艦これ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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夕立とお兄ちゃんの続き。

お姉ちゃんが白露で妹が夕立で父は時雨くん母は村雨で4番艦まで揃いましたね。
もし続きで春雨ちゃんを出すとしたら……ぺ、ペット?


白露姉さんと女の子の日

テストも終わって結果も返ってきて、後は夏休みまで授業無しとなると、気が抜けてしまうのは仕方のないことだと思う。

 

ベッドの上で積んでいた小説を消化しながら、そんなことをボーッと考えていた。

 

結果?まあうん、悪い点じゃないと思うよ。夕立のせいで点が悪かったなんて言われたら…母さん達は言いそうにないけど、やっぱり辛い。夕立のためにも死ぬ気で頑張ったね。

 

不意に、壊れたエアコンの代わりに稼働している扇風機の風がばらばらとページをめくって…幾度目かわからないそれにイラッときて本を閉じる。

 

やっぱりエアコン使える部屋に行こうか…でもリビングで寝転ぶ訳にもいかないしな。

 

父さんと母さんと夕立はエアコン買いに行くって出掛けてったし姉さんも部活でいないからみんなの部屋にお邪魔するわけにもいかない。

 

……あれ、姉さんの話してない?白露姉さん。

 

えっと、母さんが連れてきた一個上の姉さんで、優しくて、いっつも元気で、でもちゃんと姉さんやってて、胸は夕立よりは小さいけどやっぱり大きくて、俺の中のシスコン魂はしっかし仕事をしている。

 

もう諦めたね。シスコンのことは。やっぱり好きなんだもん。姉妹だから、ってわけじゃないけれど。

 

話をしていると玄関のカギが回る音が聞こえた。多分姉さんが部活から帰ってきたんだろう。

 

姉さんの足音はそのまま自分の部屋に向かった。

後で俺の部屋に向かってきたので急いで見せられない物を隠す。

 

なんとか隠し切ったところでいつも通り姉さんはノックをせずに戸を開けたのだが、

 

「ねえ〇〇、今大丈夫…?」

 

その声はどこか弱々しかった。

 

「えっと、大丈夫だけど…何?」

 

「女の子の日なんで助けて下さい」

 

見ると姉さんは大きめの毛布を持って立っていた。

 

……説明した方がいい?姉さんは生理の時しょっちゅう俺の所に来る。……説明になってないか。

 

姉さんは俺の体を少し強引にベッドに倒して自分も寝転んで、2人の体に持ってきた毛布を被せた。

 

正面から回された姉さんの腕に抱きしめられる。

 

前に一度姉さんにどんな感じなのか聞くと、子宮とか血管が収縮したり骨盤が開いたり、って説明された。求めていたのとは違った。

 

その後姉さんがどう感じているのかを聞くと、きしきし、ぎりぎり、って言われた。よくわからなかった。

 

姉さんは他にも寂しくなったりイライラしたりするらしい。

 

カイロのように温めることと話し相手になってくれること、抱いていて安心することの3つが出来る俺は優秀らしい。道具なのか俺は。

 

ちなみに夕立は症状がすっごく軽い…というかほぼなく、いつも通り走ったりも難なくこなす。姉さんは時々それを羨ましげに見ていた。

 

「嫌だよ…女の子つらい」

 

「俺は姉さんが女の子でいてくれて嬉しいからね」

 

我ながら恥ずかしい言葉だなと思っていると姉さんがおへそのあたりを俺の体に押し当てたので、腰の辺りを優しく撫でる。

 

「あ…腰は大丈夫だから…首お願い」

 

姉さんの要望に応えて腰から手を離して、姉さんが上半身をそらしてさらけ出した首に、包み込むように両手を添えた。

 

「あー……やっぱりあったかいね」

 

姉さんの急所を触っていると考えるとドキドキしないこともないけど苦しんでる姉さんの信頼とかお願いを汚しているような気がするのでしっとりしてるなー程度でおさえておく。

 

女の子でも汗はかくもんね。真夏の太陽の光を浴びて帰ってきた姉さんからはほのかに汗の香りがした。

 

なんで姉さんの汗の香りがすっごくいい匂いなのかは俺が選ぶ七不思議に入れてもいいと思う。他はなぜ姉さんとか夕立とか母さんはあんなに大きいのに軽いのか、とか。

 

しばらくするといくらかマシになったのか、小さく笑った。

 

「ありがとーねー。〇〇がいなかったら夕立のとこ行かないといけないからねー」

 

何度か、夕立に代わりをやってもらったこともあるらしいけど、暑いとか暇だとか言ってもぞもぞ動いたりペタペタ体触られたりして大変だったらしい。

 

「悪気あってしてる訳じゃないし……イライラするのもこのせいなんだけどね。……あー、〇〇は嫌じゃない?」

 

「大丈夫だよ」

姉さんの体ふっくらしてるしいい匂いするし一緒にいて嫌じゃないしくっついてると当たってるから嫌な訳ない。

 

その辺りまで考えた所で姉さんが体をぎゅっと縮めるのがわかった。

 

「やっぱりお礼とかさ、した方がいい?なんかこう、…今は血出てるからできないけどそういうこととか」

 

頬を赤く染めたまま姉さんは続ける。

 

「ほらさ、毎月こうやって時間取らせちゃうのもさ、………ごめんね、嘘ついた。」

 

姉さんは首を包んでいる手を払って俺に馬乗りになって口を開いた。

 

 

 

「夕立とだけなんてずるいよぉ!私も〇〇のこと好きなのに!」

 

 

 

それだけ言って姉さんは目から涙を零す

 

 

「あぁやっちゃった……ごめん言い訳させて。これのせいだから。…終わったらちゃんとまたお姉ちゃんやるから」

 

つい、本心が漏れてしまったのだろうか。それなら姉さんから溢れたのは間違いなく本心で、それなら俺がやるべき事は多分1つ。

 

姉さんの首を掴んで引き寄せて、無理矢理唇を奪った。

 

姉さんがある程度俺の考えを読んでくれることに賭けての行動だったけどうまくいったらしい。

 

目を閉じてされるがままにしてくれている姉さんから唇と手を離す。

 

姉さんは涙を拭ってから口を開いた。

 

「ありがと。……多分、明後日には終わってるから、約束だよ?」

 

「うん」

 

姉さんは俺の上に倒れ込んでそのまま唇を重ねる。

 

すぐ離して、ころんと転がって俺の隣に並んで、姉さんが動いた時に落ちた毛布を2人の体に掛け直した。

 

「なんかちょっと悪いことした気分だね。」

 

「父さんも母さんも夕立も、多分許してくれるよ。」

 

「え?そっち?姉弟でこんなことしちゃうって悪いことじゃない?」

 

「姉さんを好きになるのがいけないことなわけないじゃないか」

 

その言葉で喜んでくれたのか姉さんは俺の頭を胸に押しつけるように抱える。

 

 

互いの体温を感じたまま、俺たちは眠りに落ちた。

 

目が覚めた時、帰ってきた夕立がベッドに潜り込んでいてそこからまた一悶着あるのだがそれはまた別のお話。

 

 

 




続くとは思わなかったぜ(他人事)

あ、また白露型かよとかいう文句は受け付けてないので。主に友人Sさん。

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