こんにちは仕事が片付いて小説書いたりゲームしたり絵を描いたりしていると5時間ちょっと過ぎていましたしゅえさんです。
今回出てくる響ちゃんは艦娘ではなく、見た目もちょっと成長した感じというもはや艦これの短編なのかわからなくなって来ましたがまあ響ちゃんなんで艦これでいいかな。
タイトルと想像した内容が違うのはもはやいつものことなので気にしたら負けかな。
ちょっと昔話っぽく書いてみたりしたけどこの書き方はそんなに好きではなかったです。続編考えているのでそれはこの書き方ですがそれ以外はいっつも通り一人称っぽい謎視点ですかね。
響ちゃんと雪女
昔々、…あ、そんな昔じゃないです。ある所に、1人の男の人と、独りの女の子がいました。
雪山で遭難していた彼は、吹雪の中、木でできた小さな小屋を見つけました。そこには1人の女の子が住んでいました。
「こんな雪の中誰かと思ったら、道に迷ったんだね。入るといい。ここは、暖かい。ご飯もいいものじゃないけど、作ってあげるよ。」
「響」 と名乗った彼女は、腰まで伸びた白銀の髪と雪のような肌、氷のような冷たい色をした瞳の、美しい女の子でした。
見た目は17に届くかどうかといったところでしたが、ここには彼女以外誰もいないそうです。
彼は招き入れてくれた彼女について、しっかりとした作りの小屋の中に入ります。
電気など通っていませんが、部屋の真ん中にあった囲炉裏には赤々と火が燃え、明るさと熱を放っていました。
彼が火に当たったまま待っていると、響ちゃんは自在鉤に吊るす大きな鍋と片手で持てるフライパン、缶詰や色々な食材を持ってきました。
吊るした鍋にトマト缶やら調味料やら、切ってフライパンで炒めた野菜を入れて、ぐつぐつ煮込む手つきは手慣れたものでした。
いいものではないと言っていましたが、湯気がたちのぼるそれはとても美味しそうに見えました。
「ボルシチ風のスープだよ。…ああ、向こうに少しいたこともあってね。1番ではないけれど、私のお気に入りだよ。食べるといい。」
器にすくってくれたそれを彼は口に運びます。
火で温められたそれには、温度だけではない、温もりを感じました。
「……今晩は泊まっていくといい。明日になれば外も落ち着くだろう。…それに、こんな山の中に1人でいると、人肌が恋しくなってしまうんだ。」
彼は思わずはい、と答えてしまいましたが、隣にすり寄ってくる彼女からは、少しだけ恐怖を感じました。
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「お湯が沸いたから、あったまってくるといい。……それとも、一緒に入るかい?」
彼は、お願いしますと即答しそうになりましたが、なんとか踏みとどまって尋ねました。
「…む、失礼な。溶けたりなんてしないさ。雪女じゃないんだから。……白い肌は溶けてしまいそうだった、か。雪のようにキレイ、ね。それは少し嬉しいな。」
響ちゃんは少し照れくさそうに笑うと、彼の手を掴んで、どこから出ているのかわからない力で彼を引きずり始めました。
着ていた服を剥ぎ取られて石と木でできた浴室に押し込められて、なしくずしに一緒にお風呂に入ることになりました。
一糸まとわぬ姿で入ってきた響ちゃんに目を奪われていると、彼女は少しだけ恥ずかしそうに身をよじり、肩を抑えて彼を小さな椅子に座らせました。
「外、大変だったろう?背中を流してあげるよ。」
後ろから、響ちゃんがタオルを使って彼をゴシゴシと擦り始めます。擦られた所から、次々と温まっていくような気がしました」
「誰かと触れ合うのは、それだけで暖かくなるから。私が、暖めてあげよう。」
背中に、むにむにした膨らみと暖かさが押し付けられ、優しく抱きしめられました。
耳元で、ほわほわした声が響きます。
「今夜、一緒に寝てもいいかい?」
彼は小さく頷きました。
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木でできた湯船の中で、彼は膝の上に乗った響ちゃんを抱きしめていました。
「君はどうしてこんな所にきたんだい?」
遭難した経緯を話すと響ちゃんは小さく笑いました。
「それは災難だったね。明日には、ちゃんと下山できるよ」
響ちゃんが少し身をよじって、押し付けられた肌は冷たく感じました。
「……やっぱり気になるかい?…少しだけ、体温が上がりづらい身体なんだ。夏場は重宝するんだけど、冬はやっぱり辛いかな。」
彼は響ちゃんを、ぎゅうと強く抱きしめました。
隣にいることが伝わるように、温もりが伝わるように。
「……あっためてくれるのかい?…すぱしーば」
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「じゃあそろそろ寝ようか。布団は1組しかないから一緒にね」
お風呂から上がってから、響ちゃんが言った言葉を聞いて彼はピタリと動きを止めました。
「さっき良いって言ったじゃないか。…一緒にお風呂に入っておいて、同衾は嫌かい?1人で寝るより2人の方があったかいし、…まあ、少しぐらいならナニかしても気にはしないさ」
悩んだ末、吹雪の中を歩いて疲れていた彼は、暖かい寝床を選びました。
布団に入るために寄り添って、互いに体を抱きしめあいました。
「……こうして誰かと寝るのは久しぶりだな。…やっぱりあったかい方が、いい」
温もりと柔らかさは、彼を眠りに落とし込んでいきます。
小さく、唇になにかが触れた気がして、そのまま彼は意識を手放しました。
首筋に冷たいものが触れて、彼は目を覚ましました。
響ちゃんに馬乗りに乗られ、押さえつけられ、
首筋に触れていたのは透き通った氷の刃でした。
「起きて、しまったんだね。…寝ているうちに終わらせてあげられなくて、ごめん」
彼は理解出来ず、響ちゃんに問いかけます。
「…こんな所に住んでいるのが、普通の人…そもそも人間もだと思っていたのかい?私はそういう生き物で、君は今から私に…殺されるんだ」
彼は、死にたくないと響ちゃんにうったえます。
「みんな同じさ。最後にはそう言うんだ。死にたくはないだろうから。」
響ちゃんが刃を握る手に力を込めます。
死にたくない。死ぬわけにはいかない。
「…大切な人でもいたのかい?…それは、残念だね。でも、私には関係ないことだから」
死にたくない。死ぬわけにはいかない。
彼に大切なものなどありませんでした。ここへ来たのも、多くの物を失って、運命がそうなら、ここで死ねるかと思ったからでした。
それでも今は、死ぬわけにはいきませんでした。
彼が死んでしまったら、
「響ちゃんがまた、1人になっちゃうから、」
パキリ、と。氷にひびが入ったかとおもうと、ボロボロ崩れ落ちて、氷のカケラになりました。
肌に触れた氷は溶けて水になりました。
「…私はずっと、殺して来たんだ。私たちはそういう物だったから。でも……どこかで貴方みたいな人に、逢いたいと思っていたのかもしれないなって」
響ちゃんは、貴方の上に倒れ込みます。
ぐしゅ、と鼻を鳴らして、再び顔を上げました。
濡れた響ちゃんの顔は、笑顔でした。
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次の日の朝、2人は山を降りるために小屋の外にいました。
大きなリュックサックを背負った響ちゃんが、小屋に別れを告げるように扉を一度撫でました。
「今までありがとうね。私は行くよ。幸せになれたらいいな。」
響ちゃんは回れ右をして、彼の方に駆け寄って行きました。
彼がリュックサックの中身を聞くと、とりあえず旅ができるだけの物と、食べ物と、昔の知り合いに会った時に渡したい物だと言いました。
響ちゃんの知り合いが何処にいるのかは分かりませんが、会えば今度こそ、殺されてしまうかもしれません。
それでも2人は、一緒にいることが嬉しくて小さく笑いました。
「そういえば、君の名前聞いてなかったね。よかったら教えてくれるかい?」
響ちゃんはじっと彼を見つめます。
彼は何か考えていましたが、やがて口を開きました。
「僕の名前はーーー
最後の方全然昔話じゃねえというツッコミはしないように友人Sさん。
響ちゃんは艦娘じゃないけど人間でもありません。
人を殺す種族であって、見た目以上の年齢で、氷に関係した能力が使えて、みたいな雑設定のみあります。
水を操る時雨ちゃんの話を次書きたいです。