ネギま短編集   作:作者さん

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R-15。犯罪描写っぽいものがあります。ご注意ください。


ラカンと弐

 それは二つの存在によって造られた嵐の中であった。

 その場にいた一人は、炎の様な赤髪の筋骨隆々とした男だった。外套を靡かせるその下には、逞しい肉体が見える。そしてその周りに渦巻く炎が、只の人間ではないことを表していた。

 火系統最上級呪文である奈落の業火、その火力をも越す威力の持った爆発の数々を、男は腕を振るうだけでただ一人に向けていた。四方からの爆発、その中心に立つ男――ジャック・ラカンはその攻撃の前兆を見て、口元を吊り上げて笑った。なぜなら本人がやることは一つ、ただ気合を入れることだけなのだから。

 ラカンは身体に渦巻いていた大量の気を外へと向けて放出する。鍛えた常人の気ならば数百人分ほどにもなるエネルギーは、指向性を持ってラカンの周りへと向けられる。そしてその気の塊は爆発を引き起こした男にまで向かって行った。男の放った爆発は受ければ数トン単位の鋼鉄でさえも塵一つ残さず消し飛ばす威力が在った、それを防いでなおその余波は男へと訪れようとしている。でたらめだな、そういった言葉とは対照的に、男の口調はどこか楽しげだった。

 男が回避という行動をとった瞬間からラカンのターンは始まった。ラカンの手に出現したのは、最強と名高い彼のアーティファクトである「千の顔を持つ英雄」、変幻自在に形を変えるそれが無数の大剣大槍に姿を変えてラカンの周りに現れる。それを無造作に掴んだラカンは、男へと向けてそれら全てを投合する。本人へ、男の回避先へ、男の放った紅蓮蜂へ。古き遺跡の様なその場所が二人によって崩壊を招こうとしているところを考古学者が見れば、大いに嘆き余波で吹き飛んで行っただろう。生物一匹さえも彼らの戦闘空間には入ることはできなかった。

 その空間を見渡し視界に突き刺さった武具が必ず入るようになったころ、ラカンは突然その手を止めて持っていた大剣を地面に突き刺した。行動を止めたのは男も同じだった。

 ラカンは首に手を置いて気怠そうに回し首を鳴らす。ゴキ、と太い音が男にも届いていた。男は自らの右手を確かめる。握って開いてを繰り返し、やがてラカンを見ると同じように視線を向けていたラカンと重なった。

 そして、互いに笑った。

 

 ようやくウォームアップは終わりだ。

 

 ラカンの千の顔を持つ英雄が姿を変えた。戦艦ですら一刀両断する斬艦剣、ラカンの体積の幾倍もの質量をもつそれをラカンは男に向けて投合する。そして足元の地面が木端微塵に成る勢いで踏み込んだ。

 男も同じように飛び込んでラカンの投げた斬艦剣へと着地し、再度その斬艦剣をへし折りながら踏み込んだ。

 長距離瞬動同士の衝突で起きた余波は、周りの瓦礫を吹き飛ばす。なおも宙では小爆発のような衝撃波が現れ続けている。男が拳を出せばラカンも拳を、ラカンが蹴りを放てば男も蹴りを、互いに衝突するそれらは重なるたびに衝撃を放ち辺りを破壊する。そんな状況でなお、二人は笑っていた。

 

「クッ……ハハハハァ! いいのかラカン、自慢の宝具が足元に転がっているぞ!」

 

「いいんだよ、俺は素手のが強ぇ」

 

 連打!連打!連打!その繰り返しだった。拳と拳はぶつかり合い両者とも一歩も引くことは無かった。一つ間違えればミンチへと早変わりする暴力の嵐の中、男はただ楽しそうに笑う。

 男に在ったのは実感だった。創造主と言う絶対的なマスターの下、完全なる世界の完成のために全てを賭ける、それが自らの存在意義であり造られた理由だった。

 だが今の自分はどうだ、計画の完遂のため最大の理由に成る赤き翼の一員であるジャック・ラカンを排除する。そのために今自分は此処に居るのか? それは確かに正しい、そして少しだけ正しくは無い。

 

「楽しい、楽しいなぁおい最高だ!!! 俺をもっと楽しませろ、ジャック・ラカン!」

 

 この最終決戦に至るまで、何度も己が力をぶつけ合った。そして不利な状態で引くことも、相手が撤退することもあった。だが今この場所で、互いに挽く理由は存在しない。

 それが何よりも楽しい。世界最強の傭兵を、己がすべての力を以って殺す。その事実に心が躍ることに気が付いたのは何時だっただろうか。目の前に居る存在を殺したいと思ったのは、果たして生まれたときから存在していた創造主の指針からだろうか。

 

 違う、俺自身がこの男を殺したいと思っている。姑息な真似も味方の手も必要ない、自らが己の持つ力全てを以って殺したい。

 

 男は、自らの意志で創造主という絶対的な糸を引きちぎったその存在は、ただ己の欲求を成せることに笑っていた。

 

「クッハァハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 

――――――

 そこは魔法世界エリジウム大陸の砂漠地帯だった。既に日は高い位置に上っており、ぎらぎらと刺すような日光が大地を焼いている。砂漠の奥に位置する場所であり、商人を初めとした旅行者などの影は一つもない。時折砂漠特有の生物が顔を出す程度であり、風の音だけがその世界には存在していた。

 砂漠の中に一人、その場にそぐわない格好の少女が居た。風でなびく白く長い髪は褐色の肌や黒を基調とした服装によく映えており、日光を防ぐためのローブすらないその姿は、砂漠を遊び場か何かと勘違いした子供のようにも見えだろう。しかしその少女は何の苦も無くその砂漠地帯を歩いている。ヒールでは通常この場を移動するには適していないが、普通の大地を歩く様に、少女――(ニィ)は歩みを進めていた。

 彼女が思い出していたそれは、彼女の前任者とも呼べる者の記憶だった。弐代目である自分とは既に別物であり、彼女にとって男の記憶は他人のビデオを再生しているようなものだ。自分であると言う実感が存在するわけではない。

 一代目にアートゥルと呼ばれた男は結局墓守人の宮殿で敗北し、ジャック・ラカンという英雄がまだ世界に存在している。だと言うのに、弐の記憶の中に居る男はただ笑うのだ。敗北し、己の下半身は吹き飛んだ状態であると言うのに、ただ満足げに笑っていた。

 その意味を弐は理解できない。創造主と言うマスターのために、この身は存在しているのだ。ならばどうして笑う事が出来ようか、笑う事ができるとしたらそれは、全てを成して自分の存在意義を満たすことではないのか。

 

「……ジャック・ラカン」

 

 弐の前任者だった火のアートゥルが執着した者の名前、ならばその名に特別な意味を感じるのはバグではないのだろう。

 なんのために前任者はこの男を殺したいと渇望したのか。そしてなぜ笑って消えていったのか、それはおそらく前任者にしかわからない。

 ならば自分は、前任者を超えていく。

 

「……必ず、殺す」

 

 ジャック・ラカンは自分が殺す。赤き翼の英雄、自分たちの目的を成すために必ず前に立ち塞がる障害だ。セクンドゥムに自分勝手をするなと言われているが、自分が行っていることは必ずマスターの意志に沿う事だ。

 だからこそラカンを殺すのは誰にも邪魔をさせはしない。あの男だけには負けられないという、自分の根本に根付くその思いが弐を突き動かしていたのだ。

 

 その歪みを創造主は直そうとはしなかった。アールウェンクスシリーズの3番目であるテルティウムに目的意識を設定せずに、思うように動けと指示を出していたことと求めていることは同じだ。

 創造主は人の強さを知っている。2600年という年月を人間という種族は只前に向かって走り続けた。深い思慮を持つわけではない、だが強い信念意志によって障害を突き進む姿は、決して創造主とその人形にできるものではない。

 創造主も決して自ら好んで世界を滅ぼそうと考えたわけではなかった。自分の行う手段だけが全てを救う事の出来る解であると理解できてしまうからこそ、それ以外の手段を見つけることができない。ならば全ての始まりである自分が、全てを救って終わらせると考えるのは自然なことだった。

 そしてそれを打ち破り新たな解を造りだすとしたら、それは人間の意志に他ならないことも知っている。だからこそ、人形に生まれた意志の兆しを消そうとはしなかった。

 とはいえ、弐に在るのは意志としては正しくは無い。本来存在しないはずの前任者の意志を自分の中で感じとり、歪めた形で成そうとしている。それは正しい意味でバグだった。

 

 砂漠をしばらく歩けば、弐の視界にオアシスが入り込んだ。中心に高い塔が見えるその場所はラカンが人の目を避けて生活するために購入した場所であり、遺跡の中央には水が沸き出る自然の溢れた場所だった。

 どこか幻想的な光景も弐は何も感じない。ただ高い地点から辺りを見渡し、自らの目的である男の姿を探し出すためにオアシスへと降りていく。

 砂漠の中のオアシスは木々が日光を遮り、何も遮蔽物のない砂漠の中心に比べれば涼しく感じる。そんな自然の中であっても特定の動物が行動すれば獣道のひとつでもできるだろう。ラカンも使っているであろうそのオアシスの道を通り、弐は中心にある湖へ向かって歩いていた。

 遠目からはラカンの姿を確認することは叶わず、そのため在宅を確認するためにラカンが普段過ごしている建築物へと向かっていた。

 それごと壊してしまえ、という考えも昔はしていたのだが、建築物ごと吹き飛ばしても中身はラカンである。大した意味もなく寧ろ雲隠れされてしまうため、弐の目的としてはそぐわない。嫌がらせにはなるだろうが、それが原因でタカミチやクルトの追撃戦にでも参加されたらたまったものでは無かった。此方が不利になる以上に、誰かにラカンを打ち倒される可能性も出てくる。

 自分以外の誰かにラカンが敗北して、倒れ伏せている姿を想像する。それだけで弐の胸に嫌悪感が溢れて思わず足を止めて舌打ちをしていた。

 

「そんなことをさせるものか、奴との決着は私がつける」

 

 例え先代アートゥルの意志が介在していたとしても、これは自分の意志でもあるのだ。たとえ幻想と言う偽りだらけの世界で在ろうともそれは確かに存在する。ラカンという存在もそうだ。たとえ幻想であったとしてもあの暴力的な力は真に存在し、弐の対面へと立つことを可能としている。それこそ先代アートゥルを圧倒するほどに。

 だから弐にとってラカンという存在は、力という一面は幻想でなく真実でもあった。無慈悲に魔法世界の住人を消す、救済することのできる弐であっても、ラカンは『在る』からこそ感情を動かした。前回この場に訪れて戦ったとき、ラカンの暴力的な力に弐は血を流し引くこととなった。もしも創造主から与えられていた命令が無かったとしたら、自分の身が滅びるまで戦っていただろう。口元を歪めて笑う姿は、どことなく先代アートゥルに似ていた。

 そんな存在を殺される(盗まれる)ことを他の誰かに許すつもりはない。

 

「セクンドゥムにもテルティウムにも邪魔はさせん。たとえ……」

 

 創造主であったとしても。

 たった一つの面であり全体に動かすことに問題はなくとも、創造主という存在に繋がる糸は一つだけ切られていた。

 

そして水辺まで視界を移したとき、ようやく目的の人物の影を見つけていた。

 上半身に衣服は纏っておらず、鍛え抜かれた肉体と両腕には切断された傷の跡が見える。創造主との戦いによって負った傷だと報告が届いている。それを見て弐はどこか不機嫌そうに眉を寄せて睨んでいた。

 自分は前任者のアートゥルではない。そしてあの傷を負わせたのは他でもない、自分のマスターである創造主によって齎されたものだ。だが、気にくわなかった。

 ジャック・ラカンという男はアートゥルを下して先へと進んだ男なのだ。自分以外の誰かに敗北するなどという事を、好意的に見ることなどできるはずがない。

 

 地面を蹴りそのまま宙を飛んでラカンの元まで向かっていく。そしてそのまま座標をラカンの地点に合わせて呪文を唱えた。

 

「メラルガ・メラザト・ナシゴレン 来たれ深淵の闇、燃え盛る大剣、闇と影と憎悪と破壊、復讐の太淵!」

 

 既にラカンは弐がこの地へと訪れて自分に攻撃を向けていることを感じて、理解している。そしてラカンが行ったことは、瞬動によってその場を離れることだった。

 ラカンは弐に身体を向けながら足を後ろに踏み込んで後退する。そして弐もそれを追い掛ける様地面を蹴って方向転換し、呪文を完成させる。

 同時に造りだしたのは束縛のための戒めの炎矢だった。数百という数の精密な魔法の矢を造りだす光景は、遠目から見れば花火の様に見えただろう。

 ラカンはそれを蠅でも落とす様に腕を振って薙ぎ払う。そしてそのラカンが立つ地点に弐は呪文を発動した。

 

「我を焼け彼を焼け、其はただ焼き尽くす者! 奈落の業火!」

 

 ラカンは何の防御も無くその魔法を受ける。気を放出した様子もなかったため直撃しただろう。その轟々と燃え盛る炎に向かって近づき、そのまま弐はただ見つめていた。そしてその中からごろごろと転がって表れた無傷のラカンを見て、口元を吊り上げる。

 

「ああそうだ、やはりそうでなければな、ジャック・ラカン!」

 

 

 

 

「……まーたテメェか」

 

 静かながらも怒りが籠る声が弐の耳に届く。

 ラカンにとって奈落の業火はヤカン触って熱っ、という程度であるが、周りの建物にとってはただの爆発である。このオアシスに移住するまで数回、崩壊していく自宅を見て身体は辛くは無いが怒りは収まらない。

 

 

 初めて襲撃されてから20回目、流石のラカンも御立腹だった。

 

 

―――――――

 

「マジでアレどうにかならねぇのか」

 

 ラカンが話しかけるのは対面に座るエヴァンジェリン・A・K・マグダウェルだった。魔法世界で珍しくラカンの下に訪れた彼女であったが、ラカンの言葉を無視する様に手元にあるトランプを睨みつける。

 ただ今全て持っていくか持って行かれるかという賭け事の真っ最中であり、ブラックジャックというトランプゲームでエヴァンジェリンの思考は埋め尽くされている。ラカンの手元にはスペードの11が公開されており、エヴァンジェリンの手札は合計17、どう選択するにしても中途半端な手札だった。引くか進むか、その選択を決めるので思考は全て持って行かれているため、ラカンの言葉など聞こえてすらいなかった。

 

「む……むむむ」

 

「なにがむむむだ。いい加減洒落になんねぇ、そろそろどうにかして捕まえたいんだが」

 

 何しろラカンの自宅は動かないのだ。住所が分かれば襲撃するのは当たり前である。まさか自分の自宅周辺に連合軍やヘラス帝国の兵隊を置くわけにもいかず、寧ろ置かれたら邪魔である。しかし弐はラカンと一対一なら逃げる程度の事は出来る手練れである。

 そして巻き込まれるのは自宅なのだ。別に自分が襲われることはどうでもいい。撃退はさほど苦でもなく、相手も本気だが本気ではない。ちょっと蚊が寄ってきてウザい程度の話である。ただその蚊が辺りに血を撒き散らして損害を出すようなものだったのなら論外である。

 弐が必ず撤退するのは引き際を間違え捕まれば創造主の意志に反するという、その絶対的な指針があるからこそ、これまで18回も襲撃と撤退を繰り返すことになっているのだ。全力でやればどちらかが倒れるなりのアクションが在るはずだが、それが起こらないのはそのためである。

 

「……よし、ヒットだ……!? よしよしよし! 合計21! さぁ今度はキサマが引くがいいラカン!」

 

「ほれブラックジャック。それで、何かいい案は無ぇか?」

 

 引いたカードによって強力な手になったことによって現れていたエヴァンジェリンのドヤ顔は、ラカンの引いた1枚のカードによって固まった。やってられるか! とトランプを叩きつけたエヴァンジェリンの姿はその外見年齢そのままである。

 普段ならばにやにやとそれを茶化し、賭け金回収のために財布どころかパンツまで奪っていくラカンであるが、軽くトランプをテーブルに放って溜息をつくだけ。どうやら自分の知らぬうちに大分参っているようだった。

 

「キサマがそんな風になっているとはまた珍しいな。何かあったのか?」

 

 そんなラカンの様子にエヴァンジェリンも気が付いたのか、足を組んで椅子に深く座り直した。先ほどから言っていたはずの言葉など何一つ届いていない台詞に、やっぱり何にも聞いてなかったなこのババァ、と。内心で悪口を呟きつつもラカンは口を開く。

 

「ほら、あの筋肉炎ダルマだった奴が、まだ俺様のストーカーやっているっていう話だ。しかもやけに逃げ足だけは早ぇから捕まらねぇと来る」

 

 やけに創造主側のメンバーは逃げるのが上手い奴らばかりである。風の噂では大戦の主力の一人であったデュミナスはタカミチ達に執拗に追いかけられているが、ゴキブリのようにしぶとく生きているらしい。

 そしてラカンも殺す殺すと言ってやってくるガキンチョにいい加減対応が面倒くさくなってきたのだ。筋肉マッチョ時代から何にも変わってねぇ、とラカンは思わず大きく溜息を吐く。

 そんな愚痴を聞きつつエヴァンジェリンも腕を組んで思考を巡らせる。目の前に居る筋肉はアホだがぶっ飛んだ力を持った変態である。剣を突き刺そうとしても刺さらず、中級呪文程度なら文字道理指先一つで吹き飛ばす超人だ。そんなラカンが苦労している姿と言うのも珍しい。

 

「……ふん、キサマの性には合わんだろうが、罠の一つでも仕掛けてみたらどうだ?」

 

「罠、ねぇ。俺様はどっちかっていうと壊す専門なんだが」

 

 ラカンもエヴァンジェリンも基本的には罠を仕掛けられてぶち壊す側である。普段やらないことを逆にやってみたらどうか、そんな単純な思考でエヴァンジェリンは呟く。うーむと顎に手を置いて珍しくラカンは考え込んだ。何しろラカンは罠など使わない。前述したが基本的に壊す側であり、壊し方などは割と熟知している。だが罠を突破できるのと罠を仕掛けるのでは必要とされる知識が違いすぎる。

 ふとエヴァンジェリンの方へと目をくれる。少女の姿からは想像できないが、600年以上を生きる真祖の吸血鬼……そこまで考えてラカンはひらめいた。

 

「ん、そういやエヴァ……そっちは壊すだけじゃなくて造る方も行けた口だったじゃねぇか」

 

 ふと思い出したようにラカンは尋ねる。エヴァンジェリンは組んでいた腕を外して顔をしかめた。

 

「……まてまてまて。なんだその、私に罠を作れと言うであろう遠まわしな言い方は」

 

 エヴァンジェリンもこの話題で自分の事について触れられたら、流石に何を求めようとしているくらいは流れでわかる。

 

「おう、分かってるなら話が早ぇ! いやー助かったわ!」

 

呆気からんに言うラカンに、いつの間にか罠に着いて考えさせられそうになっていることに気がついたエヴァンジェリンは、テーブルから身を乗り出して否定する。

 

「ふざけるな! なんで私がキサマのために……」

 

「おおーっといいのかエヴァ? まだこのゲームの掛け金の支払いは終わってねぇぞ? 如何にかしてくれんならチャラにするんだがなぁ」

 

 わざとらしく言うラカンに対して、ぐ、と言葉に詰まったのはエヴァンジェリンだった。以前賭け事で闇の魔法の呪文書を奪われたままであり、今回はそれを取り返そうと躍起になったのだが、ただ負債を増やすだけに終わったのだ。

 勿論ラカンはイカサマを使っていたのだが、それは気が付かないエヴァンジェリンが悪い。あとでチャチャゼロに教えられて憤慨するのだが、それは今回語るまでもないだろう。

 頭の中で罠の作成と掛け金のチャラを天秤にかけて、明らかにチャラに成る方が得であると結論は出る。出るのだが目の前の筋肉ゴリラの言葉に乗せられて動くのはなんか気にくわない。なんとか一泡食わせてやることはできないのか……

 

 そのときエヴァンジェリンに名案が浮かんだ。

 

 罠、トラップの意義とはなんだろう。足止めから殺傷を目的としたものまで存在するが、一番の意義は相手を進行方向へと進ませない事ではないか。落とし穴も警報も藪から竹やりも、一定の地点を守るための物に過ぎない。つまり増殖して飛翔して対峙する黒光りなGをぶつけたって、それが足止めになるのなら立派な罠と成るだろう。

 

「……いいだろう、やってやろうじゃないか。ただし、幾つか準備するものがあるから、それはキサマに用意してもらうぞ」

 

 ニヤリと笑ってエヴァンジェリンは答える。久々にエヴァンジェリンの歪んだ笑顔を見たラカンは、その表情にどこか不吉な予感を感じていた。だが、罠を仕掛けることで此方に被害が出る、そんな欠陥品をエヴァンジェリンが造るはずがない。契約したことを必ず実行するというのは、彼女の信念にでもある。

 そんな信頼もあってラカンは、おう、分かったぜ、と返しエヴァンジェリンと話を煮詰めた……。

 

――――――

 

「? 何をイラついているラカン。キサマとの決着をつけるために私は此処に居る。何度だって現れるさ、それは当然の事だ」

 

 文句をぶつけられた弐はラカンが何を怒っているのか分からず、小首を傾げて言葉を返す。脳みそ筋肉な思考はナギだけで十分だと、ため息交じりにラカンは頭を押さえた。

 

「そんならアポ入れるなりノックするなり、前もってすんのがマナーって奴だぜ。嬢ちゃんの親玉はそんな仕付けもしてねぇのか?」

 

 ラカンは紅き翼のメンバーなどから筋肉ダルマと呼ばれているが、決して馬鹿なわけではない。礼節についても、とらないだけである程度の知識はある。

 

「ふん、キサマとの決着にそんなものは必要ない。構えろラカン、決着をつけるぞ」

 

「……あーうぜぇ」

 

 だめだこりゃ、と大きく溜息を吐く。別に元気な子供は嫌いじゃない、ガキほど馬鹿みたいに笑っているべきだ。だが馬鹿すぎて家を吹っ飛ばすのはどうかしてる。

 大体にしてラカンの前に居る少女は数年前は悪の組織の大幹部、現在進行形でそれは続いている。自分が蒔いた種という腐れ縁だが、それが雑草である以上刈り取らないわけにもいかない。

 ラカンは静かに目を閉じて片手片足を前に出して構える。穏やかな河のように溢れ出す魔力に弐は目を細めた。

 ラカンは膨大な気を持つ生粋の戦士である。そして魔法使いとしても上位に入るが、紅き翼の仲間に比べれば何段か下だろう。なによりラカン自身も殴った方が強いと自覚している。

 だからこそその情報が在る弐は、ラカンが魔力を使っていることに違和感を持った。気と魔力は反発する。両方を混ぜ合わせる感卦法という特殊技能は存在するが、それを使う様子もない。

 

「……ふん、なにをするかは分からないが……」

 

 面白そうだ、と。弐は口元を吊り上げ獰猛な笑みを見せる。両手に圧縮した炎系統の魔法を造りだすと、瞬動で足元を爆発させてラカンへと接近した。

 入りを見せず短距離の連続瞬動、その最中に炎の上級精霊を使ったデコイを造りだした弐を捕捉することは、たとえラカンでも難しい。だが弐よりも一足早く接近したデコイは、ラカンが腕を一振りするだけで木端微塵になって吹き飛んだ。その動作の最中でも、ラカンは目を開かない。

 弐は手に造りだしていた火球を接近しながら放つ。圧縮された魔力は炎となってラカンに着弾と同時に爆発した。弐はその爆炎の中に飛び込み、拳をつくりラカンへと打ち込んだ。

 そのとき弐の耳に地面の砂を削る音が聞こえた。それはラカンが身体を逸らし、後退するために地面を蹴った音であり、弐の拳は空を切る。しかし弐はラカンのその弱腰な態度に小さく舌打ちする。

 

「(臆したか、ラカン!)」

 

 むざむざと背中を見せる相手など、隙だらけにもほどがある。縮地に限りなく近い瞬動で接近した弐は、振り向いて腹を見せたラカンへと一撃を入れようとした。

 

 バチィ! と電気が走る音が体全体から聞こえたのはその瞬間だった。

 

「ぃよぉーし、流石はエヴァ様ってやつだな。」

 

 ふぅ、と軽く息をついたラカンは弐の目の前に居る。足を前に踏み出そうとした弐であったが、四肢はすでに拘束されており、動かすことはできなかった。両腕を引っ張られ磔にされるように拘束された弐は、両手両足首が熱を発しているのを感じ奥歯を噛み締めてラカンを睨みつける。

 

「ラカン……謀ったか!」

 

「うるせー、元々俺様は女殴るのだって嫌なんだよ、大人しくしてアル辺りにこってり絞ら、れ……」

 

 ラカンが魔力を使って発動させたのは、予め仕掛けておいた、以前エヴァンジェリンに頼んだ捕獲用の罠だった。創造主の使徒である弐は本来ならば従来の罠程度では捉えることはできない。しかしこの罠の魔法の製作者はエヴァンジェリンだ。ある程度の血、髪の毛などが確保できれば、たった一人に指向性を向けた罠を作り出せる上に、ラカンの豊富な魔力。それらも拘束力を高めるには十分。

 何しろ真祖の吸血鬼であるエヴァンジェリンが、夜なべしてつくった特注魔法(オリジナルスペル)である。使徒一人捕まえる程度わけないことだった。ラカンには下手に弄ると自分まで巻き込まれると注意されていたが、それは些細なことだろう。

 捕まえた後は紅き翼のメンバーであるアルビレオにでも送りつけるつもりだった。エヴァンジェリンと友になって猫耳スク水セーラ服のコスプレをさせるような男である。きっちり拘束してくれるだろうとラカンは既にプランを考えていた。

 

 だが、頭の中に浮かんでいたはずのプランが、尻つぼみになった言葉と共に頭の中から消え去っていた。

 罠の種類は水系統の拘束陣だった。オアシスの水もエヴァンジェリンの術式に則り魔力を通していたため、拘束力は上がっている。柔らかいゼリー質のロープの形になった水が、四肢を磔にするように拘束している。

 罠が水系統なことはわかる。ラカン自身も水系統は使えなくもなく、弐の魔法の性質も、火に偏っている。火に対して水、これほど分かり易い事も無い。

 

 ではラカンの視線に映っているのはなにか。

水系統とあって拘束しているところは濡れている。濡れているのだがなんか水質が粘着質なのは気のせいではないはずだ。何しろとろりとした液体は拘束しているロープから糸を引いて落ちているのだから。

 そして四肢を拘束するロープも当然水気があるが……ロープの巻きついた手足の部分の布が無かった。

 

>布が無かった。

 

「ッ!?」

 

 思わずぽかんと口を空けたラカンだが、そこは歴戦の戦士らしいくすぐに気を持ち直す。

 弐の黒いレースの手袋と黒のストッキングは拘束されている部分だけ、自身の浅黒い肌を見せている。そしてロープから滴る水滴が衣服に着いた瞬間、じゅわ、と酸にとかされるような音が両者に届いた。

 ラカンの視線に促され、弐もその部分に目を向けると、水滴が落ちた部分の服が溶け、自分の肌が見えている。

 ただの拘束陣だと侮ったが、これは相手を溶解させる拷問用の魔法ではないか! 早急に脱出する必要があると判断し、弐は驚きつつも口を開いて自身の始動キーを呟く。

 

「っ! メラルガ・メラザト・ナシゴっ――もがっ!!?」

 

 そしてその開いた口の中に、魔方陣の中から生まれたロープが突っ込んで………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここで突然だが日本人の話をしよう。

 日本人は元来触手好きの人種である。江戸時代にも、タコに襲われる尼という春画を描いた他、女性用で大量の蛇のなかに突っ込むと言う刑罰まであった。

 そして現代日本でも触手はみんな大好きである。エッティなゲームでも一言ファンタジーが入れば出演し、週刊誌でお色気担当の連載には必ずと言っていいほど出てくるだろう。赤〇先生だって6巻や21巻にきっちり出演させているところからしても、日本人の触手好きは窺える。

 最近のジャ〇プを見てみるといい。触手が主人公やって先生やっているぞ。

 

 そしてそんな日本でエヴァンジェリンは食っちゃ寝していたのである。ニートまっしぐらな彼女は勿論エッティなゲームも漫画にも手をだし、純粋な日本文化を感じていった。

「罠、拘束と言ったらやはり触手だな、うむ」という意味不明な思考回路も、日本文化やゲームによって感染されとろけた脳みそでは、簡単にはじき出してしまう事だった。

 

 

 口の中に入り込んだ触手……もといロープだが、散々口の中で暴れまわり喉奥まで到達すると、いきなり膨らんで口の中に液体状の何かを吐き出した。突然の事に驚き咽た弐は、身体の反射に則って咳が口から洩れた。その口の端には白い滴が零れている。

 始動キーの発言に反応して口の中を塞ぐという性質は確かに効果的ではある。咽てしまえばそれに構いきりで呪文を唱えるどころではないからだ。

 この上なく効果的だ、そう頭の中で考えていた弐だったが、突然その思考回路を持って行かれた。

 

 ドクン、と心臓が鳴った。

 平静だったはずの心臓がバグバグと煩い。体中が熱く発汗作用が働いて、頭の中の意識が一瞬白く染まった。

 薬、先ほど口の中でロープが出したものがそれだと、ぼうっと熱を感じる頭で弐は判断する。確かに思考力を奪えば魔法を放つどころではない。

 と、そこまでならまだ戦略的な物だと判断できるだろう。しかし弐は足の拘束を見るために、視線を下に移した瞬間目を見開いた。

 

 なんか大量のロープが出現してる。

 

 うねうねと軟体生物のように動く様は、さながら生贄を見つけて喜んでいる狂信者のようにも見える。そしてそれらがいっぺんに足元から這い上がってきた。

 

「ひゃうっ! ラカンきさ――むぐぅ!?」

 

 程よい暖かさになったロープの群れが弐の身体へと纏わりつく。ラカンに抗議の言葉を掛けようとしてもそれはロープが口の中に突っ込んだことで止められる。粘着質な何かを出しながら体に纏わりつくロープなど、本来ならば嫌悪感しか溢れないだろう。しかし薬によって鋭くなった神経、敏感とも言うが、になった弐にとってそれは未知の感覚に変身していた。

 

「ロープからはアロマオイルのように落ち着かせる作用、さらにケルべラス・クロス・イーター(千雨が被害者になった触手)の粘液と同じ効果を持たせた。そこから発生する媚やk……興奮剤によって対象者の脳みそはとろける! フハハハさすが私だ! エ□漫画の謎媚薬も謎能力無効化も私の手にかかればこの通りだ! ハーッハハハハハハハ!!!」

 そういって一通り笑い終えて、歯をきらりと光らせながらガッツポーズを向けるエヴァンジェリンの姿をラカンは幻視するが、弐の声で見事にそれらは吹き飛んだ。

 

「ふぁ…ッ……ぅ ……ン……ッ!?~~~!!! けほっ…けほっ……らか、ん……んんん!!?」

 

「お、おお? お、俺様にもなにがなんだか……」

 

 歴戦の戦士だとかそんなことは関係なく、完全にラカンも気が動転していた。

 何しろ友人からもらった罠の魔法が、忌々しい少女をエ□同人みたいにしているのだ。衣服の殆どは溶けて服の体を成していない。もちろん少年誌なら湯気で見えなくなっているところもバッチリである。それがもう少女体型だというのだから救いようがない。

 見れば自分の周りもロープで囲まれている。何かすれば襲い掛かりそうな状態でゆらゆら揺れている。「下手に弄ると自分まで巻き込まれる」、エヴァンジェリンからの忠告もあたが今それを理解した。

自分が何かすれば目の前の少女と同じ状態になる。

 

 ラカンは頭を抱えたくなった。どうしてこうなった……。

 

 

 

 

 

 それを説明するために突然だが日本人の話をしよう。

 日本のインターネット文化には、釣り、という単語が在る。勿論フィッシングという意味ではない。見たい画像、見たい動画など本人がその見たい物があると思い込ませて、リンク先には全く別の物を置いておく、という相手を騙す行為だ。

 それが死体や大量の虫など生理的に見たくないものを置くことが殆どだが、その中の一つに男性同士のチョメチョメなどの画像を置くことも珍しくは無いのだ。デブなオッサンの喘ぐ姿など、興奮するのは本当に一部のみであり、大体の人がその画像に生理的嫌悪感を抱くだろう。可愛い女の子だよー^^などと書いてあるリンク先に踏み込んで、森のくまさんに出会った者も少なくは無いのではないか。

 それがなぜか日本ではネタにされる。インターネットにもどっぷり浸かっているエヴァンジェリンは、当然のそれらのネタに出会った事もあり、それらの嗜好を持つ者への侮辱はいかがなものかと顔を顰めた。

 しかし人によっては精神的な苦痛もあることも事実であり、その知識は頭の中には入っている。それが今回暴走した。

 

 火のアートゥル、ラカンが戦った相手はロンゲ筋肉ムキムキゴリマッチョの男性である。ではそんな男性が触手に弄ばれアヘ顔ダブルピースを晒されたら、ラカンはどう思うか。当然だが生理的嫌悪感を隠すことはできないだろう。しかもそれを止めようと罠自体をどうにかしようとすれば、ラカン自身もロープによってアヘ顔ダブルピースをする羽目になる。

「私の開発力は世界一ィーーー! 隙を見いだせぬ2段構えだフハハハハ!」とワインを飲んで酔った状態で高笑いしながら作ったエヴァンジェリンの状態では、明らかにやりすぎであることなど気が付かないのだ。

 

 そして悲しいかな、エヴァンジェリンは完全にラカンの相手が男性だと考えていたが、弐はどこからどう見ても少女である。確かにラカンは筋肉ダルマだった奴と言ったため、今少女になっているとは予想もつかなかった。

 というか分かるはずがない。前から襲い掛かられていた男を殺したらロリになってやってきましたー☆、なんてことを真面目に言っていたら、誰だって病院送りにしてしまうだろう。

 

 

「っあ……ん……っ……ぁ」

 

 頬を紅潮させ目尻には涙を溜める弐の口からは、ロープが上半身の一部や下半身の一部をマッサージすることで思わず声が漏れている。小説ではなく絵にすれば確実にR-18を張られるがあくまでもマッサージである。そうでなければ垢BANされてしまう。

 

 しかしエヴァンジェリンがアヘ顔ダブルピースを目標に制作した魔法であるが、一部のロープは弐の周りで何もせずに、どこか狼狽えている様に右往左往するだけだった。

 男をアヘ顔ダブルピースさせるためのものなのだから、当然男の息子を弄んでグレさせることもする機能もあった。しかし女性には息子が居ないのだ。その周りをしつこく徘徊するが、一向に見当たらない。しかしその辺りを徘徊すると罠にかかっている人物はなぜか反応するため、徘徊は続けられている。

 どれだけやっても息子は見当たらないため、罠は2つ目の機能に移行した。対象者の姿勢を変えて、膝の裏と上半身を持ち上げるように触手が動く。既に対象者はぐったりとして、さらに対象者Bの視線に晒され、頬の体温が幾らか上がっている。しかしまだ何かする可能性があるため、完全に脱力させるために罠はシステム通りに動き出す。

 確かに男女差で息子の有無に差はある。しかし誰しも人間なら菊の花は咲いているのだ。

 

「!? やめっ! そこは!」

 

「ちょ、おまそれはやばいだろ!!」

 

 対象者二人の言葉など無視して、罠はシステム通りにロープを造り出し―――――

 

 

「~~~!!? ~~ぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

 これで最後に成るが日本人の話をしよう。

 日本人は元来尻好きである。大きな尻なら安産するとオッサンたちもセクハラし、鼻水たらす小学生のジャリどもなら、両手に指で作った拳銃を合わせて、カンチョ―! と叫んで尻穴を狙うほどの尻好きだ。男性同士のアレをネタにするのはごく当然の流れだったと言えるだろう。

 尻は人間にとって弱点に成る。排泄中は無防備であることは勿論、唯一鍛えられない部分の筋肉もあるとアニメのこち亀最終回でもやっていた。だからこそカンチョ―はギャグとしても行われる。前述したがアニメこち亀最終回では両さんは相手にカンチョ―して周り、忍者のだってばよだって案山子先生に千年殺しされているってばよ。有名な格闘ゲームですら、カンチョ―という必殺技が在る。

 おまけに腹を下させてトイレに右往左往させるなどギャグ漫画では日常茶飯事だ。ジャ〇プでは銀〇や殺せん〇ーで悪役をトイレに右往左往させ、鉄鍋な料理漫画ではチンピラをトイレ送りにもしている。

「まぁこれぐらいなら大丈夫だろう。漫画でもやってるし、ガキンチョ向けの奴なら《ピー》するぐらいまぁ当然のことだからな」

 日本のギャグ文化に触れてしまったせいで、現代の若者の様な軽い脳みそに変わったエヴァンジェリンよって、その罠は造られた。筋肉ムキムキの男がトイレ前で右往左往するのはさぞかし滑稽だろう。にししと悪戯をする前の双子の様な笑いを浮かべて、エヴァンジェリンは罠を完成させていた。

 

 しかし悲しいかな、拘束されているためトイレ云々は不可能である。しかし何度も言うがエヴァンジェリンが罠にかけようとしているのは男である。男ならまだギャグで済ませられるのだが、相手は見た目年端も行かぬ少女である。年齢に至ってはペドである。

罠には生なグロい光景を見せつけるために、よそ見をすればロープがラカンを襲い掛かるように設定済みである。

 ラカンへ精神的ダメージを与える! 何しろ罠としては機能しているのだから、エヴァンジェリンは文句を言わせるつもりは無かった。

 

 ……まぁ、その結果がエ□同人みたいなことになっているのは置いておこう。

 

 

 

 菊へのロープによるマッサージはこの上なく未知の感覚を弐に与えていたが、それは突如終わりを迎える。

 エヴァンジェリン特性の薬は体の中に浸透し、先ほどまでマッサージされていた部分に痛みを発生させていた。

 この感覚には弐も覚えがある。痛みからその部分が鳴って辺りに響き、ラカンにも聞こえただろう。当然だがこの感覚に従って行う行為が、誰かに見せることではないことぐらい弐にも理解できる。しかし身体中からロープが与える刺激が頭をふわふわとさせて、身体を弛緩させ、時には頭を真っ白にして緊張させた。

 そんな自分を、宿敵の相手が見ている。

 

 

「……やぁあ、 見、るな。らか……」

 

 

 口から洩れる言葉はとても自分の物とは思えないほど崩れている。

 瞬間、身体の力が抜けて痛みが消えたかと思えば、身に覚えのある生理的感覚が何倍もの刺激になって脳へと走る。そして自分が何をしたのか理解して、弐は意識を落とした。

 

 

 

 

――――

 

 

 戦場で破壊された物が簡単に治るようなことは無い。幸い魔法世界では土系統の魔法は建造のために発展しており、人的被害以外ならば簡単に立て直すことができるのだ。

 しかしどのような出来事にも後始末はある。川に流す灯篭などを後で業者のおじさんが冷めた目で片づけているのを見たことが在るだろうか? ラブホテルでスカリエッティなプレイをした客の、後片付けをするボーイの事を考えたことが在るだろうか?

 結局は最後に誰かが片づけなければならないのだ。漫画やアニメでは良い所で映像が途切れるが、その後で誰かが後片付けをしているなどとは考えない。つまりアニメマンガに汚染されたエヴァンジェリンはその辺りに気が付かない。

 

「……何やってんだ、俺」

 

 辺りの砂を纏めて袋に入れている最中、ラカンは突然何かを思い出したように呟く。

 いろいろあってオアシスの水は元在るところに戻ったわけだが、それ以外の体液とか《自主規制》とかは当然残っているわけだ。有名人であるラカンはお手伝いさんなど雇っておらず、前述したホテルのボーイのようなことをしているという訳だ。

 打ち上げられた魚のようにびくんびくんと痙攣している弐は、とりあえず身体を洗ってエヴァンジェリンから昔剥いだ服を着せて寝かせておいた。その最中にも「何やってんだ、俺」と呟いていたりする。流石に敵とはいえ、ケルべラス・クロス・イーターに襲われた旅人のような状態の見た目少女を放置するほど、ラカンは非情な男ではなかった。

 服は掛け金を払えないという事で剥ぎ取ったものであり、後でアルビレオにでも売るつもりだったものだ。備えあれば、とは言えばあって欲しくない事態だった。おまけに手の込んだゴスロリ衣装など、ラカンの趣味だと思われたらたまったものでは無い。

 ある程度綺麗になったところで砂を入れている袋の口を縛り、宙に放り投げる。そしてその袋に向かって全身からなんか気を出して爆散させた。後にエターナルネギフィーバーと呼ばれる技だが、その技が最初に吹き飛ばした物が何なのか知ったら、名前に使われている少年は何を思うのだろうか。

 完全に爆散して塵になった光景を見てラカンは、うし、とひとり呟いて母屋に戻った。いい加減腹が減っている。何かつくって食うかと考えた時点で、ラカンは気が付く。あいつってなんか飯食うのか、と。

 

 

―――――

 

 二人の男が居る。辺り一面が瓦礫の山へと変わった神殿の中心に、両者は居た。一人は地面へと倒れて空を見上げ、一人は大地に立って男を見下ろしている。そして空を見上げている男――アートゥルは自分の下半身の感覚が無いことに、思わず口元で笑みを造りだしていた。

 

「おうラカン、テメェの勝ちだ」

 

「あたりめぇだ。下半身引きちぎって生きてるなんざ、どこのババァだ」

 

 アートゥルの軽口にラカンは口元にへの字を作って、肩を鳴らした。

 完全なる世界の幹部の一人は今ここで下した。他の者達もアートゥルと同等の力の持ち主であるが、自分たちの仲間なら大丈夫だろうという確信が在った。

 アートゥルは今の現状について考える。ラカンとの渾身の一撃のぶつかり合いで、自分の下半身は破裂してどこかに吹き飛んだ。身体の中に在る血の代わりをしてる透明な液体が、辺りを濡らしているがすぐに光となって消えるため渇いて行く。

 間違いなく自分は此処で消えるだろう。ブリームムあたりならまだ身体を動かして何か創造主のために動こうとするだろうが、今のアートゥルにはそんな気は起こらなかった。

 

「ラカン」

 

「あぁ?」

 

 自身のアーティファクトである『千の顔を持つ英雄』を剣の形に戻し、肩にかけて振り返りながらラカンは返答する。

 

「楽しかったぜ、お前とはよ」

 

「……はっ、野郎に言い寄られても嬉しくねぇんだよ」

 

「ハハハハ、英雄色を好むというやつか。……貴様は楽しくなかったのか?」

 

「いいや、人形と遊ぶよりかはよっぽど楽しかったぜ」

 

 ラカンの言葉にわずかに目を見開いたアートゥルは、ゆっくりとその言葉を染み渡らせて口元に笑みを作り出す。ラカンはそれだけ言うと、アートゥルを背にして仲間たちの下へと向かった。

 創造主のためにと生まれた存在だった。それが今変質してラカンを倒すという目的のために動き、その目的は閉ざされようとしている。無念、何人もの存在が思い感じていたのだと、アートゥルは初めてこの場所で気が付いた。

 だからといって同じように無念を感じているアートゥルが、それらに対して謝罪する事も無い。彼が今感じていたのは、最大の敵であり奇妙な友情を感じていたラカンと言う存在への別れだ。

 聞こえてはいないだろう、無念や無力感は確かにある。それでも満足感は確かに会った。だからこそ言わずにはいられなかった。

 

 

「……じゃあな、ラカン。また会おうや」

 

 

 数秒後、神殿の崩壊によって落ちてきた巨岩がアートゥルを押しつぶした。

 

 

 そうだ、その無念を、その屈辱を自分はラカンに感じている。それを晴らすために自分は執着している。何よりもそれが創造主への利に繋がると。

 夢の中に居る弐はそう認識している。だからこそラカンは特別な相手だった。先代アートゥルの意志のためにも、弐自身のためにも無様なところなど見せるつもりは無い。

 

それが、それが――――

 

 

「ら、かん」

 

 

「お、おう、……目ぇ覚めたか」

 

 

 弐は夢から少しずつ意識を浮上させる。自分の声に誰かが答えたような気がするが、同志であるセクンドゥム達ではないだろう。

 パンを焼いた良い香りと柔らかなシーツの感触が心地よく、ゆっくりと体を起こして目を擦る。時折テルティウムが造っていたコーヒーの香りがふわりと鼻をくすぐった。あんな苦い物を何でいつも飲んでいるのか、弐には理解できなかったが、その香りからテルティウムが起こしに来たのだと理解する。

 しばらくぼんやりと宙を見ていると、景色がはっきりと頭の中に入り込んで情報を流した。

 ラカンが居た。

 

「っ!!!?」

 

 なぜ、どうして、弐の頭の中に流れるのはそんな単語ばかりだ。

 夢の続きか、それならばラカンと自分は殺し合いになっていたため、無防備に寝ていた自分を生かすなどという事は有りえないだろう。何よりも宿命の相手に無防備な姿を見せていたという事実に、弐は羞恥からわずかに顔を赤らめる。

 こんな姿をずっと見せていられるわけがない。何でもいいから魔法を発動させるために、始動キーを口ずさもうとした時だった。

 

 身体が拒絶反応を起こして、その詠唱を無理やり止めていた。

 

「っ!? ……あ……」

 

 身体は無理やりにでも詠唱を止めた、そうしなければ負担がかかると脳内に刻まれていたからだ。

 自分がここで寝る前に、確か魔法の拘束陣によって捉えられていたはずだった。そして派生された拷問用の式は……。

 

「あ、ああぁ……」

 

 自分が何をしたのか、何が在ったのか弐は理解する。

 聞いた事も無い声が聞こえていた。ロープが身体を這い回るたびに漏れるその声が、聞こえてきた。そして今ようやく理解する、その声の持ち主は自分ではないか。

 未知の、今となっては既知の感覚が体に走るたびに、無意識のうちに体は痙攣して声を上げていた。どこまでも無防備で無様な様を、よりにもよって宿命の相手に対してさらけ出していた。

 魔法を唱えようとすればロープは新たに刺激を造りだして妨害する。そうしてまた自分は声を上げるのだ。悲鳴のようななにかを。

 その記憶が鮮明に流れ出す。意識を失う前に自分がしでかしたこと、そしてそれを見ていたラカンの―――

 

「ぁああぁああ……ふあぁぁあん」

 

「うおっ……おいおい、泣くんじゃねぇよ……」

 

 ぽろぽろと涙があふれていくる。自身への情けなさと屈辱と羞恥と恐怖がいっぺんに溢れ、無意識のうちに弐は涙を流した。魔法を使えばまたあのロープが自分を縛って、刺激を与えてくるかもしれない。無意識のうちにソレに対する恐怖を覚えた弐に、今この場所でラカンに対して魔法を使う事はできなかった。

 創造主のためにもならず、自分の意志でもないにもかかわらず、何かに促されるままに溢れる涙が止まらなかった。

 

 ラカンとしては想定通り過ぎて泣けてくる。二人分のパンを焼いてサンドウィッチを作っている最中に、「あれ、俺様なにやってんだ?」と思ったのもつかの間、目の前で泣いてしまった少女にどうすればいいのか頭を抱えていた。さながら気分は犬のお巡りさんである。

 しかし当然と言えば当然の反応だ。不法侵入してきたから罠が勝手に発動してエ□同人みたいにして後ろの純潔まで罠が貰っちゃいましたーww。あ、スカリエッティなプレイはおまけですミ☆。なんてされたら誰だって泣く。ラカンだって泣く。それを最大のライバルであるナギの目の前でやったりしたら、大人しく心臓を取り出して握りつぶすだろう。それと同じことが弐には起こったのだから。

 そしてラカンが声をかけにくい理由として、その罠を仕掛けたのはラカンであるという事だ。気分は犬のお巡りさんだったが、ラカンは連行されていく身分である。

 

「あーと、だな。あの魔法は俺が造ったもんじゃなくてあのババァ……エヴァンジェリンが造った奴でな。ほら、てめぇらも知ってるだろ? 真祖の吸血鬼」

 

「…………」

 

 ラカンの言葉に返答はなく、鼻をスンスンとすする音が部屋に響く。ぼろぼろと流れる涙は止まる様子もなく、ラカンはむしろおろおろとするばかりだ。

 

「だ、だからだ、もうあの罠は此処にはねぇから、な。泣いてばかりいるんじゃねぇよ」

 

「……ぅん、……本当、か?」

 

「おう!マジだマジ。おおマジだ! ほれ、嫌なことは飯食って忘れるに限る!」

 

 何とか泣く以外の反応を起こしたことに、ラカンは思わず安堵の息を漏らしていた。そして作ってきたサンドウィッチを置いた皿を差し出した。

はっきりと言って反応に困るのである。これならまだ、磯野ー殺し合いしようぜーと尋ねに来た状態の方がやり易かった。しかしラカンが捕まえた敵に対して《自主規制!》してしまったとなれば、罪悪感の一つでも沸くというものだ。

 しばらく差し出された皿をぼんやりとみていた弐だったが、意識は逸れたのか涙は止まっていた。エヴァンジェリン作の罠が発動しないと言うことで、恐怖が薄れたという理由もあるだろう。

 目元を腕で拭い深呼吸する。過呼吸でおこっていたしゃっくりが段々と小さくなってきていた。しばらくたてば、嗚咽は無くなっていた。

 だからだろう、落ち着いたところで、きゅぅ、と可愛らしい音が弐のお腹から洩れていた。ラカンは歪な笑みを浮かべたまま聞かないふりをしている。思わず顔を紅潮させた弐は、差し出された皿を要らないと突き返そうとした。するとそれを拒絶する様にお腹は鳴るので、ますます顔を赤くする。

 

「……腹減ってんなら食えよ」

 

「……ふん」

 

 置かれたサンドウィッチに手を伸ばし、弐はそのまま齧り付く。不遜な態度にいつもの調子を取り戻したと判断したラカンは、気怠そうに椅子に座り直した。

 

 

 

 

「……………」

 

「……………」

 

 

 無言の空間が辺りに流れている。

 食事を終えて椅子に座るラカンと弐はベッドの上で上半身だけ起こしながら対面しているのだが、当然話すことなど無い。ラカンとしても弐と会話とも呼べぬ言葉のドッジボールをするだけであって、話題など無いのだから。本当は食い終わったら蹴り出してしまうのが正解ではなかっただろうか。内心で舌打ちしつつも、いろいろ《自主規制》な目にあわせたラカンとしては、ほんの少しの罪悪感が邪魔をする。

 弐はぼんやりと何かを考えていた。即ち今自分はどうするべきだろうか。

 ここで暴れて不意打ちを掛けることは可能だ。現に相手はなぜか油断しきっており、その攻撃が通る可能性もある。それが最善手段であり、創造主にとって最も良い結果を残す方法であるはずだ。

 でも、なぜか嫌だと弐は頭の中で判断する。そんな方法で自分とラカンとの決着をつけるべきではないはずだ。少なくとも今の状況でそんなことをすれば、それは先代アートゥルの意志、そして自分の意志を無視することになる。

 

「……え?」

 

「あん?」

 

 弐は自分の思考に初めて違和感を持った。『創造主の命以上に自分の意志を優先させた』のだ。

 

「……ああそうだ、ラカン、私はキサマを殺す」

 

「……へっ、いいじゃねぇか。そっちの方が分かり易い」

 

 自分を確認するかのような弐の言葉に、ラカンは思わず口元に笑みを造りだして返していた。何がキーになったのかは分からないが、そのことばが何となくではあるが、借り物でなく自分の意志で言ったように聞こえたからだ。

 ラカンが創造主の使徒と話して人間と話しているかのような実感を得たのは、これで2度目だった。一人は先代のアートゥルと呼ばれた男、そしてその後釜である弐という少女。

 意志のないゴーレムと戦うことほどつまらないことは無い。なぜならそれは只の解体と言う作業であって、心躍る者ではないからだ。どうせやるなら人間と戦った方が面白い、ラカンとはそういう男だった。

 

「それじゃあどうするんだ? 今ここでやんのか?」

 

「いや、興が削がれた。今は止めておくことにするさ」

 

 この男との戦い楽しい、だから殺しあいたい。

 その『感情』という存在を、非常に遺憾ながらエヴァンジェリンの造りだした罠が、恐怖、羞恥といった感情を身に染みて味合わせたことによって初めて気が付いたのだ。

 しかしどんなきっかけであれ、感情を理解したのは確かであり、それを手放すことはつまらないと思う事は出来る。

 

「はっ、まぁそうだな。少なくともベッドの上じゃあ俺様の方が強ぇしな!」

 

 軽口に対して少しの下ネタを混ぜてラカンはお笑いしながら返す。

 少なくともこれからは暴れるクソガキを相手にするのではなく、楽しい喧嘩ができそうだと、心の中で浮かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「? ベッドの上だと? 私はどこででもラカンには勝つもりだが」

 

「……あ?」

 

 きょとんとベッドの上で首を傾げる弐。どこか返答がおかしいことに気が付いたラカンは、なぜか背中に冷や汗を感じていた。

 

「いや、ほら、例えだ。意味位わかんだろ?」

 

 何が好きで自分が言った冗談を解説しなければならないのか。羞恥プレイはラカンは興味は無い。空気ぐらい読んでくれ、という意味で返した答えだったが、弐は本気で分からないといった様子で眉をひそめる。

 

「だから何を言っているラカン。キサマは場所によって戦闘力が変わるのか?」

 

「……」

 

 なんであの連中情操教育の一つもしてねぇんだ!

ラカンは無言の中にそんなテレパシーを発していたが、当然の如くそれが現状の回復につながるはずがない。

 紅き翼に居た時代でも覚えが在った。ナギに情操教育の一つもやろうとしないアルビレオとゼクト。ガトウはいつも忙しく、詠春に至っては裸を見ただけで鼻血を噴き出すチェリーボーイだ。仕方なくラカンが教えるしかなく、記憶を映画化できる場所に行って女をあひんあひん言わせていた映像を共に視聴していたのは懐かしい記憶だ。

 なにしろそっち方面の知識は紅き翼は何の役にも立たない。アリカ姫との初夜のために貸したその映像が、役に立ったぜラカン! とナギが言い笑顔で言ってくる程度には初心者向きにできている。後々詠春も借りていったが、未だにその記憶媒体はラカンの住居にある。

 

「う、五月蠅ぇんだよガキ! てめぇが知るにはまだ早い!」

 

「なんだとラカン! キサマ私を侮辱しているのか?」

 

 そういう問題ではない。見た目ロリに情操教育するなど、どんな罰ゲームだとラカンは頭を抱えたくなった。

 説明しろ、五月蠅いの問答の末、結局は殺し合いに成ったりしたのだが――――――

 

 

―――――

 

 さて、後は蛇足である。

 結局ナギ達に見せていたアダルティなVを一緒に視聴する羽目になったのだとか、女優があひんあひんキモチィィ!と言っているのを見て、弐がエヴァンジェリンの罠の感触を思い出して顔を赤くしただとか、映像のラカンの息子とラカンのズボンを見比べて顔を赤くしただとか、女優のあひんあひんな姿に思わず自分の股に手を伸ばしただとか、まぁいろいろあった。

 その間一貫してラカンは考えていた。「あれ、俺様なにやってんだ」と。

自分が熱中して自分が主演男優のAなビデオを見ると思っているのか。歴戦の戦士で紅き翼な英雄が、こっそり股に手を伸ばしている姿に気が付かないとでも思っているのか。つーか、ちらちらとこっちのズボンのジッパーをみるんじゃねぇ。顔を赤らめるんじゃねぇ!

 その後、ラカンの言った言葉の意味を理解しても、震え声で楽勝だと言い放つ弐がいたり、ラカンを無理やり押し倒してビデオの内容をやろうとしたため、息子をボロボロにされかけラカンが切れて弐をベッドに放り投げたりしたが、特に語る事も無いだろう。

 

 しいて言うのなら翌日、裸で幸せそうに眠る少女と、上半身を起こし頭を抱える男が居た程度の事だ。

 それが原因で原作36巻部分でラブロマンスをする羽目に成ったり、第三皇女がレイプ目になって襲撃して来たり、ロリコン扱いされて女子中学生sにドン引きされるのはまた別の話である。

 

 




最初は某スナイパーなナンバーズみたいな話をしようと思っていたのですが、どうしてこうなった。
このラカンのやってることは犯罪です、リアルでは止めましょう。

※元々同作者のエヴァンジェリン憑依でやろうとしていたネタなので、開発力があったりするのはご了承ください
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