艦これ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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今日は村雨さんの話ですよ!

夕立とお兄ちゃん、白露姉さんと女の子の日、春雨とペットの日 の続編。



村雨母さんと親子

 

 

俺の、父さんと母さんの話をしたい。

 

俺の父さんは…母さんにも言えることだけど、すごく若く見える…と言うより小さい。父さんは37、母さんは34らしいけど、高校生だと言えば多くの人が信じるだろう。

 

それに加えて、父さんは中性的な体つきをしている。丸みが感じられるギリギリくらいの体に、高めの声と左に垂らした白髪混じりの長い三つ編みも合わさって女性に間違われることもしばしば。

 

髪は俺を生んでくれた海風母さんの真似をして伸ばしているらしい。

黒髪に混ざった白髪はショックで色が抜け落ちてしまったそうだ。

 

海風母さんは、俺を生んですぐ死んでしまった。

村雨母さんとは仲が良かったそうだ。

さいごに、「私は幸せだったよ。2人も幸せになってね」と、言ったそうだ。

21才で死んでしまった。

 

村雨母さんは若い時に2人、白露姉さんと夕立を産んで、そして父さんと結婚した。

すぐにまた春雨をお腹に宿したのは「我慢するのも海風に悪い気がするから」だと言っていた。

どこかの学校の制服を着ればとても似合いそうだけど、いつも着ているオトナな感じの服も似合うのは母さんの魅力の一つなんだと思う。

ただ、いつも首には首飾りにしては大きめの、緑色の球が吊るされている。そこからだけは違和感を感じた。

大抵の服を着こなす母さんがそうしているのは、まるでそれが自分の物ではないと主張しているようだった。

 

父さんの物だったりするのだろうか。あるいは姉さんと夕立のお父さんの物だったり。

母さんには一度、姉さんと夕立のお父さんがどのような人だったのか聞いたことがある。

ぼかしながら、ごまかしながら、ほんの少ししか話してくれなかったけど、嫌ってはいないようだった。

 

父さんも母さんも、未練があるのかは知らないけれど幸せに暮らせてるんだと思う。

大きなケンカをしているのは見たことがないし、父さんの髪を適当に結ってみたりそういうことの誘いだったり、母さんからだけど……父さんもどこか嬉しそうだし。

 

2人とも楽しそうなのだ。

 

しかし今日は、母さんが浮気する話である。

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

夏休み中の平日。

 

父さんは外で仕事中。姉さんと夕立と春雨は来週うちに来るらしい従姉妹の山風のために買い物に行っている。

 

俺は本屋に行って面白そうな古本を5冊と文庫本を3冊ハードカバーの本を1つ買った。

 

その重さを左手に感じたまま、玄関の扉を開く。

 

母さんが倒れていた。

 

随分と驚いた。

 

本が入った袋をその辺に置いて、急いで駆け寄る。

 

母さんの濡れた目が俺を捉えた。

 

「…からだ、あついの……たすけて」

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

とりあえず、母さんを2人の寝室のベッドの上へ。

 

救急箱とタオルを数枚、ペットボトルの水を掴んで持ってきた。

 

とりあえず大事ではないようで、さっきのアレも俺を驚かそうとしていたらしく。

 

母さんに体温を測ってもらっている間に父さんに、「母さんが熱出して倒れた」とlineでメッセージを送った。

 

姉さん達には……電話するか。

 

コール音がなっている間にちらりと母さんの方を見ると、胸のボタンをいくつか開けていて、何がとは言わないが少しはみ出していたのですぐに目をそらした。

 

姉さんは以外と早く、4回目のコール音で出てくれた。

 

 

「はいはーい」

 

「姉さん今大丈夫?」

 

「うん。どうしたの?」

 

「母さんが熱出した」

 

「…え、大丈夫なの?」

 

「いやまあ。多分ただの風邪だと思うけど」

 

「お父さんには?」

「さっきlineした。で、急がなくて良いから何か美味しそうなもの買ってきてくれない?」

 

「おっけ。プリンでも買って帰るかな」

 

「夕立と春雨にもよろしく言っといて」

 

「はいはーい。じゃあね」

 

 

スマホの画面が通話終了の文字を映し出したのを見てから母さんのほうに目を向ける。

 

ちょうど測り終わったのか脇の間から体温計を取り出す。5秒くらい確かめてからそれを俺に見えるように、少し恥ずかしそうな表情で口の前に掲げた。

 

「デキちゃった…」

「何が⁉︎」

 

ネットでよく見る、妊娠検査薬のアレなんだろうけど、やられてみるとそんなわけないとわかっていても心臓に悪い。

 

小さく笑う母さんから体温計を受け取ると、まだプラスチックに残っている体温にどきりとした。

 

デジタルの数字は38.5。それでも元気そうに見える母さんから目を逸らして体温計を救急箱にしまう。

 

薬の瓶を取り出してペットボトルと一緒に母さんに差し出すと、困ったような顔で薬の瓶は返された。

 

「私、薬あんまり効かないから。…寝てればちゃんと治るわ。」

 

そういえば母さんが薬を飲んでいるところは見たことがない気がする。

 

そういう体質なのかなと思っていると、父さんの枕の上に置いていたスマホが震動音を立てる。

 

「…父さんからだ」

 

通話ボタンを押してスピーカーにすると、

 

『村雨、村雨は⁉︎』

 

大きな声に驚いてスマホをとり落す。

 

落ちたスマホを母さんが拾い上げて音量を少し下げた。

 

「大丈夫よ、時雨。ほんとに、ただの風邪だから」

 

『でも、』

 

「大丈夫よ本当に。なんともないから、ね?」

 

『………よかった、』

 

父さんの声を聞いたからか、母さんの顔が少しだけ緩んだ。

 

「…父さん、仕事は大丈夫なの?」

 

「あ、仕事中にごめんね」

 

『いいよ。今日仕事少なかったし上司さんに許可貰ってきたから』

 

「母さん愛されてるんだね」

 

『や、やめてよ、そう言われるとなんか恥ずかしいから…』

 

「…ちょっと悲しいなー」

 

『ごめん!好きだから!愛してるから!』

 

…うん。仲良しみたいで嬉しい。

 

「ありがと。……んっ…時雨、はやくかえってきて…さみしいよぉ」

 

母さんが寂しそうな声を絞り出した。

 

『止めて!ほんとに今すぐ帰りたくなっちゃうから!』

 

父さん、振り回されてばっかりだけど…声が楽しそうだもんね。

 

「…んふふ……じゃ〜あ、」

 

父さんの反応で調子に乗ったのか、母さんが突然俺にしなだれかかってきた。

 

熱のせいか熱い。体温を意識してしまう。

 

「〇〇に、時雨の代わりやってやってもらおうかな」

 

『〇〇に…?……うん。いいんじゃない?僕と海風の子だから…安心できると思うけど』

 

そういえばそっか、海風母さんとも仲よかったって……。僕なら父さんの代わりに母さんを「安心」させることができるんだろうけど。

 

残念ながら今の母さんの寂しいは隣に信頼できる人がいない不安じゃなくてこう…肉体的なアレだ。

 

「まって父さん、電話越しじゃわからないと思うけど母さんから肉食動物っぽい感じが…ひぃっ!」

 

耳舐められた、まってまって。

 

「そんなわけないじゃない。…ね、時雨?」

 

『……本当に嫌だったらちゃんと言うんだよ。村雨も嫌がるのを無理やりは……しそうだね。うん。』

 

「まって父さん、なんで食べられる前提なの、」

 

『それはまあ、村雨だし』

 

「ひどーい…私を……信じてくれないの?」

 

『…ごめんこればっかりは君を信用できない。経験から。』

 

「うんやっぱり。………時雨と海風の子なのよ?絶対おいし…波長が合うと思うのよ」

 

「ちょっとまって今母さん美味しそうって」

 

『あ、ごめん松本さんが呼んでるから…仕事戻らなきゃ』

 

「え、置いてかないで」

『強く…生きてね』

 

ぶつん。

 

 

母さんが大きな息を吐いた。

 

「……いや、かな。やっぱり親としてこういうことするのは良くない気がするし。うん。やめよ。」

 

母さんはすぐに離れた。そのままベッドに背中から倒れこむ。

 

「でも。寂しいのは本当だから……隣来てくれない?」

 

ベッドの隣をぽんぽんと叩く。横になれということだろうか。

 

埃が立たないように軽く叩く手つきは長い間繰り返してきたようだった。

 

寂しい時はすぐに甘える母さんらしいと言えばそうだろう。

 

母さんの隣に寝転ぶと、すぐに腕を俺の頭の下に潜り込ませてきた。病人は母さんだと言うのに。

 

お母さんなのに少し子供っぽくて、子供っぽいのに色気があって。

 

本人にその気があるのかは知らないけど側の異性を引きつける人だ。

 

正直に言うと「母さんだけど本当の母親ではないし父さんのお嫁さんだから」で、親密に触れ合うことには少し抵抗があったけど。

 

女性として見るならすごく魅力的だし。…家族としてなら、もっと触れ合っても良かったのかもしれない。

 

寂しいなら。隣にいてあげたいと心から思った。

 

…なんて。少しは真面目なことを考えていたのに。

 

「…ねえ、〇〇」

 

「どうしたの?」

「やっぱり抱いていい?」

 

両腕で抱きしめられた。双丘に、強引に顔を埋めさせられる。

 

「体、やっぱりあつくて。…風邪のせいでもあるんだけど、熱がどろどろお腹に溜まってる感じで、」

 

少し汗をかいているのか匂いが濃い。誰の匂いかと聞かれると母さんの香りだが、どのようなと聞かれるとすっごくあまくて、魅かれるような。

 

「…あ、これむり、本当に……いやだったら、言って」

 

これはダメだ。姉さんとか夕立とか春雨とは比べ物にならない。自分の上手い使い方を知っている。

 

……ああ。父さんは良いって言ってたし。母さんだけど…姉妹としてるから今更か。

 

「…好き。すきよ〇〇」

 

俺も。

 

「好きだよ。母さん」

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

おまけ 〜家族〜

 

 

 

「え、あのあと本当に村雨としたの、」

 

「…ごめん」

 

「あ、違う違う。怒ってるんじゃなくてね。…海風、死んじゃって。本当の親じゃないって言っちゃったし。……なんか遠慮してるような気がしたから。本当に、仲良くなれたのかなって……ぐしゅ、」

 

「まって父さん泣かないで、母さんに殺されちゃう、」

 

「…よかった……よかった、ほんとに。〇〇にめいわくかけてるのかなって、…よかったほんとに…!」

 

「どうしたのしぐ……時雨、泣かせたの?」

 

「まってちがうほんと違うって」

 

「…冗談。なんとなくわかるわ。…私もちょっと思うことあったし。時雨と〇〇は血が繋がってるけど、私は海風じゃなくて、〇〇育てただけだったし。」

 

「ほんとに待って母さんにまで泣かれたら…俺嬉しかったからね⁉︎母さんに育ててもらえて嬉しかったよ?」

 

「…うんやっぱり私が育てたのね。…ぐす、こんなに、心くすぐるのじょうずなんだもの…」

 

「ただいまー……って、え、これどういう状況、なんで父さんと母さん泣いてるの」

「…お兄ちゃんが泣かせたの?」

「…兄さん何をしたんですか…」

 

 

みんなと家族で、良かった。

 

 

 




書きたいこと突っ込んだらごちゃごちゃした気がするので多分後日修正します。

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