(※夢原さんは含まれません)
「くーちゃん、おかえり……って、あら?」
この人は斉木久美子。僕の母親だ。
「お?お前カーチャンに『くーちゃん』って呼ばれてんのか?」
(殺すぞ)
「あひゅう~」ポロポロ
「お?」
突然泣き出す母さん。どうやら僕が家に友達を連れて来たことに感動して泣いているようだ。ちなみに「あひゅう~」は斉木家特有の泣き声だ。
「ご、ごめんなさいね、くーちゃんが友達を連れて来たことに感動しちゃって……今どくだみ茶持ってくるから」
(その必要はない)
「へ?」
燃堂の姿が一瞬にして消え去る。燃堂がいた場所には、なんだかよくわからないものが散らばっている。
「え……?ど、どういうこと?」
テレポートとアポートの応用だ。そこに散らばっているやつは燃堂(+α)と同価値のもの、ということだ。
ギリギリだった。もし僕が燃堂を追い返す方法を思い付くのがちょっとでも遅ければ、どくだみ茶に気を取られてそれどころじゃなかった。
よかった。これで不安材料が一つ消えた。……ん?
「……くーちゃん?」
(あ)
―――――
……全く、酷い目にあった。友達を追い返すだけであんなに怒られるとは……いや、普通はそうなんだが、僕に対してもうちょっと理解を持っていてくれたと思ったんだがな。まあ、追いかけてこいと言われなかっただけマシか。
……そうだ、母さんに言わなければならないことがあったんだ。
僕は、母さんに今の僕の状況を説明した。
―――――
「…………」
どうやら母さんは、僕の話を信じきれていないらしい。好感度カンストとは何だったのか。
「……つまり、くーちゃんは元々この世界にいたんじゃなくて、別の世界からこっちに来たってこと?」
(ご名答)
母さんは腕を組み、考え込んでいた。まあ、今までずっと一緒にいた息子が突然こんなことを言い出したのだから
、当然の反応ともいえる。その間に、僕はテレパシーやサイコメトリー、アルバムなどを駆使しながら元々の僕の情報を探った。
結果はこうだ。
僕は生まれつき、強力な……いや、強力『すぎる』個性を持っていた。騒ぎになるのも面倒だったので、僕は周りに『無個性』と嘘をつき、自分の個性を隠していた。しかし、僕の個性は特訓もしていないのに強力になるばかり。事実上のピークを迎えた小学5年生の時、兄:空助が制御装置の開発に成功し、状況は落ち着いた。
僕の生い立ちに関しては、僕の能力が個性ということになっていること以外に大きく変わっている所は無い。
それにしても、今の僕は中3にも関わらず、何故燃堂と知り合いで遊太の家が隣なんだ……?と思ったら、今気づいたのだが……家が超近いのだ。燃堂だけでなく、海藤や照橋さん、某寺生まれのT、その他諸々の家が近所なのだ(Tに関しては寺だが)。これはもう、意図的と考えるほかなかった。いくら何でも出来すぎている。……しかし、今そんなことを考えても仕方ない。そう考え、僕は母さんに向き合った。
「……くーちゃん」
母さんが組んだ腕を解き、真剣な面持ちで僕の顔を見つめた。
「くーちゃんはね、くーちゃんが思うままのくーちゃんでいいんだって思うの。だから……困った時にはいつでも言って?お母さん、くーちゃんが何言っても信じるから、ね?」
(言ったそばから信じてないじゃないか)
母さんの誤解を解くのは困難を極めたが、なんとか誤解を解くことに成功した。正直疲れた。
斉木家の昼は、穏やかに過ぎていく。
鳥束を早く出したい
~キャラ紹介~
斉木久美子(さいき くみこ) 個性:念力
楠雄の母だ!普段は優しいが、怒るとめちゃんこ怖いぞ!!個性の『念力』はちょっと弱い念道力と考えてくれ!!!