間があきましたが、今回は神会の模様をお送りします。
ハチマンがランクアップを果たした2週間後、バベルにて神たちの
雑談や情報交換が主だが、真面目な議題やランクアップした冒険者の命名や改名も話し合われる。
今回の主催者は神ガネーシャである。
「俺がガネーシャだ!」
「知ってる」
「ガネーシャうるせー」
今回そこまで重要な議題がないため、出向いた神々は雑談などをしている。
「あれ!?フレイヤ様がいらしてるー!!」
「なにぃー!?本当か!?」
「俺来て良かった!!」
「今日欠席の奴可哀そうにな」
男神達が騒いでいる原因はフレイヤだ。
美の神であるフレイヤだが、大抵の場合、神会には出席しない。
何故いつも出席しないフレイヤが神会の会場に姿を見せたのか。
その理由はこれだった。
「さて………あの子はどこの派閥の子なのかしら?」
そう、ハチマンの情報を手に入れに来たのだった。
あの初めての遭遇後は遠くから見つめていることしかできなかったため、名前も所属【ファミリア】もわかっていないのだ。
「とりあえず見知った神からそれとなく情報を聞き出そうかしら」
フレイヤは情報収集を開始した。
***
「わかったことはあの子がハチマン・ヒキガヤという冒険者でロキのところに所属しているということだけね……Lvは1だろうから……直接ロキに訊くしかないわね」
フレイヤは雑談の時間に様々な神から情報を獲得していた。
だが意外だったのは、
「ヘファイストスと結構交流があるとは思ってもみなかったわ」
そう、ハチマンとヘファイストスの交流である。
フレイヤはヘファイストスとは古くより親交があり、彼女も何か知っているかもしれないっと思い訊いてみるとまさかの大当たり。
それに彼女お手製の人格の宿った武器をハチマンにあげたと言うのだからさらに驚いた。
ハチマンもハチマンで、まだ俺には扱い切れる技量がないと言ってヘファイストスに預けていることにも驚いたのだが。
(ちなみにですが、フレイヤのセリフはすべて独り言です)
するとちょうど神々が騒ぎ出した。
命名式が始まったようである。
命名式とはLv.2以上にランクアップした冒険者に与える二つ名を決めるものだ。
「(正直今回はうちの子たちでランクアップした子もいないし、ヘファイストスの話によればハチマンはオラリオに来てまだ6ヶ月らしいし………ロキに接触したらもう用はないわ)」
しかし……
「じゃあ最後の冒険者だ。ええっと……【ロキ・ファミリア】所属のヒューマン、ハチマン・ヒキガヤ。ランクアップ所要時間……6ヶ月!?」
「(え!?)」
「なに!?」
「早すぎるだろ!?」
「おーいロキー、お前力使ったのか?」
「使ってへんわ。使うんやったら全員に使ってるに決まっとるやろ」
「マジかよ」
「コイツ絶対逸材だろ」
「あ、俺コイツ知ってるぞ。うちの団員がめっちゃ恐怖した顔で『俺もう冒険者止めようかな・・・』って言うレベルに規格外らしい」
「俺がガネーシャだ!」
「はいはいガネーシャは知ってるから黙ってて」
「とりあえず二つ名決めようぜ」
彼は思ったよりも規格外であった。
フレイヤは笑みを振りまきながら手を上げる。
「ねえ、もっとその子について教えてくれないかしら」
ざわっ!
「フレイヤ様が動いた!?」
「目をつけたのか!」
「ゼウスとヘラがいなくなったから、現最大派閥同士の衝突だ……!」
ざわざわざわざわ……。
フレイヤが意見したことにより、ざわめく神々。
そしてフレイヤに対して口を開いたのはもちろんこの神である。
「なんやフレイヤ、うちの子に手ぇ出すんか?」
【ロキ・ファミリア】の主神、ロキだ。
「違うわよ。ただ下界で一番早いランクアップだったから気になっただけ」
「ほーん?ホンマか、それ?」
「本当よ」
「(嘘だけど。というかすでに手を出してしまってるわ)」
「……知りたいってのは嘘じゃないみたいやな」
「ええ」
「せやけどダメや。あの子はウチのお気に入りなんや」
「あら残念」
表面上はそう取り繕っていたフレイヤだったが内心は逆だった。
「(ハチマンのこともっと知りたかったのに……ロキのバーカ!うちの子使って闇討ちしてやるんだから!)」
そう息巻いていた。
「とにかく二つ名決めようぜ」
「うーん……ロキんとこだし真面目に考えないとな」
「なあ、コイツの魔法とか戦闘スタイルとか分かる奴いる?」
「団員が言うには闇の魔法を使えるらしい。それに剣の腕前と足捌き、攻撃の回避の仕方がとてもじゃないがLv.1とは思えないらしい」
「それと全身に黒いもやみたいなものを纏ってるっていってたぞ」
「あと13歳の少年ながらイケメンらしい」
「チート野郎だな」
「未来が楽しみじゃない」
「俺が、ガネーシャだぁ!!!」
「「「ガネーシャうるせえーよ!」」」
「闇にイケメンで剣の達人・・・・」
「剣士とかどうだ?」
「いやお前普通すぎ」
「
「うーん微妙」
中々いい案が出ずにいる神々。
その3分後………。
「じゃあ
「「「それだ!!」」」
「じゃあそれで決まりだな。では、もう何万回やったかわかんない神会を終了とする。今度うちで『宴』開くから皆来いよな!解散!」
ガネーシャの一言で神会は終了した。
***
フレイヤSide
フレイヤは自室であるバベル最上階へと帰ってきていた。
その顔は満面の笑顔である。
なにせずっと気になり続けてきた少年の名前と所属、さらには二つ名まで知ることが出来た。
「あとは接触するだけ……楽しみだわ」
「やけにご機嫌だねフレイヤ」
「あらミア。何時からいたの?」
「最初からいたよ。まったく、今度はどうしたんだい?」
「気になる男の子について色々と知れたのよ」
「へぇーそいつはよかったね」
「あ、それと暇な団員に【ロキ・ファミリア】の団員を襲わせてくれないかしら。ちょっと気にくわないわ」
「はいはいわかったよ」
いつ会えるかしらね?
***
ロキSide
まさかフレイヤが来とるとは思うとらんかったな。びっくりしたで。ま、ハチマンには良い二つ名付けれたことやしええやろ。
「おーい帰ったでー!」
早速黄昏の館に着くなりハチマンを探す。
「おっ、ここにおったんかハチマン」
「ん?あ、ロキ。神会お疲れー。で、俺の二つ名決まったのか?」
「え?お兄ちゃんの二つ名決まったんですか!?」
「まあそう急かさんといてや。………ハチマンの二つ名は
「おお~!!良いじゃないですか王子!ね、お兄ちゃん?」
「いや、俺は王子とかいう柄じゃないんだが………まあ思ってたよりは良いな」
「フィン達にも伝えてくるで!」
その後ロキがフィン達にも伝えて色々と話し、ハチマンは改めて自身がランクアップを果たしたのだと思うのだった。
フレイヤの口調はいじりました。