艦これ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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進水日おめでとうございまーす。

「ゆ、夕立、これって誕生日じゃなくって幸せを誓う儀式じゃ…」
「村雨となら大歓迎っぽい!」


【挿絵表示】

本編と関係はないです


2人の写見

 

夕立が、私の赤い目をじっと覗き込んでいる。

 

なんだかこう、ちょっぴりぴりぴりした感じが伝わってくるけど…なんなのだろうか。

 

しばらく夕立に見つめられたままじっとしていると、夕立の視線が私の左目に移った。

 

ちくりと突き刺さる。

 

「村雨」

 

「な、なに?」

 

「…今日、どこ行ってたの?」

 

そういえば、買い物から2人の部屋に帰ってくるとすぐに夕立に扉へ押し付けられたんだっけ。

 

夕立の肩に手を添えて軽く力を込めると、夕立は私を壁に押さえつけている手をどけてくれた。

 

一度、手元の白いビニール袋に目をやってから夕立の瞳を覗く。

 

「夕立、いいもの買ってきたわよ」

 

 

 

 

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ベッドの上に向かい合って座って、その真ん中に袋の中身の小さな箱を置いた。

 

夕立はその箱を開けると、説明書はぽいっと私に放って、中のプラスチックのケースを目の前に掲げる。

 

「…これって、」

 

「そ。…私の目を根本から赤くってわけにはいかないけど…」

 

これなら夕立とおんなじになれると思って。

 

「村雨、早く!」

 

夕立が私に手に持ったケースを押し付けた。

 

手元の説明書の注意事項の欄にざっと目を通して、ケースの中身、『赤いカラーコンタクトレンズ』を手に取ろうとして、

 

「あ……ちょっと怖いかも」

 

「なら夕立がやってあげる」

 

夕立が私の手からケースと説明書を奪い取る。

 

夕立は普段見せない集中力で文字列を頭の中に入れた後に、ケースの中の小さなレンズを右手の人差し指に乗せる。

 

「じっとしてて」

 

「…まって」

 

「大丈夫…信じて」

 

夕立がゆっくりと人差し指を近づける。

 

目になにかが当たった感覚がする。

 

思っていたほどの違和感は無かった。

 

「…大丈夫?痛かったりしない?」

 

「大丈夫よ。…どうかしら?」

 

夕立は一拍明けてから呟いた。

 

「むらむらするっぽい」

 

 

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昔の、改装する前の制服を二着ひっぱり出してきた。懐かしいそれに袖を通してリボンを結んで、頭に結んだリボンは全部とっぱらう。

 

髪飾りを外して、整えていた髪を適度に崩せば、白露型の『だれか』が完成する。

 

夕立っぽい村雨っぽいだれか。

 

私の胸に伸びた手を掴んで軽く握った。

 

「おさんぽしない?……それから、ね」

 

 

 

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村「あ、しぐれ!」

 

「村雨、夕立、…珍しい格好してるね。おさんぽかい?」

 

夕「んー…そんなところ」

 

村「そうだ、どっちが夕立か、わかるかしら?」

 

「えーーっと……あれ、その目」

 

夕「そ。カラーコンタクト買ってみたのよ」

 

村「……もしかしておねえちゃん、目だけでわからなく…」

 

「まってまって、…どっちかに人格固定してくれたらわかりやすいんだけど」

 

村「ーわからないの?」

 

夕「失望したよ。っぽい」

 

「ーーー。…たぶん、こっちが夕立。…だと、思うんだけど…」

 

夕「んふふーん、正解っぽい」

 

村「どこでわかったの?」

 

「ぽい、って言った時に尖った犬歯が見えたから、なんだけど」

 

「「……。」」

 

「え、えっと、なにかまずかった?」

 

村「ほら、私の、見て」

 

「え、あ…村雨にも⁉︎」

 

夕「村雨にもね。生えてるの。…普段見せないようにしてるけど、村雨も『い』っていうときときどき見えるよ」

 

「え、じゃあ僕」

 

村「運が良かっただけね」

 

夕「さすが幸運艦っぽい」

 

 

 

 

 

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夕「あ、春雨!」

 

「わ、姉さん…?」

 

村「あってるっぽい…どっちかが夕立で」

 

夕「どっちかが村雨なんだけど…わかるかしら?」

 

「えーと……あれ、村雨姉さんのおめめ、」

 

村「やっぱり春雨もそこ見るんだ」

 

夕「さっき、時雨もそこ見てたっぽい」

 

「カラーコンタクト、ですか?」

 

夕「そう。さっき買ってきたの」

 

村「どう?似合うっぽい?」

 

「……ちょっと、髪貸してくれますか?」

 

夕「いいけど」

 

村「何に使うの?」

 

「少し、失礼しますね」

 

村「に、におい…」

 

夕「春雨、それ見た目ちょっとやばいわよ」

 

「ーーーたぶん、こっちが夕立姉さんです」

 

村「あらら」

 

夕「外れっぽい…どうしてそう思ったの?」

 

「……えっと、夕立姉さん、お昼にカレー食べてるの見て、それで村雨姉さんからカレーの匂いがしたから…」

 

村「私も、コレ買いに行ったとき、お外でカレー食べたの」

 

夕「夕立はちょっと暑かったからシャワー浴びたっぽい」

 

「だから…ごめんなさい、間違えちゃって」

 

村「いいのよ。気にしないで」

 

夕「じゃあね、ばいばい」

 

 

 

 

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夕「あ、白露!」

 

「……どっちだ、」

 

村「どっちでしょーか」

 

「………たぶん、夕立でも村雨でもない、のかな?……どっちかに固定してないのか」

 

夕「そうなの」

 

村「時雨は固定した方がわかるかもって言ってたっぽい」

 

「固定されてなくて、ある意味ラッキーかも。……よーし、なら、」

 

白露は、2人に向かって両手を広げた。

 

「おいで!」

 

2人は誘われたままに胸に飛び込む。

 

「作戦せいこーう、…こっちが村雨だね。こっちが夕立。ちょっとだけ恥ずかしそうな気がした。尻尾振ってるような気がした」

 

村「ーバレちゃった」

夕「やられたっぽい」

 

「どっちかに固定されてたら無理だったね。村雨と夕立を引きずり出す作戦」

 

村「姉さんだからできたのよ」

夕「ずっと見ててくれたから」

村「春雨は頑張ったけど外しちゃった」

夕「時雨は当たったけど運だった」

 

村「姉さんなら。……ちゃんとどっちかに固定して、村雨が、夕立が2人になっても。ちゃんと見つけてくれるのかしら?」

 

夕「夕立の、99%村雨の出番っぽい?」

 

「まっかせて!絶対見つけてあげる!私はお姉ちゃんだからね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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おまけ むらむら村雨

 

 

 

「帰ってきたー」

 

「ちょっと疲れたわね。…そういえば、さっきの99%って、あと1%は何なの?」

 

「……ちょっと恥ずかしいっぽい」

 

「いいじゃない、教えてよ」

 

「……私が、村雨が大好きだってこと。…それだけで、私は、愛する村雨にはなりきれないっぽい」

 

「…すきよ。私も」

 

「知ってる。……ね、村雨」

 

「……ああ、帰ったらって、」

 

「むらむら、けっこうきてるっぽい」

 

「危ないから、目だけ外させてね。ベッド、いきましょ」

 

 

 

 




むらだち夫妻流行れ

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