裏時雨オンリーで別枠で書いてたのを移動
冬、といえばどんなイメージだろうか。
ストーブの火や蜜柑のオレンジ色。雪やお餅の白に夜空の黒。イルミネーションのカラフルな色だったり。
僕が1つだけ挙げるとするなら、「透明」だと思う。
桜の春。深緑の夏。紅葉の秋。
それに比べて、主張をする色がなく、命を認識しづらい透明。
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あるいは、透明なものをよく感じる季節だから。
例えば空気。吹き付ける冷たい風。暖房器具の優しい暖かさ。
水なら、朝に顔を洗った時の刺すような水。お風呂の柔らかいお湯。
あるいは空白。星やイルミネーションを見ると、僕はその輝きとの間に距離を感じてしまう。
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神聖な輝き。
どの色にも染められない清純。
他を邪魔することのない優しさ。
どこか寂しさを感じてしまうのは、それが手の届かないものだからなのかもしれない。
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「うわー、この0の数はあんまり見ないね」
2人で遊びに来たショッピングモールで、白露がガラスケースの中に輝くダイヤの指輪を眺めている。
「やっぱりこれはなかなか買える値段じゃないよねー」
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「……いつか、平和になったら。このぐらいすぐに買える報酬が貰えるのかなぁ」
なんとも言えないため息を吐いた白露は、行こっか、と言って僕の袖を引っ張る。
また、ウインドウショッピングへ戻るのだろう。
今でも手の届くくらいの幸せを探しに。
「白露」
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「白露。…いつか、戦争が終わったら。……僕が指輪を買ってあげるよ。…受け取ってくれるかい?」
きょとん、と表情を固めた後に、彼女は笑顔で答えてくれた。
「うん。もちろん。」
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明日がわからない戦争の、束の間の休息に求めた物。今はまだ透明な恋。
もし、僕も白露も生き残ることができた時。
僕が透明に込める想いは、感謝と、それと愛情。後はどうなるのやら。
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感謝や愛情はいったいどんな色をしているのだろう。
僕が白露に向ける感情。
暖かい色だったらいいな。
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今は届かない物を手に入れるために。
これから先の透明を、白露と色んな色に描きかえるために。
白露の手を引いて歩き出した。
「次、何見たい?」
「私は……アクセサリーとか?」
とりあえずは、今日を楽しもう。
「白露、そのカチューシャ取ったことないじゃん」
「も、もう!私だってオシャレとか興味あるんだから!」
頑張って、明日も生き残ろう。