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翌日
「お兄ちゃん…………コマチ眠いよぉ~」
「俺だって眠いんだが」
俺に魔法が使えることがわかった翌日、俺らは睡魔と戦っていた。
なにせ一睡もしていない上に、食べ物を一切食わずに、オラリオを目指して歩いている。
俺はまだ大丈夫だが……コマチはきつそうだ。
早くどこかの村に着かなければ。
すると天が俺らに味方したのか、物資を運んでいるだろう馬車と遭遇した。
俺はコミニュケーションが苦手だが、やらないと空腹がヤバい。
「す、すいません。あなたは何処まで行かれるのですか?」
「うん?次の村までだけど僕一人?」
「いえ、妹と二人で旅をしています。それで、次の村まで僕らも乗せて行ってはくれないでしょうか」
「幼いのに大丈夫?乗せて行っていいよ。モンスターに襲われた時は助けられないかもだけど」
「あ、モンスターなら問題ないです。魔法使えるんで」
「魔法を?!凄いね僕。ついでに護衛を任せていいかい?」
「連れて行ってくださるなら引き受けます」
ってことで商人の馬車に乗ることが出来た。
商人さんはいい人で、俺らが腹を空かせていることに気付いたのか、食料をわけてくれたりしてくれた。
途中でおなじみのゴブリンさんが多少襲ってきたが、悪夢を発動させて殴り倒した。
***
夕刻
ようやく目的の村に着き、商人にはお礼を言って、俺とコマチは村を散策してみた。
着いた村はかなり発展しているのか、宿屋に武器屋、屋台に換金所と色々存在していた。
「小町、眠いか?」
「ううん、さっきの商人さんの馬車の中で寝てたから大丈夫だよ」
「じゃあまずはゴブリンから落ちた魔石換金しに行くか」
「そうだね。いっくらかな~?」
「高かったらいいんだけどな」
その後換金所で魔石を換金してもらったら250ヴァリスだった。
「まあこんなもんだろ。そんなに魔石なかったしな」
「でもこれなら5日は大丈夫だよ」
「そうだな」
宿屋は一泊一部屋飯付きで50ヴァリスのため、コマチの言うとおり5日は大丈夫そうだった。
「よし、ちょっとここらで金稼いでからまた出発するか」
「それがいいと思うよ」
さぁて、これからいくら稼げっかな。
***
一日目
「コマチ、下がってろよ」
「うん」
「【
「お兄ちゃんの魔法出たぁ~!!」
「うらっ」
『ギャ』
「これで6体目か」
「魔石落ちないね」
「そりゃあ親父の日記のにも書いてあったがオラリオ以外の郊外は繁殖は卵でやってるらしいから、魔石持ちなんてそうそういないだろ」
「ありゃ~残念だ」
一日目は結局一日中ゴブリンを見つけ次第狩り続け、稼ぎは40ヴァリスだった。
二日目
「う~ん…………まだ【
「そうなの?」
「ああ。なんていうか…………おっ、そうだ。このナイフに黒いもやを付着すること出来たりしねえかな」
「出来るんじゃない?」
「これをこうして…………移動させる感じでいいのか?…………あ、出来た」
「ナイフが真っ黒だよ!」
「そりゃあ闇だしな」
「強そうだね」
「もう逆にゴブリンが可哀そうになってくる、ぜ!」
『ギャギャ?!』
「えっ?!」
「後ろは常に警戒しとけよ。何処から出てくるかわかんないんだからな」
「うん。ごめんね。次から気をつける!」
「おう」
二日目もゴブリンを狩り続け、稼ぎは50ヴァリスだった。
三日目
「【
「そうなの?」
「おう。コマチが寝た後に色々試してるからな」
「じゃあちょっと強いモンスターでも倒しに行く?」
「楽しそうだ」
三日目にして、村を少し離れたところにある森の探索を始めた。
相変わらずゴブリンは出てくるが、ゴブリン以外にも出てくるモンスターがいる。
なんか犬っぽい奴だ。
ゴブリンより小さいが、ちょっと動きが速い。
ま、【
「ナイフに付着させてるから…………」
犬っぽい奴は動きが速いが、単調だ。だから走ってきたところに剣を置いておけば勝手に自滅していく。
『バウバウッ!』
「犬だなっと、ほい」
『キャウーン』
「おっ、魔石落ちた」
魔石の回収をコマチに任せて、俺はモンスターを倒しまくった。
村で換金すると300ヴァリスになり、おもわずコマチと喜びあってしまった。
一週間後
すでに一週間ほど村に滞在し、周辺のモンスターを狩りまくったせいか、モンスターを倒すのが作業化し始めている。
コマチにも戦闘技術を教え始め、自分の身を守れるようなってきた。
今日で村を出発し、オラリオを目指すつもりだ。
金も2000ヴァリス程手に入り、携帯食料も二カ月分は手に入れることが出来た。
今日は近くのドラゴンを討伐しに行く。
そのドラゴンは結構大きめだが、あまり強いと感じないため討伐しに来たのであった。
「コマチ、俺がドラゴンと戦い始めたらお前はある程度離れた場所で身を守っておけよ?」
「もちろんだよ。コマチ痛いの嫌だもん」
「じゃあ行ってくる」
「頑張ってねー!!」
コマチの応援を背に、俺はドラゴンの前に歩いて行く。
結果、圧勝してしまいました。
なんか黒いのが苦手なのかドラゴン全然反撃してこないで防御しかしなかったから、ガードが緩かった場所にナイフを刺しまくったら、倒せました。はい。
ドラゴンからは魔石回収できなかったけれど、村の人が言っていた竜の卵を三個手に入れることが出来て、村で金に変えてもらったら、なんと2000ヴァリスにもなり、コマチと二人で思わずガッツポーズをしてしまったぜ。
***
翌日
俺たちは村を出発し、オラリオを目指して再び旅に出た。
昨日出発するとか言ってたのに、「今日もう暗いから明日出発するか」「うん」ってことでもう一泊してしまったぜ。
まあ昨日の稼ぎのおかげで新しいナイフ(戦闘用500ヴァリス)を手に入れられたし、携帯食料や水にももっと余裕が出来たためよしとしよう。
村を出てから昼ごろまでひたすら歩き続け、休憩しようとすると前方に湖が見えてきたため、そこまで歩いて行った。
手頃な切り株に腰かけ、俺らは食料を食べ始める。
するとそこへ人らしき声が聞こえてきた。
「ね、ねえお兄ちゃん。なんか人のような声が聞こえるんだけど………」
「………どうしたんだろうな」
「気味悪いよ………」
「よし、ちょっと見てくるわ」
「あんまり遠くに行かないでね!」
「わかってるっての」
コマチにそう言い、俺は声の主がいるであろう方向へと歩いて行く。
「おーい、誰かいんのかー?」
この声に反応してくれれば楽なんだが…………。
「ひ、人?」
「えっ?」
声のした方を見ると、黒い衣装を纏った少女がこっちを見ていた。
「どうしたんだ!?」
「ちょっと、つらく、て…………水を…………」
「水だな!ちょっと待っててくれよ!」
目の前に行き倒れそうになっている少女を発見した時の人の行動は、恐らく俺と同じであろう。
そりゃあ、助けようとするに決まってるさ。
「コマチー!」
「およ?どしたのお兄ちゃん、そんなにあわてて」
「少女が行き倒れそうなんだ。水分けていいよな」
「もちろんだよ!ついでに食料も持って行って」
「おう」
コマチからの許可も得られたため、俺は水と食料を持って、さっきの少女の場所へと急いだ。
***
少女のいたところに戻ると、少女がモンスターに囲まれていた。
…………ていうかまたお前かよゴブリンさん。
しかも今回のゴブリンさん達一行、普通のゴブリンと違ってちょっと大きく、色が違う。多分だが、上位のゴブリンさん達なのだろう。
俺にとっては関係ないが。
「【
『グギャギャ?!』
「さようなら。ゴブリンさん!」
『ギャー!!』
俺は【悪夢】の第二の使い方を考え出していた。
それは相手に向けて悪夢発動時に発生する黒いもやを発射させることだ。
よく効果はわからないが、この黒いもや、相手に触れると相手の能力や気力、動きなどを制限できるのだ。
なんと便利な魔法なんだ。
「バイバイ。またいつか」
『ギャギャギャー!!』
ゴブリン四体を塵とした俺は、行き倒れそうになっていた少女に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう」
「どういたしまして。さて、水とそれから食料だ。これで大丈夫だろ?」
「うん」
「困った時は助け合わないとな」
ともかく、少女は無事なようで良かった。
「助けてくれてありがとね。………そうだ、君は闇の魔法が使えるんでしょ?」
「あ、ああ。最近使えるようになってな」
「じゃあそれをもっと強化してあげるよ」
「えっ?」
「実は私、闇の精霊なのです〜!驚いたー?」
「…………ごめん、精霊って何?」
「えっ」
***
「まったく、ごみぃちゃんはこれだから異性から好かれないんだよ」
「ほっとけほっとけ。それより…………おっ、あったあった。精霊とは…………『この世の中には神のほかに精霊ってのもいてな。そいつらは神のような力を持ち、この世界の均衡を守っている。神のつかいでもある精霊がいなかったらこの世は滅んでいるともされているぜ』……か。お前そんな可愛い見た目なのに凄いんだな」
「か、かわいい…………///」
「……………」ジー
「コマチちゃん?俺なんか言った?」
「べっつにー」
「まあいいや。で、闇の精霊さんはどうしたんだ」
「だ・か・ら、助けてくれたお礼に君の魔法を強化してあげるよ。ついでに新しい魔法も使えるようにしてあげるよ」
「ほー太っ腹だな」
「新しいまっほう!新しいまっほう!」
「コマチ興奮しすぎだから」
「じゃあご覧あれ~」
闇の精霊の少女がそう言うや否や、闇精霊少女より黒く、きれいなもやがあふれだし、それが俺を包みこんだ。
そして数十秒後、俺は開放されて、黒くきれいなもやも消え去った。
「これで使えるようになったよ~」
「どこがどう変わったか教えてくれないか?」
「えっとね~…………まず前の魔法の威力がかなり上がってるよ~」
「マジか。そいつはうれしいな」
「それに新しい魔法だけど…………我は闇と同化する者なりって言ってごらん」
「…………我は闇と同化する者なり」
「ん?あれ?お兄ちゃん?どこいったの?」
ん?コマチの声が上から聞こえるんだが、これは………。
「影の中に彼はいるんだよ」
「え、ええ~!!」
…………なるほどな。つまりこの魔法は闇、つまり人の影や建物の影、暗い所に入り込めるってことか。
「出るときは出たいっていう意思があればすぐ出られるよ」
「本当だ。これすごい便利だな」
「あとこれ君にさえ触れていればなんでも持ち込み可能だよ。例え生き物でもね」
「じゃあコマチも入れるんだ!」
「そうだよ~」
「………ありがとな」
「いいんだって君達には危ないところを助けてもらったんからね」
「………俺たちはもう行くな。行かなきゃならないところがあるんだ」
「そうなんだ。次見かけたらまた話しかけるからね」
「おう、じゃあ元気でな」
「バイバーイ」
こうして俺は新たな魔法を習得し、精霊との邂逅は終わりを告げた。
「そういやなんで闇精霊は行き倒れてたんだ?」
「さぁ?」
俺達のオラリオへの旅はまだまだ続く。