Army of Two The Pink Rabbits 作:MP5
リオスと別行動することになった卓也とアキラ。道中にあるメキシコ湾に面した小さな港町を解放することを指示され、その境目に来ていた。不慣れな左ハンドル車を乗りながら、3日経ってやっとだった。
「はぁ・・・幸い、雨や蚊から守れるのが救いだな」
「ジャングルで暮らすなんて勇者しかできないって」
無線でリオスから指示がきた。
「無事に着いたか?この町も奴らの拠点になってて主に輸出入に使われる。デカイところだと、目立ちすぎるからな。昨日聞いたと思うが、任務はこの町の解放だ。ここを仕切るボスを殺せば任務完了だ、もちろん道中で激しい戦闘があるだろうから、覚悟するように」
双眼鏡で遠くから様子を見る。AK47にtec-9、はたまた爆弾を括り付けたベストを着用した物騒な奴まで様々なバリエーションがあった。それぞれの得物を握り、目立たないように移動する。すると、道中で民間人らしい人物に銃を向けて脅しかける連中に出会った。彼らはこちらに気づいていない。
(そういえば、立派なヘルメットを被ったのが一番偉い奴で、そいつを拘束すれば敵は降伏するって言ってたっけ)
卓也は相棒に背後から拘束するよう指示し、彼はそれをやってのけ、逆に脅しかけた。案の定、下っ端らしい連中は武器を捨て両手を上げた。卓也は彼らを縛り上げ、民間人を解放すると、彼らの一人が空き缶らしい何かをプレゼントしてくれた。
「助けてくれたお礼らしいけど、なんだこりゃ?」
「さぁ。まっ、ここから先、似たようなこともありそうだし気を引き締めて行こう」
少し先に進むと、今度は堂々と攻めてきた。廃車や倒れたテーブルを遮蔽物にし、確実に仕留めていく。しかし、大きな難敵が現れた。MGLグレネードランチャーを装備した、ショットガン重装甲よりも重そうな防具、腰には樽弾の入ったポーチ、ヘッドショット対策に鉄仮面をつけた男が現れたかと思えば、次々に樽弾をばら撒き、家屋や車を吹き飛ばしたのだった。
「くそ、狭い道にこれは反則だろ!」
「まずは撤退、広いところまで走る!」
全速力で後退し、街の広間まで来ると、大勢の待ち伏せがいた。
「あの重装甲は来るまで時間がある。アレをするぞ!」
「よし、アキラ、バックトゥーバックだ!」
二人は互いの背中を預け、迫り来る敵に対し応戦した。派手に鉛玉をばら撒き既に弾切れを起こしたのではないかと思うほど撃ちまくる。数分後には殲滅し、グレネードランチャー兵がちょうど到着した。
「来たぞ、俺がひきつけるから腰のポーチを狙ってくれ」
同じころ。刑務所で一人、ピンクラビッツのニュースを見ている囚人がいた。顔半分が焼けただれたようになっている黒髪の男、エリオット・セーレム。かつてのリオスの相棒だ。
(俺も吹っ切れたと思ってたが、なんだよあの暴れっぷり・・・ホントに日本人か?)
中継で卓也とアキラがグレネードランチャー兵相手に戦っている。その姿はかつて上海で戦った自分達と重なる。
(・・・いや、もういいんだ。アリスもいないリオスも時々来て差し入れしてくれるだけ・・・俺はもうお払い箱なんだよ)
飽きた様子でテレビを消す。そのまま寝っ転がり、昼寝を始めようとするが、看守に起こされる。
「面会だ、来い」
渋々面会室に足を運ぶと、40代ぐらいだが、凛とした日本人女性がアクリル板を隔てて座っていた。
「あぁ?俺に日本人の知り合いいないぞ?」
「私は伊集院レイ。はじめましてセーレム」
「なっれ馴しい野郎だ、ここがどこかわかってんのか?極悪人が入る刑務所だぞ?」
「わかってるさ。ここを立ち上げた際、ウチの財閥も出資したから?」
「出資?・・・誰だ?」
「・・・もう自己紹介したけど、詳しく言う。伊集院財閥の統帥だ」
「知らねぇよ。もう俺帰っていいか?」
「T.W.Oの株主でもあるんだが」
それを聞き、立ち去るのをやめた。
「俺はもう関係ない」
「そうかな?他の看守や囚人の話だと、今でもリオスを相棒だと思ってるって話だ。その相棒が今、謎の武装組織と一人で戦おうとしてる・・・本当は心配じゃないのか?」
「・・・何が言いたい」
「保釈金は我々が出す。それと引き換えにリオスを助けるんだ」
「ふざけんな!袂を分かち合った時点でもう」
「もう、なんだ?もう一度、一緒に戦いたくないのか?一生彼とひび割れたままでいいのか?このままじゃ前には進めないぞ!本当はここを出て共にバカをしたいんじゃないのか!」
彼女の説得に、セーレムは黙る。そして、一筋の涙が流れた。
「ちくしょう!ホントはリオスと一生バカやりてぇよ!見殺しにされたアリスのことも水に流した!ここでくすぶっていた俺がバカみたいじゃねぇか!」
「・・・2日待つ。落ち着いたら電話してくれ」
面会室を出たレイは、1人、空を見上げた。級友だった男の友人の顔が見えた錯覚を覚える。
(彼女とうまくやってるかな?あの二人みたいになっちゃダメだからな)
車に乗り、ホテルへと帰って行った。
リオスは敵の拠点を制圧し、捕虜にしたピンク色のウサギに尋問していた。
「お前は何者だ?怪物って顔してるが」
「ゴリラマッチョハゲ親父に言われてもなぁ~僕はボスの恨み辛みがインプットされた人工生命体だよ。ある町工場にあった設計図を盗み出して、それを元にカルニーニ宰相によって開発されたんだ」
「つまるところ、サイボーグか」
「そういうこと。でも意外だったなぁ、僕が捕まるなんて」
「手足を撃てないなら、胴体を壊すしかない。頭だけなら攻撃出来んだろ?」
「ヒヒヒヒヒヒ・・・鬼か悪魔だね」
「暗いジャングルで鉄パイプ振り回しながら追い回すお前こそ、悪魔だろうが・・・まぁいい。ピンク・ラビッツの目的はなんだ、言え!」
「僕の知る限りだと、ボスの恨みを晴らすこととブラックルートを確率すること。君にはどうにもできないよ?」
「どういうことだ?」
「ヒヒヒヒヒヒ、そろそろ限界だ・・・僕の兄弟たちに襲われて死ぬがいいさ、タイソン・リオス」
小さな爆発が起こり、コンピューターから煙が噴き出した。
(大量生産済みかよ・・・やれやれ、今までとは勝手が違うな)
セーレム登場