イナズマイレブンcross   作:練武

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9話 フットボールフロンティア

フットボールフロンティア(FF)、全国中学サッカー大会。各地の予選を勝ち抜いたサッカー部で日本一を決める中学サッカープレイヤー憧れの地。

60年前に弱小だった雷門中の優勝を皮切りにサッカーの地位が上がり、プレイヤー以外の人間も多いに取り込んだ結果、今やFFは一大イベントとなった。FFでプレーしたことあるならば一生自慢出来る。それほどまでに誇らしく、重みのあるものだ。

小学生の頃の俺にとってあまりにも遠い、ただ憧れの場所だった。手を伸ばしても届かない、遠くから見ることしかできない場所。だけど今は違う。その憧れの地への、夢への一歩を踏み出せるんだ。

鵜飼さんが練習場に来てから一ヶ月、キャプテンと監督の練習メニューの元、俺らは一歩一歩着実に実力を伸ばしていた。

 

「こっちだ!萌!」

 

声の方へボールを蹴る、だが強すぎたか雲井の頭を超えそうだ。思わず顔を背ける、まだまだ甘い。力はついているがそれはやっとスタート地点に立ったもの。

 

「いや、ナイスだ萌!」

 

雲井はボールのコースの直線上で大きくジャンプした。そしてボールは吸い込まれるように雲井の胸に収まった。見事なトラップだ。見事におさめたボールを蹴りゴールに迫る。

 

「いかせるか!」「んじゃ止めるよー」

 

その前に立ちはだかるのは羽柴先輩と石郡。二人は囲むようにしてボールを奪おうと体を入れる、しかし雲井は紙一重のところでボールをキープする。しかし時間の問題だ、雲井とはいえ流石に二人相手じゃ抜けきれないだろう。

 

「っ!ここだ」

 

すると雲井は一瞬の隙をついてボールを横に蹴りだした。そこにいたのは白石先輩。ボールを受け取るとペナルティエリア内へ攻める。

 

「オッケ!受け取った!」

 

「ここは通さん!」

 

そこに走り込んで来るのは和田木先輩。届かない距離なのにスライディングの態勢に入る、必殺技か。

 

「キラースライド!」

 

和田木先輩の無数の足がボールを奪い去ろうと向かってくる。白石先輩は躱そうとしたが、飛ばされてしまった。しかしボールは弾け飛んでしまい和田木先輩の足から離れていた。転々と転がるボールは俺の足元に転がってきた。

 

「新葉!ゴールに突っ込め」

 

飛ばされて尻餅をついた状態で白石先輩は俺に叫ぶ。やるしかない、ボールを蹴りだしてペナルティエリア内への進入を試みたが、その前に現れたのは石郡。ここで奪われるわけにはいかない。

 

「デーモン・ディストーション!」

 

この必殺技を使うたび、背中に何か禍々しい力を感じる。それがきっと相手に幻覚を見せるのだろう。石郡は膝をついて満足に立ち上がれない状態だ。よし、抜いた。俺のドリブル技で抜き去ることに成功したが、ゴールで構えるのは松比良先輩。腰を深く落として俺のシュートを待つ。シュートなんて打つことほとんどなかった、ましてや実戦形式の練習の中でなんて尚更だ。しかし不幸か幸運にもこの機会が俺に訪れたんだ。足を振り上げてシュート態勢に入る。やってやろう、俺のシュートがどれだけ通用するかを。

 

「でりゃぁぁぁぁ!」

 

振り上げた足の力をそのままボールに叩き込んだ。狙うは隅、力も早さもない俺が少しでも確率を上げるなら、これしかない。

思惑通り見事左隅へと吸い込まれていく。松比良先輩は予想外の方向に一瞬戸惑ったが左足でかろうじて弾いた。弾かれたボールは転がりながら左のラインを割った。

ダメだった、やはりまだまだだな。

 

「ナイスシュート萌、惜しかったな」

 

雲井は近づいて俺の肩を何度か叩く。雲井に褒められるのはやっぱり嬉しい。

 

「ありがとう、でもまだまだだよ」

 

やはり力不足だ。力をつけないと。先ほどのように狙い澄ましたシュートも早さがなければ反応されてしまう。

 

「ったく、お前の必殺技は怖いんだよ」

 

石郡はブツブツと文句を言ってくる、しょうがないじゃん。そうゆう必殺技なんだし、それにこれは好きで身につけた技じゃないんだから。

 

「新葉...よかった」

 

「ありがとうございます!」

 

ボールを拾いに行った松比良先輩がゴール前に戻る時ボソッと一言言ってくれた。やはり狙いは間違ってなかったんだ。だからこそ、やはり。

 

「みんな、ちょっと集まってくれるか?」

 

練習を見ていた監督が携帯を確認しながら集合をかける。...どうやら決まったらしいな。

今日はキャプテンが抽選会の方へ行った。FF地区予選初戦の相手が決まるのだ。

 

「伊崎が部室に戻ってきてるから、それじゃあ戻ろうかの」

 

FF地区予選まで残り一週間、ひたひたと迫り来る現実。期待と不安、緊張と胸の高鳴り。

きっと俺以外の9人も、こんな想いなんだろう。

 

 

 

 

 

「初戦の相手は、石野崎中学校。カーストはDだ。」

 

キャプテンから告げられた一言。それが初戦の相手。それにしても石野崎中学校、聞いたことのない名前だ。

 

「石野崎...隣町、ですよね?間違ってないですよね?」

 

「貴介ホントビビりすぎ、間違ってないよ」

 

何度も確認を求める向島先輩に羽柴先輩が安心させる。

羽柴先輩と向島先輩はホントに仲良しだ。いつも二人でいる。

その時白石先輩は尋ねた。

 

「石野崎って確かカーストEじゃなかったですか?」

 

「去年ベスト16に入ったから、今年から格上げだ」

 

キャプテンはそう説明する。となると去年まではEだった、ならばチャンスはあるじゃないか。

 

「石野崎、初戦の相手にとって不足はない。」

 

気合の入る和田木先輩。それに頷いて賛同する松比良先輩。気合は入っているようだ。

 

「石野崎って、どんな中学校ですか?」

 

堅山が口を開いた。キャプテンはしばらく考えると

 

「特徴がない、なんというか無難なサッカーをする。特別な戦法もないし名前の通った選手もいない。そんなところかな」

 

そう結論付けた。地味だが堅実なサッカーをする、そう解釈しよう。

それにしてもカーストD、もしこれで獅子王山やカーストBの海波浜中に当たったらと思うとどれほど部室が暗くなっていたか。

 

「よし、FF地区予選まで残り一週間!気合入れていくぞ!」

 

オォ!と掛け声、さぁ、練習あるのみ!練習場までランニングだ!

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