その日も全て覆い隠すような雪が降っていた。
だけど雪はそれを隠してはくれなかった__。

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久しぶりの小説なんでリハビリです。
昔のことは良くわかんないんで結構適当な想像です。


齟齬する心

 空は厚い雲に覆われ、濃い雪が降っていたがそれは奴らの罪を覆い隠すことなんて出来ない。

『ルート、そっち行った!』

「わかってる!」

長刀を持ったMig-21(バラライカ)がルートの駆るMig-23(チボラシュカ)にそれを振り下ろした。

ルートはそれをDS-3多目的追加装甲(シェルツェン)で防ぎ、WSd-16Cの120mmを管制ユニットに叩き込んだ。

するとそのMig-21(バラライカ)は糸の切れた操り人形のようにぐったりと地に倒れた。

「これで全部なのアーデルハイト?」

『うん、そうみたいだよ』

「総員傾注、任務完了。これより帰還する」

『__了解!』

小隊員達の声が重なった。

 亡命者集団を狩り終えて国家保安省(シュタージ)の、小隊(コルチカム)の任務は終わった。

小隊(コルチカム)は自分達の基地へ帰るためにMig-23(チボラシュカ)跳躍(ジャンプ)ユニットに西へ背を向け火を灯もした。

 

 

 

 

 今日一日の仕事を終えたルートの機嫌は非常に良かった。

どうやらそれは隊の仲間達にも分かるようでアーデルハイトに

「ルートは明日何かあるの?」

と尋ねられた。

「気になるの?」

「気になる気になる」

「私ね明日一日有給取れたんだ」

「えぇーいいなー」

「いーでしょ?」

二人が談笑していると興味を持ったヘレナとジークリットもやって来た。

「何の話をしているんですか?」

尋ねてきたのはヘレナだった。

「私明日有給取れたのよ」

「それでそんなに嬉しそうってことはフランツさんでしょ?」

そう言われたルートは恥ずかしそうに

「な、なんでジークリットがフランツのこと知ってるの!?」

「ルートが酔って寝ちゃってた時に寝言でフランツ、フランツ言ってたよ」

「あれ合成酒だったのにねー」

「むぅ……みんなしてからかわないでよ」

唐突にジークリットが何食わぬ顔で言った。

「そういえば明日はどこに行くの?」

何も反省していないジークリットに呆気をとられて呆然としてたルートは気を取り直して言った。

「ベルリンのレストランよ。それも合成じゃないやつ」

「ずるいよ!」

「ずるくない。フランツが予約取ってくれたんだから」

そう言ったルートは

「明日のことあるから私部屋戻るねー」

と手を振ってその場を後にした。

 

 

 

 

 翌日ルートは高級そうなレストランの近くに着き、入口の前ではもう既にフランツが待っていた。

フランツは手を振ってルートの名を呼んだ。

「もう街中で名前を大きな声で呼ばないでってば……」

そう恥じらいながら呟き、急いでフランツの下へ走って向かった。彼は最後に会った時と同じようににこやかな笑顔を浮かべている。

「久しぶりねフランツ」

「あぁ久しぶりだなルート」

フランツはルートの腰に手を回してレストランの中へと進んでいく。それに合わせてルートも歩みを進めた。

二人は店員に窓際の席に通され、メニューを手渡された。

メニューには当たり前だが普段食べている物より上等な物の写真が載っている。

二人は適当に選んだ物を注文すると少ししてから料理が出てきた。出てきた料理は写真の物より質は悪いように見えたが普段の物よりはマシだろう。

ルートとフランツは適当な会話をしながら料理を口に運ぶ。うん、おいしい。

料理を食べ終えた頃にフランツが急に真面目な顔になった。

「ルート、大切な話があるんだ」

「ど、とうしたのよ?」

不思議そうにルートが尋ねるとフランツは懐から小さい箱を取り出し、手渡した。

「何これ?」

「開けて見てくれ」

その箱の中にはとても良い物とは言えないがそれなりの品質の指輪が入っていた。

「結構頑張ってみたんだ。なぁルート、結婚してくれないか?」

「わ、わわわ……」

恥ずかしくなって顔を真っ赤にしたルートは思考が上手く回らず、そのまま店を飛び出してしまった。

一人店に残ったフランツは自嘲気味に静かに笑って

「そういえばルートはすごい恥ずかしがり屋だったな……」

と寂しげに呟いた。彼は失敗した。多分次に会えるとしたらかなり先の事だろう。そうするともう間に合わないかもしれない。覚悟は決まった。これはもう仕方ない事だ__。

 

 

 

 

 昨日とは正反対のかなり落ち込んだ様子でルートは自分の宿舎へと帰ってきた。

その様子を見て心配したヘレナが話しかけてきた。

「どうしましたの?」

「あぁうん、少し放っておいてくれない?」

「あ、ごめんなさい……」

ルートはとぼとぼと俯きながら自室へ入り、ベッドの上で膝を抱えて座った。

やってしまった。恥ずかしさのあまり店を飛び出してしまったが、次に会うことが出来るとしたらずっとずっと先だろう。そんな長い時間今日の事を謝れないのはとても辛い。

そう考え、静かに泣いた。こんなメンタルでどうしてこんな仕事が出来ているのか自分でもわからない。

 そして、どれくらいの時間こうしていたのかもわからない。

アーデルハイトが部屋にやって来た。

「ルート……いえ隊長、しっかりしてください。仕事です。またいつものように」

そうだ、ルートは小隊(コルチカム)の隊長だ。涙を拭ってアーデルハイトと一緒に部屋を出た。

更衣室へ向かう途中にアーデルハイトからルートは今回の任務の概要を聞いた。

またいつも通りの亡命者狩りだそうだ。

 更衣室でルートは強化装備に着替えて格納庫に向かった。

格納庫で愛機のMig-23(チボラシュカ)の顔が無表情にも、睨みつけているようにも、嘲笑っているようにもルートは見えたが気のせいだろう。

そのMig-23(チボラシュカ)に乗り込めば網膜に外の風景が投影され、格納庫の外へ重い足を一歩一歩と進める。

今日はとても濃い雪が吹き荒れていた。

そして外のカタパルトに脚をはめた。

「総員傾注、小隊(コルチカム)はこれより祖国の裏切り者に制裁を下す。30秒後、全機跳躍(ジャンプ)ユニットを噴射」

『了解、これよりカウントを開始します』

アーデルハイトが、30、29、28、27とカウントを数えていく。

出撃前のこの時間がとても長く感じ、ルートは深呼吸をして自分を落ち着かせようとした。しかし今日は何故かいつもより落ち着かない。やはりあれがあったからだろうか?

10、9、8、7、もうすぐ時間だ。

ルートはぐっと手に力を込めて身構えた。

3、2、1__全機跳躍(ジャンプ)ユニットを噴射し、さらにカタパルトで加速して厚い雲の下、飛び立った。

 

 

 

 

 針葉樹の森の上を6機のMig-21(バラライカ)が飛んでいる。

奴らが目指すは西側、そう祖国を裏切り西へ向かっているのだ。

そんな後ろ姿を小隊(コルチカム)が視界に捉えた頃には相手もこちらに気付き反転してWSd-16Cの36mmを浴びせてきた。

 そして、動きの速い機体が1機、Mig-21PF(指揮官機)跳躍(ジャンプ)ユニットをロケット噴射させて一気にDS-3多目的追加装甲(シェルツェン)のブレードでヘレナに斬り掛かった。

相手は亡命者狩りとしてそれなりの技量を持った小隊(コルチカム)の衛士が回避をしようとも跳躍(ジャンプ)ユニットに攻撃を当て破損させたことからかなり熟練であることが分かる。

右の跳躍(ジャンプ)ユニットを破壊され地表へと落ちていくヘレナのMig-23(チボラシュカ)だったがなんとか左の跳躍(ジャンプ)ユニットで体勢を立て直し着地した。

そんなヘレナに左右から2機のMig-21(バラライカ)が襲い掛かる。左右4門ずつの合計8門のWSd-16Cから36mmの劣化ウラン弾が全身に浴びせられ時折放たれる120mmが装甲を抉っていく。

「ヘレナァ!」

ジークリットのMig-23(チボラシュカ)がヘレナを助けるため片方のMig-21(バラライカ)DS-3多目的追加装甲(シェルツェン)を全面に押し出して突進するがタイミング良く、それを回避され背中に蹴りを一撃受ける。

小隊(コルチカム)Mig-23(チボラシュカ)管制ユニット内にヘレナの断末魔が飛び込んできた。

間に合わなかった。ヘレナのMig-23(チボラシュカ)の全身から炎が噴き出し、爆散した。

 蹴られたジークリットのMig-23(チボラシュカ)とバランスを崩しており、こちらも先程の2機のMig-21(バラライカ)に同様の攻撃を受ける。

 それを今度こそ助けるためにアーデルハイトのMig-23(チボラシュカ)がWSd-16Cから120mmを一定の感覚で放つ。

攻撃は回避され全弾当てることは出来なかったが、相手の右腕に保持したWSd-16Cと頭部を吹き飛ばした。

頭を飛ばされたMig-21(バラライカ)は左腕で頭部があった場所を押さえる。無理もないだろう。いきなり自分の視界が消えてしまったのだから。だがそれはMig-21(バラライカ)を仕留める為の十分な隙になった。

アーデルハイトはDS-3多目的追加装甲(シェルツェン)のブレードを相手の背後から深々と差し込み、管制ユニットを潰した。

そしてもう1機のMig-21(バラライカ)が敵を討たんとアーデルハイトへ突撃してきたが、WSd-16Cの36mmで相手を牽制し

「ジークリット今!」

その場で攻撃を防いでいたMig-21(バラライカ)の右側面から管制ユニットにWSd-16Cの120mmの銃口を押し付け放つ。

貫通されたMig-21(バラライカ)がだらりと四肢を垂れ倒れた。

「ジークリット、あとMig-21(バラライカ)は3機。Mig-21PF(指揮官機)はルートに任せて早く片付けるわよ」

「うん、任せて……!」

ジークリットの口調には僅かに怒りが感じられた。

 

 

 

 

 空中で互いのDS-3多目的追加装甲(シェルツェン)がぶつかり合い爆発反応装甲(リアクティブアーマー)が一斉に起爆し使い物にならなくなった。

そして相手のMig-21PF(指揮官機)の反応の方が一瞬速く、だがルートのMig-23(チボラシュカ)は遅く左腕を爆発に巻き込まれた。

それに追い撃ちを掛けるようにMig-21PF(指揮官機)は右腕のナイフシースからCIWS-1を左腕に装備し斬り掛かってきた。狙いは管制ユニット。ルートはそれをすんでのところで回避して相手の頭部をWSd-16Cの銃床で殴り凹ませたが相手はうろたえる様子を見せず、膝蹴りを仕掛けてきた。

その攻撃は確実に胸部へ直撃し機体を歪ませた。

 その時Mig-21PF(指揮官機)の背後から別のMig-21(バラライカ)が現れたのが見えた。

『ごめんルート、1機そっち行った!』

アーデルハイトから慌てながらも申し訳なさを感じさせる声で通信が入った。

このまま何も出来なかったら確実にやられる。一か八かでルートは今装備さているWSd-16Cを投げつける。

それを左腕で弾いたMig-21(バラライカ)は一瞬管制ユニットを全面に晒した。

右腕のナイフシースからCIWS-1を弾き出し、そこに目掛けて投げつけた。CIWS-1は見事に突き刺さってMig-21(バラライカ)は落ちていく。

間髪入れずに懐のMig-21PF(指揮官機)にも蹴りを喰らわせ左の跳躍(ジャンプ)ユニットを破壊バランスを崩した所に左ブレードマウントに装備された長刀を装備して上から振り下ろす。

 その時、相手のMig-21PF(指揮官機)から声が聴こえた。

『それ程の腕を持っていながら何故人を狩っているんだ……』

それはフランツの声だった。

それに気付いた時ルートの頭は真っ白になり何も考えられなくなったが今更Mig-23(チボラシュカ)の振り下ろされた腕を止める事は出来ず、トップヘビーの刀身が深々とフランツに減り込んだ。

力無く落ちるMig-21PF(指揮官機)を追いかけるように自分も降りていきルートは片腕だけになったMig-23(チボラシュカ)Mig-21PF(指揮官機)を抱き寄せた。

『ルート大丈夫?』

ルートの前にアーデルハイトとジークリットのMig-23(チボラシュカ)が降り立った。

その2機がルートを見下ろしている。今はMig-23(チボラシュカ)の顔は嘲笑っているように見えた。

泣きながらルートは二人に応えた。

「このMig-21PF(指揮官機)の衛士はフランツだったのよ……」

『そんな……』

『嘘で……しょ?』

 厚い雲から吹き荒れる横殴りの雪が降り続けている。

その雪は基地から出撃した時よりも強くなり、全てを覆い隠さんとするばかりの勢いだった。

しかし雪は祖国を裏切ったフランツの罪も、愛する人を危めてしまったルートの罪も、その雪はそれを隠してはくれなかった__。




最近リアルが忙しく久しぶりに小説を書きました。 
それでリハビリ&戦闘の練習をしました。
前より戦闘描写は上手くなっただろうか?
ご意見アドバイス等などあればよろしくお願いします。

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