やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。   作:シェイド

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鍛冶の神と剣

ハチマンとコマチが【ロキファミリア】の派閥レベルを知り、驚いたその翌日の朝。

二人は大食堂に来ていた。

【ロキファミリア】では主神であるロキの提案で、全員が同じ時間に朝ご飯と夕ご飯を食べることになっている。二人はそれぞれの席に着く。

先日入団したばかりのハチマンとコマチだが、コマチはもう出来た女の子の友達と食べ、ハチマンは男連中に自己紹介で噛んだことをからかわれながら食事をした。

 

朝食後、ロキが八幡に用があるということで自室に呼んだ。

ハチマンがロキの部屋に行くと、ロキだけが部屋にいた。

 

「今日はどんな用だ?」

「今からうちファイたんとこ行くんやけど、一緒にハチマンも行こーや」

「ファイたんって誰ですか?」

「まあ行けばわかるで。どうする?」

「え、えっと……今日はあれがあれであれなので行きません」

「コマチは女団員と遊びにいっとるし暇やろ?」

「いや、だからあれがあれで………」

「神に嘘はつけへんのや。堪忍し」

「………暇です」

「ほな行こか」

 

 

ってことで今日はロキとともにファイたんという人物に会いに行くことになりました。

 

 

***

 

 

ロキに連れられて来たのはバベルだった。

どうやらここにファイたんたる人物はいるらしい。

 

 

「ここや」

「ここは………」

 

バベルに入って行った先は、なんと鍛冶神ヘファイストスが主神である【ヘファイストスファミリア】の売り場だった。

…………ファイたんってまさか神ヘファイストスのことじゃないよな?

 

「おお~い!!ファイた~ん!うちやー!ロキやー!」

 

ロキが声を上げると奥の方から眼帯をした女性が現れた。

神だった。

 

「お願いだからファイたんは止めてって言ってるんだけど………」

「ヘファイストスって言いにくいし、ファイたんの方が可愛いからいいやないか」

「うちの団員に聞かれたくないのよ……」

 

やっぱりこの人が神ヘファイストスだったのか。

 

すると神ヘファイストスはこちらに気付いたのか話を変える。

 

「ロキ、後ろの子は新しい団員?」

「せやで。二日前に入団したばっかなんや」

「ハチマン・ヒキガヤです。よろしくお願いします、神ヘファイストス」

「そんなにかしこまらなくていいわよ」

「いえ、これが性分ですから」

 

敬語を抜くまでに時間がかかるんだよな。初対面だし。

 

「ヒキガヤと言えば………【ゼウスファミリア】に所属していたゴロウ・ヒキガヤの息子だったりするのかしら?」

「そうです。親父を知っているんですか?」

「ええ。前に話したこともあるし………今もご健在かしら?」

「いえ………数ヶ月前に亡くなりました」

「そう………ごめんなさいね。デリカシーない質問してしまって」

「大丈夫です」

 

なんか毎回新しい神と出会うとこのくだりをしている気がするな。

 

「ささ、こんなところで立ち話もなんだから奥の部屋に行きましょう」

「いいで~ハチマンも行こうや」

「はーい」

 

 

そして奥の部屋に案内され、しばらく談笑し終わった頃だ。

俺は部屋にある剣に気がついた。

その剣の作りは見事なもので、俺は目線が吸い込まれるような感覚に陥った。

意識が遠のいていく――――――――――――

 

 

 

***

 

 

 

気がつくと不思議な空間内に立っていた。

まわりも不思議な色をしており、波が立っている。

 

『やっほー』

「うわっ!?」

 

いきなり声をかけられた。

え?え?声の主はどこだ?

辺りを見回すが人の気配はない。

 

『そんなに驚かないでよ。傷つくなー』

 

まただ。どこからか声が聞こえる。

 

「お前は何者だ?」

 

まず、一番知りたいことを聞こう。

 

『うーんとね、君がさっきまで見ていた剣、だよ』

「剣だと?」

 

剣に人格があるなんて聞いたことないぞ。

 

『僕は特別なんだ。神ヘファイストスが地上に降りて初めて作った剣だからか知らないけど、こうして自我を持てるんだ』

「へ~」

『うっわ興味なさそー』

 

だっていきなり剣に人格が宿ってるって言われてもなぁ……。

 

「で、お前はなんで俺に干渉してきたんだ?」

『それはね……君に僕を使ってほしいからさ!』

「……どういうこと?」

 

まったくもって意味がわからない。何故俺に使ってほしいんだろうか。俺なんてただの駆け出し冒険者だぞ。

 

『僕は君の中に眠る力を観たんだ。それに君となら楽しい生活が送れそうだなってね!』

「ないな」

『それがあるんだよ~君が気付いていないだけさ』

 

そう言われても……まったく身に覚えがないんですが。

 

『ま、気が向いたときにまた来てよ。僕はここで待ってるからさ』

 

 

***

 

 

「ハチマン!!」

「うおっ!?な、なんだ!?」

「なんだじゃないで。いきなり意識を失ってこっちはびっくりしたんやからな!」

「お、おう。すまん、ロキ」

 

いや、こっちだって無理やり意識を持ってかれたんですが……もういいや。

 

「……もしかしてあの子に引っ張られでもした?」

「ファイたん、あの子って誰や?」

「そこに飾ってる剣のことよ」

「……剣に人格が宿っとるんか?」

「そうなの。あの剣は私が下界に降りてきて初めてうった剣なんだけどね。すごくいい仕上がりだったためか使う人を選ぶ剣なのよ」

「ハチマンはそれに呼び出されたんか?」

「」コクコク

「ほんまに常識から外れとんなぁ~ま、とりあえずどうするんか?」

「剣、か」

「あ、それはあげるわよ」

「え、ええ!?いいんですか?」

「そのかわり、その剣をちゃんと使いこなしてね」

「……すいません。受け取るのはもうちょっと先で良いですか?」

「どうして?」

「俺にはまだ……あの剣を扱える程の力量はありません。だから彼女には失礼かなっと思ったんで」

「あら?彼女なの?」

「はい。一人称が僕なだけで、声が完璧に女でした」

 

あいつ僕っ子だ。

 

「わかったわ。いつでも受け取りに来ていいからね」

「ありがとうございます」

 

 

こうして、俺は後の相棒と出会ったのだった。

 

 

 

『待ってるからね!ハチマン!』

 

 




次回もお楽しみに!

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