暇な方は覗いてみてください。
数十分後、俺は黄昏の館へと帰ってきた。
てか身体がキツすぎてヤバい。もう魔力枯渇寸前で意識が飛びそうだった。
俺はなんとか重たい身体を引き摺りながら自分の部屋へと辿り着き、そのままベットに横になる。
「あ~ヤバい・・・・寝落ちするわこれ」
そう言った後、ハチマンの意識は闇へと引きずり込まれていった。
***
「・・・・・ん、朝か」
ピチュン、ピチュンと小鳥たちが朝の訪れを教えてくれる。
「・・・眩しい」
窓の外より降り注ぐ朝日は眩しく、思わず目を瞑ってしまう。
俺はとにかくベットから起き上がり、簡単に身体を動かす。
うーん、結構ダメージ溜まってんな。
今日一日は安静しとくか。
俺は防具と太刀を外して、朝食を食べるために食堂へと向かった。
***
俺が食堂へと向かっていた途中だった。
なんかやけに館内が騒がしい。
「なにかあったのか?」
例えば何者かの侵入者とか。
しかしそれは考えにくかった。自分たちの【ファミリア】を自慢しているようになってしまうが、俺の所属している【ロキ・ファミリア】は現在トップレベルの【ファミリア】である。そんなところに命知らずな侵入者などいるわけがない。
すると、廊下の先からこちらに走ってくる音が聞こえてきた。
「(まぁ同じ団員だろうから挨拶ぐらいしないとな)」
そう思っていた時だ。
なんとこちらに走ってきたのはリヴェリアだった。
「あ、おはようリヴェリア」
だが帰ってきた応えはおはようではなかった。
「バカ者!!一体いつ帰ってきてたんだ!こっちは朝からお前を探していたんだぞ!」
俺を探していた?
・・・・・ああ。そう言えば俺ダンジョンに行ってくるしか言ってねぇじゃん。
「皆!ハチマンを見つけたぞ!」
確かに今回は俺の報告ミスだ。でもそこまで心配するのか?ただのLv.1が帰ってこなかっただけなんだけどな。
「本当にハチマンだ!」「どこにいたんだよ!心配したんだぞ!」「とにかく無事で良かったよ」「お兄ちゃんなんで黙って帰ってきてたの!?コマチ超心配したんだよ!!」
リヴェリアの声によって駆けつけた団員たちが一斉に俺に向けて声をあげる。
「ハチマン」
「フィン・・・悪かった。俺の報告ミスだった。だけどここまで心配するものか?ただのLv.1が1日帰ってこなかっただけだぞ」
俺には、そこが分からない。
「ハチマン、よく聞くんだ。確かにハチマンの言うことも一理ある」
だろ?
「だけどね。【ファミリア】っていうのは一つの家族みたいなものなんだ」
「家族・・・・」
「僕たちは【ロキ・ファミリア】という一つの家族。そしたら家族のことを心配するのは当たり前だよね?」
「そう、だな」
そこまで言われては俺は何も言えない。
しかし俺のことをそこまで思ってくれているとは・・・・まぁ正確には団員全員をそう思っているのだが。
「悪かった。昨日疲れすぎて帰ってきてからすぐに寝ちゃってな・・・・闇影で潜って帰ってきたから誰も気づかなかったんだろうな」
「なるほどね。だから気づかなかったのか・・・まぁいいよ。結局ハチマンは無事だったんだし、朝食にしよう」
「「「「はーい!!」」」」
この日よりハチマンは【ロキ・ファミリア】を尚いっそう大事に思うようになった。
朝食後、俺はロキの部屋へと向かっている。
ステイタスの更新のためだ。
昨日の死闘を経て、ランクアップしたかどうかを確かめに行くのだ。
「(してたらいいな)」
俺はソワソワしながらロキの部屋へと向かった。
***
コンコン。
「開いとるでー」
「ロキ、おはよう」
「ハチマンおはよー。んでどないしたんや?」
「ステイタスの更新を頼む」
「いいで~」
ハチマンは上着を脱ぎ、ベットの上に寝っ転がる。
その上にいつものように跨がるロキ。
「(相変わらず細い身体しとるんに筋肉があるな~細マッチョ言うやつやな)」
ハチマンはオラリオに来てからほぼ毎日鍛錬をしており、走らない日がほとんどない。
その成果が目に見えて現れていた。
手慣れた手付きでステイタスを更新していくロキ。
「ほな終わったで~今写すからちょい待っとって」
「ほーい」
ハチマンが上着を着る間、ロキはステイタスを確認する。
そして、叫んだ。
「ハチマンLv.2キタアァァァァァァァァァ!!」
***
ロキの叫びを間近で聞いたハチマンは、表情には出していなかったが内心かなり喜んでいた。
「(Lv.2、ついに来たな)」
「ハチマン。これが今回の更新結果や」
ロキに渡された紙を覗き込む。
ハチマン・ヒキガヤ
Lv.1
力:SS1583→SS1657
耐久:SS1319→SS1462
器用:SS2197→SS2320
敏捷:SS2428→SS2516
魔力:SS2954→SS3081
魔法、スキルは以前と変わらず。
「トータルで555上がっとる。今までで最高の伸びやで。それとさっき叫んでしもうたけどLv.2にランクアップ可能や」
「ランクアップするに決まってるだろ」
「そりゃそうやな」
なにせ俺のステイタスは他の冒険者とは違い特別らしく、数値が異常に上がる。
また、今回の555の伸びはここ一ヶ月毎日鍛錬とダンジョンに行くことによってやっとだから、もう伸び白はなくなってきているだろう(思う)。
それにランクアップ楽しそうだし。
「じゃあリヴェリアらへんから聞いとるかもしれんけど、発展アビリティについて説明するで」
「おう」
「発展アビリティちゅうのはランクアップするときに発生する、まぁ所謂特典みたいなもんや。今回ハチマンが獲得可能なアビリティは3つや」
「どんなやつだ?」
「1つ目は狩人。対モンスター用のアビリティで、一度交戦し、経験値を獲得したことのある同種のモンスター戦に限り、能力値が強化されるってやつや。これはLV.2に上がる時しか獲得できんアビリティやから貴重やし人気なんや」
「それはいいな。他のは?」
「2つ目は耐異常や。これは冒険者では必須やけど、いつランクアップしても手に入るからまぁ希少性は無いけど十分強力や」
「最後のは?」
「3つ目はな・・・・孤独っていうやつや」
「孤独?」
「そうや。正直言ってやけど初めて見るアビリティや。せやからどんな効果があるのかわからへん。まぁ多分希少アビリティに数えられるもんやろうな」
「へぇ、どんな効果なんだろ」
孤独って何なんだろ。はっ!まさか俺がソロでダンジョンに行きすぎだからなのか?お前は永遠に独りで戦い続けろってことなのか?」
「かもしれへん。ハチマンよう一人でダンジョン行くし」
「え?もしかして声に出てた?」
「孤独って何なんだろってとこから聞こえとったで」
最初からじゃん。
「まぁ無理に決めんでもええで。少しは考える時間があってもいいやろ」
確かにゆっくり考えてから結論を出しても悪くないのだろう。遅かろうと自分に悔いがなければいいのだから。
だが、俺はもう決めていた。
「孤独で頼む」
「・・・ええんか?ようわからんアビリティやけど・・・」
「耐異常は次のランクアップ時にも手に入るんだろ?それと狩人は・・・・なくても経験値たくさん貰えてるしな」
「確かにそうやな・・・・じゃあ早速刻んでおこか」
その後ロキにステイタスを更新してもらい、俺は今日、Lv.2になったのだった。
次回は神会です。
ようやくフレイヤ様を出せます。
それと別で短編集を作りました。
そちらは話数更新が遅いですが、見てくれたらうれしい限りです。