艦これ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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なんかよくわからない話になってしまった感はある。

毎度のことだけど。


呼び声

 

 

私の隣にはずっと夕立がいた。

 

太陽のように眩しい私の半身。

 

私の隣にはずっと夕立がいた。

 

今もいるはずなのに。

 

夕立が今いるのは海の底?そんなことどうだっていい。

 

夕立がいないなんてありえない。私の隣にはずっと夕立がいるはずだから。

 

私なら、呼べるはず。

 

夕立なら来てくれる。

 

そう確信していたから。私は彼女の名前を呼んだ。

 

 

「ーー夕立、早くなさい!置いて行くわよ!」

 

 

 

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私の隣にはずっと村雨がいた。

 

花のように可憐な私の半身。

 

私の隣にはずっと村雨がいた。

 

今は隣にいない。

 

ならここは私のいるべき場所じゃない。

 

村雨がいるのが遠く離れた水面の上だって、そんなの関係ない。

 

私の隣にはずっと村雨がいるはずだから。

 

村雨なら、呼んでくれる。

 

私なら戻れるはず。

 

そう確信していたから。私は彼女の声に応える。

 

「今行く。……ちょっとだけ待ってて」

 

 

 

 

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呼んだから来てくれた。

 

呼んでくれたから行ける。

 

ただそれだけのこと。

 

 

 

 

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僕の隣で、村雨が何か呟いた。

 

なんと言ったのかは分からなかったが、親密という言葉では足りないほどの関係だった夕立が沈んでしまってどうにかなってしまったのかと心配になり、砲火から目をそらしてしまった。

 

 

その一瞬のスキがダメだった

 

 

背後で砲撃の音が聞こえる。

 

足りない。彼女を掴んで身を躱すには時間が足りない。被害を抑えようにも、その体制を整えるだけの時間がない。

 

とっさに村雨を庇おうとする。夕立がいなくなってすぐに僕まで沈んでしまうのは村雨にとって辛いかもしれないけど……彼女の命が助かればいいと思った。

 

生き残った後、どのような選択をするにしても、それが自分の選んだものであることが救いになると思ったから。

 

でも村雨が見せた表情は、僕が思い描いていたのとは違った。失う恐怖でも、驚愕でも、諦めた表情でもなかった。

 

 

「夕立!いけるわよね⁉︎」

 

 

信じていた。

 

彼女たちの関係は僕達が側から見ていたぐらいの、軽いものではなかったのだろう。

 

因果すら捻じ曲げてしまえるほどの……結局は他人な誰かさんたちとは違って、一緒に生まれて一緒に育って…。

 

 

どこから来たのかはわからない。

 

僕の肌より綺麗な白と、鮮烈な赤が視界を覆う。

 

 

 

 

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現れたのは、見たことない深海のものだと思った。

 

でも、…たしかに夕立だった。揺れる白いマフラーも、錆び付いたような色の髪留めも、赤く輝くその目も彼女の面影があった。そして何より、

 

 

「ナイスよ夕立!」

 

 

村雨が、彼女のことを夕立と呼んでいた。

 

叫んだ村雨は僕の体を突き放すと、その場で回転するように振り返って、背後から迫った砲弾を錨で弾き返す。そのまま深海棲艦に躍り掛かって、振り上げた錨で殴りつける。

 

いつもの、夕立が側にいる時のキレのある動きだった。

 

「村雨、」

 

「そのまま!」

 

村雨と声を掛け合った深海棲艦…夕立は、空中に手をかざす。

 

いつも夕立が手に持って投げていたのと同じ、酸素魚雷が手の上にいくつも浮かぶ。

 

手を振るうと、きちんと村雨を避けて飛んだ魚雷が十数個の火球を作った。

 

「カバーするよ、そのまま行って!」

 

「時雨も気にかけてあげてね!」

 

 

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最後の一体を夕立が沈めて、戦闘は一応の幕引きを迎える。

 

圧倒的だった。…姿の変わった夕立は、深海の姫に匹敵するほどの火力があった。

 

それに加えて、変化する前と変わらないように見える村雨とのコンビネーション。魚雷の火力で継続的に援護と牽制ができる分、前に出た村雨が動きやすくなっているようにも見えた。

 

「…夕立、」

「村雨」

 

姿が変わった夕立に、村雨が近づく。

 

2人とも、どこか悲しそうな表情をしていた。

 

「変わっちゃったのね」

「うん。…やりにくかったね」

「やっぱり元の方がいい?」

「…村雨とおんなじがいいっぽい…この身体じゃ、もの足りないもの」

 

村雨が夕立の体を抱きしめる。

 

「もどれる?」

「できる。多分。…私は、村雨の双子の妹なんだもの」

「…この身体より、私と同じ方がいいの?」

「村雨もわかってるくせに」

 

夕立が、長い舌でちろりと村雨の右目を舐めた。

 

 

前触れもなく、夕立がぺかーっと白い光に包まれる。

 

その光が止んだ時、村雨と夕立が、いつもの姿で抱き合っていた。

 

 

 

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「明石さん、どう?夕立の体何か変?」

 

「変、ってわけじゃないんですけど…前よりデータが村雨ちゃんに寄ってるんですよね。村雨ちゃんが言った通りのことが本当にあったのなら、夕立ちゃんが元に戻るときに…」

 

「村雨の体コピーしたっぽい?」

 

「そこまででもないんですけどね。…夕立ちゃんと村雨ちゃんと、ちゃんと区別はできる数値ですし…」

 

「まあ、これも村雨と私の愛の力っぽい!」

 

「違うとも言い切れないんですよね……村雨ちゃんが呼んだんですよね?」

 

「はい。…夕立、早くなさい、置いて行くわよって」

 

「それで夕立が答えたの。今行くからって。ちょっとだけ待っててって。」

 

「…データいじったり設計考えたりするのは得意なんですけどね…データ無しの考察は専門外なんですよね」

 

「……危険は、ないのよね?」

 

「はい。…もっとも、データの上だけですが。考察、っていうか単なるカンですけど、2人とも、この子がいないと私は生きていけない、ってなったりとか、同じ存在になってしまうとか、そういう問題ありそうですけどね」

 

「この子がいないと……」

 

「村雨ちゃん?」

 

「この前村雨言ってたもんねー。…夕立がいないと生きていけないって」

 

「手遅れでしたか……あ、ごめんなさい、今の表現不味いですよね」

 

「大丈夫よ。…あんまり良くないって、わかってはいるんですけど…」

 

「村雨とおんなじ存在になるのも、大歓迎っぽい!」

 

「うーん…まだ私はその次元に達してないですからね…大淀のことも、私と違うってどこかで線引いてると思いますし…」

 

「そう変なものじゃないんですよ?夕立は夕立ですし、」

 

「村雨は村雨だもん。……でも」

 

「どこかで、おんなじだなって思っちゃう」

 

「お互いのことが好きなのは、明石さんも大淀さんも一緒でしょ?」

 

「そ、それはそうですけど……は、はいはい、検査まだ残ってますから、この話はまた後で!」

 

 

 

 

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夕立を呼ぶ村雨の話が書きたかっただけの話。

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