奉仕部へ入ってからちょうど二週間が経って依頼者は全く来ぬままだった。
俺は一週間前あたりからこいと願ってはいるがな。
「本当に目障りだからそのそわそわした態度辞めてくれないかしら、目障りだわ」
いや、自分でもそわそわしてるのないわーとは思うけど目障りっていう言語を二回言わないで貰えるかな?
地味に傷付くから。いやまじで。四角に小指をおもいっきり二回ぶつけるのと一緒だよ。
「ほれ、誰か来たぞ。よかったじゃねぇか」
コンコンとノックをされた後、誰が入って来たかと思えば、ガハマちゃんだった。
ガハマちゃんというのは愛称であって、本名は由比ヶ浜結衣である。
なんとなくだがキャピってる名前と思った。
「黒紅くん、少し席を外してくれないかしら」
早よ出ていけやと言わんばかりの眼力でこっちを見つめんでも出て行くがな。
あと友達なのになぜガハマちゃんは涙目でこっちを見てくるのだろうか。
それとお二人とも辛いので見ないでもらえます?
「はいはい。出て行きますよっと。じゃあ終わったらメールなりくれや」
メールの催促をした後、強制的に教室を出て行かされたかと思えば、気がつけば職員室まで来ていた。
呆けて窓が開いていたのでグラウンドを見るとテニスやらサッカーをやっていた。
十中八九部活である事は予想できる。
戸塚きゅんの華麗な動きを眺めてるとメールが入り、文面的に家庭科室で何かするのであろうなぁ。
ガハマちゃんの料理は凶器であるのに悪夢だ。
「でだ、開口一番に申し訳ないが誰が木炭を生成した。あれか。雪乃がこんなの作るわけないからあれかガハマちゃんが作った。もとい、生成したんだ」
「ひどっ! 木炭じゃないし!クッキーだし!」
クッキーとは程遠い真っ黒焦げで煙が上がってるし、雪乃の作ったクッキーよりは絶対に程遠い。
「んで、作ったのはいいがそれをどうしろと?」
「あなたが食べるに決まってるじゃない」
んー? 俺の耳がおかしくなったのかな? 軽く殺害予告受けたような気がする。
「まあ、だろうな。後ちょこっとガハマちゃんにアドバイス。何回もやったら見た目はダメだとしても美味しくはなるから大丈夫」
遺言を言い残したかと思えば、ガハマちゃんが作った木炭もとい、クロロホルムっぽいクッキーを大量摂取した。気を失ったのは確実であろうが、なぜ保健室のベッドで俺は寝ている?
「なんで俺はここにいる? あと何で雪乃がここにいんの」
「あなたが倒れたから由比ヶ浜さんと私がここまで連れて来たのよ。由比ヶ浜は後日謝りに来ると思うわ」
「そうか。まあ別にいいけど。謝りに来るって言ってるならそれでいいんじゃねぇの?」
「あら? 案外優しいのね由比ヶ浜さんには」
強調せんでも優しくするがな。
「なに? 雪乃も昔みたいに抱きしめて欲しいの?」
ツンケン雪乃も俺とこういう感じになったらデレのんになるわけよ。
中学校に上がるまで兄弟のように育って来たからな。
睨まれても怖くない。なぜかって? そりゃあ、顔を真っ赤にして言われても説得力に欠けるから。