーゴールドのもうひとつの花言葉を知っている?……『自暴自棄』よ」
ドガボガアアン!!(城上部が爆裂)
湖上
文「ああ!天守閣が!」
藍「霊夢たちは無事に潜入したようだ。しかしこの毒の塊はいったい……アルカロイドの種類が多すぎる」
文「リコリンやコンバラトキシンですか?」
藍「アコニチンが漏れ出したら手に負えん」
文「過度な成長促進か巨大化の術式ですが、コアとなっているのはおそらく風見三角の毒人形、メディスンメランコリー……湖底に根を張り水脈から吸い上げた無尽蔵の魔力を様々な毒物に変換して放出しています」
藍「これは大ゴトになるな。……ダムへ行った橙が心配だ。いざという時は通信をしろと言ってはあるが……紫様による復旧はまだだ」
文「藍さん、一人一人、その場でできることを、異変解決のために尽くしましょう。私が逆風を起こします。この大入道は人里へは接近させません」
藍「環境汚染に自然破壊、理想郷管理者の端くれとしても見過ごせん。私は毒ガスが拡散しないよう湖外周に結界を張る。絶対に陸に上げるな」
城地下
妖「椛さんは魔理沙さんと一度ここに潜入しているんですよね?」
椛「はい、妖夢さんにとってはスパイとして行き慣れた地下かもしれませんが」
妖「私は蟲蔵を見つけることはできませんでした。椛さんは視野が広いです」
椛「そんなことありません……しかしあんなに居た年越し虫がごっそり消えています。既に風見配下の面々が持ち出した後のようです。私たちも魔力炉へ急ぎましょう」
妖「はい、しかし理想郷の各地に虫籠が運ばれているとなると、探し出すだけでも困難です。掃除機が正常に機能してくれたらいいのですが……」
椛「信じましょう。理想郷の明日を信じる人たちのように、この作戦の成功も」
妖「……私や霊夢さん、藍さんならともかく、椛さんや文さんはどうして……」
椛「静かに。魔力炉に先客です」
魅「言葉には言霊が宿るように、物にも霊的な存在が宿ることがある。蒐集癖のある君には大切な物が数多くあるのだろうが、この二つは特にそうだろう?おはよう、魔理沙」
魔「帽子が無いと頭が寒いし、八卦炉が無いと暖もとれねえ。二つともあたしの汗水が染み込んだ一生ものだ。さっさと拘束を解いて返してくれよ、魅魔様」
魅「あいにく君には人質役を演じてもらう手筈でね。さらに言えば帽子と八卦炉が私と君とを繋ぐ貴重なトークンになる」
魔「霊夢は……異変倶楽部の連中はみんなこのことを知っているのか?あなたが私を人質にしていることを」
魅「霊夢には教えたさ、八雲紫にも。既に連中にも伝わっているはずだ。彼らは私の手から理想郷を守る目的に加えて、君の救出という追加目的を付与されてしまった」
魔「足引っ張っちまったな……。だがあのチームは霊夢を中心に回っている。私が居なくても勝手に運営されるのさ。私はあいつの相談係だからな」
魅「君も異変の解決屋になりたかったはずだ。博麗の巫女と同じように、危急の辞退に駆け付けて問題の出所を明確に把握し敵を一網打尽にする。それが君の憧れだろう」
魔「憧れって言うのは理想の誰かに成ろうとするんじゃなくて、その誰かが見ていた物を見ることだ。あたしと霊夢はそれが同じ人だった。霊夢にとっては母、あたしにとっては姉だ」
魅「君もまた先代巫女の家族か。彼女が見ていた物を全否定しにかかるのが今の私だとすると、私が見ている物はもはや君の憧れではないか」
魔「あなたと三珠姉は似た者同士だ。世界を変えようとして、実際に変えられる。そこがあたしも霊夢もあなたに惹かれた由縁だと思う。霊夢は、最後は嫌がったが、あたしは……」
魅「異変の元凶か、解決屋か。どちらに周るかは誰もが自由だ。現に、君たちは解決するための元凶となっている。素晴らしい答えだよ」
魔「実の所、両者に違いは無いのかもしれない。あたしは三珠姉から異変の解決屋に成ることを勧められはしなかった。危ないし怪我もするし悲しいこともあるって」
魅「元凶に周ろうが同じことだ。……自分のやりたいことは自分で見つけろ。そう言われなかったか?」
魔「え、どうして……」
ドドォン……(上から衝撃音)
魅「上が騒がしくなってきた。君は全てを見届けろ、魔理沙」
椛「妖夢さん!?」
魅「おやおや、それは命令か、それとも、復讐か?」
妖「どっちもです、悪霊!」
城上部
ガッシャーン!(壁に激突)
霊「痛っ……」
風「逃げてばかりじゃ埒が明かないわよ」
幽『は~い、みんなこんにちは~、紫がようやく回復したからこの通信も使えるわよ~』
橙『にゃー!こちら橙!ダム付近で風見妖怪に追い回されているにゃー!』
藍『なっ!橙!今すぐ行く!結界は自動だから大丈夫だ!』
霖『こちら森近だ。人里の住民の避難は稗田家や上白沢の先生に手伝ってもらっている』
霊「……霖之助さん、ここからも見えるけど、湖の化け物はどうなりそう?」
霖『まだ分からない。結界と大風で進行を止めているが、長くはもたない』
霊「了解、こっちが片付いたら、私も向かうわ」
風「あらやだ、余所聞き?」
霊「余所見はしていないわ」
椛『こちら城地下の犬走です!妖夢さんが、妖夢さんが!』
城地下
妖「うっ……ぅぐ……」
魅「獣の娘の制止も聞かず突っ込んでおいて、この半端者めが。人の方を絞め殺したところで霊の方が逃げおおせれば蘇生するのか?」
椛「まったく歯が立たない……この幽霊が霊夢さんと魔理沙さんの……」
魅「かつての師だ、薄汚い獣よ。その胸の枝木はなんだ?」
椛「……お守りです。果たせなかった約束を忘れないための、守り切れなかった後悔を思い出すための」
魅「……焦げた、苗木か?」
椛「あの日、人間の村が燃やされて、その焼け跡から拾ったものです。先輩に撮ってもらって、一緒に写真に映った女の子……これは彼女の形見です」
魅「……人間とは儚いものだな。脆く短く、絶え間ない変化に晒されている。心も体も」
魔「……魅魔様……」
妖「お爺ちゃんの……刀を……返せ……!」
魅「私から奪い取れなかったということはこの刀はまだお前の手に余るということだ、魂魄妖夢。強くなる気が無い修行には、何の意味もないことを知れ!」
幽『紫の言いつけは破るけど、さすがに見過ごせないわ』
デューン!(扇子型結界)
魅「下らん。親が子に持たせる防犯ブザーだ」
椛「幽々子さん、妖夢さんの半霊に結界を……」
魅「過保護が過ぎる。……二本目の刀ももらっていこうとするか」
妖「……渡さない、わ……絶対に……」
魅「私の白楼剣とお前の楼観剣。本来は二つで一つ。この状況を以てしても、未だお前にも二本を振るう資格があると思っているのか?」
妖「それは……お前のものじゃない……お爺ちゃんのだ……私が、お爺ちゃんに……返すんだ」
椛「妖夢さん…!」
魅「長居し過ぎた。魔理沙、君の八卦炉……高火力の源たる純粋まで磨かれた回路術式……私が有用に利用してやる」
魔「……まさか!」
魅「E極とW極……八卦炉を魔極の間で固定する。炉心を除去した所でこれだけは動かすことはできない」
魔「超魔磁力……!」
魅「魔理沙、君の玩具が核となりこの魔力炉は暴走する。理想郷の地下に溜まった魔力を直接活性化させ、全ての終わりへの時間を早める。君らもここに長居すると後遺症が残るぞ」
妖「魅魔アッ!」
魅「上の祭りに参加してくるさ。そしてこれでここも用済みになる」
ヒュンヒュンヒュン!ドガァン!(魔弾音と爆発音)
妖「制御装置がっ……!」
魅「これで本当に暴走だ。君らはせいぜい地底で足掻け。ショートカットだ。天井を突き破る」
ドドド……(天井をぶち破る)
椛「……魔理沙さん!霊夢さんが……!」
魔「……ああ、分かってる。ごめんな」
城上部
霊「はぁ……はぁ……」
風「限界が見えるわね。霊力を使いすぎたのかしら?」
霊「花の香水がどぎつくて、口呼吸しているだけよ」
風「……鼠がこう何匹もいると笑えるわね」
霊「え?」
……ドドド……ドォン!(下の方がぶち破られる)
風「?何かしら」
ヒュー↑(魅魔上昇)
霊「魅魔!?」
風「また余所見」
霊「あ」
ドン!(幽香の一撃)
霊「ぁぐっ……!」
風「下まで落ちなさい。飛べない巫女」
霊「幽香ぁ……」
ヒュー↓(霊夢落下)
風「……さて、お得意様に初対面と行こうかしら」
城天上
魔「もう充分だろ、魅魔様。山も湖も人里も巻き込んだ異変だ。霊夢たちでも解決できない。あたしたちの負けだよ。だからこれ以上はやめてくれ」
魅「嫌だ、まだ足りない。それに君は霊夢を見縊っている。彼女の諦めの悪さはピカイチだ。君の粘り強さも賞賛に値するが、霊夢の方が一枚上手だよ」
魔「……何が言いたいんだ」
魅「君は霊夢よりも劣っている。実力も、才能も、センスも、勘も、発想も。君が霊夢と共に居るのは彼女への劣等感が君の原動力だからだ。私たちが復讐心を糧に邁進することと同じ。私と霊夢は同種で、君は別種。その変えようのない事実が常に君の心を痛めつけて命乞いも許さず凌辱し続ける。だが君はそこからエネルギーを得る生き物なんだ」
魔「そんな、ち、違う!」
魅「いいや違わないさ。痛みが、恐怖が、屈辱が、君と言う人間の馬力を出す。その卑しい心への依存を君は嫌がるが、君は負けるんだ。毎度毎度、同じように、自分の弱さに屈して現状に甘んじる。脱却しなければ、変わらなければと誓うのも言い訳に過ぎない。より強い劣等感に打ちひしがれるための、より熱い感情を得るための……救いようもなく裁かれようもない自傷行為中毒者……」
魔「や、やめろ……」
魅「それが君の正体だ、霧雨魔理沙」
風「あらあら、楽しいお話し中に失礼するわね。魔界の商人さん?お連れは魔法使い?」
魅「ああ、反抗期の娘でね。乙女と言うより風雲児だ」
風「花より団子。かんざしや、紅もしないで飾りっ気が無いわね」
魅「今は傷心中だが、君の方こそ花の香水は薄くしたらどうだ?」
風「御託は結構。私にも愛用の傘があるのだけれど、悪霊さんには?」
魅「刀でもいいが、この杖が使い始めてから長い。星の欠片が良く馴染む」
風「……リグルはあなたの思想に肩入れしていたのかしら?」
魅「いいや、奴は思想犯ではない。優劣をつけた彼なりの立ち回りだろう」
風「そう。……愛娘を縛っている訳は?任務に失敗した罰?」
魅「裏切り者への粛清だ」
霊「じゃあ私にも粛清するの?」
魅「ようやくか」
風「しぶとい奴」
霊「ぎりぎりバランスが崩れずに済んだのよ」
魅「私の敵になる覚悟はできたか?」
霊「……魔理沙を解放しなさい」
魅「君の敵が一人ではないように、ここにいる三人は皆同じ立場だ。初戦の選択権は誰が持っているのかな?」
風「何を言っているのかしら?あなた達に選ぶ権利なんてない。私の家に許可なく入り込んだ鼠は一匹残らず、まとめて消してあげるわ」
魅「私には目的がある。そして霊夢にはそれを阻止するという目的がある。一番災難なのは君だな、風見幽香。戦場になった農場の持ち主と同じだ」
霊「三つ巴の戦いってこと。硬直状態のにらみ合いを続けても、何の意味も無いわ」
魔「……霊夢」
山肌
スター「あ、八雲の九尾さんよ!」
サニー「ホントだ!おーい!」
ルナ「なんかメッチャ急いでない……?」
藍「光の三妖精か……!お前たち、橙を見てないか!?」
スター「あの黒猫ちゃん?」
ルナ「見てないなあ……」
藍「そうか。今しがた橙から救援の連絡が入った。私は橙の身を案じて山を目指している道中だ」
サニー「そうなのか!だったら私たちも手伝う!手分けして探そう!」
藍「お前……いや、君たち!ありがとう。……ところで、通信用の耳栓は持ってないのか?」
サニー「あ、それは……」
ルナ「よ、妖精だからもらえなかった……」
藍「そう気を落とすな。私の予備も一つしか無いが、太陽の妖精、君に渡しておく」
サニー「おっしゃ、了解!」
スター「これルナの能力も貫通するのかしら……?」
藍「では君たちはダムの西側を、私は東側を回る。橙を見つけ次第、耳栓を操作して一報を頼む。できるだけ急いでくれ」
湖
文「あやや、まさに動く公害、大怪獣です。そろそろガスマスクが欲しいですね。藍さんの結界に接触するまで時間が有りません。いくら大気中を遮断していても、巨大は臆することなく突き破るでしょうし……私の翼にも限界があります。たとえ人里が避難を完了しても、物的損壊や汚染だけは避けたいところです……!ハアッ!」
城地下
椛「妖夢さん……!これ以上は……っ!」
妖「くっ……私の体は、霊体の方に多少魔力は受け流すことができます。普通の人間なら耐え切れない魔力の負荷も私になら……」
椛「だからと言って無限に高圧力の魔流に手を入れることは不可能ですよ!これで八回目です!次また同じことを繰り返すと今度こそ腕が使い物にならなくなりますッ!!」
妖「もう少し……もう少しで開きそうなの……私の剣が八卦炉に届けば……加速する流れを断ち切って炉の暴走を食い止められる……っ!」
椛「ここに長居することでさえ危険です……ですが、一体どうしたら……」
城天上
魅「暴れたい、壊したい、守りたい……どれも戦うには十分な理由だ。だが有利と不利がある。最も弱点が多いのは霊夢、君だ」
霊「吹き飛ばされてもまた舞い戻ってみせるわよ」
魅「君は、だろ?」
霊「……!?魅魔、やめなさい!!」
魅「すまないな、魔理沙」
魔「え……?」
ビュン……!(魅魔に投げられる魔理沙落下)
霊「魔理沙……!ぅぐっ……!」
風「日傘の射程圏内に自分から入ったのはあなた……あの娘と一緒に落ちなさい?」
ゴロゴロ……(瓦を転がる霊夢)ドヒュン↓(霊夢落下)
城天上→城下部
霊「玄武の甲羅……魔理沙の元へ……お願いっ!!」
ギュゥゥン!(加速する甲羅)
魔「……っ」
霊「魔理沙!……あと少し……!」
ビュゥゥゥ……(霊夢魔理沙落下中)
霊「甲羅を足場に蹴り飛ばせば……届く!!」
シュバッ!(甲羅を蹴る霊夢)……バシッ!(魔理沙を掴む霊夢)
魔「ぅう……」
霊「掴んだ!!魔理沙!!しっかり!!」
ビュゥゥゥ……(落下中)ピカー……(月光)
霊(雲の切れ間から……月?)
記憶
『三「あら、起きちゃった?霊夢」
霊「うん、夜はいつも母さん勉強しているけど、今日は踊っているんだ」
三「今夜は月が綺麗だから。踊りと言うより演舞ね」
霊「優しく浮かぶ演舞だ。母さんと同じだね」』
ビュゥゥゥ……(落下中)
霊「……優しく浮かぶ演舞……」
魔「……ぁがっ……霊夢、か……?」
霊「……母さんと同じ……」
魔「……って、あっ、地上……!」
グググ……(霊力溜め)
『三「ほら、あんなに明るいお月様……」』
霊「……月へ!!!」
グ……ッ……ドオオオン!!!!!(霊力解放&霊夢飛翔)
魔「……ぅわっ!」
霊「そうか……私は、昔は……無意識に結界を張って飛べていたんだ……!」
魔「……これって……!」
霊「思い出したわ、母さん……!博麗の巫女の浮かび方……!」
妖1「城の方から何かくるぞ!!」
妖2「なんだあれ!すげえ速いぞ!!」
妖3「敵か!?味方か!?」
妖4「速すぎて見えなかった!だが城から離れてどこ飛んでいくんだ?」
森の端
魔「ははは、いつだったか。あたしがお前を助けた時と立場逆転だな。お前が本当に人を殺しそうになった時、駆けつけたあたしがお前に救われる日が来るとはな。感謝しているぜ、霊夢。そして足手まといになって、本当にすまない」
霊「水臭いわ、魔理沙。今はそれどころじゃない。魅魔は火花を大量に咲かせて理想郷で大爆発を起こす気よ。幽香も止めないと」
魔「魅魔様……いいや、魅魔はあたしから八卦炉を奪った。それを城地下の魔力炉に固定して炉心を暴走状態にしやがった。簡単には外れない。アレを止めないと花の咲き乱れも爆発規模も倍増しに成る」
霊「地下には椛と妖夢がいなかった?」
魔「ああ、獣人と半人半霊だ。あいつらも危ない。先にそっちに加勢に行くのか?魅魔が地下までの穴を開けてくれている」
霊「いいえ、私は行かない。だけど八卦炉は取り返す」
魔「策があるんだな、分かった。……霊夢、お前は生粋の異変解決屋だ。あたしには成れない。だから憧れるよ」
霊「どうしたの、急に」
魔「……不安なんだ。あたしはお前に置いていかれていつか不必要になるんじゃないかって。……私は弱いさ。お前にも魅魔にも勝てない。……そんなあたしだけど、この異変が終わっても、霊夢は変わらずに接してくれるか……?」
霊「……魔理沙はいつだって強かったわ。闇に呑まれそうだった私に手を差し伸べてくれたのは誰?今では敵同士だけれど師匠の下に連れて行ってくれたのは誰?一緒に私たちの異変を起こすのを支えてくれたのは誰?」
魔「……でもな、三珠姉も言っていたよ。異変の解決は危ないし怪我もするし悲しいこともあるって。それはきっと、こういうことを言っていたんだ。一緒に戦っていた奴の足を引っ張ることは、何よりも辛い、苦しい。あたしはダメだって思っちまう」
霊「魔理沙、あんたは私の家族。母さんと霖之助さんも……あの大切な時間を踏みにじられてたまるもんか。だから私は許さない。たとえあんたでも、自分から家族としての誇りを失おうとするのなら、今度は私がぶん殴ってでも、あんたの目を覚まさせる」
魔「だけどあたしは一度、本当の家族を捨てているんだ、霊夢……」
霊「誰かのためと、自分のための区別は難しい。どれだけ他人のことを思いやっても、結局は自分の問題が最大だもの。だけどその問題を共有できるのが、一緒になって取り組むことができるのが、家族だと、私は思う。……あんたの努力は、私が知っている」
ギュッ(魔理沙を抱きしめる霊夢)
魔「…………覚えているか?みんなで流星群を見た夜……遠い昔みたいだが、まだ10年も経っていないんだ……すごく遠く感じる……あの夜に見た星の光が、今のあたしの魔法を作っている」
霊「よく覚えているわ。あんたのはしゃぎ様も、霖之助さんの薀蓄も、母さんに肩車されたことも……そうよ、まだ10年も経っていない。その頃から、あんたは変わっていないわ、私の中ではね」
魔「ははは、それはお前も同じだ。全く成長していない。身長は伸びたかもしれないが、胸はあたしと良い勝負だ」
霊「ちょ、そ、それは関係ないでしょ」
魔「あははは、空を飛べても、霊夢は霊夢だ……もう行くのか?」
霊「ええ、理想郷を守るためにも、すぐに城に戻らなくちゃ……玄武の甲殻がこっちに向かっている。それに乗って避難して」
魔「ああ、分かった……なあ、霊夢」
霊「何?魔理沙」
魔「あたし達幼馴染二人と香霖と、三珠姉とで、……互いを良く知る四人で、一緒に生きていけたら、まるで本当の家族みたいに、幸せなんだと思っていたよ」
シーン(静けさ)
魔「だからさ、死ぬなよ?」
霊「ええ、まだ幽霊になる気はないわ」
魔「星にはなるか?」
霊「飛んでいく、って意味ではね!」
ビューン↑(城に飛んでいく霊夢)
魔「……土に魔が染みすぎだ……火花が咲き始めた……」
ユラユラ……
8、城2、風霊三月精藍文椛妖橙幽霖阿慧魔若会魅三妖怪たち巨子メ
風「あなたも巫女も、避けることだけは得意ね」
魅「師弟だからな。それは似るだろう」
風「あの弾撃ち遊びもあなたの受け売り?」
魅「売ってはいない。勝手に買われただけだ」
風「そしてばら売りをかけた矢先にあなたに何もかも水の泡にされるって訳ね」
魅「報われないのは君も同じだろう?是非曲庁へのテロ計画も」
風「あなたを消し去る計画も練っておけば良かったわ」
魅「こちらの作戦勝ちだ。……太閤の半島への出兵と同じ。君は望みすぎた」
風「ふふふ、千なり瓢箪は無いけれど、このパラソルをお見舞いしてあげる」
霊「その日傘、私の弾幕も防ぐ?」
シュバババ……(弾幕音)
風「はぁぁぁ、何度でも湧いてくる害虫かしらあ?」
魅「あははは、悪霊以上に不死身の巫女だ!……自力で飛べるようになったか、霊夢」
霊「ええ、おかげさまでね」
魅「面白い。……なあ、風見幽香よ、たとえ理想郷が吹き飛ぼうが君は生き残る。その強靭さがあればビクともしまい」
風「この際、ここが無くなるのはどうでもいいわ。前菜に巫女、主菜に悪霊を喰らってやる。理想郷が吹き飛んだ後に、魅魔、あなたを殺す」
魅「ははは、好都合だ」
霊「これで私が幽香の相手をせざるを得ないって訳」
魅「私以上の殺意の塊をぶつけられて生きていられるか?」
ドガシャーン!(城の瓦を突き破って鉄骨を取り出す幽香)
霊「鉄骨をっ!?」
風「二刀流ね」
ドガンッドガンッ!(霊夢に投げられる鉄骨)
霊「馬鹿力!磁力結界!」
風「あなたの飛び方は数年間寝たきりだった患者がいきなりマラソンをしているかの様」
霊「はぁ、はぁ、傘というよりシールドね」
風「もっと面白い物見せてあげる」
ドドドガガガ……(石垣に手を突っ込む幽香)
霊「滅茶苦茶な……!」
風「耐震工事には力を入れたの。しっかりとした土台や基礎は大事でしょう?」
霊「それを引っこ抜くんじゃない!」
風「受け止めなさいな!」
ビュン!ビュン!(霊夢に放り投げられる基礎)
霊「そんな城を玩具みたいに!」
風「大量虐殺も遊びなのよ」
霊「石垣も砲弾ね……!」
ドガガン!(霊夢に連投される石垣)
風「あら、そろそろ手札も切れたかしら?」
霊「また弾幕ごっこに乗ってくれたら、相手するわよ」
風「それはない」
ドガァーン!……パラパラパラ……ザバーン!(建物に突っ込み破片が舞い風呂場に受け身)
霊「ここは温泉……?」
風「私の大浴場よ」
霊「贅沢ね」
風「あなたも母親と同じ貧乏性?」
霊「節制よ。私生活を知ってるの?」
風「遥か昔にね」
ガジャァン!(弾け飛ぶ熱湯)
霊「今の内ね……!」
ヒュル~(陰陽玉)
風「遺言を考えるのが?」
霊「というよりラブレターよ!」
バシッ、バシッ、バシバシバシ……(幽香の傘の突きを避けまくる霊夢)
風「体感時間を長くしても、被弾の度に結界が貼られても、私の負けには繋がらないわよ?」
ポター……(頬から血を流す霊夢)
霊「掠り傷か……ええ、あんたに勝つ気は無い。ただ、戦う理由を消すだけ」
風「は?何を言って」
霊「ようやくこの位置に持って来られた……私、一直線だけなら自信あるの」
風「……ふふ、血がたぎるわ。……来なさい?」
グググ……(霊力溜め)
霊「はあああああ……!」
グ……(溜め完了)ブイーン(結界張り)
霊「はあっっ!!!!」
ドンッッ!!!!(霊力解放)ビュンッッ!!!!(幽香に体当たり)
風「……っ!……ただの結界ごと体当たり?」
霊「行き先はっ!怪物のはらわたっ!」
風「なっ!!後ろ」
湖上
グチャア!……(毒怪物に幽香激突)ドロドロドロ……(グロイ毒怪物)
霊「うっ……結界で遮断してもこの毒気……」
ズズズ……(鈍重になる幽香)
風「はぁー、最悪の気分ね、体が重い……」
霊「……あんた、こんな毒の怪物のど真ん中にぶち込まれても動けるのね。強いわ」
風「感覚が鈍い、溶けてもすぐ再生するから皮膚が忙しい……」
霊「そして三妖精のおかげで分かったことがある。あんたの隙は頭上だってね」
フワッ……(舞う霊夢)
風「あ?」
霊「数世紀分の記憶を失いなさい……!禁忌『記憶操作術式』……!」
ドゥン……!(幽香の頭部に術式を埋め込む霊夢)
風「……あ」
霊「はぁ……はぁ……とりあえずは……止まったわね……」
風「……ぁ」
文「れ、霊夢さん!大丈夫ですか!?って、そこにいるのは風見幽香!?!?」
霊「はぁ、はぁ、文……ええ、幽香の記憶は無理矢理に消えた。まさに禁忌の術式。ざっと数百年分は精神状態が逆行したと思う」
文「い、いきなりのことで私も頭が追いつきません……が、つまり、風見幽香は封印できた、そういうこといいんでしょうか?」
霊「はぁ、はぁ、……倒すなんて端から無理よ、だから間違ってはいないわね」
文「脳への術式投下、偽の記憶を植え付けたり、それこそ阿求さんの転生術式にも近い、海馬や大脳皮質にも妖怪独自の再生力が働いているとしたら、何かのはずみで記憶を取り戻す可能性も諌めません」
霊「少なくとも、今夜は大丈夫。幽香にはこの異変から退場してもらう」
文「大事件ですが、これから起きることで何面まで流されるやら……一旦離れましょう、毒神様の脇ではさすがに私も堪えます……飛べるようになったんですね、霊夢さん」
霊「あんたほど速くないわ……文、私は城で魅魔を倒して異変を止める。あんたは良い写真を撮ってついでに怪獣の進路を防ぐ」
文「どちらもハードモードですが、了解です。この清く正しい射命丸の名にかけて。それにしても夥しい魔力で通信もままなりません……」
山肌
サニー「くっそ!あいつらしつこい!」
ルナ「橙ちゃんも見つからないし!」
スター「それよりこの赤い花畑何なの!?」
サニー&ルナ「こわい!!」
橙「藍しゃま―――!!!」
藍「橙―――!!!無事か!?良かった……」
橙「藍様……熱いにゃ……」
藍「す、すまない。抱きつきすぎたか……?」
橙「違うにゃ……火花の花粉が舞い始めていますにゃ……」
人間の里
霖「なんだこれは……」
阿「火花の花粉が上空に集まり始めています……異変の終局が始まったようです……!」
霖「霊夢、魔理沙……」
キャーキャーワーワー(人間たちの悲鳴)
若「こうなることも全部知っていたのか!!ああ?!」
会「知っていたところでどうにもならないだろ!!」
慧「夜なのに昼のように明るい……鳥や獣も逃げ出している……私が人里だけでも守らなければ……だが、霊夢たちも……」
城地下
椛「通信が……魔力障害で音信不通です……って妖夢さん!あれ!」
妖「……ん?あれって霊夢さんの……陰陽玉?」
白玉楼
ザーザガザガ……(通信不調)
幽「もう~紫の玩具壊れちゃったの?これは直接見に行くしかないみたいね~……ってあれ?紫?布団が空?どこ~?」
城天上
魅「美しい眺めだ。君もそう思わんか?霊夢」
霊「あんたにとってはそう見えるんでしょうね。復讐の悪霊」
魅「邪険になるな。舞い戻った霊夢よ。君と私、お互いに相手にとって不足はあるまい」
霊「分身はやらないのね」
魅「ああ、本物の私一人で相手をしてやる。本気を出して闘ってやろう!!本気でね!!」
ドガァン!!(激突音)
魅「愛とは支配だ。絡み合い、二度と解けない。受けてみろ!」
霊「ご生憎様……悪霊に憑かれるのはごめんなの!」
ボガァン!!(爆裂音)
魅「それでこそ君だ、霊夢!何者にも染まらず!何物にも縛られるな!」
霊「言われるまでも無いわ!」
ズギャン!(衝突音)
魅「君と私の戦いが終わらなかったら、時間制限で私の勝ちだ。今こうしている内も、火花は咲き、火薬の花粉が散っている。蟲たちが動き出せば、爆弾が出来上がる」
霊「爆破させなければいい。止める方法はいくらでもある。みんながそのために頑張ってくれている。そう、信じるしかない」
魅「美徳を並べている暇はない。……魔理沙は助けてくれたか?」
霊「あんた、まさか、最初から」
魅「さて、何の話だ。仕掛けてこないならこちらから行くぞ。……復讐の悪魔、神の敵対者、罪を背負いし凶星。それが私だ。……大魔法、『星十字』」
カッ……!(閃光)
ドドドドドゴゴゴゴゴオオオオオンンンンン!!!!!(大衝撃波)
城地下
ゴゴゴゴゴオオオオオンンンンン!!!!!(大地鳴り)
妖「もう年が明けたの!?!?」
椛「いいえ!!まだですが!!とんでもない揺れです!!」
ドドォン……!(形を保ちつつ崩れる城)
ダム
橙「天守が……」
藍「一階分沈下した……?」
人間の里
霖「柱が全て折れてだるま落としになったのか……?」
森
霊「……ぃっ……ここは……森……?」
魅「随分派手に吹き飛ばされたな。無事のようだが」
霊「なっ!」
ガシッ(掴まれ)ビュン(投げられる霊夢)
霊「くっ、はっ、づぁ……」
ドサドサドサ……グタ……(土の上を転がりやがて止まる霊夢)
魅「あの魔法から生き延びておいて、今度は私に投げられて気絶するのか?」
霊「そんなわけない……っ!」
ガシッ→首(を絞められる霊夢)
霊「ぅぐっ」
魅「半人半霊よりは軽いな……血など流しおって、はしたない……いつか君が私の申し出を断った時の、報いだ」
霊「……ぁ、……あぁ……」
魅「死んで母親に会え」
ドドド……(大きな足音)
巨「うらあああああ!!!!!」
魅「っ!」
巨「速いが!俺の拳は二つある!!」
魅「んぐっ……!」
ズザザザ……(受け身を取り転がる魅魔)
霊「けほっ……けほっ……あんた、いつかの巨人さん!?」
巨「ああ、玄武の沢で世話になった」
霊「どうしてここにいるの?!」
巨「頼まれたんだ。お友達の金髪の娘さんに。ついさっき俺がお前に上げたはずの甲殻に乗って、ねぐらまでやって来た。博麗の巫女に危機が及んでいる、助太刀してくれってな」
霊「……私たちは最初あんたを倒しに来たのに……」
巨「結局そうならなかった。お前たちが回避してくれたからだ。俺もお前たちの危機を回避させたい。これでどうだ?」
霊「シンプルね。嫌いじゃない」
巨「無骨が取り柄だ」
グラッ……(起き上がる魅魔)
魅「反骨が取り柄だ」
霊「思い切り殴られておいて、傷は?」
魅「痛みは感じるさ」
巨「もう一度感じろ!!」
ドンッ!!(巨人の拳)
魅「お前も人間を襲い、山から追放され、寒い穴倉で縮こまり、命を狙われ、ただ目的も無くその日の糧のために生きる暮らしに満足しているのか?」
巨「していたら他人のために戦ってなんていない。お前と会っても居ない」
魅「安心しろ。今日で終戦だ。一つだけ、君らを潰したらな」
霊「巨人さん!ひたすら魅魔を追って!」
巨「任せろ!!」
ドシン!ドシン!ドシン!(巨人の猛攻)
魅「まるで金剛力士だ!阿吽の呼吸を見せてみろ!」
巨「妖力と一緒に飛ばすぞ!!」
霊「ええ!お願い!!」
巨「おらあ!!!」
ドンッッ!!!(巨人の一撃)
魅「がっ」
霊「胴!!」
魅「くっ…はは、次は白羽取りか?」
ユラァ……(白楼剣を鞘から僅かに出す魅魔)
巨「巫女!!!」
※力……魔力や霊力や妖力等。基本的にこれらの力を内在する者や事物は特殊性を帯び、その能力や効果は多岐に渡るが、全てに共通する事項は「壊れにくい、破損しにくい」ことである。単に頑丈になるのではなく、生き物だったら石をぶつけられたり高所からの転落でも出血や骨折が抑制され、その他魔力等を帯びた無機物も普通の機械等で破壊しようとすれば、逆に機械が破壊されたりする。それらの特性を突破し対象にダメージを与えるには、攻撃側も強力な力を纏う必要があり、武器や装飾品にも自分の力を伝播させることが可能である。術式の技術と組み合わせることでさらに戦術の幅は広がる。