ハチマンとリクがインファントドラゴンと戦いをしていた頃。
コマチはロキの部屋にいた。
今は雑談中だ。
「へ~ハチマンは昔っから器用やったんやな」
「はい!お兄ちゃんは凄いんですよ~7歳でイノシシを狩りましたからね!」
「それも恩恵なしでやろ?本当に武の達人みたいやな~」
「そうなんです」
コマチはロキにハチマンの過去の話をしていた。
最近はこんなことが多い。
ロキとしては、コマチがハチマンに対する劣等感などを覚えているならば、どうにか解消してやらなければいけん!っと思っていたため、こんな話を聞いていると安心できる。
だが、しばらく話し合っていた後に、コマチは唐突にこんな事を言い出した。
「………ロキ様、相談があります」
「どうしたん?」
「どうしたらお兄ちゃんみたいにランクアップ出来ますか?」
「!」
「お兄ちゃんが格別なのはわかっています。コマチがどんなに努力をしようとも追いつけないことぐらい」
「・・・・・・」
「それでも・・・それでもコマチはお兄ちゃんに近づきたいんです。隣で戦っていたいんです」
「そうかぁ・・・」
コマチは自らの目で、実際に兄であるハチマンとともに何十回もダンジョンに行ったことがある。
そのたびに兄の凄さを、兄の強さを目の当たりにしてきた。
「コマチがお兄ちゃんに一生敵わないことなんてもうコマチ自身が一番わかっています」
「・・・・・・」
「だけど、近づくことは出来るはずです」
「………わかったで。ランクアップの方法を教えたる」
「本当ですか!?」
「もちろんや。せやけど約束があるで」
「約束、ですか?」
「そうや。もしランクアップがしたいと、現在の壁にぶつかったという感覚があったら、インファントドラゴンを倒しに行けばええで」
「インファントドラゴンって、あのインファントドラゴンですよね?」
「希少モンスターに数えられる奴やな。これを一人で倒しきればランクアップ出来るはずや」
「・・・・正直今のコマチには無茶すぎます。それに、インファントドラゴンなんてそんな沢山出るものじゃないでしょ?」
「・・・これはハチマンから伝えられた新しい情報なんやけどな、11階層の西の食糧庫にインファントが多くいるらしいんや」
「・・・さすがはお兄ちゃんですね!」
「焦ってるんかただのお兄ちゃん大好きっ子なのかはおいといて・・・・とりあえず行くときはハチマンかリヴェリアと一緒にいくんやで」
「わかりました!」
「それとステイタスがある程度の標準に達してなかったら行かせへんからな」
「はい!ではコマチは今から友達とダンジョンに行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
コマチは胸に希望を抱いていた。
いつの日か兄の隣に立つことを夢見て、今、その一歩目を踏み出した――――――――――――――。
***
9階層。
ここは上層では下の方に位置し、初心冒険者たちはだいたいこの辺りをパーティで狩り場にしている。
オークなど、冒険者になったばかりの者では決して太刀打ちできないモンスターも出現し始める。
また、以前ハチマンとコマチを窮地に陥れたキラーアントも生み出される階層だ。
「コマチちゃんお願い!」
「まかせて!」
ここでは四人の女冒険者がモンスターと戦闘していた。
ちなみにだが、コマチの武器はショートナイフが主で、これを三本持ち、相手によって使う武器を変える戦法をとっている。
今の相手はオークなので、少し長めのものを使用している。
「たあああああ!!」
声を上げながらオークの心臓部分にナイフを突き立てたコマチは、灰に変わるオークを見ながら思う。
――――――――自分はまだまだだなっと。
お兄ちゃんならここまで大雑把な攻撃はしない。
お兄ちゃんならもっと速く倒しているはず。
お兄ちゃんなら、まず一人で倒してしまう。
今のコマチでは4パーティを組み、ようやくオーク二体と互角に戦うのが精いっぱい。
「(それでも・・・!)」
自分に才能がなくとも、自分が凡人だろうと、自分が努力が苦手だろうと。
いつか、兄の隣で戦う為に。
「10階層に行ってみよう?」
「ええええ!?」
「まあ、いいんじゃない?」
「確かに。コマチさんの顔つきが以前とは違いますしね」
「そう?」
「・・・・わかった。皆で行こう」
「もちろんだよ」
「目指すはオーク三体!」
「おおーっ!!」
コマチは友達と一緒に歩きながら、今は別行動している兄に向かって心の中で言う。
「(いつか必ず、隣に立って見せるから…………待っててね)」
***
その後コマチ達は10階層でも結構な数のモンスターを倒し、帰還した。
合計で35000ヴァリスにもなり、4人で山分け。コマチは8750ヴァリスを手に、黄昏の館へと帰る。
黄昏の館につくと、ちょうど前を自分と同じ癖毛をした少年が入るところだった。
その姿を見て、コマチは走り出す。そして・・・・
「お兄ちゃん!」
「うおっ、コマチか。いきなり抱きついてくるなよ」
「いいじゃん。兄妹なんだし」
実際、コマチはハチマンに対して兄妹以上の感情を持っていたりするが、ここでそれを爆発させたリはしない。
その感情を出す時・・・・・それはコマチがハチマンの隣に立てるようになったときだ。
それまでは、仲が良い兄妹を演じよう。
そして努力を続けよう。
この
インファントドラゴン使いがって良いですね。
それと最後らへんがごっちゃしてますが、作者の文章力の無さが原因なので、誤字脱字などを指摘してくれるとありがたいです。